『平安京エイリアン』の復刻とリメイクを手掛けた市川幹人氏に聞く 前編

  • 記事タイトル
    『平安京エイリアン』の復刻とリメイクを手掛けた市川幹人氏に聞く 前編
  • 公開日
    2018年03月05日
  • 記事番号
    261
  • ライター
    IGCCメディア編集部

縁がつながり復刻の道へ

市川 リメイクを控えて、開発当時の『平安京エイリアン』を久しぶりに遊んでみました。正直(オリジナルは)もう今(現代)の時間やゲーム感覚だと”遅すぎ”なんですよね

『平安京エイリアン』が開発された当時は、テレビの中の物体を自分の意思で操作できるだけで感激してくれる人がたくさんいた時代ですから、逆に僕がリメイクした今の『平安京エイリアン』を当時の人が遊んだら、テンポについていけずに意味が分からないでしょうね。それはやはり、30数年という月日が流れて、みんなのものの感じ方が変わったということですよね。

編集部 やはり、そのままの移植では問題も多かったということですか?

市川 今の時代は、みんなゲームをだらだらやらないというか、スパッと始めてスパッと終わって、かつ高揚感がめちゃくちゃあるゲームを作らないと遊んでもらえないなと思います。昔のゲームを復刻する際に、絵と音を増やして豪華にするということはみんなやっているので、それではつまらないなと。

せっかく名作を復刻させるなら、当時の『平安京エイリアン』みたいに何か新しい一歩を踏み出すようなことをやりたかったので、今の時代に合うようにゲームを時間制にするなどルールも刷新しました。クラブに出入りするような人が見ても「お、カッコいいじゃん」って言ってもらえるような見た目の良さにもこだわり、劇的なアレンジとなりました。

大堀 オリジナルもアレンジバージョンも両方遊ばせてもらいましたけど、あのスピード感はすごい

リメイク版『平安京エイリアン3671』の公式動画。抜群のスピード感とカラフルなグラフィックで進化を遂げた

市川 ありがとうございます。

大堀 実際は脳内補完がされていて、当時、もっとスピード感があったゲームだと思っていたのが、オリジナルをやってみると、確かに遅いんですよね(笑)。

市川 今、何も知らない人があれ(オリジナル)をプレイしたら、絶対に面白いと思えないでしょうね。それぐらいテンポの違いにインパクトがありましたね。

当時は画期的であった協力プレイ

編集部 オリジナルの要素では、どんなところが受け入れられると思いますか?

大堀 さっきも話が出たけど、当時は協力プレイができるっていうことに本当に驚きました。だいたいそれまでのゲームの2人プレイって、交代して遊びましょうというもので、1人がやられたら次の人がプレイして、その間に待っている人は喫茶タイムみたいなプレイ方法しかなかったじゃないですか。

市川 そうなんですよね。

大堀 『平安京エイリアン』は2人同時にプレイできるんで、「お前何やっているんだよ~」と言いながら友達と一緒に楽しめるのがよかったです。ゲームの可能性が広がったなと思いましたね。

市川 あと当時は、 「スペースなんちゃら」「ギャラクシーなんちゃら」みたいに、宇宙からきたやつを撃ちまくってやっつけるゲームが多かったんですけど、『平安京エイリアン』は穴を掘って敵がそこに落ちたら埋めるという間接的な攻撃で、当時としては画期的なゲームでした

大堀 このゲームアイデアの発展系としては、『平安京エイリアン』に影響を受けてユニバーサルの『スペースパニック』(1980年)が誕生し、その後『ロードランナー』(1983年)へと派生していきますよね。

市川 『スペースパニック』を見て思いついたから、『ロードランナー』は2人協力プレイがなかったんですね。

編集部 それと同じように『BUG FIRE!』の作者も『平安京エイリアン』の影響を受けたということですね。

市川 そうですね。本当に当時の『I/O』の掲載誌に「『平安京エイリアン』を超えるゲームを作る」って書いてありますからね。すべてのクリエイターがめちゃくちゃやる気のある、パワフルな時代でしたよね

※敬称略

LICENSED FROM HYPERWARE / Ⓒ Mindware

市川 幹人 氏

1971年東京都生まれ。有限会社マインドウェア代表取締役。1987年、マインドウェアの前身となるMNM Softwareを高校生にして設立し、X68000用『Star Wars -Attack On The Death Star-』を1991年に、メガドライブ用『スラップファイトMD』を1993年に発表。以来、数多くの作品を手掛ける。現在は往年のPCゲームを復刻させる「VIDEO GAME CLASSICS」シリーズなどを展開中。

『平安京エイリアン』

1979年に東京大学理論科学グループが開発した人気名作ゲーム。当初はマイコン用ゲームとして登場し、1980年1月には電気音響からアーケードゲームとして発売される。プレイヤーは検非違使を操り、平安京に侵入したエイリアンを、穴を掘り、落とし、埋めるというルールと、同時プレイが可能という画期的なゲームデザインが話題となった。

ゲーム情報

タイトル : 平安京エイリアン for Windows
対応OS : Windows 7以降
ジャンル : オフェンス/ディフェンスアクション
価格      : ダウンロード版 1,480円/パッケージ版 5,000円
著作権  : LICENSED FROM HYPERWARE / ⒸMindware
公式サイト

IGCCメディア編集部

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