『ウットイ』をZ世代の女性が遊んだ感想は? 今後の展望は? マインドウェア市川幹人氏&女優・天翔ゆいさんに訊く 後編

  • 記事タイトル
    『ウットイ』をZ世代の女性が遊んだ感想は? 今後の展望は? マインドウェア市川幹人氏&女優・天翔ゆいさんに訊く 後編
  • 公開日
    2024年11月08日
  • 記事番号
    12021
  • ライター
    松井ムネタツ

『ウットイ3671』開発者 マインドウェア市川幹人氏&女優・天翔ゆいさんインタビュー

1984年に発売されたパソコンゲームのリメイク版『ウットイ3671』(Steam)の発売を記念して実施した開発・発売元マインドウェアインタビューです。後編となる今回は、配信番組でアシスタントをしている女優・天翔ゆいさんに本作の魅力を語っていただきつつ、次回作など今後のマインドウェアによるリメイク予定タイトルについても訊いてみました。

前編は、こちら

【聞き手】
松井ムネタツ

『ウットイ3671』の魅力は、キャラクターの愛くるしさ!

―― 天翔さんは先ほどからゲーム画面で動いているキャラクターに対して「可愛い!」を連発されていますね。

天翔 だって、TENTENくんもTELTELちゃんもメチャクチャ可愛いじゃないですか! 歩く姿も飛ぶ姿も……もう全部可愛い!

市川 オリジナルは右向き2パターン、左向き2パターンの合計4パターンしかないキャラだったんです。なのでアニメパターンはメチャクチャ増やしました。

天翔 あと、やられ方もたくさんあるんです。そのときの表情もメチャ可愛い!

市川 TENTENくんもTELTELちゃんも、デザインは新規で起こしました。新しい解釈のふたりです。

―― 1984年当時に掲載された広告を見ると、イラストの統一感がなくバラバラですよね。同じキャラとは思えないほど絵が違うというか。

市川 違いすぎですよね。この頃はそういう時代だったんですよ。画面上のドット絵から「たぶんこんなキャラだろ」とイラストが描かれている印象です。1986年ごろになるとRPGが主流になって、こういうことは起こらなくなりました。イラストレーターなりがちゃんとキービジュアルを描いて、それを元にゲーム画面上のキャラも作られるようになって……。
なので、リメイク版を作るにあたって、キャラクターは新規でデザインし直すことにしたんです。これはとても大事に考えていることなんですが、天翔さんのように何も知らない10代や20代の人が遊んでも新しいゲームとして楽しんでほしいんですよ。なのでビジュアルのクオリティは今のレベルにしました。

天翔さんによるオリジナルエディットステージを配信予定

―― 天翔さんが作った『ウットイ』のオリジナルステージがあるそうですが。

天翔 はい、マインドウェアさんの生配信番組の中で、市川さんからアドバイスをいただきながら作ってます。

市川 自分でも追加ステージはたくさん作ったので、それを月イチペースで配信しようと思ってます。8ステージで1セットなので、天翔さんに8ステージ作ってもらったら、それをパックにして配信する予定です。

―― ステージエディットしてみた感想は?

天翔 最初は何をどこからどうしたらいいのかまったくわからなくて。そこまで考えてゲームを遊んでないですし。
でも実際にいくつかのステージを作ってみて、『ウットイ』を遊ぶときの考え方が大きく変わりました。このステージでここにこの敵を配置しているのは、こういう考えがあるからだな……とか、今までにない見方をするようになりましたね。ゲームを遊ぶときの視点が広くなりました。もう漫然と遊ぶことがなくなりましたね。成長しました!

市川 天翔さんはクリア効率も大幅に上がり、かなり難しい面も自力クリアできるようになりました。

天翔 とはいえ、23回もトライしてますけども……。同じ面で何度もTENTENくんがやられてしまって……申し訳ない気持ちです。電気が落ちてくるのとかマッチ棒とか、どうしても焦っちゃうんです。
でも、遊べば遊ぶほど、ステージを作る人ってすごいなって思いますね。ステージの内容を考えるのって簡単じゃないことを身をもって経験しています。だからすごく凝ったステージに出会うと、これを考えた人はすごい!って尊敬しちゃいます。

市川 それをわかっていただけるって、かなり嬉しいことですよ!

―― ステージといえば、オリジナル版『ウットイ』のステージは収録されていないんですよね?

市川 全部新規ステージにしました。敵の性能を変えてしまったこともあって、オリジナル版のステージだとそのまま使えないものも多くて……。
でもいろいろ調整して、アップデートでオリジナル版のステージを遊べるようにしようと思っています。

―― ストーリーはオリジナルなんですよね?

市川 5面ごとにコーヒーブレイク的な形でストーリーが展開するビジュアルが流れます。ストーリーは弊社で作りました。
オリジナル版のパッケージやマニュアルには、物語は何も描かれていないんですよ。唯一、FM-7版の掲載号の「I/O」には「愛しのTELTELちゃんに会うために」とか書いてあるんです。でもTELTELちゃんについてはここに書いてあるだけで、パッケージには書かれていないし、ゲーム中にも出てこない。エンディングで出てくるかなと頑張って100面解いたのですが、やっぱり出てこない(笑)。文字だけでも「TELTELちゃんに会えました」とか出てきたらそれだけで嬉しかったのに、何もなし!(笑) なので、リメイクするときは絶対に入れるつもりでいました。

「簡単操作なのにすごく頭を使うところがいい!」

―― 天翔さんから『ウットイ』のおもしろさを同世代の方々にオススメするとしたら、どんなふうにプッシュしますか?

天翔 普段あまりゲームをしない層に対してのアプローチになってしまいますが、そういう人たちからするとゲームってたくさんのボタンを操作しなければならないイメージがあるです。自分がそうだったので。そう思っている人たちにこそ遊んでほしいです。操作はわかりやすいですし。
簡単操作なのに簡単じゃないというか、安易にクリアさせてくれない部分が、私としてはすごくハマりました。「クソー!」みたいな気持ちをくすぐってくれるんです。
あと、私が圧倒的に好きなのは、TENTENくんとTELTELちゃんのビジュです。本当に大好きで、歩いている姿や瞬きの仕草が本当に愛しすぎて……。あとよく言うんですが、やられたときの表情が本当に好き。

―― ゲームにおけるTENTENくんとTELTELちゃんのキャラ性能は同じですよね?

市川 最初は性能差を付けようと思ったのですが、最終的には辞めて同じ性能にしました。ステージを作るのが大変になってしまって……初期段階で断念したんです。
おそらく多くの人がTENTENくんでクリアしてからTELTELちゃんで遊ぶと思うんです。それぞれ違うステージを50面ずつ用意してあって、ステージ構成はまったく違います。オリジナル版は全100面なのですが、いまどき100面は多すぎるかなということもあって、ひとまず50面でひと区切りとしました。
キャラ性能が違うと、せっかくTENTENの挙動に慣れたのに、全然違うキャラになってしまうのは違うかな、と思いまして。TENTENでクリアして終わりにしてしまう人が増えそうだったので、同性能にしました。

レトロゲームのリメイクはこれからもやる! 次に予定しているのは……!?

―― 2024年3月14日からSteamで配信していますが、パッケージ版が9月20日に発売となりました。

市川 中身はSteam版のダウンロードコード、サントラCD、150頁の冊子、クリアファイル、ポストカード、下敷きです。

▲パッケージ
▲サントラCD
▲下敷き

天翔 どれも可愛いんですよ。メチャ可愛い。尊い……。

市川 冊子は当初80頁程度だったんですが、いろいろ詰め込んでいったら160頁に膨れ上がってしまって。

―― このパッケージ版の購入方法は?

市川 Beepさん、ゲームショップ1983さん、KVC lab.さんです。それぞれショップ特典が付きます。
Beepさんはアクリルキーホルダー、KVC lab.さんはB2ポスター、ゲームショップ1983さんは『ウットイ1983』という特別版(全10ステージ)が付いてきます。

▲アクリルキーホルダー(KVC lab.特典)
▲B2ポスター(Beep特典)
▲『ウットイ1983』(ゲームショップ1983特典)

―― そういえば、マインドウェアさんのレトロゲームのリメイクシリーズは、その多くに『3671』というこの数字が付いています。これの意味は何なのでしょうか?

市川 Steamで『宇宙最大の地底最大の作戦』をリリースするために英語タイトルを付ける必要があって、そのとき『Cosmic Cavern 3671』としたのがキッカケです。以降、ほとんどのリメイク作品に”3671″を付けています。
当初は『宇宙最大の地底最大の作戦』の英語タイトルに数字はついていなくて『Cosmic Cavern』だけだったんですよ。ですが、Steam側から商標の関係でNGだと言われてしまって。前後に何か文字を足せばOKだというので、そのことをローカライズ担当者に伝えたら、『Cosmic Cavern 3671』というタイトル案を提案してくれました。西暦っぽい数字が入っているゲーム名というのはいくつかありましたよね。『ダーウィン4078』とか『マイナー2049』とか。それと同じように、西暦っぽい数字を入れましょうと。単純に「かっこいいな」と思ってそれでいくことにしたんですが……。

―― ですが?

市川 あるとき、外国人のプレイヤーからメッセージをいただいたんですよ。「名作ゲームを私物化しやがって!」と。怒っている原因が、どうやら「3671」という数字のことらしいんです。もしかして宗教的に問題な数字なのだろうかと焦ったのですが、提案してくれた人によくよく聞いたら、「市川さんの誕生日(1971年3月6日)からつけました」と教えてくれました。発売してから半年くらい、この数字の意味をまったく知りませんでした(笑)。

―― なるほど! では今後「3671」が付きそうな今後リメイクを予定しているタイトルについて、お話しできる範囲で教えてください。

市川 1982年にリリースされたとあるアーケードゲームのリメイクを検討しています。縦画面のサイドビューで、シューティングですね。あとは有名ゲームクリエイターが作った過去作のリメイクもやりたいなと思っています。
あと、これはリメイクではないのですが、完全オリジナルのシューティングゲームを1つ予定しています。

―― 配信番組が始まる直前の中、貴重なお話をたくさんありがとうございました。

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