ゲーム・エンタメの最新の話題を伝えるぞ! 山村智美の『未来ゲーム Travelers』

  • 記事タイトル
    ゲーム・エンタメの最新の話題を伝えるぞ! 山村智美の『未来ゲーム Travelers』
  • 公開日
    2025年10月03日
  • 記事番号
    13580
  • ライター
    山村智美

ゲームやエンタメの最新の話題を伝える月刊連載コラム『未来ゲーム Travelers』です。

10月となって、2025年も残りはすでに100日を切っているわけですが……、

9月25日~28日にかけて、今年も幕張メッセにて日本最大のゲームイベント

『東京ゲームショウ』が開催されました。

というわけで今回はもちろん毎年おなじみTGS特集と総評の回です。

今年はとにかく暑さが怖かったのですが、フタを開けてみると暑さは何とかギリギリ。でも日によってはちょっと暑いぐらい。陽射しはまだ昔の夏ぐらいのパワーがあるのでは?ぐらい。

一昔前のTGSは、「TGSが終われば今年も終わったも同然」ぐらいに言われていたのですが、

今では「TGSが終わったらやっと夏が終わる」というところです。

気候もそうですけど、時代は変わっていきますね。良くも悪くも。時代が変わっていくことに良いも悪いもなくて、でも変わり続けることと前へ進み続けることにだけは意味があるのでしょう。

今年のTGSはどんな変化があったのか。お伝えしていきましょうー。

では、今月の曲~。

2000年結成のインストゥルメンタルのロックバンド「toe」。ライブシーンを中心に活動する彼らが2009年に発表した楽曲「グッドバイ」ではボーカリスト土岐麻子さんがゲスト参加したバージョンがありました。知る人ぞ知る名曲中の名曲。

そのtoeが何とYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に登場しました。ゲストボーカルとして土岐麻子さん、チェロ奏者として徳澤青弦さんが参加しています。「toe – グッドバイ feat. 土岐麻子 + 徳澤青弦 / THE FIRST TAKE」、amazingで圧倒的にbeautiful、ボクらの世代が聴くことのできる最高到達点のひとつとすら思える本物のmasterpiece。ぜひ。

 

TGS 2025レポート – ゲームを中心としたデジタルポップカルチャーを様々なカタチで味わえる場所へ、変わり続ける道の途中に。来年は5日間開催!!

今年のTGSは出展社数は1136社、小間数は4157小間、過去最大だった2024年をいずれも上回って史上最大規模での開催となりました。

また、47の国と地域から企業・団体が出展したとのことでこちらも過去最多。内訳として、出展社数1136社のうち615社が海外からの出展と、実はほぼ半数以上が海外出展という前例のないTGSになりました。

昨年のTGSでもすでにこの連載では「ゲーム産業はアジアを中心にグローバルな広がりを見せていて、日本にアジアがミックスされたいわゆる“ネオアジア”なゲーム・エンタメ圏が、東京ゲームショウという場所になりつつある」としましたが、今年はさらにその傾向が前進したと言えます。

今年の大きな特徴と感じたのは、

“日米中韓の大手ブースをミックスでレイアウトしている”

というもの。特に中韓メーカーの大きなブースをホールの中央に配置しつつ、それを知名度がさらに高い日本メーカーや欧米メーカーの大きなブースが挟むような配置になっていました。

中国Neteaseが提供を予定している『無限大ANANTA』。ここで配布しているショッパーが会場ではかなり目立っていました
中国のMMORPG『逆水寒(Justice) 』
中国CenturyGamesの『ホワイトアウト・サバイバル』ブース
中国ゲーム『アークナイツ:エンドフィールド』ブース
中国テンセントのゲームブランド『Level Infinite』
中国テンセント傘下のスタジオが手掛ける『チェイシング・カレイドライダー』ブース
韓国Smilegateの『MIRESI:視えない未来』ブース
韓国NEXONの『The First Descendant』ブース

こうした中韓ブースの戦略は、写真を見てもらえばわかると思いますが、日本・海外のインフルエンサーをゲストに呼びつつ、主にコスプレイヤーの人も集めていますね。ちょっと攻めた衣装のコンパニオンの人もたくさんいるということで、ある意味では昔のゲームショウが1周回って帰ってきた的なわかりやすさ。とにもかくにも注目してもらわないことには始まらないわけで、そのあたりには強さがあります。

そうしたブースを中央に眺めつつの配置となった日米大手のブースですが、やはり今回最大の注目はカプコンですね。

とにかくブースがでかい。ホールの2/3を横断する今までに見たことがないほどの長いブースになっていました。今回の最大コマ数ですね。

『バイオハザードレクイエム』を大きく前面に映し、その一方ではまだヴェールを脱いだばかりの『鬼武者 Way of the Sword』も大きくアピール。

カプコンの強さという点では、カプコンブースだけでなくTGS全体のいたる所で『ストリートファイター6』の存在が感じられたところも非常に印象的。

『スト6』の対戦イベントやプロ格闘ゲーマーによるトークイベントなどが、そこかしこで行われていました。また、ゲーミングチームのブースやデバイスメーカーのブースでもアケコンやレバーレスの展示が多くあり、その試遊には『スト6』が置かれているというケースもたくさん。今1番流行っているゲームは3年目ながらまだまだ『スト6』だなと感じる光景でした。

『スト6』以外でも格ゲーの存在感が高く、TGS初出展となったライオットゲームスでは10月8日よりアーリーアクセスを開始する『2XKO』を大きくアピール。SIE販売、アークシステムワークス開発の『MARVEL Tōkon: Fighting Souls』もアークブースとPlayStationブースの両方で多くの試遊台が用意されていました。さらにセガも『新バーチャファイター』の情報を発信。新しい選択肢も多く、格闘ゲームの人気はまだまだ続きそうです。

BFシリーズでTGSに出展するのは実に10年ぶりとなった『バトルフィールド6』では、横長のブースに64人が実際に座って64人対戦をするという、過去のTGSでも行っていた“ここでしかできない体験”を今回も豪華に開催。ブースには大きな戦車や上空にヘリもあって、かなりの迫力のブースとなっていました。

KONAMIでは12月22日に発売予定の『桃太郎電鉄2』と発売されたばかりの『SILENT HILL f』を大きくアピール。『桃太郎電鉄2』は櫓を組み、中も夏祭りのような夜店スタイルで賑やかだった一方、逆サイドでは『SILENT HILL f』に登場するやばいキャラ『アヤカカシ』さんがぎこちない動きで迫ってくるという、昨年のバブルヘッドナースに続いて今年もいい感じの恐怖をふりまいていました。

ハードウェア方面で大きな注目となったのはASUS。ポータブルゲーミングPC『ROG Xbox Ally X / ROG Xbox Ally』を実際に触れるとあって、こちらも非常に人気となっていました。

今年はフォトスポットが昨年よりもさらに増えたことも印象的でしたね。ゲームを試遊するということよりも“ゲームにまつわるアジアのデジタルポップカルチャーを楽しむ場所”という方向へ進んでいるのが感じられました。

10月23日発売『ワンス・アポン・ア・塊魂』では、巨大な塊オブジェに王子のダンスタイムも大好評。

昭和レトロのブースで、ちゃんと遊べてしまうアーケード筐体Viewlixのミニモデルやキャプテンフラッグのミニモデルを展示していた達成電気。今回制作したのは、どちらもそれぞれメーカーに許可を得て試作したもの。ただ、実はViewlixは液晶パネルを回転させて縦にする機構もすでに備えていたりと実用的。今回の展示の反応やアンケートの結果を参考にしたいとのことだ。

ちなみに今回は新しい試みとして会場を回っている様子を動画で撮ってきたので、そちらもぜひお楽しみいただければ。チャンネル登録、高評価もよろしくお願いします。

 

もうひとつ、今回のTGSで話題になったものと言えば、あの『鉄騎』を超えるド迫力のコントローラーでプレイができた『PVKK: 惑星防衛砲指揮官』。

実際に可動するメカメカしい装置を操作して、大砲を発射するというもので、ブースには多くの人だかりが。発射すると轟音が響きギャラリーが「……ぉぉぉぉぉ!」と声を漏らすのがまたおもしろいブースとなっていました。こちらも動画を撮らせていただきましたので、そちらをぜひご覧ください。

 

いろいろな角度でゲームやデジタルポップカルチャーを楽しめる場所となっていた今年のTGS。

4日間の総来場者数は、26万3101人ということで歴代3位の記録とのことです。新作をサプライズ発表する場という側面は少なくなってきて、情報はオンライン配信でも充実して発信できていますので、TGSは“現地の盛り上がりを楽しみたい”や“人気ストリーマーやプロゲーマーを生で見たい”というような体験ベースの価値になってきているかと思います。

ただ、今年の傾向として判断が悩ましくなるのは、ビジネスデイが両日とも昨年より約1万人増加した一方で、一般日は土曜日が約2万人、日曜日も約1万人減少しているところ。

これは数字の捉え方や内訳が難しいところはありますが、SNS等で一定のフォロワーがいるなど基準を満たしたインフルエンサーさんであれば、ビジネスデイに入れるという枠が一因になっているかもしれません。本来は一般日に行こうとしていた人でも「基準満たせてるしビジネスデイに行きたい!」となってしまうわけで、そういうシフトを起こした人が約1万人いたと考えると、辻褄が合うには合いますが。

もちろん増減の理由はまったく別で、単純にビジネスデイの業界関係者がとにかく多くて、一般日の来場者が少なかっただけかもしれませんが。とにもかくにもちょっと不可解というか悩ましい増減だとは思うので、来年は分析の上で何かしら手が入って欲しいところです。

一方、もうひとつの悩ましいポイントは、“もう出展する場所がない”ことでしょうか。ホールはもう隅から隅まで、今年は2階の通路部分にもインディーゲームのブースを設けるなど、本当に使えるところはすべて使っていますというのが感じられました。これ以上に密度を上げると通路が確保できなくなりますし、これ以上はもう日程を拡大して来場者を分散させるしか……、

というわけで、何と来年は史上初の5日間開催となります。

2026年の開催日は9月17日(木)~21日(月・祝)。ビジネスデイが2日、一般日が3日となります!

いやー“その手があったか”状態ですね。

これなら、上記のビジネスデイがなぜか混雑する問題も、

「ステージイベントもやらないし配布物とかも一般日だけの場合が多いからビジネスデイに無理やり来る意味はあんまりないよ!」

「一般日も3日やるんだから混雑も多分あんまり変わらないよ!」

と言えます。いや、本当に。実はビジネスデイってイベントとしての楽しさだけで言ったら一般日にはずいぶん劣るというか、全然違うものなんですよ。

一般日が3日になればさすがに1日あたりの混雑は減るでしょうし、ビジネスデイも本来あるべき“仕事のために担当の人と話をしやすい日”としての機能が高まると思います。

というわけで、いろいろな変化が感じられた今年のTGS。

アジア全体のデジタルポップカルチャーを楽しむことができる場所としてまだまだ変化の途中なのかもしれません。

それでも個人的には特に4日目の様子は、楽しんでいる雰囲気がそこかしこからたくさん感じられて、だんだんと良い方向へのバランスが整っていくのではないかなと、希望的な観測を持っています。
来年は何といっても5日間ですから、さらに大胆な変化が待っているかもしれません。でも、それが楽しみですよね。

TGSで出展された注目の最新レバーレス、レバーアケコン! 何とスポーツメーカーミズノからもゲーミング製品が登場

毎年恒例、TGS会場で見つけたアケコンやレバーレスを紹介していきましょう。今年は前述のとおり格ゲーの人気がさらに成熟してきているところがあり、いろいろなところで新しい

・ミズノ「レバーレスコントローラー」

今回最も驚きの出展となったのが総合スポーツメーカーであるミズノの「レバーレスコントローラー」。

ミズノでは、例えば陸上競技におけるシューズのようにeスポーツにおけるコントローラーも競技者を支える重要な存在と捉えて、ゲーミング用品にも取り組んでいるとのこと。

今回出展しているレバーレスは開発は約2年前からスタートしていて、同社が研究を重ねてきた人間工学のノウハウも活かしつつ制作を進めているとのこと。移動ボタンの左手はそっと添えられるように膨らみをつけ、指運びがある右手は不要に指を曲げなくていいように逆にへこませているなど、非常に考え方が実践的でした。

発売等は未定ですが、今回の出展で反応を伺いつつ、製品化を視野に進めていきたいとのことです。
こちらについては担当の人にお話を伺っている様子を動画にしていますので、そちらをぜひご覧ください。

 

・CORSAIR「NOVABLADE PRO」

キーボード製品を多く扱うCorseirも、何とレバーレスを販売。こちらは『ストリートファイター6』のプレイヤーである台湾のOil King氏に意見を伺いつつ、同社のキーボード製品からのノウハウも反映させているとのこと。ボタンキャップが丸みがあってキャップの高さも高めなのが特徴的ですが、ラピッドトリガーなのでAPは0.1mmから4.00mmまで調節可能。

PSライセンス取得予定で10月発売予定で価格は32,780円。

 

・REJECT「REJECT ARCADE CONTROLLER Prototype」

ゲーミングチームREJECTが制作中というアケコン・レバーレス。ボタンキャップの薄さやストロークの浅さなど気になるポイントが見られましたが、いずれにおいてもまだまだ試作段階で未定とのこと。

 

・Wizard Room 「GlimPearl」

Good 8 Squad さはら選手とのスポンサー契約とともに発表されたレバーレス「GlimPearl(グリムパール)」。価格が78,980円(税込)とのことでそこがまず話題になりました。

実物を触ってみると、これは単価を想像しても納得の品質。ボタンはマイクロスイッチ採用の「OneFRAME」を追加ボタン込みで採用し、基板も独自形状とソケットに一体化させた特注の「Brook Gen-5」。

何と言っても新プラスチック素材「NAGORI」を使っているという天板の質感が非常に独特で、例えるなら滑らかな石のよう。金属のような冷たさではなく、でも硬さを感じるもので、色もまるで石が削れたかのような白がかすれたような独特な味でした。それでいて重さは軽くて、触ったときの石のような硬質さとは感覚がズレて困惑するぐらいの軽さ。

内部アクセスの工夫などもよく、いろいろ込みこみで特に筐体と天板の単価を考えると納得感のあるレバーレスとなっていました。

 

・moimate「Rushbox Click」

薄型レバーレス「Rushbox」シリーズを販売するmoimateからは、マイクロスイッチを採用した新型「Rushbox Click」が会場限定で販売されていました。マイクロスイッチはキーボード用スイッチとは異なり、まだ手軽に付け替えられるようなホットスワップ化が進んではおらず、板状の薄型レバーレスではなかなか使えていないのが現状。この「Rushbox Click」では基板にハンダ付けする形で実現しているとのことです。意欲的な製品なこともあってか、本製品はまだ一般販売の予定はなく、今回TGS会場で数量限定で販売するのみとのこと。

 

・ホリ「試作品レバーレス」

老舗のホリでは新しい非常に小型なレバーレスの試作が展示されていました。長方形でかなり小型軽量。価格は1万円以下を目指したいとのことで、現在同社が販売しているNOLVAよりもさらに廉価なモデルとなりそうです。

 

10月の注目タイトルは『バトルフィールド 6』! 『ドラゴンクエストI&II』に『The Outer Worlds 2』!

2025年10月に発売されるタイトルから注目作をピックアップ!

今月の注目はやはり『バトルフィールド 6』でしょう。

前作『バトルフィールド2042』が厳しい評価となってしまったところから約4年。

『BF3』『BF4』の精神を軸に構築された最新作『バトルフィールド 6』がいよいよ発売です。

競技系やヒーローシューターのような責任の重いタイトルとは異なり、大人数の中でより気軽に楽しめるFPSというのは、やはり1本定番が欲しいという人は多そう。

『バトルフィールド 6』が久しぶりにその期待に応えられる1本となってくれることを願うばかり。

また、下旬になると10月21日には13年ぶりにナンバリング新作の発売となる『NINJA GAIDEN 4』、

10月30日にはHD2Dシリーズでついにロト三部作が揃うことになる『ドラゴンクエストI&II』、

同日にはXbox Game Studiosからも大型アクションRPG『The Outer Worlds 2』が発売と、

今月は多様なタイトルが発売されます。

いわゆる秋の夜長のお供にじっくりと楽しめる1本を選びたいところですね。

それでは、良いゲームライフを!
 

 

2025年10月8日

『2XKO』

[PS5][Xbox Series X|S][Windows PC]

 

2025年10月9日

『へべれけ ばにーがーでん』

[Nintendo Switch][Windows PC(Steam)]

 

2025年10月10日

『リトルナイトメア3』

[Nintendo Switch2][Nintendo Switch][PS5][PS4][Xbox Series X|S][Xbox One][Windows PC(Steam)]

 

2025年10月11日

『バトルフィールド 6』

[PS5][Xbox Series X|S][Windows PC(Steam)]

 

2025年10月21日

『NINJA GAIDEN 4』

[PS5][Xbox Series X|S][Windows PC(Steam)]

 

2025年10月30日

『ドラゴンクエストI&II』

[Nintendo Switch2][Nintendo Switch][PS5][Xbox Series X|S][Windows PC(Steam)]

 

『The Outer Worlds 2』

[PS5][Xbox Series X|S][Windows PC(Steam)]

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