コラムスの世界へようこそ ~今日から始める『コラムス』のススメ~
目次
落ちものパズルゲームと聞いて、あなたは何のゲームを思い浮かべるだろうか。
このジャンルの代表作といえば、説明不要の世界的名作『テトリス』がある。ソ連で開発されたゲームであるが、日本においてブームの火付け役となったのは、セガが1988年にリリースしたアーケード版『テトリス』だ。ゲームオーバーになると現れるサルの微笑ましい(?)仕草を思い出す人も多いだろう。
あるいは、90年代に大ヒットを飛ばし、現在も高い人気を誇る『ぷよぷよ』がある。開発元であるコンパイルの『魔導物語』に登場するキャラクターを前面に押し出したことや、「おじゃまぷよ」といった対戦ゲームならではの要素を盛り込んだことなど、格闘ゲーム全盛期であった当時の流行を上手く取り入れた名作だ。上級者の手によって深くやり込まれたタイトルでもあり、近年はeスポーツの定番タイトルとしての地位も築き上げている。こちらも『テトリス』同様にセガからアーケード版が発売された。
そんなセガが発売したゲームのひとつに『コラムス』がある。
『コラムス』は1990年にゲームセンターで稼働開始した落ちものパズルゲームだ。
落ちてくる宝石をレバーで左右に動かし、ボタンで宝石を並べ替え、タテ、ヨコ、ナナメに三つ揃えて消す。魔宝石で特定の色の宝石をすべて消すことができる。連鎖が起きればハイスコア! 非常に単純明快なルールである。
しかし『コラムス』は、そのルールのシンプルさ故に、あまり深く語られることのなかったゲームではないだろうか。
今回は『コラムス』について、筆者がよくプレイしているアーケード版を中心に語っていきたい。
今なおゲームセンターで根強い人気を誇る『コラムス』
『コラムス』の知名度や人気は『テトリス』『ぷよぷよ』などと比べると、今一歩及ばない印象をお持ちの読者もいるかもしれない。
たしかに『テトリス』のように圧倒的な知名度はないし『ぷよぷよ』のように可愛らしいキャラもいない。
対戦で盛り上がるというよりは、どちらかといえば一人で黙々と楽しむのが似合うゲームであり、やや古風で地味な印象を受けてしまう。
しかし、リリースされてから三十年以上経過している現在でも『コラムス』はゲームセンターで見かけることの多いゲームなのだ。
これまでにも数多くの落ちものパズルが発売されてきたにも関わらず『コラムス』はゲームセンターにおいてその地位を奪われることなく、時代の変化を乗り越えて遊ばれ続けている。
アーケードゲームは、ゲーマーからの人気だけではなく、ゲームセンターで投入された100円玉の数(インカム)でも評価される。そのため売り上げに貢献できなかったゲームは撤去されてしまうという厳しい現実がある。そんな中で、今なお生き延び続けている『コラムス』はもっと評価されても良いのではないだろうか。
『コラムス』と私
筆者は仕事帰りにゲームセンターに通っているが、入店してまず始めにプレイするのが『コラムス』である。
席に座って100円玉を入れる。優雅な印象のクレジット音に、古代オリエントの世界をイメージしたタイトル。スタートボタンを押せば、バロック調の音楽が流れてゲームスタート。
筆者のコラムスの腕前は、難易度HARDスタートで、最高jewelは700程度といったところ。まだ初心者の域を出ていない。
今日は調子が悪く……開始して5分も持たずに終了。ため息と共に席を立つことになる。
画面には何ともふがいない結果が映し出されている。
ランキング画面を見れば、1位から3位までのスコアは見事に9の数字が並ぶ。圧倒的、完全無欠のカンストである。
コラムスのスコアランキングは、1位から3位までは電源を落としても消えずに残る仕組みになっているのだ。
別のゲームの台へ向かい、そろそろ帰ろうとしたところでふと『コラムス』を見れば、ご年輩のかたがプレイしている。
私よりもはるかに年上の、まさしく人生の先輩であるベテランゲーマーが、延々と宝石を消し続けている。
コツを尋ねてみたいところだが、画面に集中しているゲーマーに話しかけるのも気が引けるというもの。
気が散ってしまわないように、遠目から先輩の背中越しにゲーム画面をちらちらと見るのが精一杯だ。
どんなゲームにも言えるのだと思うが、筐体の前に座ってプレイするベテランゲーマーの背中には、積み重ねてきた時の風格のようなものを感じる。
クリアという概念のない『コラムス』を延々とプレイするその達人に、一体何と声をかけるべきなのか。
勇気のない私は口を閉ざし、その背中を眺めることしかできない。
数多くのゲームがある中で、なぜ私は『コラムス』に惹かれるのか。
その魅力は、やはり画面と音が密接に結び付いて表現される優雅な世界観にある。
これまで数多くのビデオゲームをプレイしてきたが、この『コラムス』ほど「優雅」という言葉が当てはまるゲームもないだろう。
まずは画面上部から降ってくる宝石のグラフィックに注目してほしい。
プレイ中はさほど意識されることがないかもしれないが、繊細な陰影まで描き込まれた職人技のドットグラフィックではないだろうか。
宝石の美しさは光り輝くその瞬間に見いだされるものだ。
『コラムス』の宝石は、その光の反射をドットの中へ見事に描きこんでいる。
また、効果音もすばらしい。宝石を接地させたときに「ゴン」と音が鳴る。
硬い物を置いたときのような、物質としての手触りを感じさせる音だ。
そして宝石が並んで消えるときは綺麗な音が鳴る。連鎖が起きると音程が少しずつ変化していくというさりげない演出も『コラムス』が発明したものだろう。
これらの効果音があることで「今プレイヤーが操作しているのは宝石である」という事に説得力が出る。
それはすなわち、宝石を消していくという独特な世界観へとプレイヤーを引きつけ、画面への集中を促す工夫が為されているように思う。
『コラムス』は難しい!
このように『コラムス』はすばらしい魅力を持ったゲームなのだが、いざプレイしてみるとかなり難しいゲームだとわかるだろう。
最初のうちはすぐにゲームオーバーになり、ゲームのおもしろさを十分に味わうことができない。
では『コラムス』上達のためには何をすれば良いのだろうか。
実はここにもひとつ難しい点がある。
落ちものパズルゲームというジャンルは「何がダメなのか」という原因がわかりにくいのだ。
例えば格闘ゲームであれば、画面を見直せば自分の弱点や不適切な行動を分析しやすい。
シューティングやアクションゲームも、どの雑魚敵やボスの攻撃でミスをしているのかハッキリわかり、対策や準備も取りやすい。
プレイを重ねていくことで、少しずつ強くなったり上手くなったりしていく実感が持てるだろう。
これこそビデオゲームの醍醐味といえる。
しかし落ち物パズルゲームの『コラムス』は、落ちてくる宝石は常にランダムに決定される。
このため、一定の攻略パターンを構築することができないので、プレイヤーは次に落ちてくるものを確認し、その場で判断し続けなければならない。
この判断の精度やスピードが、プレイヤーの実力に直結する。
慣れていないプレイヤーは安易な判断をしてしまったり操作ミスをしてしまい、その後のリカバリーができずに苦しんで、ゲームオーバーとなってしまう(とはいえ、マズイところに置いてしまった宝石が、結果として大連鎖につながって逆転する可能性もある。最後まで諦めないことが肝心だ)。
では、高いスコアを狙うには何が必要になってくるか。
後でどんな宝石が落ちてきても対応できるよう、可能な限り待ちの広い置き方を目指すことになる。
ベストなパターンを見つけるというよりは、ベターな判断を積み重ねることで、プレイヤーにとって有利な状況を維持していくことが重要になってくる。
『コラムス』の場合、プレイヤーが目指すべきことはシンプルだ。
同じ色の宝石を二個並べておき、消せるチャンスをなるべく多く作り、連鎖が起きる可能性を上げること。
そして何よりも、斜め消しなどの消せるチャンスを見逃さないことだ。
私的『コラムス』攻略メモ
まだプレイ経験の浅い筆者だが、今まで遊んできた中で身に付けてきたコツのようなものがあるので、下記で紹介したい。
プレイ開始時に「EASY」「MEDIUM」「HARD」の三段階から開始レベルを選択できる。
初めは「EASY」レベルを選択すると良いが、このレベルは魔宝石がピンチになったときの一度しか降ってこず、スピードが速くなってくると途端に厳しくなってくる。
プレイに慣れてきたら「MEDIUM」「HARD」で始めることをおすすめしたい。
なお、魔宝石の出現タイミングだが、最初は宝石を100個消したときに出現する。
それ以降は250個、450個、700個、1000個と、魔宝石が落ちてくる間隔が50個ずつ広がっていくようになっている。
降ってくるタイミングはランダムでなく、自分の実力次第であるということを心に留めておいてほしい。
(運が悪く魔宝石が降ってこなかったからゲームオーバーになった……などということはない!)
次は落下してくる三つの宝石について。
落下する宝石の色はランダムだが、その降ってくる組み合わせは下記の3パターンに大別できる。
①AAAパターン「赤赤赤」「青青青」など6通り
②AABパターン「赤赤青」「青青黄」など30通り
③ABCパターン「赤青黄」など120通り
このうち①のAAAのパターンは、接地した瞬間に消えるので大きな問題はない。つまりプレイヤーが対応しなければいけないのは、②と③のパターンだ。
もちろん一番やっかいなのは③になるわけだが、初心者の私はまず②のパターンを確実に処理することを心がけている。
なぜなら②パターンはすでに2つ宝石がセットになっているため(AABでいうところのA)とにかくAと同じ色の宝石の上に置くだけで、とりあえず宝石は消えてくれる。
NEXTに表示された宝石が②のときは、A色の宝石の位置を確認することを習慣づけると良い。またAABでBの宝石で消せるときは、Bで消したほうが良い。Bで消せばAAがフィールドに残るので、あと一個Aが来ればその宝石を消せるため、その後の③パターンの対処がしやすくなる。
また、①のパターンにも少し注意すべき点がある。
例えば、①パターンで降ってきた色がフィールドに大量に余っている場合と、わずかしか残っていないときとでは、対応を変えたほうがよい。
余っている場合であれば一個でも多く消し、他の宝石の色が消せるチャンスを作ったほうがよい。
しかし、宝石がわずかしか残っていないのであれば、フィールド上の宝石はあまり消さないほうが良い。
あと一個置けば消える(つまり③パターンに対応できる)ところに、①パターンの宝石を置いて消してしまうのはもったいない。
また一個しかない場合でも、②パターンを処理できるチャンスであり、無闇に消してしまわないほうが良い。
②や③のパターンの処理できるチャンスを、①のパターンの宝石を置いて潰したりしないようにすることが大事だ。
②をうまく処理するように心がけることで、最初はハードで100個程度しか消せなかった筆者も、調子が良いときで700前後までに迫るところまで消せるようになった。
筆者が最終的な目標としている2000個の道はまだ届かないが、次第に上達を感じ始めている。
うまくなった実感が湧くと、繰り返しチャレンジをしたくなる。そうなれば、難しいアーケードゲームもとてもおもしろくなる。
近年のゲームは非常に丁寧に作られており、プレイヤーが自然にうまくなっていけるように綿密なレベルデザインが施されていることが多い。
そんな中、昔のアーケードゲームは自分の力で上手くなっていかなければならない。
それは厳しいことだが、ほんの少しでもスコアを伸ばすことができただけでも、その喜びは何物にも代えがたいものがある。
どのようなゲームもすばらしいが、これを読んでいるあなたも『コラムス』のシンプルなおもしろさや魅力に気づき、少しずつスコアを伸ばしていっていただけると嬉しい。
あなたも今日から『コラムス』を始めよう!
『コラムス』は現在でもゲームセンターでプレイできるゲームであり、是非一度プレイをしてみていただきたい。 ただ、もし近くのゲームセンターに置いていなければ、家庭用版の『コラムス』に挑戦してみるのも良いだろう。ぜひ、お手元にあるメガドライブやゲームギア、あるいはセガサターンでプレイしていただきたい。
……と言いたいところだが、あなたが何か特殊な訓練を受けた人間でもない限り、それは無理な相談だろう(重度のセガマニアなら造作もないことなのだろう、たぶん……)。
しかし! 2020年にセガから『アストロシティミニ』が発売され、この『コラムス』もアーケード版を自分の家で存分にプレイすることが可能になった。
通常のコラムスの他にも、特殊ルールを追加した『コラムスⅡ』や、独特な個性を持つCPUキャラクターとの対戦が楽しめる『スタックコラムス』など、シリーズ三作がまとめて収録されている。
この『アストロシティミニ』で、セガのビテオアーケードゲームがずっと身近になり、多くの人に遊びやすくなった。これを機にぜひ『コラムス』をプレイし、その魅力を再発見してもらえると嬉しい。
今回の撮影にゲームバー「SavePoint」様のご協力をいただきました。
どうもありがとうございました。
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