餅月あんこのゲーセンに行きたい!
目次
第13回「GAMES GLORIOUSのことを知りたい!」
「日本が誇る現代文化のひとつ、テレビゲームの名作を独自な視点でセレクトし、コラボレーションによるライセンス製品を創るライフスタイルデザインブランド。 アパレルを初め、インテリア雑貨、アクセサリー、あらゆるジャンルとコラボして、クリエティブな作品造りで豊かなライフスタイルを目指します。」(GAMES GLORIOUS さんのサイトより)
……という、私も大好きな、ゲームのアパレルや雑貨を扱うショップ、GAMES GLORIOUSさんにお話をうかがってきました。
代表のジャック・チェン(Jack Chen)さんは台湾のご出身で、海外のゲーム事情などなど、おもしろいお話が盛りだくさんです!
ジャックさんの故郷・台湾のゲーム事情
―― GAMES GLORIOUSさんはご夫婦で運営をされてて、ご主人様が代表を務めていらっしゃるんですよね。
ジャック・チェンさん(以下、J):はい、そうです。
冴島裕幸さん(以下、冴):私は主にデザインを担当しています。
―― そうなんですね! では、まずお店の立ち上げの話から聞かせていただいてもいいですか?
J:小さい頃からレトロゲームが好きで……私は台湾出身なんですが、80年代くらいに日本で流行ってたものは、大体ほぼ同時期に台湾で流行っていたんです。マークIIIとかファミコン、PCエンジンCD-ROM2まで、台湾にも入ってきてましたし。それで日本のゲームに影響されて、いつかゲーム関係のものや、私が好きなデザインのアパレルか雑貨を作れればいいな、と。当時、JACQUES GLORIOUS 合同会社と言うデザイン事務所をやっていたのですが、一念発起して2013年にGAMES GLORIOUS というブランドを設立し、今に至る感じです。
―― そうなんですね。ちなみにお誕生年は……?
J:私、昭和51年生まれです。
―― あっ、同い年だ! 全員同い年ですか!?
冴:私、1コ下です。
―― そっか、おふたりは1コ違いということですね。……私、海外のゲーム事情をよく知らないんですけど、日本で作られたゲームソフトは、その頃は翻訳されて売られてたんでしょうか?
J:ほとんど翻訳されてない状態ですね。80年代当時、日本で流行ってたサブカルチャー……漫画、アニメ、おもちゃ、ゲームなどは日本とほぼ同時期に台湾にも入ってきて、ちょっとプラスαくらいの金額で売られてました。当時セガさんもマークIIIは台湾で会社を作って売ってますし、NEO GEOも、SNKさんが台湾の事業所を作って販売してました。ハドソンさんも香港と台湾に事業所があって、小売店に販売していました。なので、台湾でもファミコンやマークIIIなど、日本と同じようにプレイできたんです。ただちょっと日本と違うのは、RPGというジャンルは、ソフトと攻略本が一緒に販売されるんです。例えば、日本ではRPGの新作ソフトが発売されると、その少し後に攻略本が出ると思いますが、台湾では翻訳されたセリフなどのストーリーが載っている攻略本とソフトが一緒に販売されて、みんな攻略本を読みながらプレイするという形でした。
―― へぇ~! ……あれっ、台湾の言葉って何語ですか?
J:基本的に公用語は北京語で、日常で使うのは台湾語とか、いろんな言葉があります。けっこう多民族国家ですね。学校での公用語は北京語なので、使ってる漢字は中国のものとは違って、日本の漢字に近いんです。なので、日本の漫画とか、漢字が書かれていれば大体ストーリーを推測できるんですけど、ファミコンの頃のゲームはほとんどひらがなで表示されてましたし、マークIIIの『ファンタシースター』だと全部カタカナになってるじゃないですか(笑)。そうすると私たちは読むのが大変なので、RPGのテキストを翻訳した攻略本が一緒に販売されていたんだと思います。
―― へぇ~、そうなんですか! じゃあネタバレというか……先のストーリーなんかも攻略本に載ってるってことですか?
J:そうですね、ゲームと平行してやらずに攻略本だけを読み進めちゃったらネタばれになりますね(笑)。『FF』(ファイナルファンタジー)も『ドラクエ』も台湾で流行ってましたよ。
―― 母国語ではない言語のゲームとか漫画も、けっこう楽しまれてきたっていうことですか。
J:そうですね。もともと多民族国家なので、外国語に対する抵抗が低いんですね。日本語も親しみがありますし、英語も全然抵抗感がないっていう、そういう国柄ですね。
―― なるほど。ちなみにジャックさんは日本語は何歳ぐらいから勉強なさっていたのでしょうか?
J:15歳まで台湾にいて、その後、家族と一緒にオーストラリアのブリスベンに移住したんですが、高校に日本語コースがあって、そこで1年ほど勉強しました。その頃、千葉県にホームステイもしたことがあるんです。で、その後、向こうの11年生……日本で言うと高校2年生になったら、日本語コースがなくなったんです。それで、もったいないと思って、あとは独学で勉強しました。
おふたりの出会いと『GAMES GLORIOUS』ブランドの立ち上げ
―― ひぇ~、凄い! ……でっ、いつ、おふたりは出会ったんですかっ!?
J&冴:(笑)
―― スイマセン、いつ出会ったのか気になっちゃって(笑)。
冴:急に切り込んできた(笑)。
J:出会ったのは2008年かな? 12~13年前ですね。
―― ほぉぉ、それは日本で、ですか?
J:日本ですね。
―― えっと、オーストラリアに行って、千葉にもホームステイされて……。
J:日本で暮らすようになって20年以上経ってます。99年に日本に来たので。
―― それはご家族で?
J:いや、自分1人だけで。
―― 留学みたいな感じですか?
J:いえ、仕事で来ました。オーストラリアの大学で建築とインテリアを専攻して、で、卒業したときに、オーストラリアに残らずに、ちょっと違う国に行きたいと思って、それで99年に日本に来たんですね。ポートフォリオ、いわゆる作品集を持って、日本のいろんな会社に直接行って仕事を探して、2000年の4月から日本の会社に入って働きはじめました。
―― デザイン系の会社ですか?
J:そうですね。総合デザインの会社です。そこを2003年に退職して、2004年に日本の知り合いとデザイン事務所を作ったんですが、その後、独立して事務所を作りました。
―― それは東京ですか?
J:東京……厳密に言えば千葉です。
―― となるとマリンスタジアムも近いですね(※冴島さんがよくロッテのツイートをされてるので)! もともとロッテファンなんですか?
J:もともとです! 僕は20年前からロッテファンです(笑)。
―― あっ、おふたりともロッテファンなんですか! ひょっとして出会いはロッテつながりだとか!?
冴:最初に会ったキッカケは、『ゲームセンターCX』のファンの人たちが集まるオフ会があって、そこで知り合ったんですよ。
―― へぇ~!
冴:もともと私もゲームが好きで、主人もゲームが好きで、『ゲームセンターCX』を観てて。それでオフ会で会って、何回か話してたら実はふたりともロッテファンっていうのがわかって(笑)。私もデザイン系というか、広告を作っている会社にいたので、職種もちょっと似てて、話が合うな、と。
―― それは! それはそれは!
J&冴:(笑)
―― その、おふたりが出会われたのが何年頃ですか?
J:出会ったのは2008年か2009年ぐらいですね。
―― それで、GAMES GLORIOUSさんの立ち上げが2013年……これはおふたりで立ち上げられたんですか?
J:最初はほとんど私1人で、「これをやりたい!」と、独断で立ち上げました。
冴:その後、私が手伝いはじめたという感じです。
―― おふたりでやってる感じがしないですよね。何かすごく大きいイメージというか、存在感があるからですかね。
J:ありがとうございます。うちは大きな会社ではないので、なるべくアイデアとデザインで勝負をしてます。いろんな会社にアタック(権利使用の申請)をして、コンセプトを理解していただいてライセンスアウトしてもらって、やらせていただいてる感じです。
―― なるほどー!
魅力的なアイテムがいっぱい!
―― ゲームレジェンドのときに『スペースチャンネル』のTシャツを色違いでどっちを買おうか決められなくて、サイズを取り置きしてもらってしばらく悩んで、けっきょく選べなくて2色買ったんですけど、あれもすごくお気に入りで、両方買ってよかったです(笑)。
J:ああ、ありがとうございます(笑)。
―― あれもセガさんのライセンスを貰って、GAMES GLORIOUSさんで制作されてるってことですよね。
J:そうです。すべて扱ってるメーカーさんからは正式にライセンスをいただいてます。
―― そうなんですね。『ソニック』のチェックのシャツと、私はワンピース(としても着れますが、正式なアイテム名は「ロングシャツコート」)を買ったんですけど、すごく可愛くてお気に入りです。
J:ありがとうございます!
―― あと、モデルさんを使われてますよね。専属のモデルさんがいらっしゃるんですか?
J:そうですね。何人か契約してもらってます。アイテムをお洒落な方法で見せられたらいいかなと思いまして。プロのモデルさんを使って、普通とはちょっと違う表現の仕方とか、例えば『パックマン』のスニーカーの紹介に、なぜか水着のモデルさんを使ったり、工夫してます(笑)。
―― なるほどー。『パックマン』の他にも、けっこういろんなメーカーさんのキャラクターアイテムを出されてますよね。
J:はい。2013年に創業したときには、まだどこからもライセンスがもらえない時期があったんですよ。できたばかりのブランドで、実績もなかったので。そのときに、シティコネクションさんからジャレコさんの『忍者じゃじゃ丸くん』の版権をいただいて、そこからが弊社のブランドのスタートでした。『じゃじゃ丸くん』のシリーズのTシャツやバッグなどを出して好評だったので、次にコンタクトさせていただいたサンソフトさんからもライセンスをいただいて、さらにコナミさんには直接行って「『グラディウス』のアイテムを作りたい」とか「『悪魔城ドラキュラ』関連で……」とか直談判してお願いして。おそらくこういうグッズやアパレル系の会社で、コナミさんのアイテムを初めて作った会社だったと思います。
―― すごい! そうだったんですね。
J:そのときには『グラディウス』のスタジャンとかスニーカーを作りました。
J:それからナムコさんのライセンスもいただいて、続いてセガさん、アイレムさんも、という感じです。
―― そういう契約ってできるものなんですね。私にはそういった発想がまったくなかったです。メーカーさんが自社でグッズやアパレルを出してくれなかったら、それ以上の関連グッズは出せないものなのかと思ってました。
J:そうですね。私はとりあえずアタックしてみようっていう感じで、基本的にプランをあまり考えずに、自分がやりたいことをまとめて「こういうデザインのものを作りたいんです!」っていう方向性をプレゼンテーションして、そこから説得するみたいな形で(笑)。やりたいアイデアやコンセプトを納得してもらうのが仕事なので。幸い運が良くて、見ていただいて、認めていただいて、やらせてもらってる感じです。
―― やっぱりデザインが素敵だからだと思います。……ちなみに、購入できるのはオンラインだけでしょうか?
J:実店舗はないですが、委託販売はしてます。秋葉原のインドアさん、あと北海道のCONTROLLERさんでご購入いただけます。それから今年はやってないですが、定期的に百貨店でポップアップショップを開催してます。
―― 百貨店で!
J:昨年(2019年)には、立川の伊勢丹に出店しました。あとは渋谷MODI(マルイが経営するショッピングモール)、2018年には新宿のマルイにも出店してます。2017年は銀座の三越でも『パックマン』のポップアップショップを開催しました。
■参考リンク:銀座三越によるPAC-MAN GINZA STYLEのお知らせ(※イベントは終了しています)
―― そんなにたくさん!
J:さらに前は広島のタワーレコードでも出店したこともあります。
―― けっこう全国のいろんなところでされてるんですね。あとは私もお買い物させていただいた、ゲームショウとかゲームレジェンドにも、いつも出店されてますよね。
―― オンラインストアで買えるもので、今はこれがイチオシ! っていうアイテムなどありますか?
J:それでは今年の新アイテム『天外魔境』のコラボを紹介させてください。
■参考リンク:GAMES GLORIOUSさん 天外魔境シリーズカテゴリーは、こちら!
第1弾アイテムは人気が高い初代『ZIRIA』、シリーズ最高傑作の声も高い『卍MARU』、そして現実世界の時間によってゲーム内のイベントが変化する, PLG(パーソナル・ライブ・ゲーム)システムを搭載したスーパーファミコン作品『天外魔境ZERO』、さらに全作に出演した名キャラクター「マントー」をフィーチャーした4種類のTシャツ。
そしてドット絵キャラクターのアクリルフィギュア、キーホルダー、ステッカーなど、ほぼシリーズ全作品の雑貨も同時に発売されます。」(GAMES GLORIOUSさんより)
『燃えプロ』コラボと西武ライオンズの裏話
―― 他にもオススメのアイテムはありますか?
J:ゲームだけでなく、ゲームをコンセプトとしたおもしろいコラボレーションも多いんです。例えば漫画『孤独のグルメ』をファミコンの推理ゲーム風にアレンジしたTシャツとか、2014年には西武ライオンズと『燃えプロ』のコラボレーションのTシャツも出したりしてます。
冴:あんこさん、持ってらっしゃいましたよね!
―― あっ、息子に買いました! あれ大好きです、すごい好きです。
J:ありがとうございます! あれは当時、私がどうしても『燃えプロ』と野球チームでコラボレーションしたいと思って、最終的に西武ライオンズさんに決めさせていただいたんです。
―― あっ、あれって、ライオンズだけだったんですか!?
J:そうですね。いくつかの球団が興味を示してくださったんですが、『燃えプロ』が発売されたのが1987年なんです。1987年にはまだ存在しなかった球団もあったりするんですが、やっぱり決め手は、1987年の日本一が西武ライオンズということで、もう西武ライオンズさんしかない!と(笑)。
―― なるほどー!
J:あとは当時のライオンズには台湾の選手もけっこういて、私はライオンズにくわしかったので、担当のかたと話が盛り上がりました(笑)。Tシャツの発売のときには西武ドームの前にモニターを4台置いて、『燃えプロ』を映しながら販売してたんですよ!
■参考リンク:埼玉西武ライオンズオフィシャルサイトより 「燃えろ!!プロ野球 コラボグッズ」2014年7/11発売!
■参考リンク:GAMES GLORIOUS さんのCATEGORY / 燃えろ!!ライオンズ
―― へぇ~! それは見たかった! 西武球場前の、あの広場でですか(笑)。
J:そうです(笑)。改札の目の前のところです。そこでお子さんにお父さんと一緒に『燃えプロ』をやってもらったりして、販売してました。
―― へぇ~、おもしろいことをされてたんですね! ……GAMES GLORIOUSさんのアイテムのデザイン、本当に好きでファンなので、応援しております。
J&冴:ありがとうございます(笑)。
セガマニアの妻ツイート、バズる
―― ちょっと話が戻るのですが、ジャックさんが80年代に好きだったゲームや漫画は具体的にはどんなタイトルでしょうか?
J:ゲームはもともとマークIIIとファミコンを同時にプレイしていて、セガさんがけっこう好きですね。
―― そうだ、思い出した。セガさんお好きでしたね(笑)。
J:あとはファミコンはコナミさんのゲームがすごく好きですが、一番ハマったゲーム機はPCエンジンとメガドライブです。
―― おお。ちなみに特にハマったタイトルは……?
J:コナミの『がんばれゴエモン2』、『ドラキュラ伝説』が好きです。メガドラではセガの『ゴールデンアックス』が好きですね。PCエンジンだと『天外魔境』シリーズが大好きです。他にもいっぱいありすぎて……(笑)。
―― すごくたくさんプレイされてそうですね。ちなみに最近はゲームはされてますか?
J:最近だと『モンスターハンター』シリーズ、『龍が如く』シリーズも全部プレイしています。
―― そうなんですね……! そういえば冴島さんのツイートでバズってた、ご主人のメガドラミニがいっぱい届くみたいな話は……!
冴:あれ、結局、何台買ったの(笑)?
J:いや、全部買ったんだけど……アジア版、北米版、日本版……たぶん5台くらい買ったと思いますね。
―― えっ!?
冴:聞き直した(笑)。
―― 全種類買ったとしても、多すぎて計算合わなくないですか?
J:細かく説明すると、北米版(Genesis Mini)を1台、アジア版を1台と、通常版のAmazonで予約した日本国内版が確か1台と、あとセガさんの通販でミニカートリッジが額に入ってる限定版(メガドライブミニ DXパック セガタイトルコレクターズエディション)が1台と、それからヨーロッパ版を1台ですね。あ、ヨーロッパ版はまだ手元に届いてませんが。
冴:あとコントローラー付きのも、もう1台買わなかった?
J:そうだ! コントローラーが1個入ってるのと2個入ってるのでは箱が違うので!
―― 箱が違うと別物!
冴:箱が違うからって言って、2台買うんです。
―― すごい! となると、合計で……何台になります?
J:6台……くらいだと思います。
冴:くらい、って、もう把握してない(笑)。
J:セガさんとお仕事でやりとりさせていただいてますが、おそらく担当者様に変な奴だと思われてますよ(笑)。
―― あのツイート、おもしろかったですよね。
冴:意外とリツイートされて「広がってる……!」って思いました(笑)。
―― だってまわりで知ってる人で、6台もメガドラミニ買った人って他にいます?
冴:なかなかいないよね……?
J:いるよ! 奥成さんは持ってる! 僕は知ってる!
冴:それセガの人! 作った人!
次回は、何とシューティング好き女子でコスプレイヤーでもある、奥様の冴島裕幸さんのお話をお届けします!
どうぞお楽しみに!