秋葉原の修理屋になって思い出のレトロゲーム機やデバイスを直しまくり! 誰もが知る製品の数々にニヤリ、分解修理の没頭する楽しさが味わえる1本『リ・ストーリー: 思い出修理屋』

  • 記事タイトル
    秋葉原の修理屋になって思い出のレトロゲーム機やデバイスを直しまくり! 誰もが知る製品の数々にニヤリ、分解修理の没頭する楽しさが味わえる1本『リ・ストーリー: 思い出修理屋』
  • 公開日
    2026年08月21日
  • 記事番号
    14707
  • ライター
    山村智美

いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ

『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。

今回ピックアップした1本は、こちら。

『リ・ストーリー: 思い出修理屋』!

 

タイトル:『リ・ストーリー: 思い出修理屋』
開発:Mandragora
パブリッシャー:tinyBuild
リリース日: 2026年8月7日
価格:1,999円
配信プラットフォーム:PC(Steam)

 

ゲーム機やコントローラーを“分解”してみたこと、

ゲーム好きなら1度はありますよね。

ボタンのゴムを交換したり、アナログスティックの不調を掃除して直したり。

分解してもとに組み立てるときの工程に

「こういう構造なんだ、よく考えられてるなぁ~」と感心したり。

ときには分解したあと戻せなくなったり。

うまく直せたときには、ちょっと自分が誇らしくなったり。

そんな修理を専門にする修理屋さんになって、

誰もが知る“いにしえのゲーム機やデバイス”を直していく。

それが今回紹介する『リ・ストーリー: 思い出修理屋』です。

舞台は、2000年代前半の東京、秋葉原。

2000年代の前半というと、PlayStation 2が全盛期を迎え、ゲームキューブやゲームボーイアドバンス、初代Xbox、そしてニンテンドーDSやPSPが登場した、多様で活気にあふれる時代。
ゲームセンターも格闘ゲームが続いてまだまだ賑わっていて、PCやネットも一般的になっていった頃。

秋葉原はというと、メイドカフェが登場してきて街が変わっていく片鱗が出始めていた頃でしょうか。

そんな時代の秋葉原の片隅で、電子機器修理屋を営むのが本作です。

プレイの流れとしては、ゲーム内の1日の時間内でいろいろな修理依頼をこなしていくというスタイル。

1日のスタートは、まず朝8時に店のシャッターを上げるところから始まります。修理屋の朝は早い。早すぎる気もしますが。

修理依頼はメールオーダーか、お客さんからの店頭持ち込み。

ちなみにメールオーダーのメールのアドレスは、So-netだったりBIGLOBEだったりVodafoneだったり、さらには大学のドメインだったりと、当時を知る人なら思わず反応してしまうような細かな再現がされています。

そんなこんなで手元にやってきた修理品。

まずはネジ穴を探してネジを外し、分解していきます。

基本的な修理として、分解して内部を清掃するだけで直るものもあれば、中のパーツが破損していて交換しないといけないものもあります。

必要なパーツは、CRTモニターに映る2000年頃のウェブブラウザから注文。ジャンク品を買って部品を取ってニコイチで仕上げることもできます。

ネット通販のモノタ……ビノタロウでツールを購入すると、より清掃が楽になったり、はんだ付けやファームウェアの更新などもできるようになっていきます。
 

近隣のお店で働いている人が修理品を持ち込んでくることも。お店の上の階に住んでいる人からゲーム機の修理を依頼されたり、電気工事のおじさんから思い出の品の修理を依頼されたり。

区域のおまわりさんが訪ねてくることも(秋葉原なのでたぶん万世橋警察署の人でしょう)。

本作は関わっていく人々とのストーリーもしっかりとあって、依頼の際のちょっとした会話から、そのお客さんの仕事や生活を感じさせるような、ちょっとリアルなものもあります。

中には修理屋のようなところに持ち込まれるデバイスの中には“本当はその人の物ではないもの”もあるのかも……そんな想像もさせる不穏さもあったり。「あの人が……? たしかに持ち込んでくる修理依頼はちょっと不自然か? いやいや……」という感じに、先の展開が気になってくる力がしっかりあるのが魅力。

ただ、翻訳ままなセンテンスの長さで読みづらいなと感じるテキストなのがもったいないなーと感じたところ。ストーリー自体は結構魅力があるので、がんばって読み解きたいところです。

修理するものの種類は、かなり豊富。

Atariのゲーム機やジョイスティックは正式ライセンスを取っているそうで名前をそのまま使っています。

一方で、あの携帯ゲーム機「MONYのPMP」、初代の「XI BOX」、小さなタマゴ型でペットを育てる「エッグゴッチ」、歩きながら音楽が聴ける「MONYのGOMAN」、その場ですぐ写真が出てくるパラロイドカメラ……。

レトロなゲーム機やデバイスが、たっぷり出てきまし、その内部の構造もしっかりと再現されているのが本作の大きな魅力。

自分は現実でPSPを分解したことがありますが、本作のMONYのPMPは、バッテリーを外してから触れるネジ、基板と金属プレートが重なって収まっている構造、プレートの奥にあるWifiボードなどなど、本物にかなり近いです。

もちろん、ゲームとしてほどよいデフォルメはされていますけれど、納得感があるのがとてもいいですね。
 

ゲームの序盤は比較的シンプルなデバイスを修理していきますが、段々と複雑な構造の製品も登場していきます。

自分が最初に手こずったのは「MONYのGOMAN」。いわゆるウォークなマンです。

小さな筐体の中にパーツがぎっしり詰まっていて、分解している途中で、「これ元に戻すの大変だぞ……」という不安がじわじわと湧いてくるのがリアル。

組み立て直すときにも「これ順序がどうなってたっけ……?」と悩んで、かなりの時間が経過していきました。それでも何とか元通りに組み直せたときの「よかったー」という安堵感も、分解あるあるなだなーと感じます。
 

ちなみに、修理できる製品はメーカーの公式ライセンスを購入することで増えていきます。仕事でお金を稼ぎ、そのお金でライセンスを買い、取り扱える製品を増やしていく。それに連れて修理の難易度も上がり、ゲームとしてのバリエーションが広がっていくというわけですね。

そんなことをしているうちに、ゲーム内の時間は0時近くに。

シャッターを下ろして閉店。

それでも店内で修理を続けて、明日に発送する修理完了品を準備したり、修理するために足りないパーツをネット注文したり。

気づけば時計の針は深夜3時12分。

さすがに店を後にしますが、主人公は自転車で通っているよう。おそらく浅草橋あたりに住んでいるのかもしれません。

収支をまとめた書類にハンコを押して一日が終了していきます。

(この主人公働き過ぎだろう……)と思いつつも、その時間まで粘っているのはプレイヤーである自分なわけですが、何と次の1日は翌朝8時にまたスタートします。

睡眠時間2~3時間でまた職場に戻ってきた……? 「この主人公はほどなくしてぶっ倒れるだろうな……、ちゃんと休みを取るんだぞ」と思うばかりです。

修理に“没頭していて気がついたらかなり時間が経っている”というリアルな感覚。初挑戦のデバイスに手こずっているときの不安や無事に直せたときの気持ちよさ。

持ち込まれる修理品にまつわる“持ち主の思い出”の気配。

チルなBGMの中、黙々と修理をこなしていく、じっくりとしたプレイ感覚。

かつていろいろなゲーム機やおもちゃやデバイスを購入してきた人、ちょっとした分解修理をしたことがある人、じっくりと没頭できるゲームを探している人に、オススメの1本となっています。ぜひチェックしてみてください。

© tinyBuild, LLC. All Rights Reserved.

こんな記事がよく読まれています

2018年04月10日

ゲームセンター聖地巡礼「1980~1990年代 新宿」前編

今回から、新企画「ゲームセンター聖地巡礼」の連載がスタートします。当研究所・所長の大堀康祐氏と、ゲームディレクターであり当研究所のライターとしても協力いただいている見城こうじ氏のお2人が、1980~1[…]