『ガレッガ』マニア集結! 深谷が濃厚な熱気に包まれた~VGMロボット主催「バトルガレッガ」生配信イベントレポート~

  • 記事タイトル
    『ガレッガ』マニア集結! 深谷が濃厚な熱気に包まれた~VGMロボット主催「バトルガレッガ」生配信イベントレポート~
  • 公開日
    2019年08月01日
  • 記事番号
    1160
  • ライター
    こうべみせ

2019年7月14日、北関東のレトロゲームの聖地「ビデオゲームミュージアム ロボット 深谷店(以下、VGMロボット)」で、レトロゲーム配信3周年記念として『バトルガレッガ(以下、ガレッガ)』(1996年/エイティング)生配信イベントが開催されました。

同店ではこれまでも、定期的に対戦格闘ゲームなどのイベントが開催されてきましたが、いずれも同好の士による企画イベントで、公式イベントとして店舗主催で行うのは初めての試みだったそうです。『ガレッガ』全一プレイヤーのT3-神威(以下、神威 )さん(*01)をゲストに迎えた当日、VGMロボットには多くの『カレッガ』ファンが集いました。

イベントの合間には、「VGMロボット」を運営する株式会社ロボットの篠崎治さん、神威さんのお二人にお話を伺うことができました。両者のお話もあわせて、イベントの模様をレポートしたいと思います。

神威さんが語る『バトルガレッガ』の魅力とは?

▲奥の深いゲーム性で発売から20年を過ぎてなお、個々のファンをつかんで離さない名作

今回の配信タイトル『バトルガレッガ』はライジングが制作し、1996年にエイティングから発売された縦スクロールシューティングゲームです。本作の特徴や攻略法、その魅力について神威さんにお聞きしました。

――まずは本作の特徴を教えてください。

神威 特徴は何といっても、オイルの香りがしてきそうな正統派かつ硬派な世界観、渋めのグラフィックです
Aショット、Bスペシャルウエポン(ボム)、Cオプションの3ボタン構成で、Cボタンはオプションアイテムを取得した時につくフォーメーションを切り替えることができます。このフォーメーションチェンジで様々な展開を作れることが本作の醍醐味のひとつといえます。

▲知識が必要とされる高難易度ゲーム(画像:イベント配信動画より引用)

――難易度の高いゲームとして知られていますが…。

神威 非常に難易度が高く、知識量が求められるゲームなので「初心者お断り」と思われがちですが、スコア稼ぎを意識せず丁寧にプレイすれば、広い層のプレイヤーが楽しめる内容だと思います。

――本作は戦略性の高さでも有名ですが、その攻略のポイントは?

神威 従来のシューティングゲームにも、プレイしていく上で上昇していく難易度(ランクシステム)が見られるものですが、本作では様々な行動によって実に細かくランクが上がるシステムが搭載されています。何も考えずにステージを進めていくとクリアも困難となります。そのため、意図的に自機を潰すことで戦略的にランクを下げて、円滑に進行してくことが求められます。

小ボムアイテムを取得し、それをためていくと、大ボムにすることができます。この大ボムはストックでき、小ボムの際に使用することも可能です。本作ではボムを使用して点数を稼ぐシーンも多く、こうした細かなシステムがプレイヤーの攻略性と想像力をかき立て、根強いマニアやファンを獲得していくことに繋がっていったのだと思います。

――ボス戦も本作の魅力の一つとなっていますよね?

神威 そうですね。特に、私の好きな「ブラックハート」は、シンプルなフォルムのステルス型戦闘機です。その豊かな機動性と有名なワインダー攻撃をはじめとする多彩な攻撃パターンが、プレイヤーを唸らせ、本作においてカリスマ的存在になりました。

▲圧倒的な存在感を示す敵機「ブラックハートMk.Ⅱ」(画像:イベント配信動画より引用)

――最後に本作の魅力を教えてください。

神威 緻密に計算されたゲームシステム、心地よいサウンド、美しいグラフィック、多彩な攻略性、そしてカリスマ的ボス。本作ではこれら秀逸な要素が数多くのプレイヤーと化学反応を起こし、不動の人気を得られるまでになったのだと思います。

BGMサウンドも大好きです。『ガレッガ』の世界観に命を吹き込んだとも云えるBGMは、並木学さん(*02)が担当しています。このスピード感あるサウンドを目当てにプレイする人までいるほどで、私自身もその1人です。

現在、クリアを重視した攻略動画なども多く公開されていたり、上級者の情報発信などもあるので参考にすることもできます。これらは敷居の高さを感じさせない、純粋にシューティングゲームとして楽しめる内容となっていますので、皆さんもぜひご覧になって、実際に遊んでみてください。

悪天候の中、遠方から訪れるファンも!

▲店内の一角に設けられたイベントスペースは立ち見が出る賑わいだった

当日はあいにくの雨模様でしたが、店内の一角に用意されたイベントスペースはすぐに満員となりました。来場者の中には石川県や兵庫県など遠方から足を運んだという人も。『ガレッガ』の根強い人気を改めて認識させられました。

ロボットの篠崎さんによる開会あいさつから始まり、同イベントの主役ともいえる『バトルガレッガ』の全一プレイヤーである神威さんが登場すると、会場の熱気は一気に高まりました。神威さんの軽妙なトークは会場を和やかな雰囲気に包み、その後いよいよデモンストレーションプレイが始まります。

この日の神威さんのプレイはニコニコ動画やYouTubeで生中継され、OTK (*03) さんとANE(*04)さんが実況を担当しました。

ゲストプレイヤー神威さんのデモンストレーションからスタート

▲「今日も目標は2,000万点」と攻めの姿勢を崩さない神威さん

プレイ前にOTKさんから今日の意気込みを尋ねられ、「ずばり2,000万点でクリア!」と攻めの姿勢で挑むことを宣言する神威さん。参加者にも「横にひっついて見学してもらっても問題なし」と大サービス。なんでも海外では、プレイ中本当にそんな状態でプレイをガン見するギャラリーがいて、気にならなくなってしまったそうです。

いよいよプレイスタート。しかしその内容は、波乱の展開を見せることになったのです。
神威さんはいつものようにガイン(*05)を機体に選択。ステージ2の冒頭までは順調に進みます。が、スコア稼ぎの要となる通称「焼き鳥(*06)」でボムを3連射できずゲームをリセットしてしまいました。OTKさんの解説によると、「焼き鳥」では鳥の大群で処理落ちが発生し、ボタンが入力を受け付けなくなる場合があるとのこと。ボム3連射で得点を稼ぐはずが、運悪く処理落ちに遭いボタン入力不可となってしまったため、リセットするしかなかったそうです。

気を取り直して再スタートしましたが、またもステージ2のボス、マッドボールが画面下に降りてこないという想定外のトラブルに見舞われます。スコア稼ぎができず、リセットボタンに手を伸ばした神威さん。OTKさんによると、神威さんの2連続リセットは非常に珍しいとのこと。かなりレアな状況が発生してしまった、ということでしょう。

▲想定外のトラブルやミスに悩まされる

さらに3度目のチャレンジでも、ステージ3で痛恨のミスによりリセットされてしまいます。
「想定外にコケてしまうことが多く、後半戦でハラハラさせたかったのに、前半戦でハラハラさせてしまい申し訳ないです。リスタートするたびの拍手が痛いです(笑)」とコメントしつつ4度目のチャレンジ。しかし、ステージ4でのミスから本日4度目のリセットをすることに…。

5度目のチャレンジではさすがに本気モードで、ステージ3のボス、アースクライシス戦のスコア稼ぎタイム(*07)ではOTKさんにコメントを求められますが、無言のプレイ。後半戦に入り、2,000万点超えがほぼ確実となると、会場の熱気は一気に高まります。最終ステージの中ボス「ブラックハートMk.Ⅱ」で、スコア稼ぎをするためにゲームランクを上げていく神威さん。ランク上昇とともに敵の攻撃はすさまじさを増していきますが、それをものともせず着実にスコアを重ねていく姿は、さすが全一プレイヤーといったところでしょう。

安堵も束の間、この日はアンラッキーが重なります。オールクリアを目前にして、ラスボス「グロウスクイード」戦で痛恨のミス。ゲームオーバーとなってしまいました。最終スコアは1,920万8,690。逆境の中、見ごたえのあるプレイに拍手が巻き起こりました

「立ち上がりのプレイはミスも重なってリスタートを繰り返してしまいましたが、最後は集中してプレイすることができました。オールクリアには失敗しましたが、自分の中では苦手なシーンなど要所要所でキッチリと決めることができましたし、ゲーム中でもっとも難しいステージ6も納得できるプレイができたので満足しています。普段のプレイならこんなにミスはしないのですが、ライブでは何が起こるか分かりませんね」(神威さん)

▲当日配信された映像。7時間にも及ぶプレイは見ごたえ十分(VGMロボット深谷店 公式チャンネルより)

こうべみせ

脚注

脚注
01 T3-神威 : スコア集計をしていた『ゲーメスト』『アルカディア』などで、全一(全国一位)スコアを残した伝説のシューター。メイン機体はガイン。最高スコアは2014年に達成の2083万点。(アルカディアに掲載された最終スコアは2012年に達成された2081万点。
02 並木学 : ゲーム音楽作曲家。『バトルガレッガ』では「さんたるる」名義で参加。ライジング(現:エイティング)、ベイシスケイプ、M2などを経て、現在はグリッドに所属。
03 OTK:神威さんと古くから親交を深めており、彼女のアドバイスのもと4号機で1589万というハイスコアを出すまでになる。『ガレッガ』における知識はかなり豊富で神威さんのプレイ内容を事細かに解説できる数少ないシューター。
04 ANE:PS4版バトルガレッガのフィールドテストがきっかけで神威さんと知り合う。現在同ゲームのオールクリアを目指して4号機で特訓中。2019年7月時点で神威さんのガインを一番近くで見てきたということもあり、プレイ内容だけでなく彼女の仕草や癖まで見抜いてしまうほど。
05 ガイン : コマンド入力で選択可能になる隠し機体の一つ。『ガレッガ』を制作したライジングの処女作『魔法大作戦』(1993年)に登場するキャラクターでもある。
06 焼き鳥 : ステージ2に、スペシャルウエポン(ボム)を撃ち込むと鳥の大群が飛び立つ箇所がある。飛び立った鳥を攻撃することで大量得点できるため、スコア稼ぎの重要なポイントとなっている。あたかも「鳥を焼く」ように見えることからこの呼び名がついた。
07 「アースクライシス」戦のスコア稼ぎタイム : ボスが弱点を現さないギリギリまで砲台を潰すとともに、安全地帯となる位置に自機を合わせて、その後、時間切れでボスが逃げる寸前まで本体に攻撃を当てスコアを稼ぐ。その間はショットボタンを押すだけでよく、プレイに余裕が生まれる。

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