見城こうじのアケアカ千夜一夜
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第26夜『ギャラガ』(1981年・ナムコ)
名作『ギャラクシアン』の後継ゲームもまた傑作だった
個人的に『ギャラガ』は本当に遊び込んだゲームです。
『ギャラクシアン』の続編という表現すら似つかわしくない進化ぶり。さまざまにモードを変化させて攻撃してくる敵軌道の曲線美とスピード感。デュアルファイターなる斬新なアイデア。毎回ワクワクのチャレンジングステージ。『ギャラクシアン』のステージ表記法「旗」の発展形である「勲章」のオシャレさ。面数表示を“STAGE”と呼ぶその響きのカッコよさ――。すべてが魅力的でした。
『ギャラガ』の話は過去にあちこちで何度か書いているのですが、できるだけ以前に書いてないことを軸に、もう一度語ってみたいと思います。
正確なエイミングでなくともひたすら敵を破壊できる
『ギャラガ』の何よりの魅力は、まずオープニングのスピード感と大量破壊の爽快感にあります。
当時を知らない人が見ると、「言うほど大量破壊?」と思われるかもしれませんが、このころ、こんなゲームは(たぶん)ありませんでした。敵が長い編隊で登場し、自機側も2連射できる上に、2機合体すればデュアルファイターで並んで攻撃できる。
そして、重要な点として、『ギャラガ』は自機が左右2方向にしか移動できないゲームですが、敵はまさに目と鼻の先まで降下してきて、そこで大きく旋回します。つまり、「ここで撃ってください」「連射してください」という爽快ポイントがわかりやすく用意されているわけです。わざわざ目の前まで来てクルクルと回ってくれれば、それはこちらの弾も当たるというものです。
これ以前のシューティングゲームの敵は、もっと離れた位置から攻撃を仕掛けてきて、徐々に近づいてくるようなものが多かったのです。なぜなら、いきなり近づいてきて、そこで体当たりしてきたり、弾を撃ってきたら、ゲームとして難しいし理不尽だからです。
ところが『ギャラガ』はいくつかのルールを設けることによって、ゲームをうまく成立させています。具体的には、旋回後に一度上昇してから離脱して体当たりを仕掛けてくる、一定ラインより下にいるときは敵が弾を撃ってこないなど、プレイヤーにとって理不尽なことが起こらないよう配慮されています。
また、編隊の1体1体の間隔が狭かったり、しばしば二列縦隊で飛来することでさらに敵の密集度が上がっている点も見逃せません。とにかく当ててくださいという作りになっているわけです。
2方向移動型のシューティングは、今では一時代前のシステムになりましたが、自分が移動できるラインが固定されているがゆえに、制作側が遊びを制御しやすいというメリットもあったということが、このゲームを見るとよくわかります。
敵の動きに3つのモードがあった、その先進性
敵は3つのモード(行動パターン)を持っています。オープニングモード、通常モード、波状攻撃モードです。それぞれで動きが大きく異なります。これもこの時代のゲームとしては、大変凝っていたと思います。
これがもう少し後の時代のシューティングゲームでは、絵に使える容量が増えたため、1種類の敵に複数のモードを持たせるよりも、それぞれ別の敵(ビジュアル)を割り当てるほうが一般的になっていきました。
『ギャラガ』の手法は、絵の種類を多く持つことができなかった時代の考えかたなのです。
とはいえ、近年のアクション系のゲームでは(ある意味で)1周回って、1種類の敵が状況に応じてさまざまな思考と動きをすることが当たり前になりました。『ギャラガ』はプリミティブな形ながら、黎明期にそれをうまく取り入れたゲームの一つといえるのかもしれません。
また、『ギャラガ』には変身型のボーナスキャラクターが登場します。通常の敵が変身し、3体に分裂して攻撃を仕掛けてくるので、画面外へ去るまでに全機破壊できるとボーナス得点が得られるというものです。『ギャラクシアン』の3機編隊の発展形といったところでしょうか。ボーナス獲得のチャンスが各ステージ1回のみという緊張感がまたよいのです。
ボーナスキャラクターは3タイプ用意されていて、ステージが進むごとに入れ替わります。個人的に、3タイプ目のギャルボス(『ギャラクシアン』からのゲスト出演)が出てきたときは、ちょっとした衝撃がありました。
ギャルボスはそれまでも『パックマン』にゲスト出演していたのですが、ぼくは『ギャラガ』における“敵の一つとして世界に馴染む形での登場”に感激したのだと思います。前作と世界がつながっているということを意識した最初のゲームかもしれません。さみだれ式に突っ込んでくる動きがまたカッコいいんですよ。
チャレンジングステージという豪華なサービスタイム
『ギャラガ』を特徴づける大きな要素として、チャレンジングステージの存在もあります。次々に飛来する40体の敵のうち何体撃墜できたかを競うボーナスゲームです。
このステージでは、敵は弾を撃ってこないし、体当たりもしてきません。プレイヤー機より高い位置でアクロバティックな美しい軌道を描き、そして去っていきます。
考えようによっては、『ギャラガ』はその爽快さやスピード感と引き換えに、『ギャラクシアン』にあった“敵を狙い撃つ楽しさ”がある程度オミットされたゲームである、という見方もできます。まさにチャレンジングステージはそこを補填した遊びになっているわけです。
チャレンジングステージは全8種類用意されており、パーフェクト(全40体の撃破)を出すのが絶妙に難しいのですが、シングルファイター状態でも慣れれば何とかなるなど、さじ加減が抜群によくできています。
また美しいのが、敵が前回の動きの裏をかいてくる点です。直近のチャレンジングステージと同じ軌道かなと思ったら、急にUターンしたりします。すべてというわけではなく、主に序盤のステージの一部なのですが、初めて見たときは「そう来るか!」と舌を巻いてしまいました。
ゲームオーバーまで全部がカッコいい!
ゲームオーバー時には、そのゲームでのショットの命中率「HIT-MISS RATIO」が表示されます。これも当時洒落てるなあと感銘を受けました。慣れてくると、大体毎回同じくらいの率に落ち着くのですが、かなり上達してからも意外に無駄弾を撃ってることがわかっておもしろかったです。
そして、スコアが5位までに入賞していれば、ハイスコアミュージック(名曲!)が流れる中、ネームエントリー。しかも、1位と2位以下では曲が変わるという凝りよう。最後まで楽しませてくれました。
では、また次回。
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