「ゲームニクス」で考えるゲームの魅力 第六十四回 協力プレイ Part2

  • 記事タイトル
    「ゲームニクス」で考えるゲームの魅力 第六十四回 協力プレイ Part2
  • 公開日
    2026年03月27日
  • 記事番号
    14114
  • ライター
    鴫原盛之

当コラムでは、「ゲームニクス理論」をもとに、なぜゲームがおもしろくなるのか、どうしてプレイヤーはゲームに夢中になってしまうのかを、おもしろおかしくご紹介していきます。

第六十四回のテーマは「協力プレイ Part2」です。

第九回では「ゲームニクス理論」の「原則3-D-⑫:協力・対戦プレイの導入」のうち、「協力プレイ」にフォーカスしたうえで、古い時代の導入例を中心にご覧いただきました。

今回は、以前に紹介し切れなかった、プレイヤーがますますゲームにハマってしまう、趣向を凝らした「協力プレイ」を導入したタイトルの数々を、筆者の思い付く限りではありますがご紹介したいと思います。どうぞ最後までご一読ください!
 

「ゲームニクス」とは?
現亜細亜大学教授のサイトウ・アキヒロ先生提唱による、プレイヤーが思わずゲームに夢中になる仕組みを理論・体型化したもの。
本稿では、「ゲームニクス理論」を参考に、ありとあらゆるゲームのオモシロネタをご紹介していきます。「理論」というおカタイ言葉とは正反対に、中身はとってもユルユルですので、仕事や勉強の休憩時間や車内での暇つぶしなど、ちょっとした息抜きにぜひご一読を!

 

 

プレイヤーごとに性能、役割が異なることで生まれる楽しさ

第九回で最初に採り上げた『マリオブラザーズ』(任天堂/1983年)は、2人プレイ時は1Pがマリオ、2Pがルイージを操作し、連係によって敵を倒すのがおもしろい作品であることは、もはやくわしい説明は不要でしょう。

本作に登場するマリオとルイージは、風貌も性能もまったく同じですが、やがてプレイヤーキャラクターごとに性能が異なるタイトルが相次いで登場するようになりました。例えば、同じマリオが主人公の『スーパーマリオブラザーズワンダー』(任天堂/2023年)は、マリオやピーチ、ヨッシーなど性能が異なるキャラクター同士で、最大4人まで「協力プレイ」が可能です。

本作のほかにも、『エーペックスレジェンズ』(エレクトロニック・アーツ/2019年)や『機動戦士ガンダムエクストリームバーサス2 インフィニットブースト』(バンダイナムコアミューズメント/2025年)など、今では多くの人気タイトルで性能が異なるキャラクターによる「協力プレイ」、または「対戦プレイ」が導入されていることは、多くの皆さんがご存知のことと思います。
 

このように、性能の異なるキャラクターを操作して「協力プレイ」が遊べるタイトルは、実はかなり古くから登場しています。

一例を挙げますと、アーケード用アクションゲーム『ガントレット』(ナムコ、開発:アタリ/1986年)は、プレイヤーごとに戦士、女戦士、魔術師、妖精のいずれかを操作し、最大4人まで同時にプレイすることが可能です。

戦士は斧、女戦士は剣、魔術師は炎の魔法、妖精は弓矢が武器で、それぞれ攻撃力、防御力、移動スピードなどが異なります。例えば、接近戦に強い戦士は前衛で、逆に苦手な妖精は後衛に回るといった要領で、プレイヤー同士で連係しながら敵を倒す楽しさを生み出しています。

本作とほぼ同時代に登場した『イシターの復活』(ナムコ/1986年)も2人の主人公、騎士のギルと巫女のカイは、それぞれ性能がまったく異なり、ギルは剣で、カイは魔法を駆使して敵を倒します。

その後、ことアーケードゲームに関しては『ゴールデンアックス』(セガ/1989年)や『ファイナルファイト』(カプコン/1989年)、『ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム』(カプコン/1994年)など、性能違いのキャラクターで「協力プレイ」が遊べるシステムは、主にベルトスクロールアクションゲームで数多く導入されています。
 

ここで懐かしの作品から、ちょっと変わった「協力プレイ」のアイデアをまとめてご紹介。

アーケード用アクションゲーム『サイバータンク』(開発:コアランド、販売:タイトー/1988年)は、2人プレイ時は1Pが戦車の移動、2Pは銃を操作して敵を倒す、つまり1台の戦車の操縦を2人で分担しながら遊ぶルールになっています。

同じく『ラッキー&ワイルド』(ナムコ/1993年)にも、2人プレイでは1Pがハンドルやペダルで車の操作を、2Pがガンコントローラーを操作して敵を倒すアイデアが導入されています。

シューティングゲームの『サイドアーム』(カプコン/1985年)には、特定の地点を撃つと自機のロボットが合体して性能が大幅にパワーアップするアイテムが出現します。

本作では、1人プレイのときは画面外から別の機体が飛来して合体する演出が見られますが、2人プレイ時は合体アイテムを取った側の機体に別のプレイヤーが操る機体が合体し。合体後はプレイヤーごとに機体の操作、ショット発射のいずれかに役割が分担されます。

もっとも本作の場合は、合体された側のプレイヤーは機体をコントロールできなくなり、ただショット発射ボタンを「押すだけ」になってしまうので、プレイヤーによっては退屈になるからと、2人プレイ時は合体を避けて遊んでいた人もいたようです。
 

「協力プレイ」専用システムの導入

第九回でもご紹介した『コズモギャング・ザ・ビデオ』(ナムコ/1991年)では、1人プレイ時には出現しない、2人プレイ専用の攻撃アイテムが出現することで、プレイヤー同士で連係しながら敵キャラと戦う楽しさを生み出しています。

『1943』(カプコン/1987年)には、プレイヤーの自機同士が触れると、エネルギーが多い側の機体から、少ない側の機体にエネルギーを補充できる、これまたおもしろいアイデアが導入されています。
 

『フォートナイト』(Epic Game/2018年)に代表される、現在世界中で人気のバトルロイヤルゲームは、1チーム2人で対戦する「デュオ」、1チーム4人で対戦する「スクワッド」など、「協力プレイ」または「対戦プレイ」専用のモードやルールが用意されていることは、多くの皆さんがご存知のことでしょう。

ほかにも「協力プレイ」専用モードが遊べるタイトルはいろいろありますが、ちょっと変わった形で用意していたのが『ストリートファイターZERO』(カプコン/1995年)です。

本作では、キャラクター選択画面で隠しコマンドを入力すると1Pがリュウ、2Pがケンを操作して、悪の帝王ベガと2対1で対戦する、その名も「ドラマチックバトル」が遊べるようになります。つまり、本作では「協力プレイ」を「裏技」として盛り込んでいたわけですね。

さらに本モードでは、2人分の体力を共有するルールになっているため、1人プレイのCPU戦、あるいはプレイヤー同士での「対戦プレイ」とはまた違ったおもしろさがあります。
 

ハードの進化と創意工夫が生み出した「協力プレイ」の新たなアイデア

時代とともにハードの性能が向上、あるいはネットインフラが発達することで、「協力プレイ」のバリエーションがさらに豊かになった感があります。

そのわかりやすい例のひとつが、PS3などで発売されたサッカーゲームの『FIFA 11 ワールドクラスサッカー』(エレクトロニック・アーツ/2010年)です。本作には『FIFA』シリーズ初となる、11人対11人の「協力プレイ」および「対戦プレイ」、つまりリアルのサッカーとまったく同じ形で遊べる機能が実装されました。

『メタルギアソリッド』(コナミ/1998年)シリーズは、主人公のスネークを操作して潜入ミッションを遂行するゲームですが、PSP用ソフトとして発売された『メタルギアソリッド ピースウォーカー』(コナミ/2010年)には、最大4人まで同時に「協力プレイ」ができる「CO-OPS」モードが導入されました。

本モードでは、プレイヤー同士が近寄るとライフや気力ゲージの共有のほか、装備品の交換や可能になるなど、1人プレイよりも有利な状況でバトルや探索ができます。このような遊びが可能となったのは、PSP本体にアドホック通信機能が搭載されていたからこそでしょう。

オンラインでのプレイが前提となるMMORPGには、たまたま居合わせたプレイヤー同士で自由にパーティーを組んで遊べるほか、チャットを交わさなくてもアイテムの交換、他のプレイヤーの体力を回復するなどの方法で「協力プレイ」ができるおもしろさがあります。

前述の『スーパーマリオブラザーズワンダー』も、実はMMORPGと同様に、オンラインプレイ中に困っているプレイヤーを見掛けたら、ストック中のアイテムをいつでもプレゼントすることが可能です。

また本作では、主人公が敵に捕まると「タマシイ」に変化してカウントダウンが始まり、ゼロになるとミスになります。ですが、カウントダウンが終了するまでの間に、ほかのプレイヤーにタッチしてもらうか、ほかのプレイヤーが設置したパネルに触れると、元の状態に復活できるおもしろいアイデアを導入しています。
 

まだオンライン対応ではなかった時代のアーケードゲームにも、前述の『サイバータンク』や『ラッキー&ワイルド』とはまた違った形で、専用筐体を使用して画期的な2人「協力プレイ」のアイデアを導入したタイトルがあります。

その作品とは、ガンシューティングゲームの『タイムクライシス2』(ナムコ/1998年)です。

本作の筐体にはモニターが2台搭載され、2人プレイ時はプレイヤーごとにいずれか一方のモニターを見ながらプレイしますが、2人の進むルートが「分岐」する場面に進むと、それぞれの画面にまったく異なる景色が映し出されます。つまり「分岐」が発生すると、2人とも同じ空間内にいながら、それぞれ異なる立ち位置で敵と戦うことになります。

よって「分岐」中は、例えばプレイヤー同士で「俺の位置からは遠過ぎて狙いにくい、あの敵をお前が倒してくれ!」「挟み撃ちしよう!」などと話し合いながら楽しめるわけですね。
 

以上、今回は「協力プレイPart2」をお送りしましたが、いかがでしたでしょうか?

プレイヤー同士で役割を分担したり、息を合わせて同じ敵を狙い撃ちしたり、目的地に向かったりするなど、1人プレイでは体験できない遊びは、おそらく今後もなくなることはないでしょう。

「ゲームニクス理論」とは直接関係がないかもしれませんが、今よりもデジタルデバイスやネットインフラがさらに発達し、例えば「ボイス」チャットでもリアルタイムで同時通訳ができる機能が定着する時代になれば、また新たな「協力プレイ」のアイデアが誕生するように思われてなりません。

繰り返しになりますが、「協力プレイ」に関するくわしい解説は「ビジネスを変える『ゲームニクス』」 の「原則3-D-⑫:協力・対戦プレイの導入」の項で解説していますので、興味のあるかたは本書をぜひご覧ください。

それでは、また次回!

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