発見! インディーゲーTreasures
壁の果てを目指して掘って登って戦って! “580円でこんなに遊べていいんですか”ってなれるローグライト掘り防衛ゲー『Wall World』
いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ
『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。
今回ピックアップした1本は、こちら。
『Wall World』!
タイトル: 『Wall World』
リリース日:2023年4月6日
開発元:Alawar Premium
パブリッシャー:Alawar Premium
価格:¥580
配信プラットフォーム:Steam / Epic Gamesストア / GOG.com
https://store.steampowered.com/app/2187290/Wall_World/
良いゲームだなーと感じる要素の大きなひとつに“ついつい、もう1プレイやりたくなる”がありますよね。
いわゆる中毒性です。
この『Wall World』はそんな“……あと、もう1回だけやろう”が出まくっちゃう、ナイスな手触りのゲームなんですよ。
『Wall World』の世界はタイトルのとおり、壁の世界。
人々は直角にそびえる壁に坑道を掘り、そこで資源を集めて暮らしているという世界。
いつから、なぜ、そんな暮らしをすることになったのか?
地上はあるのか?
果てしなく広がる壁に終わりはあるのか?
すべては謎に包まれていて、その答えを知るために壁を進んでいく。
それが本作の物語です。
プレイ中の流れは主に3つ。
・「ロボスパイダーと呼ばれる乗り物を操縦して壁を上下に移動する」
・「スパイダーから降りて壁の中を掘削していく」
・「襲いかかってくる敵をスパイダーに乗って撃退する」
というもの。
主人公はロボスパイダーに乗って壁を上下に移動できます。
壁にはところどころに掘れるポイントがあるので、それを見つけたらそのポイント上にスパイダーを停止。スパイダーから降り、エグゾスーツという作業着に身を包み、プラズマドリルを手に、鉱石を掘っていきます。
掘削はブロック上の岩にドリルのビームを当てて破壊していくというもので、資源が出たらそれを吸い込んで回収。スパイダーに持ち帰ることで、様々なパワーアップが行なえます。
1か所でいつまでも資源を掘りだせるというわけではなくて、ある程度の深さまでで掘れる範囲は終わってしまいます。
そうしたら、スパイダーに乗って別の掘削ポイントへと移動していきます。それを繰り返しつつ壁を登っていくというわけですね。
ちなみに掘削ポイントや広さ、手に入る資源などはランダム生成なので、プレイごとに変化します。
のんきに掘削をしていると、突然「ビーッ! ビーッ!」という警報音が! この世界には「ザイレックス」という謎の生物がいて、一定時間ごとにロボスパイダーを破壊しようと襲ってきます。
襲撃がきたら、急いでスパイダーに戻ってマシンガンなどの装備で迎撃しないといけません。
敵を倒しきれず、スパイダーが攻撃を受け続けて耐久力が0になるとスパイダーが破壊されてゲームオーバー!
何とか敵を全滅させることができたら、また壁の移動&掘削に移れるというわけで、
「スパイダーを破壊されないように掘削をして得た資源でいろいろな能力を高め、生き延びて壁の果を目指して移動していく」
これが『Wall World』のおおまかなサイクルというわけです。
ポイントになるのは、“資源で何をパワーアップさせるのか”。
エグゾスーツの性能を高めたり、ロボスパイダーの武器の性能を高めたり、耐久力を回復することが可能で、
おおまかに強化の選択肢をまとめると、
・スパイダーの武器を強化
・プレイヤーの移動速度をアップ
・ドリルの掘削性能を強化
・スパイダーの耐久力を回復
というものになりますが、
「スーツの移動速度を最初に上げれば資源を集めるための往復時間が短縮されるのだから、全体のパワーアップ効率が良くなるのでは?」
と、思う一方で、
「いやでも、掘削する能力が低くて掘るのが遅いと結局は意味がないのでは?」
とも思いますし、
「そもそも掘る能力を高めているばかりでスパイダーが弱いままで、攻撃に耐えられず破壊されてしまったら、何の意味もないのでは?」
なんてことも思うわけですよ。
悩みつつ資源を貯めて保留がちに掘削していると、
「壁が硬い! ドリルの初期能力だと全然掘れない! あ、敵がくる!」
とかなっていくわけです。
パワーアップはあれもこれも全部とはいかず、どれかひとつを選んでいくわけで、そこに自分なりの考え方や個性が出てきます。いわゆるプレイスタイルや自分なりのセオリーができてあがっていく流れがあり、その選択と迷いがゲームとしてのおもしろさ、いわゆるゲーム性を高めているわけなんですね。
シンプルな探索とディフェンダーの繰り返しになるわけですが、プレイ中には興味を引くような発見が散りばめられています。
掘削していると、その奥で謎の遺跡を発見して、そこでロストテクノロジーな強力な武器の設計図が手に入ったりすることがあったり、
掘ったら誰かが住んでいて、世界観の片鱗が感じられるようなちょっとした話を聞けることもあったり。
また、壁を進んでいくと遠くに見えている背景が変化していくのですが、例えば、超巨大な機械の腕が刺さっているのが見えたりも。
この世界に何があったのか、壁の果てにはどんな光景が広がっているのか?
グラフィックスや音楽のセンスも退廃的な世界観とマッチした、いい感じのフレーバーに満ちています。
プレイ中に強化したものはその1プレイ中だけ有効なもので、ゲームオーバーになると失われてしまいます。いわゆるローグライク要素な“そのプレイの間だけのパワーアップ”ですが、掘削した分だけ手に入るポイントのようなものでプレイ開始前の画面で様々な機能を開放しパワーアップさせることも可能で、そちらは一度開放すれば、効果が毎回プレイごとに自動で発揮される永続効果になっています。
永続効果の強化は、スパイダーの耐久性アップや強力なミサイル発射、スパイダーの緊急回避移動など、特殊かつ強力なものばかり。また、プレイ中に発掘した設計図でさらに強力な装備が追加されることもあります。
これが繰り返しのプレイの強力なアクセントになっていて、
ゲームオーバーになってプレイ開始前の画面に戻ったとき、貯まっているポイントをみて、「あ、パワーアップできるから、しちゃお……ちょっとどんな感じなのか、もう1回プレイしようかな」となっちゃうんです。ボクはその“もう1回だけ……”を6~7回繰り返したこともありました。ついつい、やっちゃうんですよね。
ちなみに、本作とコンセプトが近いゲームに『Dome Keeper』という探索&ディフェンダーなゲームが1年ほど前にあったので、本作はその亜種と言っていいかと思うのですが、違いとして『Dome Keeper』は地上から真下を掘っていくゲームでしたが、『Wall World』は壁から右へと掘っていくものになっています。
実際プレイすると、掘り出した資源は重力によって落下するので、真下から掘り出すよりも横方向のほうがストレスは少なめに済むんですよね。世界観としても、果てしなく続く壁を登るというコンセプトのほうが謎に満ちていて先が気になるかと思いますヨ。
2023年4月6日にAlawar Premiumが配信が開始された『Wall World』は、プレイの構造はシンプルながらも、装備やパワーアップの種類は豊富で選択に迷いつつ遊び込める良さがあります。
プレイ中のパワーアップはうまく迷うような選択肢になっていますし、プレイ前の永続効果なパワーアップも種類が豊富で、開放後の“つい、もう1回プレイ”が多発する上手い作り。
それでいて、価格が何と580円という低価格。
画像をご覧のとおり、テキストも日本語化されているのますし(ちょっと怪しい翻訳もたまにありますけど)、独特な世界観を彩るグラフィックスやサウンドのセンスもよく、「この価格でこれだけ楽しめるのすごいな」と納得の手触り。オススメですよ。
© Alawar Entertainment, Inc.