北海道ゲーマーズ・オーラルヒストリー番外編
まさゆきさん Vol.3
目次
ゲームはプレイヤーがいてこそ成立するものであり、そしてゲームの遊ばれかたが時代によって大きく変化しているのなら「プレイヤーの記録」も重要なのではないかという視点から行っているインタビュー「ゲーマーズ・オーラルヒストリー」。
今回は『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』(以下ドラクエ9)に登場する宝の地図「見えざる魔神の地図Lv87」の発見者として有名となったまさゆきさんにお話を伺いました。
「見えざる魔神の地図Lv87」は地下15階で経験値を大量にもらえるモンスター「メタルキング」のシンボルのみが登場する、いわゆるメタルキングオンリーの地図として最初に有名になり、発見者の名前をとった通称「まさゆきの地図」として、ニンテンドーDSの機能「すれちがい通信」を通して日本全国に広まりました。
当時あまりにも有名になったため、市販された公式攻略本にも「見えざる魔神の地図Lv87」についての攻略法が掲載されました。
また、歴代シリーズにちなんだクエストが楽しめる『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(※無印PS4版以外)ではドラクエ9をテーマにしたクエストのひとつとして「見えざる魔神の地図Lv87」に関するクエスト「ああ…すれちがい」が登場するなど、ドラクエ9を象徴する要素のひとつとして公式に認められていると言えます。
ドラクエ9の15周年となる今年(2024年)、2009年当時のことも含めてゲームとの出会いから現在までのお話をまさゆきさんに伺いました。
まさゆきさんはドラクエ9発売のときは神奈川県在住でしたが、元々は北海道出身で現在は札幌にお住まいです。ですから「北海道のゲーマー」という側面もお持ちです。
最終回となるVol.3では、まさゆきさんが神奈川県から北海道に戻られた2013年から現在までのドラクエに関する独自の取り組みと、ドラクエシリーズへの想いについてお話を伺いました。
「ドラクエの思い出」を募り始めたきっかけ
―― 2013年に北海道に戻ってから現在までのお話を伺います。前回(Vol.2)のインタビューのラストで、北海道に戻ったあと、しばらくゲームから離れていたということでした。2017年に『ドラゴンクエストXI』(スクウェア・エニックス/2017年)が発売されますが、ちなみにこちらはプレイしましたか?
まさゆき 発売された1年後くらいにやっています。
―― そうでしたか。まさゆきさんのX(Twitter)を拝見すると、ドラクエ11発売と同じ2017年にドラクエ1から8までのスマホ版をプレイしたとあります。
まさゆき はい、やりました。ドラクエ・ナンバリングの全タイトルがセールだった時期があって、そこでまとめて買ったんです。ただ、8は途中までしかプレイしていないです。
―― 改めてドラクエ1からナンバリングタイトルを順番にプレイする機会が、このときあったのですね。
まさゆき そうですね。
―― そして2022年7月からX(Twitter)を始められています。同時期に、ドラクエ1から4までの思い出を当時のプレイヤーから募集して本を出すという試みも始められている。現在、「ドラクエの結び目」というタイトルで発行されている本になります。この取り組みに合わせてX(Twitter)を始められたのですか?
まさゆき 本を宣伝しようと思って、始めたんです。
―― ドラクエの思い出を集めようと思ったきっかけが、スマホ版のドラクエを1から8までプレイしたことだったとX(Twitter)に書かれていました。プレイしていて「物足りなさを感じた」ということでした。
まさゆき ちょっと長いのですが、本を作ろうと思った経緯を話しますね。2017年の前くらいから、僕は位置情報ゲームにハマっていて、『ポケモンGO』(Niantic, Inc./2016年)を含めて10タイトルくらい遊んでいました。
―― まず位置情報ゲームでゲームに復帰していたんですね。
まさゆき はい。位置情報ゲームを遊んだときに、ドラクエ9と似ているなと思ったんです。2000年代にパソコンでハマっていたMMORPGはずっと部屋にこもってプレイする感じでしたけど、ドラクエ9や位置情報ゲームは外に出なければならない。
―― ドラクエ9ですれちがい通信をするためには出かけなきゃならないですものね。
まさゆき 自分の移動がゲームに反映されるのが、すごくおもしろいと思ったんです。位置情報ゲームをやりながらそういうことを考えているうちに、「自分で何かゲームを作ってみたい」と思うようになりました。実際にゲーム会社の何社かに応募したのですが、残念ながらどこもダメでした。それでも「ゲームを作りたい」という思いは消えなくて、ゲーム開発者のインタビュー記事を読んだり、どこに提出するわけでもないのですが自分なりの企画書を考えたりしていました。その中で、おもしろいと感じていた位置情報ゲームを軸にゲームを考えようと思い立ったのです。実在の駅とかお城と位置情報を掛け合わせるゲームがすでに存在していました。だから、他にどういう要素と位置情報を掛け合わせるのがいいかとか考えていました。
―― いろいろ思考実験をしていたんですね。
まさゆき そのうちRPGと位置情報ゲームを合わせるのがいいんじゃないかと思うようになって。けっきょくドラクエを位置情報ゲームにするというオリジナリティのない発想になってしまうんですけど、このときに「自分はなぜここまでドラクエにこだわりがあるんだろう?」と思って、それでスマホでドラクエを1から改めてやってみようとなったんです。
―― そのようなきっかけがあったんですね。
まさゆき 僕にとってゲームの原点であるドラクエをもう一度やってみようと思ったんです。
―― まさゆきさんの中で「改めてドラクエって何だろう?」という問いが生まれた。
まさゆき そうです。それでドラクエのシリーズを通してプレイしたのですが、そのときに寂しさを感じました。ゲーム自体は楽しいんだけど、寂しさも感じる。なぜ寂しさを感じるんだろうと考えたときに、自分にとってのドラクエの良さって「人との繋がり」だったのかなと気付いた。
―― そう気付いたのは、子どもの頃の思い出の影響もあったのですか?
まさゆき はい。小学生のときに『ドラゴンクエストIII』(エニックス/1988年)を友だちの家で一緒に遊んだり、その後の『ドラゴンクエストIV』(エニックス/1990年)や『ドラゴンクエストV』(エニックス/1992年)でも発売前に少年ジャンプに掲載された情報について友だちと話したりといった思い出があって、これはゲームをより楽しくする要素として大きかったなと思いました。
―― インタビューの1回目で伺ったお話ですね。
まさゆき それで「ゲームを作りたい」という思いは消えて、「ゲームの思い出」の方に関心が移っていったんです。それからライターの深田洋介さんという方が運営されている「思い出のファミコン」(*01)というサイトをネットでたまたま見つけて、読んでみたんです。昔、ファミコンのゲームを遊んだ人たちから当時の思い出を集めたサイトです。ドラクエについての投稿も多くて、興味深く読みました。読んでいて気付いたのは、ゲームそのものよりも「人」についての思い出が多いことです。ゲームのここがおもしろかった、ここが衝撃的だったという感想もあるのだけど、「自分と親」、「自分と友だち」とのゲームを通した関わりでこういうことがあったという思い出も多かった。
―― ゲームだけで完結した思い出ではないのですね。
まさゆき 「思い出のファミコン」に寄せられた文章を読んで、僕はドラクエに絞った思い出を集めて、もっともっと掘り下げたいと思ったんです。
―― ドラクエそのものではなく、ドラクエを媒介とした「人と人との繋がりについてのエピソード」を集めたいということですね。しかもドラクエはプレイした人が多くて、広く遊ばれているからエピソードの数も多い。
まさゆき 「ドラクエがコミュニケーションツールである」というのは、堀井雄二さんもドラクエ9のプロデューサーの市村龍太郎さんも仰っています。ドラクエを含めたゲーム以外でも子どもたちが昨日見たテレビやアニメ、読んだマンガとかを話題にすることがあるから、それらもコミュニケーションツールになっていると思います。そういった中で、ドラクエの話題の共有の度合いは大きかった。「思い出のファミコン」の中でも、ドラクエシリーズの投稿は圧倒的に多いんですよ。
―― 実際、ファミコンのドラクエシリーズは売れましたからね。
まさゆき 『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂/1985年)も買った人数は多いですけど、アクションゲームだからどうしても先に進めずクリアできなかった人も多かったと思うんですよね。攻略する上で、どうしてもテクニックが必要なところがある。それに対して、アクション要素のないドラクエはクリアできた人は反射神経が必要なゲームより多かったと思いますし、謎解きで詰まっても友だちに訊くことで突破できる。
―― 友人に聞くという時点で、コミュニケーションが起こっていますよね。
まさゆき だから、ドラクエを通して人とやり取りした思い出がある人は多いと思うんです。
電子書籍「ドラクエの結び目」発行
―― そうしたきっかけがあって、2017~2018年くらいにドラクエをプレイした人たちの「ドラクエの思い出」を集めた本を作ろうと考えるようになったのですか?
まさゆき その時点では、まだ本を作ろうとまでは思っていないんです。思い出に自分が関心を持っているということはわかったのだけど、それに対して具体的にどうすればいいかは全然わからなかった。そこから年月が経って、本にしたりラジオで朗読するのがいいのかなと思い始めました。いろいろ考えていく中で、いちばん敷居が低そうに感じたのが電子書籍だったんです。2022年の4~6月くらいにインターネット上で思い出についての文章を募集して、まとめたものを7月に発行しました。
―― 募集はどのように行ったのですか?
まさゆき テーマに応じた文章を募集するサイトがあって、そこで「ドラクエの思い出」についての文章を募集しました。
―― 書いてくれた方には原稿料を払う?
まさゆき 払いました。金額は僕の方で自由に設定できました。そのサイトを介さず、お金のやり取りなしで思い出を書いてくれた方もいますが、ごくごく一部です。
―― 最初の募集では、いくつくらいの投稿があったのですか?
まさゆき 50~60件は集まったと思います。
―― まさゆきさんのX(Twitter)では、最初の本ではファミコン版の『ドラゴンクエスト』(エニックス/1986年)からドラクエ4までの思い出を集めたと書かれています。
まさゆき その後にドラクエ5と『ドラゴンクエストVI』(エニックス/1995年)の思い出も集めています。思い出を集めるにあたって、親や兄弟、友だちなど「ドラクエを通した他の人との思い出」を書いてくださいという条件を付けました。
―― まさゆきさんにとって、そこが大事ですものね。
まさゆき はい。「ドラクエ3のエンディングで、3が1より前の話とわかってビックリした」みたいな思い出ではないということです。現実に人との繋がりで何があったかを書いてほしかった。
―― そうして最初に集めた思い出を「ドラクエの結び目」というタイトルで、まず1冊作られた。
まさゆき 2022年7月にkindleで発行しました。1冊目が7月10日、その2日後の12日に2冊目を出しています。
―― 2冊目も同時期に発行されているのですね。先ほどまさゆきさんが言われたとおり2冊目はドラクエ5とドラクエ6、それとドラクエモンスターズシリーズの思い出が収録されています。最初に募集した文章が50~60人分集まっていたということですから、2冊作ることができたのですね。
まさゆき 2022年内に出したのは、その2冊になります。
―― 次に出すのはいつになるのですか?
まさゆき ずいぶん期間が飛びますが、3冊目と4冊目を2023年12月に出します。ずいぶん期間が飛びますね。2024年1月に5冊目を出して、今のところそれがすべてです。
―― 「ドラクエの結び目」というタイトルの由来は、「人と人を結ぶ」というところからですか?
まさゆき はい。「人と人の繋がり」ですね。僕が小学生のときに友だちどうしでドラクエを一緒に遊んだり、ドラクエの話をしたときのような、ドラクエを通した「人の繋がり」を集めたい。だから「結び目」ということですね。僕のX(Twitter)アカウントも「DQ_no_musubime」となっているんですよ。それくらい僕は気に入っているんですけど、「結び目」という言葉だとイコール「人と人の繋がり」だとわかりづらいかなとも思い始めていて。名前を変えようかなと考えています。
―― 今、わたしはそこに至る経緯をまさゆきさんから伺っているから、「結び目」という言葉を使う理由が理解できますが、いきなり「結び目」という言葉だけを見ると、たしかにまさゆきさんの意図をすぐ理解するのは難しそうです。ちなみに具体的な変更案はあるんですか?
まさゆき 今、何となく考えているのは「ぼくらのドラクエ」。ドラクエそのものよりも「ぼくら」というところを重視したい、というところからです。
―― 2022年に2冊出して、次に出すのが2023年末になりますが、この間に新しい思い出の文章を集めていたのでしょうか?
まさゆき 最初の2冊を出した後、しばらくは「結び目」に関する活動はしていませんでした。ドラクエ5の実況を文章と画像でX(Twitter)に投稿したり、『ドラゴンクエストウォーク』(スクウェア・エニックス/2019年)(*02)のことをツイートしていて、本来Twitterアカウントを作った目的だった「ドラクエの結び目」の宣伝もせず、ちょっと趣旨とずれていることをしていました。
―― その状態で、間が空いてしまったんですね。
まさゆき 2023年末に思い直して、3冊目と4冊目を出そうということになりました。X(Twitter)を本来の意味で使っていなかった反省から、思い出の文章を1件ずつX(Twitter)に投稿することもやっていました。
―― 3冊目と4冊目は、新たに募集した文章を掲載しているのですか?
まさゆき 新しい文章と、1~2冊目のときに掲載しなかった文章も載せました。
―― 2022年の1~2冊目、その後の3冊目以降も含めて、「ドラクエの結び目」の反響はどうでしたか?
まさゆき ほとんどリアクションはありませんでした。僕の中では、瞬く間に広がって、大きな反響があると思っていたのですが。
―― 本を読んだ読者が「自分にもこういうドラクエの思い出がある」という文章を投稿するという連鎖があると思われていたんですね。
まさゆき そうですね。それで集まった文章をさらに本にまとめて毎週出すとか、あるいは集まった文章を朗読して動画やラジオで紹介するといったことができるんじゃないかと考えていました。「ドラクエの結び目」については、自分が予想したとおりの形になっていないという点で、今も課題が残っている感じです。
2022年、札幌と大阪で「まさゆきの地図」を配布
―― 時系列として前に戻りますが、2022年7月24日に札幌で「まさゆきの地図」を配布されています。これは2009年、最初に「まさゆきの地図」を秋葉原で配布した日でもあります。
まさゆき そうですね。2009年以来ということになります。
―― 13年ぶりということですね。X(Twitter)で告知を出し、JR札幌駅のロッカーに入れて、すれちがい通信をした。
まさゆき そのときは、ほとんどリアクションはありませんでした。その頃の僕のX(Twitter)のフォロワーが300人くらいだったというのもあります。DSはずっとロッカーに入れっぱなしで、ドラクエ9では、自分の方ですれちがった人を確認できるのは最初から数えて3人目までなので、ゲーム側の情報だけではトータルで何人とすれちがい通信をしたかはわからない。
―― 「地図を受け取りました」とX(Twitter)などに投稿されて、かろうじてわかるということですね。実際、そういう投稿はありましたか?
まさゆき 僕が確認した限りでは、2~3人いました。すごく遠くから来られている方もいて。
―― わざわざ札幌まで来られたのですかね。
まさゆき そこまでして来てくれる人がいるんだとわかって、すごく元気をもらいました。
―― それから2022年の12月、大阪の万博記念公園で、「まさゆきの地図」の配布をされています。
まさゆき ドラクエウォークのリアルイベント「ドラゴンクエスト ウォーキング」(*03)が万博記念公園であって、まずこちらへの参加を目的に大阪に行ったんです。
―― ドラクエウォークは2019年9月リリースですが、サービス開始からプレイしているのですか?
まさゆき サービス開始から始めたのですが、そのときは1~2ヶ月でやめてしまいました。2022年にメタルキングの装備がゲットできるという情報を見ました。それで興味が出てきて、また始めました。そこから今も続けています。
―― まさゆきさんにとって思い出深いメタルキングが装備としてフィーチャーされたのが、再開のきっかけだったということですね。しかもイベントのために大阪まで行かれた。
まさゆき 今思うと「何でいったんだろう?」とも思いますが、勢いで行っちゃったんですね。
―― ドラクエウォークのイベントは、これまで何回くらい開催されているのですか?
まさゆき 僕が参加した大阪が1回目で、2回目は2023年10月に山梨県の富士急ハイランドで開催されました。3回目が今年(2024年)の11月に熊本で開催されることが決まっています。次は北海道でやってほしいんですけどね。
―― 九州でやるのなら次は北海道で、と期待しますよね。このイベントに合わせて、「まさゆきの地図」の配布も行った。どれくらいの人数とすれちがい通信できましたか?
まさゆき ドラクエ9を立ち上げていたのが万博記念公園の中央口近くで1時間くらいだったので、そんなに多くの人とはすれちがっていないです。僕が確認したのは5人くらいだったと思います。当時X(Twitter)でしか告知をしていなくて、そのときのフォロワー数も300人くらい。その中で万博記念公園までドラクエ9を持って来られる人は、そう多くなかったと思います。それでも公園の入り口にいた僕のところまで会いに来てくれた方もいて、そのうちの何人かとは今でも繋がりがあります。X(Twitter)でつながっていたり、北海道に来られた時に声を掛けていただいて、すすきの周辺で何度か食事したりもしました。
―― この大阪旅行のときに、先ほど話題に挙がったサイト「思い出のファミコン」を運営されている深田洋介さんとお会いになったと、まさゆきさんのX(Twitter)に書かれていますね。
まさゆき 深田さんは京都で「思い出バー カセット」というバーも経営されていて、大阪に行くなら深田さんのお店にも寄れると思って行ってきました。ちなみにこちらのお店は、ニンテンドーミュージアムの近くなんですよ。
―― そうなんですね! ニンテンドーミュージアムに行くことがあったら、帰りに寄ってみたいです。深田さんとは「ドラクエの結び目」について、お話されたのですか?
まさゆき 深田さんのサイトから影響を受けて、ドラクエに限定して思い出を集めた本を出していますという話はしました。深田さんは2003年から「思い出のファミコン」の運営を始めていて、その後の約20年の蓄積があるわけですよね。その時点での僕はまだ数ヶ月くらいの取り組みだから、単純に比べられるものではないなと思いました。
2023年、秋葉原の「まさゆきの地図」配布会でドラクエファンと交流
―― この後、2023年の7月に秋葉原で「まさゆきの地図」を配布されます。
まさゆき 前年に札幌で地図の配布をしたときに、他の都道府県ではやらないのかというコメントがX(Twitter)であったんです。先ほど話した大阪でのすれちがい通信も、そういったコメントの影響を受けてやってみました。東京で、さらには秋葉原でというようなコメントもあって、ドラクエ9が発売された7月に合わせて、最初に地図を配布した秋葉原でやろうと決めました。
―― このときの配布では、テト2號さんという方が協力されていますね。
まさゆき 万博記念公園イベントの前後くらいに、X(Twitter)で知り合いました。テト2號さんもドラクエファンです。2023年のときは4日間すれちがい通信をしたのですけど、このうちの1日は秋葉原のレンタルスペースで行ったんです。このレンタルスペースの予約は、テト2號さんがしてくれたんですよ。
―― まさゆきさんから頼んで?
まさゆき いや、僕の方で具体的なことをなかなか決められずにいたら、テト2號さんの方でいろいろ主体的に動いてくれました。
―― このときの配布は7月7日から10日、金曜から月曜までの4日間で行われています。日程は、ドラクエ9の発売日である7月11日近辺にしたということですね。
まさゆき 僕としてはあの地図が「まさゆきの地図」と呼ばれるようになった7月24日の方が大きいのですが、僕以外の方にとってはやはりドラクエ9の発売日だろうということで発売日を中心に決めました。
―― 当時のまさゆきさんのX(Twitter)への投稿を見ると、まず初日に秋葉原駅のロッカーにDSを入れてすれちがい通信を行っています。
まさゆき 僕が北海道から東京に到着した日ですね。この日はX(Twitter)からDMをくれた方もいて、その皆さんとは直接会って話をしています。
―― その翌日が、先ほど話されていたレンタルスペース。3日目が秋葉原駅周辺ということですが、これはまさゆきさん自身がDSを持って、しばらくそこにいたということですね。
まさゆき 関東圏で今でもドラクエ9のすれちがい通信を「配布会」という形で事前告知してやっている方がいて、その中の1人がそのときにすれちがい通信を秋葉原で行うということだったので、一緒に参加させてもらいました。
―― 最終日も秋葉原駅で配布されています。
まさゆき 4日目は、事前にメッセージをくれた方のみと会っています。午後から北海道に帰るということもあったので、直接会うことが確実な人とだけ会ったということです。
―― 2日目のレンタルスペースについてくわしくお聞きしたいと思います。この日はトータルで何人くらい来られたのですか?
まさゆき 60人くらい来ていたと思います。レンタルスペースは、基本出入り自由にして、10時から午後5時くらいまで開けていました。
―― 和室ですか。
まさゆき いや、会議室みたいな感じですね。長机があって、椅子があって。この日に来てくれた方とはけっこういろんな話ができました。ドラクエシリーズで何がいちばん好きかとか、最初にプレイしたドラクエは何かといった話題が多かったです。
―― 60人というのは、かなり来られましたね。
まさゆき 僕もテト2號さんも、もっと人の入れ替えがあると思っていたんですよ。すれちがい通信で地図がもらえたらお帰りになって、次の人が入ってくると。でも部屋を借りているので、すれちがい通信が終わってもやっぱり皆さんドラクエの話とかをしますよね。
―― 来られた皆さんが部屋に滞留していった。
まさゆき そうです。部屋を開けてから閉めるまでいてくれた方もいました。だから待たれている方が廊下の方にまで溢れていったんです。部屋の空調もあまり良くなくて、熱中症の心配もありました。この辺りは反省点です。
―― 来られた方の年齢層はどうでしたか?
まさゆき 思っていたより若い世代が多かったです。ドラクエは古いゲームなので、2023年の時点で30~50代がメインのファン層になっているんじゃないかと僕は思っていたのですけど、そのときは10~20代の人も多かった。割合としては、10~20代とそれ以上の年齢で半々だったと思います。
―― 10代の人だと、ドラクエ9を発売日にプレイしていない世代ですよね。
まさゆき 親が遊んでいたとか、おじさんが持っていたから知っているという人もいました。
―― ちなみに来られた皆さんにとって、シリーズでいちばん好きなタイトルは何だったのでしょう?
まさゆき それは、やっぱりドラクエ9でした(笑)。
―― そうか。まさゆきさん自身が「まさゆきの地図」を配布するイベントに参加しているわけだから、基本そうなりますよね。現在、ドラクエ9をプレイしているという方はいましたか?
まさゆき 最近やっているという方は一定数いました。何がきっかけで始めたんだろうと思いましたけど。
―― それは年齢関係なく?
まさゆき そうですね。はじめてプレイしている人は若い人で、年齢が高い人は2周目・3周目という方でした。
―― 高齢の方は来られていましたか?
まさゆき 皆さんに対して年齢を聞いていないので見た目からの僕の主観になってしまうのですが、50代に見える方は数人来ていました。
―― 男女の比率はどうでしょう?
まさゆき 男性が多いですね。女性は2割くらいでした。
―― お話をされた中で、まさゆきさんの印象に残っている話題はありましたか?
まさゆき 細かく覚えていないのですけど、来られた方のクラスメートで不登校だった人がいて。そのクラスメートが「まさゆきの地図」を持っていて、彼の家に行ったのか彼が学校に来たのかは忘れましたけど、彼とすれちがい通信をして地図をもらったことがあったそうで、それがきっかけでクラスメートがまた学校に行くようになったという話を聞きました。
―― 現在、学生の方のお話ですか?
まさゆき いや、ドラクエ9が発売された2009年当時の話です。だから現在は20代の方ですね。
―― 昔を思い出されてのお話だったのですね。まさにドラクエが人を繋いだ話と言えます。他に何か印象に残った方はいますか?
まさゆき レンタルスペースの開場は10時からだったのですけど、開場直前に自転車に赤ちゃんを乗せたお母さんが入口にいらっしゃって。これから行かなきゃならないところがあるのでレンタルスペースに入る時間がない。でも地図がほしいので来てみましたというお母さんがいました。その場ですれちがい通信をして、そのまま帰られました。
―― 地図の配布会のことは知っていて、とにかくいらっしゃったということなんですね。
まさゆき 家族で来られた方がいて、両親と娘さんの3人なんですけど、お母さんだけがドラクエ9をやっている。お母さんは地図をもらいにレンタルスペースに入っているんだけど、お父さんと娘さんは何のことかわからず入口で待っていました。
―― お母さんプレイヤーが多いですね。
まさゆき 代理で来られた方もいました。ドラクエの話をしようと僕から話しかけたら、「このゲームを遊んだことがないので、何もわかりません」というお返事で。
―― 来られない友人から頼まれてということなんですかね。
まさゆき 他には10代の女の子がお母さんと一緒に来ていて。娘さんが地図をほしくて来られたのですけど、一人だと心配だからお母さんも付き添いで来ていた。「すれちがい通信がちゃんとできたようです。良かったです」とお母さんから挨拶されました。10代の女の子がすれちがい通信のために来てくれたんだなと思って、嬉しかったです。
―― 女の子が仮に10代半ばだとしても、ドラクエ9が発売された2009年にはリアルタイムで遊んでいないでしょうから、旬が過ぎてからプレイしているわけですよね。ブームだからとか関係なく、自分がやりたいからこのゲームを遊ぶという若い世代の人がいることが、まさゆきさんの活動で明確にわかりますね。
まさゆき みんながやっているからではなく、主体的にゲームで遊んでいるということですよね。
―― ブームと関係なく遊ぶというのは、それだけその人を惹きつける魅力がそのゲームにあるということですから、少なくともその女の子にとってのドラクエ9は魅力があるゲームなわけですよね。
まさゆき 新しいか古いかというのは関係ないんでしょうね。
―― ただ、ドラクエ9にはすれちがい通信でリッカの宿屋が発展したり、大魔王の地図を手に入れたりという要素もあるから、ほとんどすれちがい通信がされていない現在ではプレイに制約がどうしても出てしまいます。
まさゆき たまに「すれちがい通信できますか?」というDMが僕のX(Twitter)に来ることがあるんですよ。
―― それで実際にされたのですか?
まさゆき 「自分は今札幌に住んでいるので、札幌ならすれちがい通信ができます。また秋葉原などで何かやるかは未定です」みたいなことを返信すると、残念ですとか、返信が途絶えることが多いです(笑)。でも札幌で何人かとお会いして地図を交換しました。
「ドラクエの結び目」についての様々な試み
―― 2023年の9月13日からX(Twitter)で「結び目ラジオ」という音声の生配信を始められていますね。最初は「第0回」と銘打たれています。
まさゆき 最初は第0回だったんですね。ちょっと忘れていました。X(Twitter)スペースという会話をリアルタイム配信できる機能があって、こちらを使っています。秋葉原で一緒にイベントをやってくれたテト2號さんと一緒にやっています。
―― わたしも1回だけ聞きました。今年(2024年)の7月に秋葉原で行った地図配布会の振り返りをしていた回です。
まさゆき そうでしたか。ありがとうございます。
―― こちらは、どういう経緯で始めたられたのでしょう?
まさゆき 新しいことを何か始めようと思っていたときに、テト2號さんと何ができるだろうかと話していたときに、ラジオっぽくドラクエに関する話をするといいんじゃないかということになり、始めてみました。
―― リアルタイムで聞いている方は、わたしが聞いたときは最大で10人くらいいましたね。
まさゆき 毎回、何人かは聞いてくれています。コメントを入れてくれる方もいますね。
―― 昨年の7月以来、テト2號さんと一緒に活動されることが増えているんですね。
まさゆき そうですね。テト2號さんも今『ドラゴンクエストX』(スクウェア・エニックス/2012年)をプレイしているので、ドラクエの話題が尽きることはないです。
―― 2023年の11月に多くの皆さんから集めた「ドラクエの思い出」の文章をX(Twitter)に投稿したり、まさゆきさんが朗読した音声をアップされています。要するに「ドラクエの結び目」を再開された。
まさゆき そもそもX(Twitter)を始めた目的が「ドラクエの結び目」についての発信だったので、初心に立ち返ろうと。
―― 本来の目的に戻ったわけですね。
まさゆき ただ前回、電子書籍で出したときと同じく、反応がほとんどなくて。それで3ヶ月ほど投稿を続けましたけど、その後にまた中断しているというのが実情です。
―― 同じタイミングで、電子書籍の「ドラクエの結び目」の続きも出されていますね。
まさゆき 2023年12月に2冊、年が明けて2024年1月に1冊なので、合計3冊出しました。
―― 先だって出されたものと合わせて、5冊ということですね。今は電子書籍の方も中断されている。
まさゆき 僕の中では再開したいという思いもあるのですけど、誌面のデザインやレイアウトを例えばもうちょっと攻略本のようにするとか改善したいところが多いんです。でも具体的にどうすればいいかというところで悩んでいて、手を付けられない状況が続いています。
―― 現状の課題ということですね。そういった中で、2024年5月に札幌のアクセスサッポロで開催されたイベント「おでかけライブ in 札幌 157」に参加されています。ここで「ドラクエの結び目」を販売されたのですか?
まさゆき 紙の冊子として印刷したものを100円で販売しました。ただ、終わってから無料配布でよかったかなと思って。会場で手に取っていただいた方で、購入までいかなかった人が数人いました。元々儲けを考えてはいなかったので、無料でいいから手に取って読んでもらうべきだったと思いました。
―― 「ドラクエの結び目」は元々電子書籍前提で作られていましたが、ここで紙の製本をされて販売したことになります。
まさゆき 作る側の僕として電子書籍はハードルが低かったので、まず電子書籍で作りました。合わせて朗読の音声を配信することも考えて実行した。ただ、どうしても反応が薄いので、他のやり方を試そうと考えて紙の本での販売を試したということです。ちなみにこの5月の同人誌イベントのときは、テト2號さんも参加してくれています。
―― 元々ご一緒に参加される予定だったのですか?
まさゆき いや、テト2號さんは別件で北海道に来る予定があって、この日は一緒に参加できるということでお願いしました。
―― このときに販売したのは、すでに出されている電子書籍版をそのまま紙の本にしたものなんですか?
まさゆき 過去の電子書籍から、このイベント用に文章をピックアップしたものを新たに作りました。
―― このときは何冊くらい売れましたか?
まさゆき 10冊くらいだったと思います。購入されずに手に取ってくれた方も含めると20人くらいかな。ちなみにこのとき僕のDSを持っていくので会場ですれちがい通信ができますと事前告知していました。お一人ではありますが、実際にDSを持ってきてくれた方がいて、地図の交換ができました。
―― イベントとしては同人誌がメインのものだったのですか?
まさゆき コスプレで参加できるのでコスプレイヤーが多かったですね。販売しているものも同人誌だけではなく、手作りのブレスレットやキーホルダーといった小物を売っている人もいた。アニメ・マンガ系のイベントなので、ドラクエを含めたゲームに関心がある人が一定数いるんじゃないかと予想したのだけど、思ったよりいなかった。ドラクエについてのものを扱っていたのは僕だけだったと思います。それとイラストがメインの本を売っている人が多かったんですよ。だから文章主体のドラクエの思い出についての本は、主流とずれている感じになっていました。
―― 実際にやってみてわかったということでしょうかね。
まさゆき とにかく新しいことを試したかったんです。
前年に引き続き、秋葉原でドラクエファンと交流
―― 続いて今年(2024年)の7月に、2023年にも行った「まさゆきの地図」配布会を秋葉原で開催されています。「DQ9 アニバーサリッ会(仮)」という名前ですが。
まさゆき 2024年がドラクエ9の15周年ということでアニバーサリーであることと、登場するキャラクターの「リッカ」にかけたタイトルです。
―― 2023年の配布会とコンセプトは一緒で、今回は7月5日秋葉原駅周辺のロッカーにDSを入れてのすれちがい通信、6日にレンタルスペースでの交流という2日間となっています。このときも前年に引き続き、テト2號さんが運営に協力されているんですね。
まさゆき そうですね。
―― 前年と比べて、何か変化はありましたか?
まさゆき レンタルスペースの参加者は、20代くらいの若い世代が増えた印象でした。
―― レンタルスペースの参加人数はどれくらいだったのでしょう?
まさゆき 30人くらいだったと思います。
―― 前年の60人からは減ったのですね。
まさゆき このときも事前告知はX(Twitter)だったのですけど、開催の直前でした。それで人数が減ったのかもしれません。それと地図目的の人は、前回にもらっていたら来る必要がないというのもあったかもしれません。それでも前回に引き続き来ていただいた人もいました。それとレンタルスペースの場所が前回と比べて秋葉原駅より遠かったことも影響しているかもしれないです。
―― お会いした方で、印象に残っている人はいますか?
まさゆき ドラクエに登場するキャラクターの手作り人形をプレゼントしてくれた方がお二人いました。それからカップルで来られたお二人がいて、ドラクエ10で知り合ったそうです。はじめて知り合った頃は離れたところで暮らしていたけど、今は一緒に暮らしているということでした。
―― その方々もドラクエ9をプレイされているわけですよね。
まさゆき レンタルスペースに来られた方は全員DSとドラクエ9を持ってこられていたので、今やっているかどうかはわかりませんが、どこかのタイミングでドラクエ9はプレイしているはずです。
―― そのカップルの方々の年齢はおいくつくらい?
まさゆき おそらく20代前半だと思います。
―― だとするとドラクエ9が発売された2009年は、小学校に入学する直前くらいですかね。小学生くらいの年齢でドラクエ9を遊んでいた可能性があります。
まさゆき 僕がはじめてドラクエをプレイしたのが小学1年生のときのドラクエ3なので、そのときと同じ感じだったのかもしれないですね。
―― 今回はお二人の方から手作りの人形をいただいたということですが、前年のときも何かいただいたのですか?
まさゆき 前回はお菓子をくださる方が多かったです。手作りの人形をいただいたのはこのときがはじめてです。
―― でもいいですよね。手作りだから1点ものになります。
まさゆき そうですよね。他にないわけですから。いや、嬉しかったです。
―― 他に印象に残っていることはありますか?
まさゆき レンタルスペースで交流会を行った7月6日に、東京芸術劇場で「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサートがあったんです。そちらに行く前に立ち寄ったという方が5人ほどいました。
―― それはいい重なり方ですね。
まさゆき それと女の子3人組で来られた皆さんがいました。前年にはなかった組み合わせです。
―― こちらも年齢はお若い?
まさゆき 20代くらいだと思います。
―― レンタルスペースに来られた方は皆さんドラクエ9をプレイしているということですけど、発売当時にリアルタイムにドラクエ9に触れていないかもしれない若い世代の人も「まさゆきの地図」の存在は知っている?
まさゆき ご存じだったと思います。僕が発見者だということも知ってくれていたと思います。
―― ということは、若い世代にも「まさゆきの地図」のことは引き継がれているというか、伝わっているということなんですね。
まさゆき そうなりますね。
―― それとこのときの配布会では参加する皆さんにドラクエプレイヤーとしてのプロフィールを作っていただいていますね。前回はなかったものです。
まさゆき その人がドラクエに対してどのような想いがあるのかを事前に知っていると、より深いコミュニケーションができるかなと思って作りました。
―― 参加される方に事前に用意してもらうという形で。
まさゆき できる範囲でということなので、必須ではないです。逆に交流会に来られなかったけどプロフィールだけ作っていただいた方もいます。
―― プロフィールのフォーマットはまさゆきさんの方で作られた?
まさゆき テンプレートが用意されたサイトがあって、項目はテト2號さんと僕とで考えました。
―― プレイヤーの年齢は、あえて聞いていない感じですか?
まさゆき そうですね。ドラクエの思い出を募集するときもそうなんですが、本当は年齢とお住まいを聞いた方が読み手のイメージが膨らみやすいと思います。でもハードルが高くなるので、そのときは避けました。
―― プロフィール内にある「プレイしたことがあるタイトル」や「ドラクエを始めたきっかけ」で、ある程度の年齢は推測できますね。
まさゆき そうですね。
―― ドラクエ9の発売日に合わせた「まさゆきの地図」の配布会は、来年も開催される予定ですか?
まさゆき 今のところは考えていないです。
―― 東京に行かないまでも、札幌で開催するとか。
まさゆき やってみたい場所という意味では、大阪でもう一度やってみたいかなというのはあります。東京で2回やったので大阪もという感じですね。ただ現時点ではまだ具体的には考えていないです。
「ドラクエの結び目」、今後の展開
―― 今年(2024年)の7月14日に、「おでかけライブ in 札幌つどーむ 85」にサークル参加されて、「ドラクエの結び目」の冊子版を配布されています。5月から引き続きという形ですが、もう一度やってみようと思われたということですか?
まさゆき 5月に印刷した分の在庫がまだあったので、残していても仕方がないので配ろうということですね。
―― そうか、このときは無料で配っているのですね。
まさゆき 5月にやったときに無料でよかったと思ったので、今回はその形にしました。
―― このときは何冊くらい配布できましたか?
まさゆき 15冊くらいですね。想定していたよりは少なかった。ディスプレイ的にあまり目立っていなかったのと、僕の方からもう少し積極的にお客さんにアピールするべきだったのかもしれません。
―― 5月と7月にそれぞれ、イベントで「ドラクエの結び目」の販売と配布をされた。また次回やってみようという予定はありますか?
まさゆき 課題をいろいろ改善しないとダメかなと思っています。本自体のレイアウトやデザインであったり、文章の編集であったり、配布にあたってのブースの見せ方であったりですね。札幌ではこういったイベントが定期的に開催しているようなので、できる範囲で継続的に参加したいとは考えています。
―― このインタビューに先立ってお話を伺ったときに、コミケにも参加したいと話されていました。
まさゆき 実は今年(2024年)の年末のコミケに応募はしています。抽選次第なんですけど。
―― それでは当選したら、ついにコミケに行かれるわけですね。
まさゆき コミケは規模が違いますから、そこでどれくらい「ドラクエの結び目」を手に取ってもらえるか、興味があります。
―― 今後、そういった展開が予定されている中で、「ドラクエの思い出」をまた募集されるのですか?
まさゆき それは考えています。これまでのものより文字数を減らしてみてはどうかとか、いろいろ検討している感じですね。
―― 課題を改善して、いろいろブラッシュアップしていけたらということですかね。
まさゆき 「ドラクエの結び目」以外の最近の活動としては、ドラクエ9と10に同じ世界としての繋がりがあったり、10をやってないことの負い目がずっとあったので、ドラクエ10のライブ配信もしています。視聴者の方々からコメントもいただいているので、そこから何か新しい繋がりが生まれるかもしれないとも考えています。
―― 今年(2014年)の7月に、ドラクエ9のプロデューサーだった市村龍太郎さんがご自身のYouTubeチャンネルでドラクエ9の15周年を記念したライブ配信をされていました。わたしもアーカイブで視聴しましたが、まさゆきさんに対して市村さんがコメントされていましたね。
まさゆき はい。僕と認識してコメントに返してくれた感じで嬉しかったですね。
―― いろいろとお話を伺ってきましたが、改めてまさゆきさんの方で今日の話を振り返って思うところは何かありますか?
まさゆき 「ドラクエの結び目」を、もうちょっと形にしていきたいなと思いました。
―― やはり、まずいろんな人の「ドラクエの思い出」を聞きたいということが、まさゆきさんの中にあるのでしょうか?
まさゆき 最初に募集した文章を読んだときに、極端な話、自分ひとりで楽しむだけだとしても、それはそれで満足できるかもしれないと思いました。
―― まず、まさゆきさん自身には響いたわけですね。それくらい関心があるものだと。
まさゆき 間を置きながらですけど実践しているということは、それだけ響くものなんだと思います。だから、自分以外にも刺さる人はまだまだもっとたくさんいるはずで、まず、そういった人たちに届けられたらいいなと思いますね。
―― わたしも電子書籍の方を読ませてもらって、純粋におもしろかったんですよ。それが今回のインタビューに繋がっているので、自分もそれだけ心を動かされたと言えます。わたしも微力ながら応援していきたいと思います。
まさゆき よろしくお願いします。
―― 今日は、貴重なお話をたくさんお聞きすることができました。ありがとうございました。
【アフタートーク】特別な存在としての「ドラクエ9」と「メタルキング」
―― こちらのメタルキングのぬいぐるみは、いつ買われたものですか?
まさゆき 4~5年前だったかな。実家にはさらに大きいサイズのものがあります。
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―― やはり「まさゆきの地図」を象徴するモンスターということで、思い入れがある?
まさゆき そうですね。やはり特別な存在ですね。
―― 特別な存在になってしまったというか。
まさゆき だから好きなモンスターということではない気がします。好きとか嫌いではなく、特別なんですね。
―― 好きか嫌いかという文脈とは違う存在なんですね。
まさゆき だからドラクエ9もシリーズでいちばん好きかというと、ちょっと違う。好きということで言えば、はじめて遊んだドラクエ3や、発売前から楽しみにしていたドラクエ4の方が好きと言えるかもしれない。ドラクエ9も僕にとっては特別なんです。
インタビュー場所:メイプルリーフクラブ
札幌市豊平区豊平2条2丁目1-8
ホームページ:https://mapleleafclub.net/
本インタビューは、主にインタビュー時から15~36年前のお話をまさゆきさんにお聞きしました。そのためまさゆきさんご自身の記憶にどうしても曖昧なところが一部あるうえでのお話となっていることをご了承ください。本インタビューにあたっての資料提供に関して、下記の皆様にご協力をいただきました。こちらにお名前を紹介させていただき、お礼を申し上げます。(氏名五十音・アルファベット順、敬称略)
テト2號
山本耕平(らぐたろう)
脚注
↑01 | 現在フリーのメディアプランナーでとして活躍されている深田洋介氏が2003年から運営しているサイト。全国のゲームファンから投稿されたファミコンソフトの思い出を閲覧できる。2024年現在、投稿された思い出の数は1500を超える。2012年に「ファミコンの思い出」というタイトルで書籍化された。 |
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↑02 | 2019年9月から運営が開始されたスマートフォン対応の位置情報RPG。シリーズ各タイトルの関連イベントが定期的に開催されており、2023年9月にはドラクエ9のイベントが開始された。 |
↑03 | 022年から年1回のペースで開催されている『ドラゴンクエストウォーク』のリアルウォーキングイベント。指定エリア内に複数設置されたスポットをプレイヤー自身が全て巡ることで、ゲーム内特別称号をゲットできる。 |