本日もHey日和 21日目

  • 記事タイトル
    本日もHey日和 21日目
  • 公開日
    2024年11月15日
  • 記事番号
    12153
  • ライター
    きらり屋

先月に引き続きHeyの裏方作業をレポート!
今回は営業終了後の深夜に行われるメンテナンスの様子をお届けします。

※店内や筐体の写真などは、お店の許可をいただき撮影しております。

深夜のHeyのメンテナンスとは?

前回は2階さらし台のゲーム入れ替え作業を取材させていただきました。
その際あわせて見せていただき、とても興味深かった深夜メンテナンスの様子を今回ご紹介します。

筆者はメンテナンスという言葉に「レバーやボタンの修理」という固定観念を持っていたのですが、そもそもの意味を調べるとメンテナンスは「維持、持続、保守」。
営業中フロアを見回る中で気になったところを深夜調整したりするそうです。
さっそく見て行きましょう!

画面のズレを調整

まずは『キャプテンアメリカ・アンド・ジ・アベンジャーズ』。
画面をよく見ると画面上の1Pの表示が画面外に少しはみ出して見えづらくなっています。
放っておくともっとはみ出してしまうことになるので、その前に調整します。

稼働させているうちに画面が徐々にズレていくなんて、知らなかった……!
筐体の中にあるツマミで調整して、表示を画面内に収めます。

2階レトロゲームコーナーでは、特にスコア表示が見えないと困る人も多いだろう、ということで気をつけて調整しているそうです。

画面のゆがみも調整

『怒首領蜂最大往生1.5』は画面の上がはみ出した上に、水平がズレていました。
そこで基板のテストメニューから調整用の画面「ドットクロスハッチ」を表示させて、モニターを調整します。

左と右のスコア表示を比べると、右のほうが下がっているのがわかります。
両隣りの人を気にせずイーグレットII筐体の前面を開放できるのは、深夜帯の良いところですね!

イーグレットIIのツマミを調整して、ゆがんだ正方形の並びをきれいな形に近づけます。
ドットクロスハッチがぐにゃぐにゃ動いて難しそうですが、複数のツマミを駆使していい塩梅を探って、最終的に落ち着きました。

消磁する

ときに磁力の影響で画面が変色したり、ぼやけたりするブラウン管。
消磁器を使って解消します。

全体的に見栄え良くするために右へ左へ消磁器を何度も振って、根気よく調整します。

ブラウン管は隣の筐体を入れ替えるだけでも磁力の影響を受けるので、実はとてもデリケート。
そういえば昔よく通った渋谷ガード下のゲームセンターでは、お店の上を電車が通過するたびに画面が変色するのをよく見かけたなー。

TVサーキットを交換

『ラビオレプス』は画面の色味を調整しても、どうにも直りません。
そこでTVサーキット(モニター基板)を交換することに。

稼働し始めた直後から画面が白っぽいなぁと思っていたのですが、筐体での調整は限界だったんですねぇ。
こちらがTVサーキット。この部品を交換するのですが……。

TVサーキットは、ブラウン管背面の触れてはいけない部位の近くにあって、交換には危険を伴います。
うかつに触れると大怪我につながるので、ゴム手袋をはめて慎重に行うもの……だと思っていましたが、素手でものの数分で作業終了。
Heyの店員さんは何百回と交換した経験を持つベテランなのでした!

熟練の技……とわかっていても素手での作業は見ていてこちらが緊張します!
見違えるほどキレイになった『ラビオレプス』の画面。USAGIも心なしか嬉しそうです。

こうして店員さんが数々の筐体相手にメンテナンスという名の戦いを繰り広げ、Heyの夜は更けていくのでした。

混んでいるときのメンテナンス

遅番の店員さんは深夜にがっつり修理系のメンテナンスをすることになるわけですが、では早番の店員さんはどうしてるの?
という疑問が湧いたので、早番のメンテナンス担当の店員さんにもお話を伺いました。

営業中は修理系のメンテナンスはできないので、お客さんからゲーム機器の調子が悪いという報告を受けたら、その場で壊れ具合を確認したりせずにすぐパーツ交換するそうです。

すぐに交換できるようカウンター内に代替用ボタンをたくさん準備してあります。スピード重視ですね!

そして交換した後で確認し、壊れた部分を修理するとのことでした。
例えば3階『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』のレバーは、ASSY(アッシー、レバーのセット)をたくさん準備しておき、メンテナンスに明るくない店員さんでもレバーを交換できるようにしています。

たくさん用意されているので安心して遊べますね!

お話を伺った早番店員さんは、秋葉原にHeyが誕生する前は現在の「タイトーステーション新宿南口ゲームワールド店」でメンテナンスを担当されていたとのこと。
繁華街・新宿の大型店舗で培われた工夫が、引き続き秋葉原で磨きをかけて今の形に進化したようです。

筆者は昔、新宿ワールドにもよく通っていたので、多分そちらでもお世話になっていたハズ……と、時空を超えてお礼を申し上げました。

今回取材してわかったのは、ゲーム機器は直してもどんどん壊れていく、機器の調整に完璧を求めすぎると限られた時間内に終わらない、ということ。
メンテナンスはもっとしっかり行いたいが、なかなか満足できるレベルには達していないそうです。
店員さん曰く「全部100点にしたいけどさすがにそれは難しい……なるべくみんないい感じにしたいな、とは思っています」

大量のアーケードゲームを「維持、持続、保守」されているのを目の当たりにして、遊ぶ側としても末永く大切に遊ぼう! という気持ちが改めて湧きました。

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