見城こうじのアケアカ千夜一夜
第52夜『ボスコニアン』(1981年・ナムコ)

“BLAST OFF!” 宇宙を駆け巡る全方向シューティング
『ボスコニアン』は銀河パトロール隊と宇宙海賊ボスコニアンとの戦いを描いた全方向スクロール型のシューティングゲームです。今回は主にNEWバージョンでプレイしました。
画面レイアウトや、全方向スクロールシステム、レーダーで全体を把握できるシステムなど、遊びとしては別ジャンルながら、同社『ラリーX』『ニューラリーX』の流れをくむゲームといえます。
雰囲気作りが素敵で、真っ先に挙げたいのが、スタート時に流れる「宇宙の秩序と混沌、そして広大さ」を感じさせてくれるOPミュージックです。これがカッコいい! この曲はいつ聴いても気分がアガります。
ゲーム中も、当時にしてコンピュータ・ボイスが多用されているほか、敵の攻撃状況によって危険度を知らせるCONDITION表示がGREEN、YELLOW、そしてREDに切り替わるなど、演出に力が入っています。
なお、『ボスコニアン』というタイトルは、SF小説の古典『レンズマン』シリーズに登場する敵の海賊ボスコーン(Boskone)が由来ではないでしょうか。ゲーム内のキャラクターにも、同小説からの引用と思われるネーミングが散見されます。
宇宙を駆け巡り、敵基地を破壊せよ!
『ボスコニアン』の目的は宇宙に散らばる敵基地の破壊です。レーダーを頼りにこれらの基地へ向かい、すべて撃破すればラウンドクリアです。
敵基地は中心のコアを狙い撃つことで一撃で壊せるほか、6つの砲台をすべて壊すことでも破壊が可能です。
まったく同じ仕組みというわけではないのですが、のちの同社『ゼビウス』のアンドアジェネシスにも近い考えかたが受け継がれているといえます。
敵基地の中心部は一定周期でシャッターが開閉しており、開いたときにタイミングを見て撃ち込む必要があります。簡単に倒せないようにするための工夫という点で、疑似的な耐久力システムといえるかもしれません。
余談ですが、基地から発射される弾が爆雷のような形状でクルクル回転するのが当時から印象的でした。ちょっとしたことですが、なかなか味のあるアニメーションで、今見てもいいなあと思います。

全方向スクロールを踏まえてうまく考えられた仕様
プレイヤーの行く手には3種類の敵ミサイルが飛び交い、基地破壊の阻止にかかってきます。うち2種類はプレイヤーに対して追尾性能があり、しつこく追ってきます。
このゲームはプレイヤーが全方向に延々と逃げることができるため、敵ミサイルの追尾力・機動力がそれなりに高くないと脅威になりませんし、基地間の道中が間延びしてしまいます。
また、このゲームは構造上、敵や敵弾をあまり速くすることができないので、ゆっくりねちっこく攻めてくる敵をメインに据えることになったのだと思います。
このゲームにおける敵ミサイルは、サイズも大きく、見た目こそ戦闘機っぽくもあるのですが、ゲームとしての位置づけは文字どおり敵弾であって、“破壊可能なホーミング弾”と考えるとしっくりきます。
この敵ミサイルの動きが正確過ぎても息が抜けないゲームになってしまいます。この辺はかなり試行錯誤してまとめ上げられたのでは、という印象があります。
自機のショットに関しては、常に前後2方向に同時発射されるので、追尾してくる敵から逃げながら戦うことができます。
その一方で、現代の多くのアクションゲームと異なり、プレイヤーは8方向にしか移動できません。そのため、回り込むように接近してくる敵に対して、うまくショットの狙いが定められないうちに追いつかれてクラッシュするような場面がしばしば起こります。これをうまく処理することが攻略の肝の一つになります。
また、このゲームには同社『ギャラクシアン』『ギャラガ』からの伝統である敵のフォーメーション攻撃が存在します。全部倒すと高得点が得られるボーナスキャラクターです。
ただ、このゲームでは、前述の作品群よりもボーナスの獲得が難しく設定されているように思います。編隊の数が5と多いことと、司令機を先に破壊してしまうと編隊がけっこうな勢いで散り散りになってしまうからです。
だから極力、司令機を先に破壊しないよう注意しながら撃っていかないといけないのですが、これがなかなか難しいのです(機雷にぶつけて撃破するような技もあるのですが)。

全方向スクロールゲームとしての『ラリーX』との違い
『ボスコニアン』を改めて遊ぶと、ゲームの進行自体はスピーディなのですが、自機や敵の移動速度はさほど速くないように見えます。
『悪戯天使』の回でもこのテーマについて書きましたが、これはこのゲームが全方向スクロールで、自機が画面の中心にいるため、これくらいの速度感にしないと攻防が成り立たないからだと思います。これ以上速いと、敵が画面外から突然突っ込んでくるなど、いろいろなことが唐突に起こり過ぎて理不尽なバランスになってしまいます。
そうした難しさをカバーするために、前述のとおり、プレイヤーは後方に対してもショットが撃てる仕様になっているわけです。
実際のところ、このゲームでは動かないただの障害物である小惑星や機雷も、敵ミサイルや敵弾との混合で十分な脅威になります。ラウンドが進んで数が増えていくと、まあ、これが本当に邪魔になる。
『ボスコニアン』の敵キャラクターの中でも追尾性能の高いアイヒ型ミサイルに対し、追尾性能はないけれど速度が速いエッドール型ミサイルのほうがあとから登場するのは、こうしたゲーム性に対する難易度面での配慮でもあったと考えると納得がいきます。
冒頭でも触れましたが、こうした作りを見ていて思い出すのが、やはり同社のゲームである『ラリーX』および『ニューラリーX』です。『ボスコニアン』とよく似たスクロールシステムを採用しているのですが、『ラリーX』のほうが圧倒的にスピード感があります。
そのスピード感が成り立っていたのは、『ラリーX』がシューティングゲームではなかったからかもしれませんね。つまり、敵との関係性がシンプルだった分、より高いスピード感を成立させられたということです。
余談ですが、両者の違いとして、『ラリーX』がレーダーのみで敵の接近を知らせているのに対し、『ボスコニアン』ではそこに音声も加わる(もしくは代替)というのもおもしろかったですね。
では、また次回。

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