最新ゲームとレトロゲームが楽しめるアミューズメントフィールドAX!(※2018年11月4日閉店)
目次
平日は通勤客で混み合い、みなとみらい線、副都心線との相互乗り入れによって、更に人気の路線となった東急東横線。その都立大学駅の改札口を出て歩いて1分のところに、入口が特徴的な遺跡風壁画で飾られた建物がある。筆者が最近足しげく通っている「アミューズメントフィールドAX」(以下「アクス」)だ。
21世紀に入ってからゲームセンターの閉店が相次ぐ中、東横線沿線では渋谷や横浜などのターミナル駅以外でビデオゲームを遊べる場所は少ない。そんな中、アクスは、駅前で最新ゲームとレトロゲームの両方を楽しめる貴重な場所であり、中高年のゲーマーの支持も高い。今回は、そんなアクスの魅力を語りたいと思う。
※残念ながら、2018年11月4日(日)をもって閉店しました。
幅広い年齢層が訪れる駅前ゲームセンター
アクスは2007年12月28日オープンで、ちょうど10周年を迎えたばかりだ。
店内は1階と地下1階、ふたつのフロアに分かれている。1階はプライズマシン、メダル機、音ゲーのフロアになっており、お客さんは『太鼓の達人』などを遊ぶ若年層から、シングルマシン中心のメダルゲームを楽しむ40代~50代の層と幅広い。
地下1階に降りると『機動戦士ガンダム 戦場の絆』(2006年)の筐体8台の存在感が大きいが、格闘ゲーム対戦台、オンライン麻雀も並んでおり、こちらは20代~30代のお客さんが中心だ。
店名「アクス」の由来と系列店「バイヨン」について
アクスを紹介する上で避けて通れないのが、系列店である「アミューズメントフィールドBAYON」(以下「バイヨン」)だ。アクスからは30Km以上離れた埼玉県ふじみ野市にあるバイヨンには、MA(Memories of the Arcade)エリアと呼ばれるコーナーがあり、広いフロアにレトロゲームとピンボールが多数置かれている。興味がある方は、そちらにも足を伸ばして欲しい。
運営会社にとっては大きな店舗、剣のようなメイン武器であるバイヨンに対して、比較的小さな新店は、斧のようなサブ武器的な存在ということで、斧を意味する「アクス」という店名となった。
ベッドタウンに位置し広大なフロア面積を誇るバイヨンに比べて、都心部に近い立地のアクスでは、限られた面積で如何に多くのプレイヤーを楽しませて収益を上げるかを追求した結果、根強い固定客をつけて、連日のように賑わっている。小規模店舗ながら、まさに「斧」のような存在となった。
「スタッフじゅん」こと西邑店長は帰国子女
アクスのBLOGへアクセスすると「スタッフじゅん」氏と「スタッフDo」氏による各種ゲーム解説やアクス運営の表裏、プレイヤーの様子など様々なエントリが読める。
また公式Twitterでも積極的に情報発信中で、日々のアクスの出来事や、稼働ゲームに関するニュース、レトロゲームランキング速報を知ることができる。
これらは「スタッフじゅん」こと、アクス店長である西邑淳太郎氏が中心となって運営している。同氏は7歳から16歳までの約9年、1989年~1998年の、いわば日本ゲーム黄金時代をヨーロッパで過ごしており、好きなゲームを思うように遊べない鬱屈した期間があった。その反動か、帰国後にゲームセンターへ足しげく通うようになり、ある日地元でゲームセンター「バイヨン」に出合い、紆余曲折を経て同店運営会社へ就職、その後店舗を移りつつ、2014年1月にアクスの店長となった35歳の帰国子女だ。
「スタッフDo」こと安藤貴宣氏は対戦格闘とプロ野球をこよなく愛する40歳。常に筐体のメンテナンスに気を配っており、多少の不調でも「こんなこともあろうかと」用意していたパーツと修理の腕を活かして直してくれる、アクスの真田さん(「宇宙戦艦ヤマト」のメカ技師)的存在だ。
アクス店内には、両氏が書いた、それぞれのゲームの遊び方や豆知識が書かれた独自のPOPが多数掲示されており、初心者でも遊びやすい配慮がなされている。
人気によってゲームタイトルが変わるレトロゲームコーナー
レトロゲームのコーナーは地下1階、シティ筐体8台が4台ずつ対面に並べられている。
以前から『龍虎の拳2』(1992年)、『対戦タントアール サシっす!!』(1998年)、『パワースマッシュ2』(2001年)などレトロゲームは数台稼働していたが、西邑氏が店長となって以降、少しずつ台数を増やしていった。ただレトロゲームを並べるだけでなく、「パズル」「対戦格闘」「スポーツ」などテーマを決めてそれに沿ったタイトルを集めて稼働させていた。
そして2017年1月、筐体8台分のゲームタイトルをインカム順に掲示する「レトロゲームランキング」がスタートする。毎月インカムが低い2タイトルは翌月に別のゲームに入れ替えられてしまう過酷な企画だ。
公式Twitterでも随時ランキング情報が発信され、珍しいゲームが稼働しているタイミングでは一部レトロゲーマー界隈でよく話題に上がっていた。実は筆者がアクスを知ったのも、以前稼働していた『グレート魔法大作戦』(2000年)の話題をTwitterで目にしたからだ。
ゲームを入れ替えるにあたっては、プレイヤーからの意見を聞きつつ、スタッフが話し合って決定する。稼働させて欲しいゲームがあれば、スタッフにリクエストしてみよう。基板の在庫などにもよるが、ある程度のインカムが見込めれば、お願いしたゲームが翌月稼働しているかもしれない。
前述のバイヨンでも多数のレトロゲームが稼働しているが、こちらは基板の提供に、同じ埼玉県のレトロPC・ゲーム専門店BEEPが協力している。残念ながら、バイヨンで稼働しているからといって、アクスでも稼働可能とは限らないので注意して欲しい。
レトロゲームを稼働させるのは、西邑氏の趣味的な部分もあるのだが、決してそれだけではなく、ビジネス的な理由もある。インカム(売上)は、ゲームが新しく面白ければ高いという訳ではなく、お店の立地や客層、天気や時期でも大きく変わる。
最新ゲームでも条件によってはレトロゲームにインカムで劣ることもある。
また近年のネットワーク前提のゲームはインカムの一部しか店舗の収入にならないのに対して、レトロゲームのインカムはほぼ全てが店舗の物になる。仮にインカムが同じなら、運営管理費がないレトロゲームの方が店舗の利益が大きい。
住宅地に近い地域密着型ゲームセンター、レトロから新しいゲームまで
アクスには筆者も何度も通っているが、常に幅広い年齢層のプレイヤーが、レトロゲームに限らず様々なゲームを楽しんでいる。
近隣は住宅街で複数の学校があるが、地元の生徒は校則で禁止されているため入れず、少し遠くから自転車で通っている中高生が多いようだ。
イベントとしては「闘神祭」、「天下一音ゲ祭」、「戦場の絆大会」などメーカー主催の公式大会予選も積極的に開催している他、店舗独自の大会も頻繁に開催されている。
店舗大会は各ゲームのプレイヤーからのリクエストで開催が決まることが多く、アクスを通じた地元ゲーマーのコミュニティが形成されて、店舗とプレイヤー双方に良い形になっているようだ。最近では2017年12月27日に『太鼓の達人』大会が開催され、大いに盛り上がったそうだ。
アクスは規模こそ小さいものの、店長西邑氏を中心にしたスタッフの、ゲーム及びプレイヤーへの深い愛情で成り立っている、地域密着型のゲームセンターだ。東横線沿線ゲーマーは途中下車して、遠くの方も機会があれば都立大学駅へ足を運んで頂いて、アクスでのゲームプレイを楽しんでほしい。
店舗情報
アミューズメントフィールドAX
住所:東京都目黒区中根1丁目3-11 第三武山ビル
電話:03-5701-2455
営業時間:10時~24時
休み:なし
公式サイト(BLOG)
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※記事中の写真は全て店舗の許可を得て撮影しています。(撮影者:外山雄一)