見城こうじのアケアカ千夜一夜
第49夜『悪戯天使』(1984年・ニチブツ)

天使が主人公のメルヘンタッチのラブゲーム!
「夜空に、美しい星座を描く、天女のハートを射とめ君の手に!! メルヘンタッチのラブゲーム。」(フライヤー原文ママ)
『悪戯天使(いたずらてんし)』は8方向レバーとショット兼スピードアップボタンで天使を操作して、星をつなげて星座を完成させていく全方向スクロールタイプのシューティングアクションゲームです。すべての星座を完成させると、姫と王子(ランとラム)を出会わせるボーナスステージが待っています。
当時の出荷枚数はかなり少なかったと思います。ぼく自身、ゲームショーで初めて見た後、ゲームセンターで稼働しているのを見た記憶がほとんどありません。今回、この記事を書くにあたって、本当に何十年ぶりかで遊んでみました。
なお、このゲーム以前にアメリカに『いたずら天使』というほぼ同名(邦題ではありますが)のドラマがありました。空を飛ぶ能力を持つ修道女が主人公のちょっとファンタジックなドラマだったので、もしかしたら着想の元になっていたのかもしれませんね。
14のエリアを巡って星座を完成させていこう
プレイヤーは14のエリアを巡って星座を完成させていくのですが、各エリアの広さは大体1画面分で、その小さな範囲に散らばるすべての星に触れることで星座が完成します。
星座を一つ完成させるごとに、その名前とともに星座が表示されるデモシーンが入るため、非常に速いテンポでゲームの区切りに到達します。これほど短時間ごとに節目のあるゲームはかなり珍しい気がします。
最初にシューティングアクションゲームと書いたのですが、このゲームでは恒常的にショットを撃つことはできません。弓矢アイテムを取ったときのみ、一定時間射撃が可能になります。そういう点では、『ニューラリーX』のようなオリエンテーリング系のアクションゲームといってもよいかもしれません。
少し変わった仕組みだなと思ったのが、ショットとプレイヤーのスピードアップが一つのボタンで兼ねられていて、ボタンを何度か押すことで少しの間、移動速度が上がることです。
なぜこのようなシステムが入っているか不思議だったのですが、しばらくプレイしてやっと理解できました。
エリア間の移動時や、敵に追われた際などは、このスピードアップを使うとちょうどよい速度感なのですが、ゲーム目的である星に触れるときはその速度だと速すぎるのです。
星は狭い範囲に密集しているので、細かく方向転換を繰り返す必要があるのですが、速いままだと目的の星を通り越してしまうなどして、座標合わせが難しいんです。だから、そのときはボタンを連打せずにゆっくり移動すると遊びやすい。
ぼくの勝手な想像ですが、当初このゲームにはスピードアップという仕様はなかった気がします。広い宇宙の移動時と、星座を作るときの、それぞれの適切な速度感が大きく異なっていたために、そこの辻褄を合わせるためにこのような仕組みを追加したのかもしれません。

当時において全方向スクロールゲームを作る難しさ
プレイしていて、全方向任意スクロールゲームとしての難しさは、やはり感じます。プレイヤーが常に画面の中心部にいるため、敵が画面内に入った時点で既に距離がかなり近く、衝突のリスクが高い上に、矢で狙いを定めるのが大変なのです。
同じく全方向タイプのシューティングゲームに『ボスコニアン』がありますが、そちらはその辺りについてもよく考えられていて、敵の移動速度がかなり遅く設定されている上、標準でショットが前後に同時発射されるため、逃げながら敵を撃つことができました。
ただ『悪戯天使』にも、1方向だけではなく、4方向に同時発射できるタイプのショットもあり、そちらであれば『ボスコニアン』のように重宝するのですが、常に使えるわけではないのが厳しいところです。
もう一点、おもしろいと思ったのが、『ボスコニアン』の宇宙が上下左右の全方向ともつながって閉じている(端まで行くと逆の端に出る)のに対し、『悪戯天使』の宇宙も左右方向はつながっているのですが、上下方向には端があります。
このゲームのフィールドは縦方向にかなり長いので、利便性を考えるとプレイヤーとしては上下こそつながっていてほしいのですが、そうはなっていないのです。
ただ、これによってフィールドの左右と上下の非対称性が際立つことにもなるので、そこにこのゲームならではのプレイ感覚や戦略が生まれるといえるのかもしれません。
敵関係についてもう少し添えると、宇宙を飛び交っているキャラクターのうち、触れるとプレイヤーのミスになる敵は一部です。
コメットのようなキャラクターに触れると押されて流される、輪のついた惑星のようなキャラクターは弾かれる、アステロイドは純粋に障害物という感じで、敵というよりもかわすべきトラップ的な要素が強く、制作者がこのゲームを(どちらかというと)戦闘ものとしては捉えていなかったであろうことが見て取れます。
その他にも、そろえかけた星座をリセットしてしまう敵がいたり、区画内の星座を一気に完成させてくれるラッキーアイテムのハートなどもあり、盛りだくさんなゲームという印象です。
ボーナスステージは『ムーンクレスタ』ばりの“ドッキングせよ!”
14の星座を完成させると、姫と王子を出会わせるボーナスステージに突入します。姫が反対側から走ってくるので、王子を操作してうまく出会えると成功というゲームです。
なかなか不思議なシチュエーションなのですが、システムとしてはまさに同社『ムーンクレスタ』からの伝統であるドッキングシーンのアレンジといえます(公式資料にも“ドッキング”と書かれています)。

ここまでの展開や、このラストステージから想像するに、このゲームはランとラムの恋の橋渡しをするために主人公の天使が奔走していて、途中に出てくる敵はそれを妨害している、という設定なのかなという感じがします。
そういう意味では、ここはドラマ的にもこのゲームのクライマックスであり、物語を完結に導く最終ステージともいえます。
それゆえ、ゲームの全行程(1ループ)を終わらせたところでようやくここにたどり着けるため、ドッキングに失敗したときの絶望感もまた半端ないのです。
では、また次回。

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