見城こうじのアケアカ千夜一夜
第25回『シティコネクション』(1985年・ジャレコ)
クラリスカーで世界を走破せよ! サイドビューのペイントゲーム
『シティコネクション』はクラリスカーで世界の観光地を巡り、すべての床を塗りつぶしていくサイドビューのアクションゲームです。ドットイート系から派生した塗りつぶし型とでもいいましょうか。8方向レバー2ボタン操作で、ボタンはジャンプとオイルを投げるときに使います。
自車の操作には慣性がはたらいており、とくに方向転換時には短い時間ですがウィリー状態が発生し、その間はジャンプができないなど慣れが必要です。でも、うまく動かせるようになってくるとこれが楽しい。
プレイヤーの行く手を阻むパトカーなどの車には、オイルを投げつけてスピンさせることができます。さらにスピン状態の車に体当たりすることで、弾き飛ばすことも可能。オイルは道に落ちているので、拾うことでどんどんストックしていくことができます。
主人公はクラリスという女の子で、ステージクリア時の精算画面にのみ登場します。のちにジャレコは萌え系ゲームを得意とする会社として頭角を現していきますが、その萌芽を感じさせる最初のゲームがこの『シティコネクション』だったと思います。
『シティコネクション』は、左右スクロール型のゲームで、フィールドの左右がつながっており閉じた空間になっています。
こうしたゲームでは、敵車がスクリーン外に出た際に、大抵は見えていない仮想画面上でも同じような挙動をさせると思うのですが、『シティコネクション』はおそらくそうなっていません。
敵車は一度画面から消えるとそこで削除されて、プレイヤーの近くにまた別の車が新たに生成されます。まさにシューティングゲームで敵弾が次々と生成されるがごとくです。ゲームとしては、思考を持った敵とのチェイスではなく、次々転がってくる岩をかわすような印象です。これはなかなか特徴的な点だと思います。
塗りつぶしゲームは癖があるけどそこがおもしろい
『シティコネクション』は、1ステージクリアにけっこう時間がかかるのですが、理由の一つにフィールドが広いという点が挙げられます。上下こそスクロールしませんが、左右は3画面分以上あります。
ドットイート系ゲームは、原則としてマップ全体を走破対象とする仕組みであるため、一度マップデザインが決まってしまうと、1ステージ辺りのプレイ時間の調整がしにくい、ということがいえます。
ただ、それでも『パックマン』のようなドットを配置するタイプであれば、マップのどこにドットを置く/置かないということができます。少なくとも不自然に見せずにそのような調整がやりやすい。
それに対して、『シティコネクション』や『クラッシュローラー』のような塗りつぶし型はそれがやりにくい。ビジュアルで「迷路上の特定の箇所は塗らなくてよい」というルールを表現するのが難しいからです(やりようはあるにしても、ドットイート型に比べて表現の構築に手間がかかると思います)。
塗りつぶし型ゲームには、ドットイート型にはない独特の“快感”があるのですが、同時に前述のようなゲームデザイン上の難しさもあると思います。
それともう一点、ドットイート型と塗りつぶし型では、プレイ感覚に大きく異なるところがあって、後者のほうが概して通過の判定が細かくシビアなので、塗り残しが発生しやすいということがいえます。道の端まで完全にたどり着かないと取得判定にならない。塗りゲーの名作『クラッシュローラー』もそこが“あるある”で大変でした。
さらに『シティコネクション』はサイドビューということもあり、一つの床を端まで塗り切ろうとすると、同時に下段に落ちてしまうので、進路の選択に制約を受けることになります。下段に進みたくなければ、塗り切らずにジャンプする必要があります(落ちる直前に急反転するという選択肢もありますが)。
その点も、このゲームの攻略の難しさであり、おもしろさであり、オリジナリティだったと思います。
では、また次回。
©CITY CONNECTION CO., LTD./©2014 HAMSTER Co.
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