見城こうじのアケアカ千夜一夜
第62夜『ジービー』&『ボムビー』(1978&79年・ナムコ)


ナムコ(現 バンダイナムコエンターテインメント)製のピンボール+ブロック崩しゲーム
今回は『ジービー』と『ボムビー』について書いてみたいと思います。ナムコがビデオゲームに参入後、最初に自社開発したゲームです。
この2作は兄弟作品のようなもので、白黒だった『ジービー』に対して、カラー化するとともに内容にもさまざまな改変を加えたのが『ボムビー』です。
両作の最大の特徴は、ブロック崩しにピンボールの要素を加えた遊びということです。
具体的には、パドルによる操作や整然と並ぶブロック等の、ブロック崩しの基本的な仕組みをベースに、バンパー、スピナー、ロールオーバー、サイドゲートといったピンボールのフィーチャーがミックスされています。
今回、Switch2のJoy-Con 2をマウスにしてプレイしてみたのですが、思った以上にブロック崩しのパドル操作に向いており、なかなか遊びやすいと感じました。
『ジービー』と『ボムビー』のゲーム性の違い
当時は『ジービー』も『ボムビー』も難しいゲームという印象があって、あまりプレイしていなかったのですが、改めて遊んでみると、両作で明らかに難易度が違うことがよくわかります。『ジービー』は今遊んでもなかなか手ごわいゲームですが、『ボムビー』は慣れてくるとけっこう戦える印象です。
難易度を決定づける上で、両作の大きな違いとして、何よりボールの速度があります。『ジービー』の速度はかなり速い。
そして、根本的なゲームシステムの違いとして『ジービー』はミスするごとに、画面の状態がリセットされてしまいます。一般的なブロック崩しにはリセット要素はありませんでした。『ジービー』は当時のピンボールゲームに近い設計思想で作られたのかもしれません。
さらに、画面レイアウトがあちこち変わっているのですが、ゲーム展開に与えた影響としては、とくにバンパーの位置が変わったことが大きいように思います。
『ジービー』では、最上段のブロックの手前に2つの大きなバンパーが鎮座していて、これに阻まれてなかなか上へボールが届かない印象があったのですが、『ボムビー』のバンパーは最上段の左右隅に追いやられています。
これによってブロックを崩しやすくなったのと、バンパーが奥まった位置にあることで、一度ボールが入るとそこで何度も跳ね返ることが起き、より爽快な展開が生まれやすくなっています。非常にわかりやすい改良点です。
また、最上段の中央にもバンパーがあるのですが、これは中央のブロックをすべて破壊したときにのみ出現するようになっており、その状態のときに下側のパドルでボールを一定回数打ち返すと、このバンパーが爆発するという、ビデオゲームならではのフィーチャーが加わっており、エンターテインメント性がアップしています。

ブロック崩しとピンボールは何が違うのか
改めてこれらのゲームとピンボールとの相違点を考えてみると、一つに、ボールへの力の加わりかたが異なるということがいえます。
ピンボールは下方向へ重力がかかります。上への力が加わるのは、バンパーなどに跳ね返されたり、フリッパーで打ち返した場合です。他方、ブロック崩し系のゲームの世界には、原則として上も下もありません。
また、打ち返すための装備がフリッパーかパドルかという大きな違いがあります。フリッパーは角度とタイミング、そしてパワーの調整もある程度できるのですが、パドルだと角度の調整しかできません。
そうした特徴もあって、ボールの加減速の緩急が大きいピンボールに対し、ブロック崩し系はどちらかというと等速で動き、特定の条件でその速度がデジタルに上下する場合が多いと思います。
そしてもう一点、ピンボールと、この『ジービー』『ボムビー』との大きな違いは、後者はナッジができないということです。
ナッジとは、筐体を揺らすことでボールの軌道を制御するピンボールのゲームテクニックのことです。左右のサイドアウトにボールが落ちそうになった際などに、いかにナッジをうまく使って回避するかが腕の見せどころなわけです。
ナッジがない『ジービー』と『ボムビー』では、サイドアウトに落ちそうになった際に成す術がないのです。その状態にならないよう技術でカバーするのも難しい。ぼく自身、当時『ジービー』をプレイしていて、ここにボールが落ちてしまうことには、正直なところ納得ができませんでした。
ところが、ナムコはこのサイドアウトのギミックを『ジービー』『ボムビー』『キューティQ』の三部作で、最後まで採用し続けます。
結果、『ボムビー』や、とくに最後の『キューティQ』になると、ボールの反射軌道やセーフティゲート出現などのチューニングによって、かなり納得度の高いバランスまで磨き上げられたと思います(『ボムビー』に関しては今回遊んでみてそう感じました)。
制作者がこのサイドアウトにこだわったのは、ピンボール的なフィーチャーとしてどうしても残したかったのか、それとも難易度調整のために必要と思ったのか、はたまた運の要素を好んだのか、ご本人らに確認したことがないのでわかりませんが、今見てもビデオゲームとしては独特で、かつ遊びを左右するギミックでもあると思います。
こうして一つの完成形を見た、三部作の最終作である『キューティQ』は、後の『パックマン』にも通じるポップなカラーリングとキャラクター性を併せ持った佳作といえます。
『ジービー』と『ボムビー』はその礎にもなった、ナムコ黎明期の試行錯誤の跡がよく見える貴重なゲームなのです。
では、また次回。


GEE BEE™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
BOMB BEE™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
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