見城こうじのアケアカ千夜一夜

  • 記事タイトル
    見城こうじのアケアカ千夜一夜
  • 公開日
    2026年02月27日
  • 記事番号
    13925
  • ライター
    見城 こうじ

 

第54夜『アイスクライマー』(1985年・任天堂)

ポポとナナが頂上を目指す縦スクロールアクション

『アイスクライマー』は、主人公のポポ(2人同時プレイ時はナナも参加)が山の頂上を目指す、縦スクロールアクションです。

操作はレバーで左右移動、2つのボタンでジャンプとハンマー攻撃。ジャンプ時はハンマーボタンを押さなくても、自動的に上方にハンマーを振り上げる動作になります(攻撃判定が出る)。

昔からとても個性的で優れたゲームだと思っているのですが、個人的にあまり上手じゃなくて、今回も「手強いなあ」と思いながらプレイしました。

主人公のポポとナナが、2人でハンマーを使ってタイトルロゴを表示していくデモがとっても可愛いんです。音楽もこの時期の任天堂のゲームの中で一番好きかもしれません。曲と曲のつながりが抜群にいいんです。

今回プレイしたのはアーケードアーカイブス版です(任天堂VS.システムで出されたアーケード版を元にしたもの)。最初から出てくる敵キャラクターの“トッピー”からして、まったく違う絵に変更されているので、ファミコン版で遊んでいた人はびっくりするかもしれません。

たった8フロアを登っていくことの困難さ。そこが楽しい

『アイスクライマー』はなかなか独特なプレイ感覚のゲームです。1段登るたびに画面が大きく進み、スクロールアウトした画面外へ落ちると即ミスになります。下へは一切もどれません。非常に“ゲーム的な”ルールの世界といえます。

この仕組みのユニークさは、いわゆる永久パターン防止キャラクターである敵のホワイトベアでも象徴されています。こやつが出現してドシンと画面を揺らすと、1ブロック分強制的に上へ押し上げられてしまうのです。

また、改めて遊んでみると、ボーナスステージ突入までたった8フロアしかないことにも驚かされます。1フロアを登ることがどれだけ大変なゲームかということが、この数の少なさに表れています。

多くの場合、上へ登る際にハンマーで上階に穴を開ける必要があり、まごまごしていると開けた穴も敵のトッピーが再び埋めてしまう。自由に高度を変えながら邪魔をしてくる鳥のニットピッカーもかなり嫌な敵です(プレイヤーは空を自由に移動することもできないし、飛び道具も持ってないのに!)。

そして、ミスした位置によってはリスポーンが動く床の上(いわゆるベルトコンベアのような仕掛け)だったりということもよくあって、息が抜けない。このゲームにおける動く床はじつに効果的なギミックで、よくできていると思います。

各種ギミックについては、ベルトコンベアの床は『ドンキーコング』、画面の左右がつながっているのは『マリオブラザーズ』を彷彿とさせます。任天堂がそれまでに発売したソフトにも登場したアイデアが、このソフトでもうまく活かされているのです。

ゲームの構成要素はけっして多くないのですが、それらの組み合わせ、配置のエディット、速度パラメータ等のバリエーションで本当に表情が変わる美しいゲームだと思います。

極寒の地ながら、そこにコンドルは飛んでいく

2人同時プレイの際は、先に進んでいるプレイヤーにスクロールが合います。置いていかれてスクロールアウトしたキャラクターはミスの扱いになってしまいます。

そのため、2人で長く遊ぼうと思うと、基本的に協力する遊びになります(競争しても構わないのですが)。

ところが、後半のボーナスステージパートでは置いていかれてもストックが減ることはありません。しかも、頂上のコンドルにつかまることができるのはどちらか一方のみです。

そのため、ボーナスステージからは確実に競争タイプのゲームに変貌します。同社『マリオブラザーズ』のアーケード版インストラクションカードにも書かれていた「協力し合うか、それとも裏切るか」がゲームの前半と後半で切り替わる感じです。

まあ、ここに関しても、一緒に頂上まで登り、最後のコンドルは交互に譲り合う、という遊びかたをしていたプレイヤーも多かったかもしれませんが。

余談ですが、任天堂は『シェリフ』にもコンドルを登場させています。特定の世代には郷愁を感じさせる鳥なのかもしれません。

では、また次回。

© 1984 Nintendo
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