インベーダー×ローグライクカードバトル! 迫りくる侵略者をカードのシナジーでコンボを決めて一気に殲滅! サウンドも注目な意欲作『StarVaders』

  • 記事タイトル
    インベーダー×ローグライクカードバトル! 迫りくる侵略者をカードのシナジーでコンボを決めて一気に殲滅! サウンドも注目な意欲作『StarVaders』
  • 公開日
    2025年05月09日
  • 記事番号
    12871
  • ライター
    山村智美

いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ

『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。

今回ピックアップした1本は、こちら。

『StarVaders』!

 

タイトル:『StarVaders』
開発: Pengonauts
パブリッシャー: Joystick Ventures, Playworks
リリース日: 2025年5月1日
価格:2,800円
配信プラットフォーム:PC(Steam)
 

 
少しずつ、少しずつ、画面の下へと迫りくる。

地球を侵略するインベーダーたち。

その見た目にもわかりやすい構成と圧迫感

そんな『スペースインベーダー』的な味わいを活かしつつ、

新しいローグライクなエッセンスを加えて、

今風なアニメ的なビジュアルにかっこいいサウンド、

さらには、ちょっと気になる謎が多めSF的なストーリーもミックスしたら、

新しい味わいのするゲームが誕生した。

それが今回紹介する『StarVaders』です。

『StarVaders』は、1ターンずつ迫ってくるインベーダーを、デッキから引いたカードでうまく殲滅していく、ターン制のデッキ構築型タクティカルゲーム。

プレイヤーは、地球を襲うインベーダーに対して、人類の最後の希望であるメカとパイロットを選択。そのメカやパイロットごとの個性や特性を活かしつつ、戦闘後に獲得した能力も駆使しつつ、戦っていきます。

ゲームのメインになる戦闘は、縦8タイル×横5タイルのフィールドで戦うターン制バトル。プレイヤーはデッキから引いたカードを使ってメカを移動させたり攻撃します。

インベーダーはターンごとに1マスずつ下に迫ってきて、プレイヤーの領域に侵入すると1ターン後に「ドゥーム」を付与して消滅。ドゥームが5回付与されるとゲームオーバーになります。

少しずつ上から下に降りて迫ってくるところは『スペースインベーダー』風で、見た目にもわかりやすく緊張感が高まっていきます。

プレイヤーのメカは、移動も攻撃もすべて“デッキのカードを選択”して行うのがポイント。

1ターンで使えるカードは基本的に3コスト分(通常、1コストのカード3枚)。移動も「移動のカード」が引けてないとできませんし、コストも消費するので、1ターンの3コストをどの順番にどのように使うのか、戦略的な組み立てが求められます。

クロノトークンという、ミスをしたときに時間を巻き戻せるシステムもあるので、失敗を恐れず大胆なコンボを試せます。

一方で独特なシステムとして、コストを超えてカードを使うことも可能。4枚目のカードを使うとオーバーヒート状態になり、オーバーヒートでターンが強制終了し、選択したカードは炎上して使用不能になります。しかも炎上したカードはその後のターンでもデッキに残るので、再度引いても使えないまま。そうしたリスクを伴う決死の覚悟な行動というわけです。

ただし、その炎上をうまく使うデッキ構築もできるのが本作のポイント。「炎上したカードがあると強化されるカード」や「他のカードを炎上させて効果を発動するカード」があるので、それらをデッキに組み込むと戦い方が変わっていきます。なお、これは主にガンナーのメカの話で、他のメカではまた特徴が変わります。

1回あたりのプレイは全3Actで構成されていて、各Actは4つのバトルとボス戦に挑んでいくという流れで、全Actクリアで1時間ほどのプレイになります。

戦闘後には毎回デッキを強化するカードやアップグレード、さらに強力な効果のあるアーティファクトという装備品が出現。それぞれに報酬が異なる戦闘の中からひとつを選んだり、戦闘後の報酬もランダムに出現している中からプレイヤーが選択する方式で、いわゆるローグライク敵なプレイごとにランダムなデッキ構築をしてボス戦に備えていくことになります。

定期的に訪れるショップでもカードやアーティファクトを購入可能。不要なカードを削除したり、余ったお金を店員に渡すとご褒美がもらえるユニークな要素もあります。

プレイごとに特定の条件達成で新しいパイロットがアンロックされたり、デッキの新しいカードが開放されたりと、プレイの幅も広がっていきます。

選択できるメカは3種類、そこに乗り込むパイロットをも10人いて、それぞれに能力が異なるので組み合わせもポイントに。そこに400種類以上のカードとアーティファクトによるデッキ構築もあって、ローグライクらしい自由度とランダム性を楽しめるものになっています。

全Actクリアまたはゲームオーバーになって1プレイを終えると、ストーリーが展開。プレイを重ねるごとに物語が明らかになっていくという方式。

キャラクターたちの過去に何があったのか、そしてインベーダーとは。
謎めいたビジュアルや意味深な会話が展開され、考察が深まる系アニメのようなテイスト。エンディングにも秘密があるということで、そうしたストーリー方面の楽しみも充実しています。

『StarVaders』は、グラフィックスのポップさ、ゲーム性のわかりやすさと奥行き、サウンドの驚かされるほどのかっこよさと、どこを見ても優秀。ルールは直感的なのに戦略は深く、カード効果の爽快感とシビアなバランスが絶妙です。

ただ、遊びはじめにはリプレイ性や中毒性がやや弱く感じられる一面があって、ストーリーにおいても断片的すぎて最初はあまり惹かれないという弱みを感じました。もう少し物語に引き込むための導入が刺激的だったら一気にプレイにのめり込めたかも。

遊びはじめたばかりの頃はゲームの出来がどの点を見ても優秀過ぎるがゆえに“角のない丸いプレイフィール”で、尖った刺激が少なく、プレイ感がスルスルとしすぎていて軽め。そこが変わってくるのは、何度かプレイを追えてデッキ開放が進んできたあたりからで、じわじわと味が出てきます。

そこからさらにステップアップして、アーティファクトやカードアップグレードのシナジー効果をうまく作れるようになると、敵を一気に殲滅するようなプレイもできるようになっていき、爽快感が飛躍的に高まっていきます。

ビジュアル、サウンド、プレイの気持ちよさと、いずれも優秀な本作。ローグライクなデッキ構築に、1ターンずつ敵が下に迫ってくるというインベーダーライクなルールが組み合わさって、独特な味のするゲームに仕上がっています。気になる方はぜひプレイしてみてください。

© 2024 Joystick Ventures. All Rights Reserved.

こんな記事がよく読まれています

2018年04月10日

ゲームセンター聖地巡礼「1980~1990年代 新宿」前編

今回から、新企画「ゲームセンター聖地巡礼」の連載がスタートします。当研究所・所長の大堀康祐氏と、ゲームディレクターであり当研究所のライターとしても協力いただいている見城こうじ氏のお2人が、1980~1[…]