『グラディウス』と似て非なる秀作シューティング『サンダークロス』

  • 記事タイトル
    『グラディウス』と似て非なる秀作シューティング『サンダークロス』
  • 公開日
    2019年07月03日
  • 記事番号
    1111
  • ライター
    前田尋之

1980年代後半はシューティングゲーム全盛の時代であった。毎作ごとに目に見えて進化していく熱い時代であり、名だたるアーケードゲームメーカーは各社趣向を凝らしたシューティングゲームをリリース。世のシューティングファンはうれしい悲鳴をあげていた時代でもあった。

なかでもKONAMIは、特にシューティングゲームに力を入れていたゲームメーカーの1社として知られ、1985年に発売された『ツインビー』と『グラディウス』は、同社の縦スクロール・横スクロールシューティングのマイルストーンとして、代表作の一つとして、現在も語り継がれている。

また、この2作を皮切りに、同社はアーケード、コンシューマー問わず数々の名作をリリースしており、今回紹介する『サンダークロス』(1988年)も、そんなKONAMIのシューティングゲーム史に燦然と輝く1タイトルといえる。

オプションボタンで上下に可動するオプション

▲横スクロールシューティングの『サンダークロス』(プレイ動画:公式YouTubeチャンネルより)

『サンダークロス』は、『グラディウス』を開祖に持つステージクリア型の横スクロールシューティングゲームである。プレイヤーは自機「ブルーサンダー45型(1P側)」「レッドサンダー24型(2P側)」を操り、「岩山」「ビル街」「機械墓場」「超巨大戦艦」「基地内部」「溶岩洞窟」「最終要塞」で構成された全7ステージを攻略する。各ステージ(ステージ4を除く)の最後にはボスが待ち構えており、撃破するとステージクリアというオーソドックスなスタイルである。

本作の最大の特徴は自機の上下に最大4つまで装備できるオプションで、オプションボタンによって上下の幅を変化させられる。ショット方向そのものは変えられないが、このオプションを使って、通常では攻撃できない死角に存在する敵を破壊することが可能になる。

パワーアップは一定時間ごとに変化するパワーユニットを取ることで武装を選択できる方式を採用。「V(バルカン)」→「B(ブーメランレーザー)」→「T(ツインレーザー)」の順に変化するので、好きな表示が出たときに取れば、該当する装備が得られる。それぞれ3段階のパワーアップが可能で、初心者には、破壊力がある上に障害物で跳ね返る「B」がお勧めである。

また、オプションを4つ装備しているとスペシャルパワーアップが登場し、これも通常のパワーアップ同様に「L(マクロレーザー)」→「F(火炎放射)」→「N(スーパーナパーム)」と変化していく。これらを取ると一定回数だけオプションから発射できるスペシャル攻撃が可能だが、発射にオプションボタンを使用するため、装備中はオプションの間隔調整ができないというジレンマも持ち合わせている。

攻撃の見た目が派手なわりに使い勝手は決して良くないスペシャルパワーアップだが、これの装備中はパワーユニットが「?(5000点ボーナス)」になるため、上級者プレイヤーになるほどスペシャルパワーアップを装備したままの状態で「?」を取りまくるという、得点稼ぎが可能なシステムとなっていた。

▲障害物で跳ね返るブーメランレーザーは強力!(画面写真はNintendo Switch版)

初心者向けを目指した数々の配慮

▲ステージ4はステージ全体がボス戦となっている(画面写真はNintendo Switch版)

本作は、難易度上昇を繰り返し、マニア向けのジャンルになりつつあったシューティングゲームのアンチテーゼとして開発され、初心者にも遊びやすい救済措置をいくつも盛り込んだ意欲的な作品でもある。具体的には「2人同時プレイ可能」「プレイ中、いつでも途中参加可能」「プレイヤーがやられてもその場で復帰」「出現頻度の高いパワーアップアイテム」などが挙げられ、ゲームシステム上の系譜としては同じく『グラディウス』から間口を広げる方向へ進化した『沙羅曼蛇』(1986年)同様のアプローチといえるかもしれない。

また、ゲーム自体の難易度自体も比較的低く抑えられている。事前に知らないと避けることができない「初見殺し」もないため、そこそこのレベルのプレイヤーであれば、1周クリアもそれほど難しい話ではない。さらに、その場で復帰できるコンティニュー機能(ステージ7のみコンティニュー不可)も備えており、腕に自信がない初心者でも、連コインである程度先まで進める配慮もうれしい仕様といえよう。

▲いずれのステージ、どのボスも趣向を凝らしていて美しい(画面写真はNintendo Switch版)

メジャーではないながらも隠れた名作

『サンダークロス』を単体のゲームとして見た場合、極めてよくできたシューティングであり、それを裏付けるように今でもファンの多いタイトルである。ただし、同社のシューティングゲーム全盛期に発売されたタイトルだけに『グラディウス』シリーズと比較されることも多い。

『サンダークロス』は1988年10月のアミューズメントマシンショーで同社の目玉として大々的に発表され、『グラディウス』シリーズに続く1988年末の本命として期待されていた。しかし、同年3月には『グラディウスⅡ』が発売されており、『サンダークロス』が投入されたのは、そのわずか7カ月後だったのである。通常であれば、人気作とはいえ発売から7カ月も経過していれば、それなりにインカムが落ち着いて次の製品が渇望されるべきであったし、おそらくKONAMI自身もそういったサイクルを念頭に新作リリースを計画していたと思われる。

『サンダークロス』は『グラディウス』の流れを汲みながらさまざまな実験的要素を導入し、脱『グラディウス』を目指したゲームであったが、そのリリースタイミングの都合からどうしても偉大な『グラディウス』シリーズの影に隠れがちであった。しかし、本作の魅力にとりつかれた熱心なファンの声に支えられ、1991年には続編の『サンダークロスⅡ』がリリースされている。

▲当時のパンフレット。パワーアップの説明が中心となっている

今でも遊べる『サンダークロス』

『サンダークロス』は、他のKONAMIシューティングに比べて長らく移植の機会に恵まれず、初の移植は実に19年近くも過ぎてからのプレイステーション2版であった。その丁寧な作り込みの内容が再評価されるようになり、2017年のアーケードアーカイブス、そしてこの度の『アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション』への収録へとつながったといえる。これを機に、当時のスタッフが目指した『サンダークロス』に触れてみてはいかがだろうか。

©Konami Digital Entertainment

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