3Dならではのアクション性に、独特なユーモアに耳に残るサウンド、変なキャラたちと悩ましいビルドで、もう1回が止まらない中毒性を持つローグライクサバイバー『Megabonk』

  • 記事タイトル
    3Dならではのアクション性に、独特なユーモアに耳に残るサウンド、変なキャラたちと悩ましいビルドで、もう1回が止まらない中毒性を持つローグライクサバイバー『Megabonk』
  • 公開日
    2025年10月17日
  • 記事番号
    13647
  • ライター
    山村智美

いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ

『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。

今回ピックアップした1本は、こちら。

『Megabonk』!

 

タイトル:『Megabonk』
開発:vedinad
パブリッシャー:vedinad
リリース日: 2025年9月19日
価格:1,200円
配信プラットフォーム:PC(Steam)

 

軽快なBGMにちょっと変な世界観とクセのあるテキストが妙にハマる。

押し寄せる敵をジャンプやマップの高低差を活かした動きでかいくぐるアクションの手触り。

1プレイが短時間なので気軽にプレイし始めてしまう。

それでいて、中毒性があって“もう1回……!”が止まらない。

新たなキャラクターや武器が解放されてプレイのモチベも下がらない。

有名すぎるアレっぽいけどプレイの感触は結構別物。

インディーシーンで爆発的人気を起こしている1本。

それが今回紹介する『Megabonk』です。

『Megabonk』はサバイバー系ローグライク。ランダム生成される3Dマップを自由に動き回り、オートで繰り出される攻撃で迫ってくる敵を倒しながら生存を目指していきます。

……こう書くと、基本ルールはローグライクサバイバルゲームの大定番『Vampire Survivors』のようですが、『Megabonk』はまさにそうでいわゆるフォロワー系タイトルと言って差し支えないでしょう。

より正確には、ローグライクな3Dアクション『Risk of Rain 2』と、2Dローグライクの『Vampire Survivors』に強く影響を受け、それぞれをミックスして、独自の変なセンスが散りばめられたゲームとなっています。

基本的なルールはまさに『Vampire Survivors』で、敵を倒してドロップしたジェムで経験値を貯め、一定量貯まったらレベルアップ。レベルアップ時に3つのアップグレード(武器やパラメータ強化)を選択できます。

10分の制限時間の中でボスが出現するポータルを見つけるという探索要素があるのがポイントで、召喚ゲートでボスを倒しポータルで脱出してステージクリアとなります。

マップには、コインで開ける宝箱、パワーアップをもらえる祠、話しかけて相談するとアイテムをくれるモアイ像、なぜか置かれているラジカセ、何か失礼なことを言ってくる謎の商人というか密売人風な男などなど、奇抜なオブジェクトがたくさん。

何でラジカセが置いてあるのかとか、

何でモアイに相談すると良いアイテムをくれるのかとか、

プレイヤーキャラクターたちも、スケボーに乗ったガイコツや、税金を10年以上払っていない忍者、貧しい者から奪ってお金持ちに配るロビンフッド風の女性など、ミームも満載のユーモア揃い。

そんな悪ふざけ風味でも、キャラクターの初期武器や性能はしっかりバランス調整が熟慮されているのを感じさせるところが、このゲームの魅力。

『Vampire Survivors』リスペクトだという本作ですが、3Dアクションになっていることでそのプレイフィールはだいぶ異なったものになっています。

3Dならではのジャンプ(ダブル・トリプルのジャンプや壁登りもある)、マップの高低差をどう移動するかが戦略性を生んでいて、探索が重要になっています。コイン管理や宝箱の選択も戦略的で、プレイヤーの判断とその時の運で難易度が大きく変わっていきます。

『Vampire Survivors』は全方位から迫る敵を撃破し続けるという、いにしえからある全方位シューティングにローグライクの要素をかけ合わせたものですが、『Megabonk』は高低差のある地形にジャンプもできる3Dアクション。

全方位型2Dシューティングが3Dジャンプアクションになったら、まったく違う遊び応えになるわけで、これは『Vampire Survivors』をプレイ済みで、かつ本作をプレイした人は『確かにだいぶ違う楽しさのゲームだなー』と感心する人が多いのではないでしょうか。

その魅力は『Risk of Rain 2』というゲームが備えているものでもあるのですが、本作はその2作をいい感じにミックスさせたものになっています。

キャラクター選びに、武器の選択と強化の選択が非常に重要。武器は剣や弓などの基本的なものから、リボルバーやミサイル、バナナなど多彩。

それら武器のダメージや攻撃間隔を伸ばすなど重要な強化をできるのがトームという書物で、どのトームを獲得するか、経験値ボーナスを早めにするか、それともとにかく弾数を増やすか、はたまたクリティカル率やダメージを高めてDPSを上げるかなど、プレイヤーごとに考え方や好みが出るところ。

プレイするほどに「このキャラでこういうビルドを目指したい」というカタチが見えていきますが、それを理想どおりに揃えられるかは運次第。出現した武器やアイテムで柔軟に変えていくことも必要になっていきます。

本作はサウンドも魅力。

メキシコ出身の27歳の作曲家Miguelangell960氏が担当したということですが、『Vampire Survivors』、『Castlevania』、『Undertale』、『Mega Man X』に着想を得ているというロック・メタル・エレクトロが融合したBGMは、メロディーラインがしっかりしていてとてもキャッチー。プレイしながらメロディーを口ずさみたくなるもの揃い。

ノルウェーのVedinad氏が個人で手掛けたローグライクアクションゲーム『Megabonk』。

『Vampire Survivors』と『Risk of Rain 2』というお手本ありきではありますが、本作の気持ちよさと楽しさは、ゲームの本質的なおもしろさが凝縮された紛れもない本物。いわゆる“こういうのでいいんだよ”感に満ちています。

本作は翻訳の妙もあって、ちょっと変なセンスが随所に散りばめられているのが本作の特徴のひとつ。ですが、結構プレイフィールは硬派で骨太。

本作は難易度やキャラクターのパワーアップ構成、いわゆるビルドのバランスは絶妙で、ひとつひとつのパワーアップ効果はかなり大きいのに“壊れ”はなく、どれも捨てがたいけど取得できる数は限られているからビルド構成に常に迷わされる……そんなしっかり作り込まれたバランスをしています。

それこそ、『Vampire Survivors』をはじめてプレイしたときを思い出すような中毒性があって、奇抜なユーモア、戦略性のあるルート選び、耳に残るサウンド、より手軽に、よりアクション性があり、ビルドはより悩ましいものになっています。

世界中でも爆発的な人気となっているのも納得の出来で、カジュアルからコアゲーマーまで楽しめる1本。まだ未プレイという人はぜひ試してみてください。

© vedinad

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