自由でカオスな世界での冒険をひたすらに楽しめる! シンプルだけど味が濃い「こういうのでいいんだよ」が満ちているRPG『Elin』
いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ
『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。
今回ピックアップした1本は、こちら。
『Elin』!
タイトル:『Elin』
開発: Lafrontier
パブリッシャー: Lafrontier
リリース日: 2024年11月1日
価格:2,980円
配信プラットフォーム:PC(Steam)
【Steam】
https://store.steampowered.com/app/2135150/Elin/
広い世界で何をするのも自由。
いろんなことができて、好きな遊びかたができる。
例えば変なことをしてみても、それに対する反応がゲーム側からちゃんと返ってくる。
あれも試したい、これも試したいと思っているうちに時間が溶けていく。
MMORPGのような世界で一人でじっくり遊びこめたらいいという人に最適。
自由でカオスな世界での冒険をひたすらに楽しめる。
シンプルだけど味が濃い「こういうのでいいんだよ」が満ちているRPG。
それが、今回紹介する『Elin』です。
『Elin』は、2006年に無料で公開されたローグライクRPG『Elona』の後継作。
2019年にアルファ版が公開され、そこからKickstarterのバッカーに向けたテストなどを経て、ついに11月1日からSteamでアーリーアクセス版の配信が開始されました。
『Elin』は、ざっくり表現すると箱庭的な世界の中で好きに活動していい自由度が高いタイプのRPG。
メインストーリーを進めてもいいし、街で依頼を受けてお金や名声を稼いでもいいし、洞窟などのネフィアと呼ばれる場所に行ってレアアイテムを探るもよし。
農作物を作ったり料理を作ったりなどのいわゆるクラフト要素も豊富にあり、さらに拠点に家などの建築物を建てるハウジングの要素も、『Elona』より大幅にパワーアップしています。
そうした、やれることがたくさんある中で、プレイヤーはやりたいことを好きにやっていいという自由度が本作の大きな魅力。
そして、その“やれること”の量がとんでもなく多くて、「次はこれをやろう、あ、こっちもやらないと……え、もうこんな時間?」といったように、あれこれやっているうちにリアル時間があっという間に経ってしまう。
そんなこんなをしているうちに、気づけばどっぷりハマっている……そういうゲームです。
2Dドット絵のRPGで、前作の『Elona』が真上からの見下ろしだったのに対し、今作の『Elin』は斜め見下ろしのスタイルに進化。動作は軽いながらも立体感がついて表現力が上がりました。
プレイヤーこと主人公が「ノースティリス」という土地に流れ着き、倒れていたところをエイシュランドとフィアマという2人組に助けられるシーンから始まります。
彼らと話すと、何とこの国では今、誰にでも領地が与えられるというのです。素性の知れない主人公のような人にもただで土地をくれてそこに住んでいいという太っ腹な話ですが、そのかわり国民として納税の義務が発生します。
つまり、空いている土地に納税者を引っ張ってきて収入源にしたい……というわけ。
プレイヤーはその話に乗ってその土地で生計を立てて暮らしていくわけですが……定期的にやってきる納税の通知に追われ、そもそもは生きていくだけでもなかなか手探りだったりするというシビアかつサバイバルな生活が待っています。
なお、ゲームの舞台となるのは前作『Elona』と同じイルヴァと呼ばれる世界。
『Elin』は前作から約30年ほど過去のお話で、前作をプレイしてきた人には馴染みのある街や場所もたくさんありますし、時代背景による差や違いもあります。
RPGとして好きなことをやっていいと言っても、序盤は特に生きていく土台を作っていくので精一杯。
主人公は時間経過でお腹が減るし、睡眠も取らないといけません。いわゆるサバイバル系の要素も多くあります。
序盤はそれこそ、そのへんに生えている花を摘んで食べたり、歩いて毒のないキノコを見つけては食べたりといった原住民な暮らし。食べ物が腐る要素もあるので、ゲームに慣れていないうちは腐っているものをうっかり食べてしまって大変なことになったりもします。
そうしたひもじい苦労があるからこそ、狩りで得た肉でちゃんとした料理を作って食べてステータスが高まったり、拠点の畑からしっかりと作物を収穫できたりといったように、プレイ内容がいい感じに成長していくと喜びがあります。
そうした“ちゃんとした生活”のために、よりよい設備を作りたくなりますし、その設備を作るための素材やレシピが欲しくなります。そうして次第に目的を持って外のエリアを探索するようになっていくわけですが、もちろんいろんな危険やうっかりの死などがたくさん待っています。
大きな街もたくさんありますし、街や村では依頼掲示板からクエスト依頼を受けることもできます。それでお金を稼いだり名声を高めたりということもできます。もちろん、別にクエストをやらなくたっていいです。
カジノもありますし、もちろんスロットマシンやブラックジャックといった定番のゲームで遊べますし、チップで得る貴重なアイテムや家具もあります。カジノで遊ぶお金を作るために何かをがんばる……そんなプレイだってもちろんあり。
貴重なアイテムを求めて洞窟へ。もちろん危険でモンスターもうようよいます。
正攻法で探索するもよし、つるはしで壁を掘りまくって更地にして、アイテムだけでなく採掘のスキルまで上げていくというパワープレイだっていいです。
なかなか具体的にどんなプレイ感のゲームなのかお伝えするのが難しいゲームではあるので、プレイの一例としてボクのプレイ模様を紹介してみましょう。
まず最初の仲間であり住人はネコでした。子猫なのに自分より強いのですが、モンスターにどんどん飛びかかっていってズタボロになっていくので、拾ったブーメランをあげたところ、器用にブーメランを投げて遠距離から攻撃する賢い子猫になってくれました。ネコなのに。
草を刈って、草の壁で家らしきものを作り、睡魔に襲われながら、からくもベッドも製作して設置。安眠できる住居ができたことに満足。そんな中、あれこれ手探りで試していると、そのうちに納税の催促がきてしまいました。
出荷箱に何か売り物を入れておけば売上金になるということですが、売るものがあんまりありません。
「そうだ! 土ならたくさんあるじゃないか」というわけで、シャベルで土を掘りまくって、その土で作った「土の床」を出荷。何とそこそこ良いお金になりました。
石を売ったり土を売ったり、うっかり食べそびれた腐った食べ物だって、世の中には様々なマニアな人がいますから買ってもらえます。
生活に余裕ができてくると、つぎは趣味なんかを持ちたくなるものです。
ちょうど製作できるアイテムの中に楽器の「リュート」があったので吟遊詩人になることを決意。
納税をしに大きな街パルミアに行ったので、リュートを構えてさっそく路上ライブです。これできっと演奏に感激した街の人からたくさんのチップがもらえてメジャーデビュー一直線で大金持ち間違いなし。
夢がひろがりんぐ。
ですが、演奏にもスキルがあり、ろくにトレーニングもしていない主人公の演奏は壊滅的。街の人たちからは「下手くそ! やめちまえ!」などの心無い声が飛んできます。
すると突然、画面が暗くなり、主人公は死んでしまいました。何が起きたのかとログを確認すると、何と演奏に腹を立てた街の衛兵が石を投げてきて、その一撃で死んでしまったのです。
拠点で生き返った主人公ことボクは、やはり練習は大事だということで、拠点で演奏してスキル上げです。
ですが、ガイド役とも言える男女2人組の一人、フィアマにやはり石を投げられてしまいました。
しょうがないので、誰も近寄ってこない拠点の隅っこあたりでリュートを弾いています。そのうちにもっといい素材で楽器を作ってそれを弾きたいなーなんて思っています。
……とまぁ、こんな感じで何かしらやれることがあって、何かしていると「えぇ、そんなことある?」という出来事が起きるところが本作の醍醐味。インディーならではの刺激的かつシュールな味わいもたっぷりです。
ダンジョンにラー油とかマヨとかも落ちています。ひとつひとつにツッコミを入れていたらキリがないほどになんでもあり。とってもカオスで変なことがあらゆる方向にたくさん待っています。
巨大なMMORPGの世界を一人プレイでじっくりと遊び込めるような、多彩な要素がてんこもりの本作。
ロールプレイとしていろんなことができるし、そのいろいろの先にはだいたいカオスな結果が待っているというスパイシーなインディー味。
そんな世界でいろいろ試行錯誤したり、作りたいものを作ったり、変な住人を招き入れてみたり、遠くを目指してみたり。その自由度の高さと、ついてまわるカオスな結果がクセになりますが、それでいてベースとなるシステムには「なるほど」と納得ができるしっかりしたものになっています。
現時点でも次から次に、あれもやろう、これもやろう、が止まらなくて時間を溶かしまくってしまうほどの遊びがいがあるのですが、本作はまだまだアーリーアクセスが始まったばかり。BGMの一部もYoutube等でよく使われている著作権フリーの楽曲だったりします。
今後、メインシナリオ、メインクエスト、及びそれに関わるコンテンツをはじめ様々な要素を追加・調整予定で、アーリーアクセス期間は1年から2年ほどを予定しているとのことです。
自分が主人公で、遊びや探索や刺激が詰まった世界があって、すべては自分次第という「こういうのでいいんだよ」感がたっぷりなRPG『Elin』。
始まったばかりのこの世界がどういう道を辿っていくのか? あなたははそこでどんな楽しみかたをするのか? どこまでいけるのか、何が待っているのか、どこにたどり着けるのか? ぜひ試してみませんか。
©2004, noa Lafrontier