兵器な少女が舞うKawaii系アフ◯ーバーナー!? 往年の名作を彷彿とさせる擬似3Dシューティング 『ミラージュフェザーズ』
いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ
『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。
今回ピックアップした1本は、こちら。
『ミラージュフェザーズ』!
タイトル:『ミラージュフェザーズ』
開発: oyasumi Workshop
パブリッシャー: oyasumi Workshop
リリース日: 2024年9月7日
価格:600円
配信プラットフォーム:PC(Steam)
【Steam】
https://store.steampowered.com/app/2719060/__Mirage_Feathers/
ピピピッ! ピピピッ! ……バシューンバシューン! ドドドドドドッ!
ハイスピードに空を駆け、敵の攻撃をかいくぐりつつ限界まで敵機をマルチロックオンして、最大まで溜まってからミサイル発射!
複雑な軌道を描きながら飛んでいったミサイルが、敵機を一斉に爆発させていく。
ロマンですよねー。
高速戦闘機で空を舞い、次々に敵機をロックオンして落としていく楽しさの元祖的な存在といえば、往年の名作『アフターバーナー』を思い浮かべる人もいると思いますが、
この2024年に『アフターバーナー』の影響を強く受けたドット絵3Dシューティングのインディーゲームが登場したんですよ。
自機……というか主人公は、超強力なメカ少女!
飛び交う攻撃をかわしつつ敵機を撃破する気持ちよさ、
スピード感、爽快感、それを高めるサウンドもばっちり!
それが、本作『ミラージュフェザーズ』です。
前方へハイスピードに飛んでいく中、上下左右斜めへと自由に動いて敵の攻撃を回避しつつ、マルチロックオンミサイルなどの派手な武器を駆使して撃破していく。
まさにメカ少女版『アフターバーナー』と言える疑似3Dのレールシューティングです。
基本の移動のほかに、
切り替え式のメインウエポンが4種類、弾数無限で撃てるサブウエポンのチェーンガン、回避行動のドッジ、強化状態になって敵を殲滅するオーバードライブがあり、
特に、敵を自機の正面に捉えてロックオンして攻撃するメインウェポンを使いこなすところがポイント。敵機が撃ってくる前に出現して即撃破する、いわゆる“やられる前にやる”ことでダメージを受ける機会を減らすことが重要になります。
4種類のメインウェポンは、ストーリーモードではゲームの進行に応じて装備が解禁されていく方式。
使い分けのポイントになるのが、メインウェポンは撃つごとにゲージを消費するもののウェポンごとにゲージの消費量や回復量が異なるというところ。
初期装備のロックオンミサイルは“ゲージがあまり消費されずむしろ敵機撃破で回復していく”ので、他3種類の“ゲージ消費が多いが強力なウェポン”と使い分けて、ゲージ消費と回復のバランスを取っていくのが攻略のポイント。
爽快感重視なシューティングにゲージ管理の戦略性がミックスされているというわけなんですよ。
ステージのシチュエーションは廃墟と化したビル群、海や砂漠、山脈、氷の大地、オーロラのはためく夜などなど豊富。
ステージによっては上空から真下へと下降するようなシーンや、地上兵器を殲滅するなどちょっと視点を変えた構成の場面もあってアクセントをつけています。
ボス敵も、人型の兵器もいれば、お約束とも言える複数箇所を破壊する必要がある巨大戦艦などもいて、こちらも豊富。
さらに、本作でもっとも驚かされたのはBGM。基本的にハイスピードバトルに合うロックテイストな楽曲となっていますが、その数がかなり多いですしクオリティも非常に高いです。
スタッフロールを見ると、開発スタッフは少人数ですが楽曲提供のアーティストさんはかなり多いようで、プレイしているときには「600円のゲームにこんなにいろんな曲を収録して大丈夫なの?」と思ったほど。プレイ中のテンションを高めてくれる意味でも、本作のサウンド周りは非常に優れています。
こうした3Dシューティングだとどうしても“敵の弾が見えなくて反応できない”というところがあって、本作でも“慣れ”は必要になるのですが、PCのスペックさえあれば、今どきのPCゲームならではの“高解像度と高フレームレート”でプレイできるのが魅力。
特にフレームレートを無制限に設定して120以上まで出していれば、動きの滑らかさだけでなく、弾を見てから反応するのもわずかにですがやりやすくなります。
ストーリーモードのストーリーはというと、
本作の主人公は“人工の生命兵器フェザー”である「ノタリ」という少女。ある事件から親友のミロイタと離ればなれになってしまい、AIのルシオラと共にミロイタを探すため連合軍との戦いを繰り広げていく……というものが本作のストーリーになります。
シューティングのステージ間にストーリーパートが展開されるという方式。
ただ、ストーリーの見せ方については、物語そのものは王道感のあるものですが、シューティングゲームの幕間としては冗長さを感じたのが正直なところ。
キャラクターデザイン等も含めて美少女もののアドベンチャーゲームやノベルゲームのような方向性にしたかったのかなと感じられるものがありますが、シューティングパートとのボリュームバランスはちょっとあっていないかなと思えます。
また、文章中の表現や世界観・ネーミングなどのいわゆるセンスに関わるところも、日本のゲームファンにはあまり合わないところがあるかもしれません。
もう少しブラッシュアップして、不必要な表現や、同じ内容を繰り返し話してしまっている箇所などをカットしてコンパクトにできていたら、本作の評価はより高まったのではと感じます。
ストーリークリア後には「エンドレスモード」が解放されるのですが、こちらはいわゆるただの無制限フリープレイではなく、このモードだけのシステムが追加されているのがポイント。
エンドレスモードでは一定ステージクリアごとにランダムに3種類のパワーアップが出現。そのうち1つを選んでいくというローグライクなシステムが追加されています。
ステージクリアごとに敵機の出現する量が増え、敵機からのダメージもアップしていきますが、パワーアップにはウェポンの威力を高めたり回復量をアップしたり、さらには自機の当たり判定を小さくするなど特殊なものも。効果が高いレアパワーアップもあってバリエーションももたせています。
ストーリーモードと比較するとプレイのテンポもよく、ローグライクなパワーアップ要素は相性良し。何ならこのモードをベースにキャラクターのカットインやセリフを入れてストーリーをノンストップに展開してくれていたら……と想像してしまうところすらあります。
この「エンドレスモード」は本作を購入したらぜひプレイしてみてもらいたいですね。
『アフターバーナー』の影響を強く受けたドット絵3Dシューティング。シューティングのプレイ感もサウンドも非常にクオリティが高く、600円にこれだけのバリエーションを詰め込んでいることに驚かされます。
『ミラージュフェザーズ』は、PC(Steam)にて600円(9月21日まで540円)で配信中。無料デモ版も配信されているので、ドット絵3Dシューティングをよく知る人も、触れたことがない人も、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
© oyasumi製作所