見城こうじのアケアカ千夜一夜

  • 記事タイトル
    見城こうじのアケアカ千夜一夜
  • 公開日
    2026年09月11日
  • 記事番号
    14787
  • ライター
    見城 こうじ

 

第64夜『スチールワーカー』(1980年・タイトー)

1980年に生まれた先進的なキャラクター誘導ゲーム

『スチールワーカー』は、2方向レバーでさまざまな形状の鉄骨を選び、「選択」ボタンで決定、うまく道をつないでワークマンを画面の反対側まで送り届けるゲームです。

「逆戻り」ボタンを使うと、1ラウンドにつき3回だけワークマンを逆戻りさせて時間を稼いだり、障害物のクレーンとのタイミングをずらすことができます。

一言でいうと「キャラクター誘導型」もしくは「パネル結合型」ゲームといったところでしょうか。

直接制御できないキャラクターをゴールへ導くゲームといえば、時代を下れば『ガッタンゴットン』『レミングス』『ぐっすんおよよ』『チューチューロケット!』などいろいろありますが、1980年当時としてはきわめて珍しいタイプの遊びだったと思います。

ぼくの記憶ではかなりのレアゲームで、リリース当初は少ないながらもタイトー直営店舗に設置されていたのですが、その斬新すぎる内容から当時のプレイヤーにあまり受け入れられることなく、どこのお店でも早々に引き上げられてしまった印象です。

さまざまなタイプのゲームが当たり前に共存している現代の視点で見ると、開発者が何をやりたかったかは一目瞭然でよくわかるのですが、1980年のゲームセンターでは戸惑う人が大多数だったろうと思います。

ぼく自身、稀にお店で見つけることができても、慣れないうちにあっという間にゲームオーバーになってしまった記憶しかなかったので、家庭用に移植されていくらでも遊べることで新たな発見もあり、本当にありがたいです。

逆戻りボタン、通過必須の鉄骨、同じ場所に戻ってこられる等、独特な仕組みの数々

改めてプレイしてみると、このルールとスピード感で、鉄骨をつなげるのみならず、上下する2基のクレーンもかわす必要がある、というのはなかなかの高難度に感じました。

逆戻りボタンも使いかたが難しくて、どのタイミングで押しても、「今渡っている鉄骨パーツを最後まで歩いた時点」で逆戻りを開始するので、クレーンを避けるために使おうとした場合、気づいてももう手遅れということが多く、非常に手ごわい。

少し戸惑ったのが、プレイヤーは常に「今乗っている鉄骨の次の鉄骨」しか確定させることができず、また、あらかじめ次の選択候補にカーソルを合わせておくこともできない点です。

頭の中でルートの組み立てができていても、選択・決定の操作は常に直前に行う必要があるのです。一つひとつの鉄骨が短く、移動速度も決して遅くはないので、かなり慌ただしくなります。

とくに、中央にあらかじめ設置されている通過必須の鉄骨に結合した際、その時点でプレイヤーとしてはさらに一つ先の鉄骨も選択したくなるのですが、通過必須の鉄骨も一つにカウントされているため、この鉄骨の上に来るまで、その先の鉄骨の選択ができません(小休止の時間という考えかたもできるかもしれませんけれど)。また、逆戻りボタンで戻っている間も次の鉄骨の選択ができない。

あと、ルールとして「既に鉄骨がある場所に戻ってきた際も、再度鉄骨を置く必要がある」ことも今回初めて知りました。通過済みの古い鉄骨は、絵が消去されずに残っているだけで、ヒットチェックをしてないため、新旧の鉄骨同士が重なるのです。

おそらく、一度使用した鉄骨にルートをつなぐことができてしまうと、ゲームとして破たんするので(ルート分岐が発生することになるが、ゲームの仕組みとしてそれに対処する方法がない)、それで、このようになっているのではないかと思います。

ハムスターさんの公式ページの動画を見ると、この鉄骨の重なりをも、うまく使ってプレイされていて、なるほどと思いました。

とはいえ、2つの鉄骨が重なっている時点で、状況はかなり難解になっているので、なかなか上級者向けの仕組みではあります。

だから、この点だけの解決を考えたら、通過した鉄骨は画面から消去されればよかったのかもしれませんが、自分で作ったルートがそこに残るのがこのゲームの楽しさでもあるので、それはそれでちょっと寂しくなりますね。

ランダム要素もうれしい『スチールワーカー』

慣れてくれば、けっして複雑なゲームではないので、先へ進めるようになってきます。『スチールワーカー』は少しだけ早すぎたゲームだったのかもしれません。個人的には、同時期の同社のゲームとしては『クレイジーバルーン』と同じくらい先進的で意欲的なシステムだと思います。

歴史にifはありませんが、数年後のハードで同じようなアイデアのゲームを作っていたら、かなり違った仕上がりになっていたでしょう。

UIももっとわかりやすくなっていたでしょうし、最初の数十秒はミスにならないような作りにしたり、道作りのヒントを出してあげるなどもできたかもしれません。上級者に向けては、たとえば折れ曲がる鉄骨をうまく利用してアイテムを取りに行くようなアイデアもきっと出ていたと思います。

最後に、五月雨式になりますが、その他に感じたことです。

・毎ゲーム、プレイヤーのスタート地点や中間の鉄骨の配置パターンが変わるのがすごく良いですね。クレーン回避が難しいパターンが来ることもあるのですが、それもよしです。

・アーケードアーカイブス版のマニュアルにも記述があるのですが、急にワークマンの移動速度が変わるときがあるのは難易度づけの一環なのでしょうか? 理由がよくわからないので戸惑うのですが、そういう予測のつかない仕組み(?)が入っているのもいま見ると楽しいです。

・クリアボーナスが100点、200点という小さな単位で上がっていくところにも時代を感じさせます。『スペースインベーダー』のUFOと同じぐらいの配点感覚ですね。

では、また次回。

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