“「怪異かな?」と思ったらお電話を!”不思議な怪異や都市伝説のお悩みに答える怪異判定アドベンチャー『奇天烈相談ダイヤル』

  • 記事タイトル
    “「怪異かな?」と思ったらお電話を!”不思議な怪異や都市伝説のお悩みに答える怪異判定アドベンチャー『奇天烈相談ダイヤル』
  • 公開日
    2024年06月21日
  • 記事番号
    11464
  • ライター
    山村智美

いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ

『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。

今回ピックアップした1本は、こちら。

『奇天烈相談ダイヤル』!

   

タイトル:『奇天烈相談ダイヤル』
開発:法螺会
パブリッシャー:法螺会
リリース日: 2024年2月10日
価格:無料
配信プラットフォーム:PC

【Steam】
https://store.steampowered.com/app/2901310/_/

【BOOTH】
https://horakai.booth.pm/items/5487153

【ノベルゲームコレクション】
https://novelgame.jp/games/show/9375

【PLiCy】
https://plicy.net/GamePlay/173809

【夢現】
https://freegame-mugen.jp/adventure/game_11973.html
   

トイレの花子さん……って知ってる?

学校のトイレの入口から3つ目の個室のドアを、

とんとんと3回ノックする。

そうして「花子さん、こんにちは」と呼びかけると、

誰もいないはずの個室から花子さんが返事をしてくるんだ。

そして、「一緒に遊ぼう、何して遊ぶ?」って聞かれるんだけど……。

それに答えると……。

……

……

……こんな感じの、いわゆる“学校であった怖い話系”の逸話や怪談、誰もがひとつは耳にしたことがあるのではないでしょうか?

最も有名なものだと、やはり「こっくりさん」が。

1980年~90年頃だと「口裂け女」や「人面犬」が、ちょっとした社会現象的に有名になったりもしました。

ネット全盛の世の中になっても広まる逸話はあるもので、2010年あたりからは「ひとりかくれんぼ」や「きさらぎ駅」あたりが知られているそうですよ。

「学校のどこかに夜中の何時何分何秒にいって〇〇すると……」的な、好奇心と恐怖心をくすぐってくる怖い話はいつの時代でもありますよね。

……でも、いざ本当にそういう怪異と遭遇してしまったり、何か自分の身におかしなことが起きるようになってしまったときには、どうしたらいいのでしょう?

そんなときは、

『奇天烈お悩み相談室』

に電話しましょう!

この『奇天烈相談ダイヤル』は、プレイヤーが怪異や都市伝説に悩まされている人からの電話相談を受け付けるサービス「奇天烈お悩み相談室」の相談員となって、電話相手の話が本当に怪異か判定するという、ちょっと変わったアドベンチャーなんですよ。

本作の時代は1994年の日本。

プレイヤーは都内に設立された無料電話サービス「奇天烈お悩み相談室」の新人相談員ミサコとなって1週間、働いていきます。

いわゆるテレフォンアポインター的な業務で、マニュアルと怪異の資料を片手に、相談室にかかってきた電話相談に答えていきます。

ちなみにこの世界ではテレビ電話が実際の1994年よりもはるかに一般的なようで、電話相談は基本的にテレビ電話で相手の姿を見ながら話せます。

電話をかけてくる人は、当然ながら何かしらの怪異や都市伝説に悩まされています。

プレイヤーはまず冷静に、相手のお名前や年齢、どんな怪異についての相談か、名前がわかるなら怪異の名前を聞いて、その話の情報で資料から怪異を特定していきます。

ポイントになるのは、“本物の怪異か判定すること”。

電話相談の話が必ずしも本当の怪異とは限らず、例えば何か勘違いしていたり、誰かのいたずらだったり、ただの変質者だったりする可能性もあるわけです。

例えば、

相談してきた女の子が先日、外で突然誰かから「赤い洋服あげようか」と声をかけられたそうです。黙ってすぐさま立ち去ったので何事もなかったということで、あれが怪異だったか気になり電話してきたとか。

これは「赤い洋服・青い洋服」という怪異に非常に特徴が似ています。

「赤い洋服あげようか」または「青い洋服あげようか」と声をかけてきて、赤い洋服をもらうと言うと大量の血を浴びせかけられ、青い洋服をもらうと言うと全身を殴ってきて青あざだらけにするというもの。

ですが、この「赤い洋服・青い洋服」という怪異は“学校のトイレの個室にいるとき”に出没する怪異ということで、道端で遭遇するものではありません。一致しない点があるため“怪異ではない”と判定するのが正しいというわけなんですね。

よかったですね、怪異じゃないですよ!

……まぁ、道端でやばい人に遭遇したという事実には変わりないので、あんまり良くもないのですが、まぁそれはそれ。そちらは警察にどうぞというわけで。

ちなみに、電話をしてくる人は子どもも大人も様々。中には姿が見えず怪しげな様子の人も……。どう対処するか、相談員の腕の見せどころです。

このように電話をかけてきた人の話を聞いて特徴と照らし合わせをしていると、自然と怪異の資料を読んでいくことになるので、

「こんな怪異がいるのか!」とか「あー子どもの頃にこんな都市伝説のこと聞いたことある気がする!」となってくるのが本作のおもしろいところ。

怪異のひとつ「ソウシナハノコ」などは、逆から読むと「この話ウソ」になるというものですが、こんな悪ふざけ的な話を小学生の頃に誰かにされたりしたりした記憶がある人は結構いるんじゃないですかね。

そういう普段はあまり思い出すことのない懐かしい記憶を思い出すきっかけになるのは本作ならではです。

収録されている怪異や都市伝説は全部で100体(アップデートで20体追加されている)。有名どころから地域に根ざしたものまで様々です。

グラフィックスは画像をご覧のとおり、携帯ゲーム機の元祖的存在なゲームボーイ風。サウンドも同様にGB音源風が基本でアドベンチャーゲームらしい良い味わい曲になっています。

ストーリーにおいても、主人公が働く「奇天烈お悩み相談室」には窓口役でおしゃべり好きなおばちゃんの「ノブ子さん」や、先輩相談員の「オーモリくん」がいて、彼らとの会話が展開されていきます。

プレイをやりこむことで彼らとの味のあるストーリーが解放されるので、そちらも次第に気になっていくはず。

怪異や都市伝説に主人公として遭遇したり襲われたりするのではなく、電話でお悩みを判定する側になるという非常にユニークなアイデアが光るアドベンチャーゲーム『奇天烈相談ダイヤル』。

ゲームシステム的には入国希望者の書類審査を行う有名ゲーム『Papers, Please』から着想を得ていると公式に記載しているとおりですが、キャラクターをはじめとしたグラフィックスのテイストや、日本で実際に知られる怪異や都市伝説をメインにしたところはオリジナルな魅力となっています。

こうした和風ホラーに必要な適度な湿度感がしっかり出ているのも良いところ。一方でコミカルさも併せ持っている良いバランスです。

ゲームとして非常によくできていてオススメ度の高い本作ですが、何と無料です。

DLCとして、一度も出てきていない未回収の怪異の相談のみが登場するようになる『HEARD未回収怪異のみ』が470円で発売されていますが、そちらもあくまで効率よくコンプリートしたい人向けのDLCであってプレイに必須というわけではないです。無料で全編しっかり遊べてしまいます。

DLCは無料バージョンをプレイしておもしろいと思ったら、やりこみがてら開発者さんへのお礼の気持ちで購入するのが良いですね。

というわけで、遊ばないなんてもったいないとしか言いようのない本作。日本の怪異や都市伝説にあらためて触れてみたり、ツッコミを入れたりしつつ楽しんでいけます。オススメです。

……

……

……もし、あなたがおかしな現象や恐ろしい怪異に襲われてしまったときに、冷静に対処できるように、本作で知識を磨いておくのも、いいかもしれませんね……。

© HORAKAI, Inc.

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