ゲーム・エンタメの最新の話題を伝えるぞ!
山村智美の『未来ゲーム Travelers』

  • 記事タイトル
    ゲーム・エンタメの最新の話題を伝えるぞ!
    山村智美の『未来ゲーム Travelers』
  • 公開日
    2024年10月04日
  • 記事番号
    11874
  • ライター
    山村智美

ゲームやエンタメの最新の話題を伝える月刊連載コラム『未来ゲーム Travelers』です。

今年も東京ゲームショウが開催されました。

古来より、ゲーム業界で働く人は「東京ゲームショウが終われば1年はもう終わったも同然」と言ったり言わなかったりするのですが、

今年は開催日が9月の最終週だったこと、そしてTGSの週から急に気温が下がって秋めいてきたことから、今年も残りが少なくなってきた感がより強まっていましたね。

今年のTGSがどんな様相だったのかくわしくは本文に書いていくのですが、例年に増して“変化”が感じられるものになっていました。いろいろと考えさせられるところもありましたので、そちらぜひお読みください。

それでは、まずは今月の曲~。

猛暑から10月になって急に寒くなって突然に秋めいてきましたね。この季節はやはりこの曲が似合います。きのこ帝国「金木犀の夜」。何だか秋が短そうな予感もありますが、シーズンを楽しんでいきましょう~。

今年の東京ゲームショウ2024は、海外出展・海外来場者が増えてビジネスデイの来場者が大幅増加。日本にアジア・中東がミックスされた“ネオアジア”なゲームショーへ変化していく兆しが感じられる年に

今年も9月26日・27日がビジネスデイ、28日・29日が一般日の4日間にかけて、幕張メッセにて東京ゲームショウが開催されました。

出展社数は985社、出展小間数も3,252小間といずれも過去最大。

4日間の来場者数は以下のようになりました。

ビジネスデイ
9月26日:4万2031人(昨年は3万3706人で約1万人増加)
9月27日:4万5149人(昨年は3万6109人で約1万人増加)

一般公開日
9月28日:9万7786人(昨年は9万6033人で約1700人増加)
9月29日:8万9773人(昨年は7万7390人で約1万2千人増加)

総来場者数:274,739人(2023年は243,238人、2022年は138,192人)

ビジネスデイの増加が約2万人と非常に多く、一般公開日は初日は前年とほぼ横ばい、最終日は約1万2千人増という数になっています。一般日については入場チケットも事前に完売していましたので、もう幕張メッセのキャパシティほぼいっぱいと捉えていいのではないでしょうか。

ボクはビジネスデイと一般日それぞれ1日ずつ行って、来場者数や雰囲気、様子を見てきたのですが、今年はなかなかに例年とは違いが目に見えて出ている年になっているなと感じました。

まず、来場者数の多さについて、日本人の来場者ももちろん多いですが、それ以上に海外の来場者の多さ、存在感の強さを感じました。周囲から聞こえてくる言語もこれまでにないほど日本語以外の声が多かったんですよね。

それもそのはず、

出展していた985社のうち、日本国外からの出展は43カ国からの535社と過去最多で、全体の半数以上が海外出展となっていました。出展にまつわる海外の来場者も当然増えているというわけです。

また、取材や純粋な来場者においても、かつて最大のショーケースイベントであったE3がなくなってほぼオンライン紹介のみになった中、ホールイベントで開催している東京ゲームショウがその代わりになってきたという側面もあると思われます。日本なら円安なので渡航費を出しやすいというところもありますよね。

そうした事情もあってか、海外出展や海外からの来場者が多く、特に距離的な近さからアジア地域の多さが際立っています。

主に中国、韓国、台湾の存在が大きいですが、マレーシアなどの東南アジア、さらにサウジアラビアやUAEなどの中東まで、アジア全体と中東からの影響が少しずつTGSに広がっているという構図です。

カプコン代表取締役社長でもある辻本春弘CESA会長は開会式にて、「ゲーム産業はアジアを中心にグローバルな広がりを見せている」と語られましたが、まさにそれがそのまま肌で感じられるものがありました。
日本にアジアがミックスされたいわゆる“ネオアジア”なゲーム・エンタメ圏が、東京ゲームショウという場所で可視化されていた、と感じました。

日本の少子高齢化と同時にグローバル化も進んでいくと、TGSがこうしたネオアジアな様相に移り変わっていくというのは、必然というか自然なことなのかもしれません。

今後も、年を重ねるごとにその傾向は強まっていくのではないでしょうか。

さてさて、肝心のゲームや会場の模様ですが、今年の注目といえばやはり『モンスターハンターワイルズ』。

カプコンブースとSIEブース合わせて150台以上の試遊台がズラリと並んでいる様子はまさに圧巻。ですが、それでも試遊の整理券は当然のようにあっという間に配布終了となっていました。

『モンハン』シリーズ最新作の試遊がTGSの目玉になるようになってからもうかなり長いですが、人気は健在どころか、海外ファンの注目度も上がったこともあり人気がさらに高まっていますね。

『ストリートファイター6』も人気。会場では各所のブースにプロ格闘ゲーマーが出演しているイベントが多くあったので、そのファンの人も多く詰めかけていた模様でした。

ソニーインタラクティブエンタテインメントのブースでは、各大型タイトルのほか、発表されたばかりの「PS5 Pro」、そして初代プレイステーション発売より30周年を迎えることを記念した「PlayStation 30周年アニバーサリー コレクション」を展示。

PS5 Proは約12万円ということで発表後にはなかなかの議論を呼んだわけですが、30周年記念のPlayStation 30周年アニバーサリー コレクションは、初代PS風のオリジナルデザインにコントローラーなど周辺機器もセットで、お値段は168,980円(税込)。

さすがに高いなーと思いますが、全世界で12,300台限定での販売ですし、購入希望は非常に多いのではと思います。なお日本での販売はPlayStation.com上にあるフォームからソニーアカウントを連携させた予約で応募を受付、応募多数の場合は抽選となるとのこと。9月30日より受付が行われています。

セガ・アトラスでは、『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』と、TGS直前に発表された意外なタイトル『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』、アトラス側では発売間近の『メタファー:リファンタジオ』を出展。試遊もさることながら、巨大なオブジェクトの飾りも多くテーマパーク感のあるブースに。

『メタファー:リファンタジオ』では、ステージイベントでゲーム内楽曲の歌唱を務める住職・本良敬典氏の鬼気迫る熱唱を披露。本物の住職によるパフォーマンスというインパクトもさることながら、その迫力と声量は来場者を圧倒していた。

KONAMIブースも趣向を凝らしていて存在感抜群でした。『SILENT HILL 2』ブースでは、バブルヘッドナースがボロボロの観光案内冊子を手渡ししてくれるのですが、その完成度、異様さはかなりのもの。ちなみにこの観光案内があると10月15日まで期間限定で公開されているWebの探索型謎解きアドベンチャー『Red Reaper ~死者からの犯行声明~』をプレイできる。ちなみに観光案内の画像でも良いとのこと。

『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』ブースでは、『MGS3』といえばのジャングルをブース内に再現。コラボレーションしているカロリーメイトをスネークやエヴァがくれるビジュアルや、吊り橋にぶら下がっているトリックアート的な写真を撮れるフォトスポットなど、『MGS3』の世界を体験型で楽しめるようなブースとなっていた。

スクウェア・エニックスのブースでは発売間近なRPGタイトルを大きくアピール。2024年11月14日発売予定の『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』ブースでは“あの頃の”『カンダタ』との記念撮影や勇者ロトが使っていたとされる伝説の装備『ロトの剣』『ロトの盾』『ロトのよろい』を展示。

2024年10月24日発売予定の『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』ブースでは、来場者が歴代皇帝になれる『皇帝の玉座』のフォトスポットを設置。

海外出展の中でもひときわ異質だったのは『Qiddiya Gaming』。

サウジアラビアが国をあげて進めているエンタテインメント都市構想を進める企業のブースですが、ブースに入るときにチケットをもらえて、そのチケットでバーで飲み物をもらったり、クレーンゲームをプレイできたりと、他のブースとはだいぶ異なる趣向になっていました。

ビジネスデイでは、白い足元まであるサウジアラビア装束のトーブを着ているグループをお見かけしましたが、サウジアラビアのゲーム産業を統括するファイサル・ビン・バンダル王子も来場されていたとのこと。お見かけしたのもファイサル王子だったかもしれません。

ステージイベントではゲーミングチームのCrazy Raccoonのトークライブを開催するなど、日本でのアピールや展開も着実に進めて協力体制を作れているというところが伺えました。

様々な格ゲーやアクションゲームのタイトルで知られるSNKは、大型のブースで大々的に最新作『餓狼伝説 City of the Wolves』をアピールしていました。

SNKは2022年にサウジアラビアの皇太子が設立したミスク財団が株式を100パーセント保有しており、ある意味で『Qiddiya Gaming』と同じ中東資本のブースと言えます。

新作格闘ゲーム『餓狼伝説 City of the Wolves』に『ストリートファイター』の「ケン」と「春麗」が参戦することを発表したほか、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド選手もゲーム内に参戦(?)するなど、インパクトのある展開が印象的ですね。

コーエーテクモゲームスでは2025年1月17日に発売予定の『真・三國無双 ORIGINS(オリジンズ)』を大きく出展。巨大な呂布が来場者をお出迎え。

ゲーミング家具の展示も目を引くものがありました。ニトリ、IKEAなど誰もが知る家具メーカーがゲーミング環境を作るのに最適な家具を紹介。以前はゲーム系、PC系というと黒ベースで無闇に七色に光ったりしていましたが、今は白を基調にライティングはそこそこアクセントに使ってパステルカラーを入れているというような、女性ゲーマーや配信者向けなものが増えています

インディーゲームのスペースは例年よりもさらに拡大して、タイトル数も増えているという印象でした。

単独でのブース出展は2009年以来の15年ぶりというHORI(他社ブースでの製品展示などはあった)。ブースでは、販売中の製品の展示に加えて、開発中の試作品コントローラーを展示していました。

注目はHORIの初めてのレバーレスコントローラーですね。

お話を伺ってみたところ、展示していたものはあくまで試作品ですが、来年の良い時期に発売したいと鋭意開発中とのこと。

対応機種はPS5やPCなどで、PSライセンスを取得予定。ボタンはキーボードなどに使われているキースイッチを採用していて交換も可能。HORIオリジナルの隼ボタンを使っていないことについて聞いたところ、静音性を重視したためとのこと。隼ボタンはパチパチと高い音が鳴りますが、キースイッチだとかなり静かにできます。

この試作品のボタンの押下感が非常に軽く、キースイッチには25gぐらいのスプリングが使われているのではと感じたほど。

担当の人のこだわりがありそうだけど、担当の人はビジネスデイいなくて3日目4日目にいるそうなんでタイミングあれば詳細聞いてみたいねー

価格は1万5千円~2万円以内ぐらいにしたいとのことですが、もちろんこちらもあくまで試作段階の予定ですのでご注意を。レバーレスコントローラー選びのなかで安定の選択肢な台になりそう。

HORIではもうひとつ試作のコントローラーを展示。格闘ゲームに向いた前面6ボタンパッド「ファイティングコマンダーOCTA」に、背面ボタンを追加したものを開発中とのことです。方向キーも好みに合わせて形状が異なるパーツを交換可能。

ZETA DIVISIONからは、ゲーミングデバイス「ZENAIM」を共同開発する東海理化のレバーレスアケコンが登場。

自動車パーツの開発で培った磁気検知技術を盛り込んだ“無接点磁気検知”方式を採用していて、ボタンはモジュール式に仕上げているので、従来のアケコンにも換装可能にしているとのこと。ボタン単体での販売も視野に入れているそうです。

レバーレスコントローラー「Rushbox」を発売しているmoimateのブースでは、実際にRushboxを触れるだけでなく、天板を交換したり、キースイッチのストロークを短縮したりといったカスタマイズの良さを体験できるようにしていました。

「キースイッチのストロークを短縮する」というのはボタンを押し込む深さを縮めるというもので、ボタン入力が反映されて以降にもある余分な押し込み幅をカットすることで、ボタンの戻りが速くなりよりスピーディーな入力ができるようになるというもの。

各社からレバーレスコントローラーが発売される中、今後は“より自分好みにカスマイズする”という方向性も強まっていくと思われますが、特にキースイッチのストローク短縮は効果絶大です。ただ、体験する機会が少なく、想像だけだと「効果あるの?」となってしまいがちなところでもあるので、こうしたイベントで体験できるのは嬉しいですね。

今年のTGSを振り返ると、ゲームタイトルの試遊や紹介もさることながら、インパクトのある巨大オブジェであったり、ゲームキャラとのフォトスポットなど、体験する楽しみを用意しているブースが多く見られ“現地の楽しさ”を重視している印象でした。

ステージイベントにおいては、人気のストリーマーさんや声優さんなどのトークイベントが例年に増して非常に多く、ゲームのファンであるとともに、そのゲームにまつわる著名人のファン層も多く来場しているのが想像されます。日本人の来場者増加はそのあたりの層で底上げされているのではないでしょうか。

それらと並行して、出展数や来場者ともに海外の色が強くなっているというのが、全体の印象です。こうした傾向にある中、東京ゲームショウは今後どんなものに変化していくのか。日本のゲームメーカーやファンは、その中でどのように活動していくようになるのか。楽しみ半分、不安半分ですが、どんな未来になるのか興味深いところですね。
 

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10月のオススメタイトルはペルソナチーム最新作『メタファー:リファンタジオ』! ほかにも注目のビッグタイトルが多数発売でプレイする時間が圧倒的に足りない!

2024年10月に発売されるタイトルから注目作をピックアップ!

……なんですが、今月は大型タイトルが毎週のように発売される激戦です。

ピックアップしたタイトルは、

・『サイレントヒル2』
・『ドラゴンボールZ スパーキング! ゼロ』
・『メタファー:リファンタジオ』
・『プロ野球スピリッツ2024-2025』
・『スーパーマリオパーティ ジャンボリー』
・『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』
・『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』
・『Call of Duty: Black Ops 6』
・『クロックタワー・リワインド』

となりました。豪華ですねー。

大型の新作RPG『メタファー:リファンタジオ』から、リメイクされた名作『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』や『サイレントヒル2』、定番パーティーゲーム『マリオパーティー』から、FPSの定番『Call of Duty: Black Ops 6』と、他ジャンルの期待作が揃っています。

この中からひとつだけオススメを決めるというのはなかなか難しいのですが、やはり『ペルソナ5』開発陣によるファンタジーRPG『メタファー:リファンタジオ』が期待大でしょうか。

『メタファー:リファンタジオ』はプロローグ部分を5時間ほどプレイ可能で、セーブデータを製品版へ引継ぐこともできる体験版が配信されているので、まずはそちらから試すのがオススメです。

ちなみに11月もHD-2D版の『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』をはじめ、話題作が多数発売予定なので、そちらもチェックしつつ購入予定を考えるのもいいかもしれないですね。

それでは、良いゲームライフを!

 
『サイレントヒル2』

2024年10月8日発売
[PS5][Windows PC(Steam)]

 
『ドラゴンボールZ スパーキング! ゼロ』

2024年10月10日
[PS5][Xbox Series X/S][Windows PC(Steam)]

 
『メタファー:リファンタジオ』

2024年10月11日
[PS5][PS4][Xbox Series X/S][Xbox One][Windows PC(Steam)]

 
『プロ野球スピリッツ2024-2025』

2024年10月17日発売
[PS5][Windows PC(Steam)]

 
『スーパーマリオパーティ ジャンボリー』

2024年10月17日発売
[Nintendo Switch]

 
『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』

2024年10月24日発売
[Nintendo Switch][PS5][PS4][Windows PC(Steam)]

 
『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』

2024年10月25日発売
[Nintendo Switch][PS5][PS4][Xbox Series X/S][Xbox One][Windows PC(Steam)]

 
『Call of Duty: Black Ops 6』

2024年10月25日発売
[PS5][PS4][Xbox Series X/S][Xbox One][Windows PC(Steam)]

 
『クロックタワー・リワインド』

2024年10月31日発売
[Nintendo Switch][PS5][PS4][Xbox Series X/S][Xbox One][Windows PC(Steam)]

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