餅月あんこのゲーセンに行きたい!

  • 記事タイトル
    餅月あんこのゲーセンに行きたい!
  • 公開日
    2022年02月18日
  • 記事番号
    7007
  • ライター
    餅月あんこ

第41回 橋本新義さんと話したい!(後編)

前回に引き続き、シューティングゲーム(特にケイブさん作品)が大好きという、編集者&ライターの橋本新義さんに、ケイブ広報のしたっぱさんにもおつきあいいただいて、お話をうかがっていきます!

お話に参加していただいたお二人

橋本新義さん
Engadget日本版などで執筆されている、パソコンやITガジェットなどの記事を扱うライター兼編集者さん。
シューティングゲーム、特にケイブさん作品のファンで、「シューティングゲームサイド」ではケイブのIKDさん(池田恒基さん)インタビューも担当された。
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したっぱさん
ケイブさんの広報で、非公式放送「ケイブるてれび」レギュラーでおなじみの、よく和服を着ている女子。
男の子と女の子のママのシングルマザー。シューティングゲームが好き。
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『怒首領蜂』に咲く花の元ネタ!?

先ほどのしたっぱさんのお話で、人生の転機になったとおっしゃってた『怒首領蜂』の花なんですけど、実は元ネタがあると思われるんですよ。

  

  

えっ、そうなんですか。

そのひとつは、「ケイブるてれび」さんで「東亜プランはケイブのご先祖様」っていう話をされてましたけど、実は『メガドライブミニ』にも入ってる東亜プランの『スラップファイト』っていうゲームがあるんですが、そこで実はレーザーっていう武器を取っていると、隠しキャラでああいう感じで花が咲く場所があるんですよ。

――― へぇ~!
  

そうなんだ……元ネタ……(びっくりして心から絞り出たようなすごく小さい声)。

隠しキャラでアサガオっぽい花が出てきて。咲かせかたとしては、『怒首領蜂』は特定の位置に自キャラを持って行くと咲くんですけど、『スラップファイト』は特定の場所を撃たないと出ないんですね。でも突然シューティングの雰囲気ぽくない、「花が咲く」っていうのは滅多にないので……というか、それくらいしか見たことなかったので、それが元ネタのひとつかなぁ、と思ってます。余談ですけど、『スラップファイト』はレーザーで急速に花が育つので、プレイヤーの間では「放射線で育ててるんだ」という説があります(笑)。実はおっかない花かもしれない(笑)。

――― (笑)
  

すごい、いろいろ考えられてる(笑)。

怒首領蜂』の自キャラくらいでっかいキャラなんですよ、『スラップファイト』の花。どうしてその、「花が咲く」という演出がまた『怒首領蜂』に登場したのかはまったくわからないんですけどね。

なるほど。私は『スラップファイト』もやりたいと思ってるんですが、まだ未プレイなんですよ。やっぱり東亜プラン系のタイトルは、ゲーセンでやりたいと思っても、今、仕事がらみで調べたいゲームをついつい優先してプレイしてしまうので、東亜プランのゲームまで全然さかのぼれてないんです。自社のゲームや、他社さんやインディーズの最新のシューティングゲームを追うだけで手一杯の状態が何年も続いてて。だからずっとやりたいと思っていた東亜プランの作品を、エムツーさんが移植を進めてくれてるので、すごく自分にとって向かい風というか……。

逆、逆!

向かい風じゃない、追い風か(笑)。

――― わははは!
  

……すごく嬉しい流れだなと(笑)。楽しみです。

『スラップファイト』も、たぶんやってくれるんじゃないかな。「メガドライブミニ」にも入ってるし。人気のあるタイトルなんですよ。

そうですよね~。

あと、おもしろい隠し操作があったりして。「ヘルパー」っていうお助けキャラが出て来るんですけど、普通は自動で動いて敵を攻撃してくれるんですけど、実は2P側で操作できるんですよ。それをやると、2人同時プレイがすごく楽になるんです。

――― へぇ~。
  

ちょっとおもしろくなるんです。一時期、ラクすぎるので、スコア集計どうするんだ、って問題になったこともあります。

あはは。

『マリオギャラクシー』みたいな感じです。『マリオギャラクシー』はお助けキャラをプレイするとすごくラクだったりするんですけど、自分が撃ちに行けない敵を、2Pのヘルパーが撃てたりして、すごいおもしろいんです。

なるほど~。

――― 『スラップファイト』は、Heyさんにありますか?
  

たまに入るときがあります。

――― ああ、たまに変わりますもんね、ラインナップが。
  

一番遊びやすいのが「メガドライブミニ」です。『スラップファイトMD』を、アーケードモードでプレイしてもらえれば。

――― なるほど~。
  

そんなのが、花が咲くという演出の元ネタかな? っていう話でした(笑)。

すごい。俄然気になる。先日の配信中にも『スラップファイト』の話が出てきて、これはやらなきゃ、と思ってたんです。

今日の話でいうと、『グラディウス』のパワーアップシステムみたいなのがついてる珍しいゲームでもありますよ。実はやってみるとそんなに難しくなかったりして、独特のゲームなんですよね。あとは敵の弾の撃ちかたが、一部、意地悪なのがあって、わざとはずしてくるところがあるんです。

なるほど、曖昧な自機狙いみたいな弾が。

そうそう。一番避けにくいやつですね(笑)。

(笑)

――― え~! そんなのあるんだ!
  

直接狙ってくれるんじゃなくて、移動した先に飛んでくるみたいな(笑)。

「ケイブの弾を避けてるな」

そうそう、自分がケイブさんのゲームをとても好きな理由に、敵の撃ち筋がきちんとしてる、というのもあるんです。

ああ!

今のシューティングゲームって、敵の攻撃を避けるんですけど、「避けさせてくれる攻撃をちゃんと撃ってくれるか」っていうのが、攻略するときにすごい重要なんです。要するに、変なズラしかたをしないとか、自機が同じ動きをしたら同じところに撃ってくるか、っていう。

確かに、ケイブシューって弾幕が多くて、弾をいっぱい撒いてるように見えるんですけど、ちゃんと避けかたというか、「こうやって行けば大丈夫」っていうのを、実は敵が教えてくれてるところがあって。

――― へぇ~、そうなんですか!?
  

ヘタに動かないとか、コッチに行くとこういう流れになる……流れに乗っていくように攻略を組んでいくっていうおもしろさがあって、そこは相当IKD(ケイブCOOの池田恒基さん)はじめ、プログラマーが緻密に考えて作ってるところだと思うので、「自分がちゃんと避けられてる」っていう快感が得られるようにとか、そこはかなり頑張ってるんじゃないかな、っていうのはありますね。もちろん他社さんでもそういうふうにやられてるところはありますが、ウチはウチでまた独特な、「あ、ケイブの弾避けてるな」という感覚はあります。

――― ケイブの弾!!(笑)
  

ほんとにそういうのがあるんですよ(笑)。敵の「撃ち筋」って言ってるんですけど、将棋とかと同じような感じで。それが作品ごとに微妙に違ったり、会社によって差が出たり、それがおもしろいところです。

――― なるほど~。
  

でね、今のケイブさんのおもしろいところは、ちゃんとやられるようには作ってるんですけど、実はあんまり意地は悪くない感じになってるんです。いきなり速い弾が混ざってきたりとか、心の準備がしにくい弾、っていうのが最近は少なくなってきているので。ただ、すごいのは、プレイヤーがちゃんとミスもするように作ってるんですね。

――― えええ、どういうことでしょうか。
  

これは全般的に他のアクションゲームや、シューティングゲームもそうなんですけど、今のゲームがすごいところは、意地悪な攻撃をしないんだけど、ちゃんとプレイヤーがミスをするような方法論が確立されてるんです。アクションゲームで難しいのは大体そうなんですけど、やっぱり何回も何回も死ぬんだけど、プレイヤーが「それはズルい」とは思わず、ギリギリ納得できるところで、再挑戦したくなるっていう感じに、うまいバランスを取って留めてくれてるんですよね。昔のゲームはそこらへんのノウハウというか方法論が少なかったので、ズルいやりかたじゃないとミスを引き出せなかったというか。どうしてもズルく見えちゃうんです。だからそのへんが、今のゲームを遊んでいて、すごいなあ、と思いますね。ズルくないように見えて、ちゃんとやられるように作ってる(笑)。そこらへんが、ケイブさんがすごくうまいんですよ。

――― ほほ~、さすが!
  

あとは自キャラもね、すごく信頼度が高いんです。

――― 自キャラの信頼度。
  

要するに、「自分が弱くて死んだ」っていう感じをあまり受けないんです。

圧殺される感じはないですよね。

そうそう。最初はやってると、敵がなかなか倒せない、いわゆる「カタい」ゲームってあるんですけど、いろいろ工夫していくと、必ず適度なタイミングで倒せるような感じになってるんです。

――― あ~、大事ですよね。
  

それで、重要なところをある程度同じような動きをしていると、だいたいミスしないとか。以前の、あまりつくりが上手くないゲームって、自キャラがすごく弱くて、敵にやられた場合、自分が弱くてやられた、というような印象のものが多かったんです。ケイブさんのゲームは、自キャラが強いので、ちゃんとした動きをしてると、ミスしたときに、自キャラが弱いのが原因というわけではなく、「自分がミスしたからだ」ってちゃんと思える……やられた瞬間は「やられた! こんちくしょう!」なんですけど(笑)。

――― うんうん。
  

そういうふうに、自キャラが信頼がおけるような強さなので、プレイヤーとしてはありがたいですね。

――― なるほど~。「このゲーム難しい!」ってイヤになっちゃうとダメですもんね。微妙に「悔しい! もう1回!」みたいな。
  

そうそうそう。昔のゲームって今やるとそこらへんがつらい作品が多いんですよね。

――― 昔って厳しいゲームが多かった気がしますよね。
  

ケイブさんのゲームは昔からそこらへんがうまくて、プレイヤーとして信頼できるんです。「このキャラクターだったら1コイン預けられるぞ」っていう感じです。

――― あはは。
  

格ゲーとかだと多いじゃないですか。調整でバージョンアップして弱くなっちゃって、「このキャラを使い続けていいんだろうか」って迷うみたいな。

――― ああ~。
  

はいはい。

シューティングゲームはそんなにキャラクターは多くないんですが、「このキャラクターだと弱いからコイン投入するのに戸惑っちゃうなぁ」みたいなのが。そこがケイブさんはうまいんですよね。

――― お金を入れたくなるんですね。
  

『怒首領蜂大復活』なんかは自機が最初からメチャメチャ強いですからね。自機も強いけど、敵も強いよ、みたいな。『怒首領蜂大復活ブラックレーベル』になるとそれがさらに強調されますね。「敵も強い! 自分も強い!」みたいな。力のぶつかり合いだけど、敵の弾をいかに上手く誘導して、自分はそんなに避けないで済むっていう軌道を見つけるおもしろさが得られるように設計されてるなと。私も後から自社のゲームを追っかけてプレイして、「何でこんなに愛されてるんだろう、どういうところが魅力なんだろう」って……もちろん多角的にあるんですけどね、キャラクターの魅力や、ビジュアル面や、音楽だとか。ゲーム的にもこんなに長く、10年以上プレイしてくれてる人がたくさんいるのはどうしてだろう、と。

――― そうですよね~。
  

プレイヤーの熟練度に、長い期間、寄り添うように作られてるゲームが多い気がします。『怒首領蜂大復活』なんかは特にそのいい例だと思うんですけど、ただ1周を目指すだけだったらボムをボンボン使っていけば進めますし、被弾してもオートボムが出るのでラクなんですよ。あんまり死なないし、どんどん進めるんです。難しいボスが現れたときも、ある程度考えて動けば倒せるように考えられてるんです。

うんうん。

それを超えて、また難しいボスが出てきて、ボムが足りない、それまで温存しなければ、って考えて、だんだんプレイヤーの動きが最適化されて上達していくんです。自分で編み出していく感覚。もちろん上手な人の攻略動画を見て学ぶこともできるんですけど、自分でパターンを育てていける感じはすごくあるかなと。いろんなかたの動画を見てると、プレイヤーによって動きってかなり違うんですけど、それぞれその人にとって最適化された動きっていうのを知る楽しさがありますね。でも「ココは大体みんなこうするよね」っていうパターンもあって、みんなで「あるある」って共感したり(笑)。自分なりのパターンを組んでいく楽しさ、それを周りの人が見て、「ココはこうしたほうがいいけど、このやりかたもおもしろいね」って意見交換したりするのもまた楽しくて。そういうのがケイブシューまわりではずっと続いているな、っていうのが、SNSやTwitchなどの配信を見てると、思ったりします。ずっとプレイしてる人も、最近始めた人もいて、いまだに刺激的ですね。

シューティングゲーム道は続く!

あとは細かい話ですが、ケイブさんって点数計算がすごい信用できるというか……。プレイヤーが上手くなると、その分点数が稼げるところがいっぱいあるんだけど、そういうところも安心してプレイできる。やっぱりゲーセンとかでプレイすると、1プレイの100円ってやっぱり大きいじゃないですか。格闘ゲームとかやってると、たまに感覚が麻痺しちゃうときがあるけど(笑)。

―――(笑)
  

なるべくソンをしないというか、100円を投入するからには、やはりそのぶん楽しませてくれるだろう、と信頼できるタイトルで遊びたいというのはあるんですよね。そこがケイブさんはしっかり作ってくださってて、本当にありがたいんですよね。

ああ……! ありがとうございます。

いえいえ、こちらこそです(笑)。

――― 新義さんのお話も突然お願いしたのにどうもありがとうございました!
  

話せることは 山ほどありますので、またよかったらいつでも聞いてください! 昔のゲームの、表に出てないおもしろい話はたくさんありますので(笑)。

――― ぜひまたお聞きしたいです! 上達のコツもぜひ……。ぜひリアルでも、Heyさんやミカドさんとかで!
  

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