ゲームセンター聖地巡礼 「1980年代 東武東上線 東武練馬」

  • 記事タイトル
    ゲームセンター聖地巡礼 「1980年代 東武東上線 東武練馬」
  • 公開日
    2018年10月04日
  • 記事番号
    589
  • ライター
    忍者増田

スキャンダラスな『パックマン』の亜流ゲーム

▲今は「水晶楼」という中華料理店になっている場所に、通称「インベーダーの館」があった

――インベーダーゲームといえば、西谷さんが以前通っていたという「インベーダーの館(店名不明)」があった場所は、中華屋さんになっていました。

西谷 この店の名前は覚えていないんですが、初期のころはまさにインベーダーゲームばかりが並んでいました。

のちにいろんなゲームが入荷して、『パックマン』(1980年/ナムコ)のコピーゲームである『ポパイマン』(1981年/NITTOH)とか『スキャンダルマン』(1981年/カミヤ) とか、いろいろやってましたね。

『パックマン』はモンスターを食べ続けると、200→400→800→1,600って点が増えていくじゃないですか。『スキャンダルマン』は、その点数が『パックマン』に比べて高かったんですよ

大堀 4匹目が8,000点じゃなかったですか? 200→400→800→8,000ですね。

西谷 でしたっけ。あれがね、すごいうれしかったんですよ。

大堀 しかも、『パックマン』のドットが1個10点なのに、『スキャンダルマン』のドットはハートの形をしてて1個20点だしね。占いもあるんだよね。コーヒーブレイク時にフルーツターゲットが出てきて、インストラクションカードと照らし合わせて占う。

西谷 あー、そうでしたそうでした!(笑)

大堀 セックス運とかあるんですよね。

西谷 それは覚えてないです(笑)。そんなのありました?

大堀 ありましたよぉ~(笑)。

――調べたところ、愛情運、セックス運、金銭運、適職運、結婚運の5種類が占えたようです。『スキャンダルマン』の名はダテじゃないですね

基準点を超えると申告して再プレイ
『クレイジー・クライマー』の裏技プレイで店員に怒られる?

▲「2階ゲーセン」のあった階段から降りてくる大堀所長

――取材メモにあった「2階ゲーセン(店名不明)」について教えてください。

西谷 ある建物の2階にあったゲーセンで、ここも名前は覚えてないです。ゲームごとに基準点が設定されていて、それを超えた場合は申告するともう1回プレイできるのがうれしかった。

店が勝手に設定している点数なんで、ゲームによって甘いやつがあるんですよ(笑)。『スクランブル』(1981年/コナミ)や『ターピン』(1981年/コナミ)は点数設定が甘かったんで、よくやっていました。

――設定点数を超えたら店員さんを呼んで、画面を見せるとクレジットを入れてくれる…と?

西谷 細かく覚えていないんですけど、そんな感じだったと思うんですよねー。

――当時、そういうシステムのゲーセンってほかにもあったんでしょうか?

西谷竹中 ありましたね。

――私のような田舎育ちだと、そういう気の利いたゲーセンってお目にかかったことがなかったんですけど、全国的にはそんなにレアではなかったのですね。

竹中 前述の「UFO303」のような、お金をコインに交換してプレイするというシステムは珍しかったですけどね。

▲3人が立っている建物の場所に「細長いゲーセン」があったようだ

――もう一つ、ここも名前は不明ですが、取材メモにある「細長いゲーセン」とは…?

西谷 スペースが縦に細長いゲーセンでした。真ん中が通路になっていて、両側に20~30台ぐらいゲームが置いてあったかなあ。ここでは『クレイジー・クライマー』(1980年/日本物産)を、クレジット増やし技でよくプレイしていました(笑)。

――ネーム登録のときに「JORDAN.LTD」と入力すると2クレジット増えるという、有名なアレですね。

西谷 あるときそれがバレて店員に怒られたんですけど、今思うと理不尽な気がしないでもないですね。「それって仕様じゃねーの?」みたいな(笑)。あ、今思い出した。『ルージュアン』(1982年/サンリツ電気)もプレイしていましたね。

▲この場所にプレハブみたいなゲーセンがあったと語る西谷氏。ここで同級生に「ゲームうまいね!」と言われ、ゲームを極めようと決心した思い出の地とのこと

驚異の原価無視メニュー!
中華屋「たけいし」は、当時と値段が変わらず?

▲西谷氏が学生時代に通っていた中華屋「たけいし」

――そして最後に、東武練馬のお食事事情。西谷さんが当時行っていた中華屋「たけいし」ですが、今回の訪問でまだ営業していることが判明しましたね。

西谷 いやあ、まだあったんですねぇ。うろ覚えですが、当時、餃子定食が250円だったような気がします。お金があるときに食べました。中華丼は380円で、こちらは“超”お金があるときに食べました。

――入ってみたら、餃子定食はなかったですが、中華丼が380円でビンゴでした。

西谷 もしやメニュー全部、あの頃から値段が変わってないのかなあ…。

――ラーメンが280円というのも衝撃でしたね。

西谷 大丈夫なのか、というね(笑)。

――300円を切るラーメンは久しぶりに見ました。思わず私はラーメンを注文してしまいました。

大堀 280円のラーメンの味はどうでしたか?(笑)

――いやあ、コスパ高いですね。たまに食べたくなるスタンダードな醤油ラーメンの味です。近くにこの店があったら、しょっちゅう来ていると思います(笑)。

▲久しぶりに「たけいし」に入り、当時の味を懐かしむ西谷氏。もちろん、竹中氏と大堀所長も一緒

【次回予告】

次回の「聖地巡礼」東武東上線編は、「大山・池袋」をお送りします。大山にあった伝説の10円ゲーセン「平安」の話も必読ですが、池袋にあった日本最大のゲーセン「ザ・ゴリラ」と、怖すぎるゲーセン「21世紀」の話も仰天必至。乞うご期待! 次週公開予定。

西谷 亮 氏

1967年生まれ。1986年カプコンに入社。業務用ビデオゲームソフトの企画職として、『ストリートファイターⅡ』、『ストリートファイターⅡ’(ダッシュ)』の開発に携わる。カプコン在籍時には『ロストワールド』『ファイナルファイト』『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』などの企画も担当。1995年にカプコンを退社し、同年にアリカを設立、代表取締役社長に就任。代表作は『ストリートファイターEX』シリーズ、『EVER BLUE』シリーズなど。

竹中 善則 氏

1967年生まれ。1986年カプコンに入社。その後、かつてのゲーム仲間である西谷氏をカプコン入社に導いた。カプコン在籍時は『ロックマン』や『ブレスオブファイア』シリーズのプロデュースを担当。2004年カプコンを退社してゲームリパブリックに入社、『ブレイブ ストーリー 新たなる旅人』などを担当する。2010年スリーリングスを設立、代表取締役に就任。

忍者増田

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