見城こうじのアケアカ千夜一夜
第41夜『テラクレスタ』(1985年・ニチブツ)

ニチブツのお家芸! アニメなどのオマージュ満載のシューティング
『テラクレスタ』は、複数の機体によるフォーメーションや火の鳥攻撃など、男の子心をくすぐるアニメや特撮ノリの世界観が楽しい縦スクロール・シューティングゲームです。
この時期主流になり始めていた、地上・空中共通弾タイプのゲームで、基板によってFM音源版とPSG音源版のサウンドが存在することでも知られています。
以前、このゲームのディレクター藤原茂樹氏にインタビューをさせていただいたことがあるのですが、氏はこの製品に限らず、ゲームの仕様を大体一発でまとめ上げるとおっしゃっていました。その言葉のとおり、きれいなまとまりを見せるゲームです。

合体とフォーメーション、そして究極形態の火の鳥攻撃!
『テラクレスタ』は1~5号機の自機が存在します。ゲーム中に出現する格納庫からこれらを次々入手し、合体することで、どんどんパワーアップしていきます。
フォーメーション攻撃のボタンを押すことで合体済みの自機が分離し、フォーメーション攻撃を行います。これがカッコいい。しかも、フォーメーションは合体状況によって変化し、多く合体しているほど強力な攻撃を繰り出すことができます。
ただし、フォーメーション攻撃時にも1号機のやられ判定は残るので、ボンバーのような緊急回避系とは異なります。
ところが、これが全機合体時には一定時間無敵の火の鳥になり、敵に対して体当たり攻撃を行うことができます。全機合体達成時にこういうご褒美を用意している辺りの制作者の“わかっている感”はさすがです。
ゲームとしては、『ASO』や『B-WINGS』のようなシチュエーションに合わせて攻撃形態を選ぶタイプの遊びというよりは、そのときの装備で臨機応変に戦うゲームといったところでしょうか。

遊びやすく抑制の利いたゲームバランスを実現
『テラクレスタ』の敵の傾向の一つとして、地上物・空中物ともに破壊不能なキャラクターが散見される点が挙げられます。
自機の周囲を一定時間グルグル回る無敵の障害物も印象的ですし、地上物においても障害物が敵のすぐ隣に密着していたり、あまつさえ手前に配置されているなど、いい具合に敵を狙いにくく妨害してくるのですが、フォーメーション攻撃などを使うことでより楽に破壊できる辺りは、うまくバランスが取れていると思います。
また、『テラクレスタ』のシューティングゲームとして独特な点に、自機ショットの連射に強い規制がかかっていることが挙げられます。プレイヤーがどんなに素早くボタンを叩いても、一発一発のショットに広めの間隔が空いてしまうのです。
このため、耐久力の高い敵に密着して連打しても、ショットを素早く撃ち込むことが難しくなっています。「もっと撃ち込みたい」とも感じる反面、自機のショット性能が高ければ高いほど敵の攻撃も激しくする必要が出るので、これはこれでゲームをインフレさせないための一つの解ともいえます。
結果として、『テラクレスタ』は激しい連射系のシューティングが得意ではない人にとっても、親しみやすいゲームになっています。
最後に、敵キャラクターの話にちょっともどりますが、このゲームには恐竜のような敵が登場します。恐竜が登場する特撮ドラマやアニメは昔から多数あるので、登場は必然だったのかもしれませんね。ぼくが思い出したのは、めっぽう古いですけど『怪獣王子』や『恐竜探検隊ボーンフリー』だったり、ハリーハウゼンの映画作品だったり。制作者のかたがたはどの辺りの作品がイメージにあったのでしょうね。
では、また次回。

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