餅月あんこのゲーセンに行きたい!
目次
第30回「STG大座談会をしたい!② ~『コットン リブート!』編 その2~」
前回に引き続き、『コットン リブート!』プロデューサーのBEEP丸山満さん、開発担当ロケットエンジン代表取締役・近藤勇さん、そしてエムツー・プランナーの松下佳靖(カシオ松下)さん、『GダライアスHD』(発売はタイトーから!)ディレクター辛島由紀子さんという、話題のシューティング作品のキーパーソンの皆さまによるSTG大座談会、今回はさらに『コットン リブート!』のお話をうかがいま~す!
* 対談にご参加いただいた皆さま *
BEEP 丸山満さん
ロケットエンジン 近藤勇さん
エムツー 松下佳靖さん
エムツー 辛島由紀子さん
餅月
シューティングゲームと音楽
次は『コットン』の、シューティングゲームとしてのゲーム性的な部分についてお聞きしたいのですが……私は1面もろくにクリアできないんですが、難易度は比較的簡単になるように作られたっておっしゃってましたよね……!
もちろん難しくは作れるんです。シューターである私たちは、難しく作りたくなりがちなのですが、『コットン リブート!』は、シューティングをあんまりプレイしたことがない、あんこさんみたいな人たちに楽しんでもらえるほうを選んだんです。
開発中は、私たちは何回もプレイするので、どんどん上手くなっていっちゃうんですよ。それで簡単に感じられて、「これじゃつまんないんじゃないか?」ってなって、難易度がどんどん上がっていきがちなんです(笑)。
確かに、作りながら難しさのバランスを取るの、難しそうですよね。
それで(開発中は)毎週BEEPさんにプレイしていただいて、「難しい」っていう意見をいただいたらやさしく直したり、という感じでした。
とはいえ、シューティングって単調になりがちなんですよね。だけどそこの中に盛り上がりのピークとか、安堵する瞬間とかがあるんですけど、その起伏を作ってもらったという感じかな。音楽で言うとAメロBメロにサビ、みたいな。近藤さんたちロケットエンジンのかたがたがメリハリをつけてくれました。
敵シーケンスはすごくこだわりました。
他のインタビューでも話してるんですけど、最初に曲ができて納品してもらいまして。アーケードのオリジナルの『コットン』をプレイした人は知ってると思うんですけど、『コットン』の曲ってそんなに長くないんですけど、世界観を表現したいい曲なんですね。それをいろんなコンポーザーのかたにアレンジしてもらったんですが、それがタイミング的に、ゲーム本編より先にできあがったんですね。そんないいものがあったら、画面もそれに合わせたくなるじゃないですか。
なるほど!
だからミュージックビデオにも似た感じの作りかたになったのかな、と、私はそういう印象を受けました。音楽に合わせてステージ構成や敵の配置を決めていったのかなぁ、と。
そうですね。曲が先にあったので、このメロディーのところでこのキャラを出そう、とか、リズミカルになるようにいろいろ工夫はしましたね。いわゆる曲合わせ的なところもあると思います。特に3面ボスのところ……3面ボスはすごく盛り上がる場所なんですが。
はっ(行けてない)。
Wasiさん(Wasi303さん)の曲がすごいぴったり合った、っていうのがあって。最初の仕様だとボスがすぐに死んじゃって曲が聞けなくなっちゃうので、ボスを強くしました(笑)。
あぁ~、曲を聴いてもらうために。そういう工夫があるんですね。
私、アレンジ版をけっこうプレイさせてもらったんですけど、Heyさんで最初の『コットン』を遊んだときは即死しまして(笑)。X68000版もプレイさせていただいて、Easyモードのほうはいけたんですけど、オリジナルはめちゃめちゃ難しいんですよね、コットンって。
そうなんだ!
まだあまりやり込めてないのですが、『コットン リブート!』はそのあたりがすごく配慮されてて、かつ、おっしゃられてたようにすごく音楽と合わせてテンポが良いところも、理屈じゃなくて「いっぱい死んじゃってるけど、サクサク進めるぞ!?」みたいな気持ち良さがあって。「フィーバーモード、こうすれば長引くんだ」とか、「こうやってやれば倍率上がるんだ」、みたいな、点数を稼ぐ方法もプレイしながらどんどんわかっていって、くり返し遊んでも楽しくて。一周すると満足しちゃうゲームってけっこうあると思うんですけど、「もう1回いこうかな」みたいな気持ちになるんですよ。で、ちょっと疲れてきたら「タイムアタックモードに行こうかな」、みたいに、ずっと遊べちゃうんです(笑)。
ありがとうございます(笑)。松下さんや辛島さんに聞きたいんですけど、今回の『コットン リブート!』のような、曲先行で作られたゲームって他にもあるんでしょうか?
私はあまりそういう経験がないですが……松下さんは今まで作られたゲームで、曲が先にできあがったこと、ありますか?
私が今まで関わったゲームでは曲が先に上がってきたことはほとんどなかったですね……最初に1曲しかなくて、マスターアップ3日前に残りの全曲が上がってきて、「死んだ……」と思ったことはあります(笑)。このときはバグも出なくて何とか入ったんですけど、ホントに死ぬかと思いました(笑)。ゲーム名は伏せますけど、あったんですよ……(笑)。
【一同】 (爆笑)
なので、『コットン リブート!』がそういう、曲に沿った作りかたをしていたっていうお話を聞いてすごいなぁと。しかも、それがしっかり功を奏していて。シューティングゲームって、慣れてない人が作ると、出て来るキャラクターやタイミングが単調になってしまいがちなんですよ。そしていくらでも難しく作れるんですけど、丸山さんがおっしゃっていたように、メリハリをつけて、気持ちよく倒されるための敵を作ったり、敵がいなくなってプレイヤーが休める瞬間を作るっていうのもすごく大事で。そういうタイミングも『コットン リブート!』はものすごく良くできてるので、なるほどと思いました。素晴らしいです。『コットン』のリメイクとしてもベストバランスだと思います。
ありがたいです(照れ笑い)。
ホントにおもしろくできたっていう自信があります。
ボイスが豪華!
ちょっと気になることがあるんですけど、お聞きしてもいいでしょうか。声優さんをガラッと変えて、ボイスがものすごくボリュームがあると思うんですが、どのタイミングでこういうふうに決まったんですか?
『コットン』のリメイクを出すことを発表したのがゲームレジェンドだったんですが、そのときにはボイスを2人ぐらいはあてようかって考えてたんですね。それで声優さんはどういう人がいいかな、プロにオファーをしようかなって思ってたんですけど、「素人さんがいいんじゃない?」って思って。それで代アニ(代々木アニメーション学院)とかの専門学校に問い合わせて、「こういうことをやりたいんですけど協力してもらえませんか?」って聞いたんです。でもちょっと違うかもしれないと思い直して、せっかくなのでBEEPで募集しましょう、っていうことになって、募集する人を増やしたんですよね。最初2人で考えてたのが4人、モブのキャラクターもいるのでもっとなんですけど、気づいたら増えちゃったって感じです。オーディション、やりましたね。みんなで聴きましたよね。
スタッフみんなで集まって、応募していただいたかた全員分の音声を……100人分ぐらいだったと思うんですけど。
おぉ~!
そんなに応募があったんですね!
100人以上のかたに応募していただいて、コットンにかける想いの熱烈なコメントつきだったり、イラストつきの人もいたし。年齢もホントにバラバラで、男性のかたもいらっしゃいましたし。
ああ、Twitterでやってましたよね。
野太い声が入ってましたね。
そのオーディションがイベントみたいな感じで盛り上がって良かったし、それで宮木さん(宮木南美さん)っていうとんでもないモンスターがあらわれましたから。初めてお会いしたときに、ホントに「コットンが来た」っていう感じの人が現れて、そしてコットン役に抜擢させていただいて、今に至るんですね。だからボイスの重要性は今回特にすごく感じました。音楽と、声優さんの声と、シューティングゲームにそういう要素がプラスされてさらにすごく良くなったなと。
おもしろいエピソードがありましたよね。アプリ(キャラクター)を追加アップデートで出したんですけど、最初に作ったバージョンをBEEPさんにお見せしたら、「ちょっとつまらない」っていう話になっちゃって(笑)。「あんまりコットンと変わらないよね」って。それはまだサンプルだったので、ボイスをアプリの声に差し替えてなかったんですよね。その後、収録したアプリとニードルの声をあてて、ゲーム部分は変わってないものをもう1回見てもらったら、「変わってる、おもしろい!」って(笑)。声優さんってやっぱり大事なんだなぁ、って思いましたね。ゲームのおもしろさが変わるんですよ。
おもしろさが変わるってすごいですね。
華やかで賑やかなシューティングゲームで、黙々とプレイするという感じでなくて、イケイケな感じで楽しいですもんね。
松下さんや近藤さんはわかると思うんですけど、私たちはかつて、暗いゲーセンでですね……。
【一同】 (笑)
PSG音源の『1942』とか、『タイムパイロット』とかを黙ってやるみたいな、そういう子ども時代を過ごしましたので……。今回の『コットン リブート!』のような華やかな演出は、何かほっこりしたんですよね。
声が出るっていうのは、すごくインパクトありますからね。子どもの頃、ゲームセンターで声が出るゲームがあると、衝撃を受けてましたから。
『沙羅曼蛇』とかはすごい喋ってましたよね。
そうですね、『沙羅曼蛇』の頃にはペラペラ喋ってくれたんですが、それまでは、ゴリラが殴ると「こりゃ!」とかで、それでもビックリして「声が出てるぞ!」って喜んでたのに、今の時代はこんなにゲームで声が出るの、良いですよね。アーケードの『コットン』も声が出てたんですよね。かわいい声で。今回の『コットン リブート!』のコットンもかわいくて、すごくいいなあと。しかもよく食べるし。
【一同】 (笑)
おそらく最初『コットン』の頃にやりたかったであろう、当時の技術や基板の性能などでできなかったことがたくさん実現してる感じがして、すごくいいなって思います。現代のシューティングゲームはいっぱい喋ったほうがいいですね(笑)。
そうですね、BEEPさんの最初のイメージで「賑やかにしたい」というのはありましたので、そこかしこで喋るようにはしました。収録ボイスも、じつはたくさんあるので、これでもまだごく一部しか使われてないんですよ。
ありがとうございます、声のエピソードがいっぱい聞けて良かったです。
辛島さんは声にこだわりがあるというか、けっこうお好きなんですか?
そうですね、子供の頃にはじめてすごくやりこんだシューティングゲームが、スーパーファミコンの『実況おしゃべりパロディウス』だったので、ずっと、シューティングゲームって喋るものだと思ってたんですよね。
【一同】 (笑)
それからいろんなシューティングゲームをプレイして、「あぁ、普通はこうか……!」みたいな。入口が『実況おしゃべりパロディウス』だったので、賑やかなシューティングゲームは相変わらずすごく好きで。
めちゃめちゃおもしろいですねそれ。なるほどなるほど。コットンちゃんはホントに賑やかだし、セリフも多いですよね。
キャラクターが喋ると、ゲーム自体がやわらかく感じられるところがあるなぁと。ドットのキャラクターでも、シルクなんか、あんな小さいですけど、ボイスのおかげでちゃんと生きてるように見えるので。
それはすごく大事な話ですね。格闘ゲームも、たとえば「行くぞ!」とか「俺は負けない!」とか入れて、試合開始時にランダムで再生するだけで、キャラクターの生きてる感じが膨らみますよね。シューティングゲームはあまり喋らせるものは多くないんですけど、私が『ティンクルスタースプライツ』を作ったとき、自機としてはいないキャラクターの声を出させたりして、裏で応援してるキャラが「負けちゃうよ」って言ったりするんですよ。そういう原点は『コットン』とかのシューティングゲームにあったのかなと思います。『実況おしゃべりパロディウス』もすごく良かったですよね。ロケットエンジンさんの『トラブル☆ウィッチーズ』もシューティングゲームの既成概念にとらわれずに作ってる感じで好きです。
ありがとうございます。ボイスがすごく大事というのは私たちでも実感しています。なのでけっこういろんなところでたくさん喋らせてます。
EASY & EXPERTを同時に両立させる方法
楽しい雰囲気のゲームにしたかったので……キャラクターがキャラクターなので硬派なゲームになるわけもないんですけど(笑)、そういう演出の部分は成功したと思ってます。ゲーム性のところはリブートなので、もともといるキャラクターを進化させる、みたいな縛りはあったんですが、ロケットエンジンさんがやってくれたのが、ショットとか攻撃の方法とか、稼ぎのやりかたとか、4面のボスのところでお邪魔キャラの泡が出てきて、某ゲームのオマージュだったりするんですけど……、そういう今までのシューティングとかいろんなゲームの影響を受けたものをちりばめてゲーム性をさらに上げていったというのがリブートのおもしろいところですし、ガチシューターの人でも楽しめる要素になってるかなと思います。
ボスキャラのところで、永パ(永久パターン)防止キャラっていうのを入れていて、ボスを倒すのに時間がかかってると、画面のあちこちから黄色いコウモリみたいなのが飛んでくるんですが、これを、ヤズカ・タカーミィ(『ダライアス』シリーズ)みたいに稼げるようにしたかったんですよ。
二面性を出したかったんですよね。シューティングゲームをあまりプレイしたことがない人も楽しめるようにと、あとは百戦錬磨のシューターも楽しめる、それを同時に、って難しいんですけど(笑)。
シューティングゲームって基本的に前から敵が出て、けっこう受動的な流れになっていきがちなんですが、その中にプレイヤー自身がどうにかできる能動性というか、受動的にプレイしていく上ではパターンを覚えればいいんですけど、それにプラスして能動性を突き詰めていくと、ちょっと難しくなるけどおもしろくなるぞ、というギミックというかデザインをしていたんですね。なのでジュエルフィーバーっていうのも、おもしろいんですけど、狙えば狙うほど難しくなっていくんですよ。そういう二面性は積極的に取り入れていきました。稼ごうと思うと難しくなる、っていうのはシューティングゲームにおいて大事なのかなと思います。
『スーパーマリオ64』(NINTENDO64)で、氷ですべる面があると、危ないんですが、やっぱり宮本さんはそこで、すべり台に乗ると敵を一網打尽できる、っていうギミックも入れてくれてるんですよ。難しいんだけど、利用すればすごく有利になる、っていう……それは私はいつもやろうと思ってます。稼ぐためには難易度が上がるけど稼げると嬉しいから挑戦する……上達したプレイヤーは難易度が高くなる代わりに得点が稼げて、まだあまりプレイし慣れてない人は普通に楽しめる、っていうバランスが自動的にとれるっていう仕組みで、すごく良いですよね。
できると楽しい、何かしらのギミックを入れたら成功すると楽しいっていうのがあるじゃないですか。逆のことも言えて、成功しないとつまらなくなっちゃうんですね。そこを強くしてしまうと(〇〇できないとそれ以上進めない、など)ゲームがおもしろくなくなっちゃうので、必ずしもやらなくてもいいけど、やるとおもしろいですよ、っていうようなバランスが良いと思っています。
インカムは気にしなくて良いので
コンティニューについてちょっとお話していいでしょうか。シューティングゲームは、もともとアーケードで稼働してたものが多いんですが、ゲームセンターで良いゲームとされるのは、いっぱいコインを入れてもらって、稼げるゲームなんですよ。
メーカーさん的にですか?
ゲームセンターの店長さん的にですね(笑)。1日の営業が終わって、筐体にいっぱいコインが入ってるゲームが、やっぱり良いゲームですよね。
なるほど~。
そういった需要があるので、ゲームを作る側も、難しくしたりとか、お金を使ってもらおう、って、しょうがないんですけど、そういうゲーム作りをしていたと思うんですよ。特に『コットン』はそれがわかりやすかったので、家庭用に持ってきたときに、もうインカムは気にしなくて良いので、その難しさは取っぱらって、コンティニューの回数制限をなくしたんですよ。ゲーマーの人にしてみればヌルいって思うかもしれないけど、小さいお子さんでも何回もコンティニューして最後までいけるよ、っていうのがいいのかなと。近藤さんもやっぱりそこらへんは汲んでくれたと思うんですけど。
X68000版ってコンティニューが9回しかできないんですよね。私はX68000版、そんなに上手じゃなかったんですけど、ちょうど6面のボスあたりでコンティニューが切れちゃうんですよ。それが悔しくて(笑)。なのでコンティニューは無限にできるようにしましょう、と。くり返しプレイしていればだんだん上手になるので。
多くの過去のゲームが……昭和のゲームは特にそうだったんですけど、コンティニューがそもそもないとか、あっても2回までだよ、とか。裏技じゃないと増やせないとか、アイテムやドル袋獲らないと増えないとか、縛りがすごくたくさんあったんですよね。それを今も求めなくていいだろう、ということで。
アーケードから移植されたパソコンゲームで、コンティニュー制限があると発狂しますね(笑)。
【一同】 (笑)
7,800円とか8,800円とかするものを買って、ゲームセンターだったら何回プレイできるんだ……80回もプレイしたらクリアできるのに、せっかく買ったのに……って(笑)。ファミコンの時代ってゲームのリソースが少ないこともあり、あっという間にクリアされちゃうので、それを防ぐためにもそういう縛りがあったほうが長く遊んでもらえるとか、何回もチャレンジしようっていう良さがあったのかと思うんですけど。
ラスボスを倒してエンディングまで見たい! 聴きたい!
そうそう、アーケードの『コットン』は、ラスボスがじつはすごく弱いというか、あっという間に倒せちゃうんですよ。近藤さん、最短で何秒でしたっけ?
秒なんですか!
3秒かからないくらい。密着して火竜の魔法を2発ぐらい撃つと倒せるんですよ。
ラスボスがですか!? 何ですかそのバランス!
それで、じつはBGM、『ダライアス』シリーズで有名な小倉久佳さんに新曲を書いてもらったんです。それがラスボス曲……BOSS7ですね(笑)。
違うでしょ!
(笑)私も『ダライアス』大好きなので、憧れの小倉さんに曲をお願いしたというのもあるんですが、ラスボスのプレイ時間が全然合わなくて。2~3秒で倒せちゃうので、曲のイントロで終わっちゃうっていう。そりゃイカンだろうっていうことで、近藤さんたちにがんばってもらって、長くしてもらったんですよね。
私もラスボスの曲、小倉さんが『コットン』の世界をイメージして書いてくれた素晴らしい曲で、すごく好きです。ラスボスはウールっていうんですけど、ウールのハチャメチャぷりというか、それでいてすごいフェミニンなベースラインだとか、いろんな音が入っていて、もう大好き。X68000版のラスボスはカボチャを呼ぶだけ、っていうのもあるんですけど、もうちょっとちゃんと作りたいなと。あそこでボスモジュールを8個ぐらい出したんですよ。それもプログラマーと、最後に余力があったら、っていう話だったんですけど、「絶対これ入れてください!」って、最後の1週間、ずっと徹夜でやってもらって、今の形になったところがありますね。小倉さんのおかげで、ラスボス戦はおもしろさと、いい緊張感が出たと思っています。
それはぜひラスボスに辿り着きたい……!
面が進むにつれて難しくなっていくじゃないですか。ゲームって大体そうですけど。曲が先に上がったって言いましたけど、つまりコンポーザーの皆さんに、曲を書いていただく前にアレンジ版の画面を見てもらってないんです。オリジナルの音源やプレイ動画をお見せして、アレンジ曲を書いていただいてるんです。そこを皆さん汲んでくださって、イメージ以上の作品を仕上げてくださったという感じです。エンディング曲を書いてもらった松前公高さんはアナログシンセサイザーの神様と言われてるかたなんですが、感動しましたね。
松前さんの音がしました。やわらかな音なんですけど。
すごいな、それ……じゃあぜひクリアしてエンディングを見たいですね。私でもクリアできますかね……。
【一同】 (微妙な笑み)
攻略のコツとかありますか?
魔法をバンバン使っていったほうがいいです。クリスタルをすごくたくさん出すようにしたんですね。ああいうのって使い惜しみをしちゃう傾向があると思うんですけど、取ったらすぐ使っちゃう勢いでもいけるように作ってます。魔法をバンバン使っていけばけっこう進めるんじゃないかな。
最初は多分、あんこさん、私と同じ現象が起きる気がしますよ。魔法をバンバン使うんですが、せっかく出してるのにたまたま敵が途切れるんですよ。「あれ~、敵がいない~!?」みたいな、さすが行動を読まれてる、と(笑)。敵の出現を覚えればいいんですが、覚えるまではジャンジャン使うと敵の出て来ないタイミングで、もったいない感じになったりもしますよ(笑)。
ボムってもったいなくて出し惜しみしがちですが、それを抱えたままやられちゃうのはダメじゃないですか。
それ、それ、なりがちですね。
それはそれこそもったいないので……ボムって緊急回避だとか最後の手段みたいな印象ですが、他のシューティングゲームのボムに比べて、魔法使いの魔法らしくバンバン使えるようなバランスになってます。それをうまく使えばクリアできるかも(笑)。
なるほど! ではシューティング初心者のかたも一緒にがんばりましょう!
大きい敵に魔法を当てるとすごく気持ちいいですよ。ザクザクザク! っていっぱい数字が出てきて、数字も大きくなって。もっといっぱい当てたいな、という気持ちになってきますよ(笑)。
数字とかエフェクトとか魔法の効果とか、まだ実装されてないときにグラフィックの素材で見せてもらったんですけど、派手で最初は「マジかよ!」って思うくらいだったんですよね。でも、もしかしたらこれくらい賑やかにしたほうがプレイヤーさんに喜ばれるんじゃないかなと思って乗っけてもらいました。それが功を奏して、プレイして気持ちのいい演出になったと思います。
『コットン3』出してください!
なるほどー、音楽も声も見た目も、とにかく賑やかにされたという感じなんですね。なるべく進めるところまで進めて堪能させていただきます! ……では、そろそろ『コットン リブート!』の部をシメさせていただきたいと思いますが……
えっ、『コットン』パート終わりなんですか!
【一同】 (笑)
何かお話足りないことがあれば……。
『コットン3』出してください、とか!
ありがとうございます(笑)
最後にまたちょっと田村さんの話に戻りますけど、田村さんに「カシオ松下さんをご存知ですよね? 『コットン リブート!』の(ビジュアル面の)制作を手伝ってもらってもいいでしょうか?」って聞いたら、「一人でやらせてください」って(笑)。ゲームのジャケットとか、マニュアル用のイラストもやる、って(笑)。
おぉ……。
それはむしろすごく嬉しいです。もし田村さんがご都合が合わなかったりしてできなかったら、私が、大好きな田村さんのコットンに一生懸命近づけるようなビジュアルを描くよう努力しましたけど、先生に描いていただくのが一番嬉しいです。何だか、ありがとうございます!
愛だ(泣)。
いろんな絵師さんによるバリエーションのコットンがいてもいいんじゃないかなと思っていたんですが、例えばX68000版でも何人かのイラストレーターさんが描かれてるし、PCエンジンの『コットン100%』も、ひとりのイラストレーターさんが全部のビジュアルを描いてるというのはなかったんですよね。でも「やれるものはやりたい」とおっしゃってくださって、いろいろ描き直したりしてくれて、ありがたいお話でした。
田村さんの描かれるコットンのイラストも、時代によってちょっと雰囲気が変わってて、私はアーケード版の絵が特に好きだったのですが、『コットン リブート!』サントラCDのアナザージャケットのイラストも素晴らしくて感動しました。
田村さんの絵は、構図がすごいですよね。コットンは指先から魔法を出してるイラストが多いんですが、それが迫ってくるみたいな、動きを感じる絵なんですよね。躍動感がすごくて、さすがアニメーターさんだと感じさせられますね。
……では『コットン3』の企画があるときは、田村さんを説得していただいて、私にゲストイラストの1枚でも描かせていただければ嬉しいです……!(笑)
……と話していた矢先に、サクセスさんからコットン最新作が登場!
『コットンロックンロール』はNintendoSwitch、PS4、Steam、APM3で2021年12月23日リリース予定です!
そして次回は松下さん編!
対戦STGの先駆けともいうべき名作、1996年にADKからリリースされた『ティンクルスタースプライツ』のお話なども聞いちゃいます!
どうぞお楽しみに~!
Ⓒ2021 BEEP / 1991-2021 SUCCESS