前作の良い部分をさらに洗練し、拡張し、多彩にして、プレイの幅を数倍にアップさせたような、まっすぐな続編『Slay the Spire 2』
いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ
『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。
今回ピックアップした1本は、こちら。
『Slay the Spire 2』!

タイトル:『Slay the Spire 2』
開発:Mega Crit
パブリッシャー:Mega Crit
リリース日: 2026年3月6日
価格:2,800円
配信プラットフォーム:PC(Steam)
様々な効果のあるカードでデッキを組み、
コストとリソースを考え、
シナジー(相乗効果)を考えて敵と戦い、
うまくいったときの気持ちよさにハマり、
うまくいかなかったときの歯痒さに唸り、
そうして気がついたらとんでもない時間までプレイしてしまっていた。
でもまたプレイしてしまう……。
そんな、生活にちょっと影響が出るレベルで夢中になってしまったプレイヤーが世界中に発生したデッキ構築型ローグライクの元祖とも言えるゲームの待望の続編。
それが今回紹介する『Slay the Spire 2』です。
2019年にリリースされた『Slay the Spire』は、ローグライク×デッキ構築カードゲームというジャンルを確立し、その影響を受けたインディーゲームを多数生み出しました。
そうしたデッキ構築ローグライクのフォロワーゲームが世にたくさん出てきても、その元祖と言える『Slay the Spire』はリリース以来ずっと人気が高く、それこそ何百時間も遊び続けている人がたくさんいるほど。
『Slay the Spire』はビジュアル的な派手さはないですが、じっくりと遊べて飽きのこない優れたリプレイ性を備えている“豊かなゲーム性の塊”と言えるゲーム。
そんな『Slay the Spire』の続編が、3月6日にアーリーアクセスでリリースされました。

『Slay the Spire』は、『プレイするごとに変わるルートを選びながら、マス目でごとにターン制のカードバトルを行ったり、イベントが発生したり、ショップに寄ったりして、手に入れたカードを組み合わせて自分だけの最強デッキを作りつつ、塔を登りきってボスを撃破する』という、シンプルなカードバトルゲーム。
ルート中に手に入るカードの引きやレリックの出現といった運要素がありつつも、その運要素を活かしたデッキを上手く構築できるかがプレイヤースキルであり、勝敗を大きく左右していくゲーム。
シンプルがゆえにとっつきがよく、カード性能をかけ合わせて大きな効果を出す“シナジー”のバランスや多彩さにも優れているので、非常に奥深い楽しみ方ができるのがポイント。


そんな良作の続編『Slay the Spire 2』はというと、
ド派手で今の時代に合わせた革新的な変化が盛りだくさん!
……ということではなく、基本システムは前作そのままに、その上に多彩さと奥深さをさらに拡張したものになっています。
いわば“正当進化”。
前作にあったターン制の戦闘、マップのリスクや手に入るものの選択、デッキ構築の魅力、ルート進行やエリート戦にボス戦などの流れはほぼそのまま。
大まかな輪郭は同じでありつつ、ゲーム性のブラッシュアップと拡張を行っているので、前作を遊びこんでいる人には“こういうのでいいんだよ的ないつもの味でありながらも新鮮”で、前作を知らない人には“すぐにハマれる完成された形”となっています。

では、『Slay the Spire 2』で拡張されたものはどういうものかというと、
まずは、『ネクロバインダー』と『リージェント』という新キャラクター2種類に、既存の3キャラクターも性能が大幅に変更されています。新キャラクターはもちろんとして、既存キャラもビルドが非常に多彩になっていて前作をたっぷりプレイしてきた人でも、また違う遊び方ができるのがポイント。
新キャラクターの『ネクロバインダー』と『リージェント』は、
『ネクロバインダー』はオスティという動く左手とともに戦うという、いわゆる死霊使いのような、モンスター使いのような性能。オスティをどう活かしていくかというデッキ作りが求められます。
『リージェント』は通常のカードコストであるエナジー以外に“スター”というもうひとつの要素があって、スターを消費することでより強力な効果のあるカードが使えるという独特な性能。それでいて、王族パーンチ! 王族キーック! というストレートな攻撃もあり、リージェントこと余はなんか世界中で人気。
どちらのキャラも、追加要素を持っていることでビルドが多彩かつトリッキーなものになっています。


また、ゲーム全体としても“予測がしきれない多彩さ”が際立っています。
ボスがランダムになったことや、カードの種類が最初からかなり多いため、前作にはなかったようなシナジーが可能になっていたりと、プレイごとに同じパターンになりづらいので前作よりもさらにリプレイ性が高く、やりこみの深いゲームになっているなと感じます。
プレイすることで開放される要素も多く、今作ではクエストを達成すると「断章」というストーリーラインが開放されて、キャラクターやレリックが追加されていきます。
ただ、アーリーアクセスが始まったばかりの段階だと、多くの「断章」のイラストが“テスト用画像”という手書きのチープ……もとい、温かみのあるイラストになっています。逆に、このテスト用画像はアーリーアクセスの今しか見られない、ある意味で特別なものになる可能性も。

今作では、何とマルチプレイも実装されています。
最大4人でフレンドと一緒にゲームにチャレンジできるというもので、バトルを一緒に戦うのはもちろんとして、いろいろな要素を共有できるのがおもしろいポイント。
ルート選択の画面の手書きも4人でできるし、宝箱のレリックを取り合いしたり。戦闘中もポーションの効果を味方に使ったりできるので、ソロプレイのときとは違ったおもしろさがしっかり実装されています。
ただ、現状はこのマルチプレイはSteamフレンド同士でないとできないフレンドオンリーですし、なによりDiscordなどでボイスチャットをしていないと、どうしても意思の疎通や連携が難しいところ。
いわゆる野良プレイヤー同士でもっと気軽にマルチをしたいという人は非常に多いでしょうし、野良であれば簡単なラジオチャット的なものも実装して欲しいとなっていくのかなと思います。
このあたりは今後の製品版完成へ向けてのアップデートに期待ですが、うまく機能が拡張されてくれたら本作の最もおもしろい魅力になるなと感じます。

待望の続編である『Slay the Spire 2』ですが、そのアプローチは非常にどっしりとしたもので、革新的な新機軸を打ち出すような続編ではなく、前作の良い部分をさらに洗練して、拡張して、多彩にして、さらにレベルの高いものに仕上げています。
前作を踏まえた上でより理想を広げて実現したような、まっすぐな続編。
パッと見たときの印象は前作とあまり変わらないように見えてしまうかもしれませんが、アーリーアクセスでリリースされたばかりの現段階でもそのゲームバランスは非常に優れていて、遊べば遊ぶほどに、前作よりもプレイの幅が数倍に広がっているのを実感できるものになっています。
前作に1000時間費やした人にも、前作は未プレイな新規の人にも全力でおすすめできる『Slay the Spire 2』。じっくりと一人静かに取り組める最高峰のゲームとしても、フレンドと新しい遊びを味わえるゲームとしても、オススメの1本です。
© Mega Crit
