シューティングにファンシーの概念を持ち込んだ『ツインビー』

  • 記事タイトル
    シューティングにファンシーの概念を持ち込んだ『ツインビー』
  • 公開日
    2019年06月28日
  • 記事番号
    1102
  • ライター
    前田尋之

KONAMIは実に多数の人気タイトルをもつ老舗ゲームメーカーだが、同社の代表作として『ツインビー』(1985年)を挙げる方も多いのではないだろうか。

カラフルでポップな画面、多彩なパワーアップ、2人同時プレイなど、それまでのシューティングゲームになかった新しいアイデアが多数盛り込まれ、同社だけでなく他社の製品にまで多大な影響を与えたゲームである。しかしながら、エポックメイキング的な作品であったがゆえに、後続製品に受け継がれきれなかった要素も多い。

本稿ではそんな『ツインビー』の革新性と魅力について述べてみたいと思う。

腕を犠牲に生き残ることができる縦シュー

▲2人同時プレイも可能な縦シュー(プレイ動画:公式YouTubeチャンネルより)

『ツインビー』は高低差の概念がある縦スクロールシューティングゲームで、操作方法は8方向レバーと対空・対地ショットの2ボタン。この当時としてはオーソドックスなスタイルで、説明がなくとも違和感なくプレイできる。

対地ショットはオートエイミング(自動照準)であるため、正確に狙わなくても、ある程度勝手に地上物を狙ってくれるすぐれ物。この対地ショットはツインビー(2Pは「ウインビー」)の機体から生えている「手」で投げられるのだが、この手は敵の攻撃を受けると失われてしまう。手は左右一対なので、両手を失った状態だと地上物への攻撃手段が一切ないということになるわけだ。ただし救済措置として、1機につき1回限りで救急車が登場し、失った両手を直してくれるサービスが受けられる。

これは逆に考えれば、ツインビー1機につき左右からの2発分の攻撃に耐えられるシールドを持っていると見ることもでき、敵の攻撃が激しい時には、わざと側面から攻撃を受けて延命を図れる(救急車の救済も含めれば合計4発分)ということになる。

もっとも、両腕を失ってしまえば地上攻撃はできなくなるため、やはり失うにしてもせいぜい片腕のみにとどめておきたいところである。

▲片腕を失った状態のツインビー(画像:Nintendo Switch版)

他に類を見ない特徴的なパワーアップシステム

『ツインビー』で一番特徴的なのはパワーアップシステムである。画面内の雲を撃つことで出現するベルを獲得してパワーアップするのだが、ベルには「ボーナス(黄)」「ツイン砲(白)」「スピードアップ(青)」「分身(緑)」「バリア(赤)」の5種類が存在する。獲得するベルの色でパワーアップ内容が異なるのだ。通常のベルの色は黄色だが、5発撃つごとに「白→青→緑→赤」と変化していく。好きな色になったときに獲得することで、プレイヤー自身が望むパワーアップ効果が得られるシステムとなっている。

▲敵と一緒にベルが画面内に出現したときは、望みのパワーアップを狙うのは難しい(画像:Nintendo Switch版)

簡単なように聞こえても、実際のところ、敵の攻撃の真っ只中にいて好みの色のベルを取るのはなかなか難しい。ベルは真っすぐ飛んでいるわけではなく、斜めに放物線を描く動きであることが、ベル獲得をより難しくしているのだ。

コツとしては、比較的攻撃が弱いステージ1のうちにある程度装備をそろえておくか、各ステージ序盤をパワーアップタイムとして活用する必要がある。ステージの中盤でミスをしてしまうと、敵の猛攻撃の中でベルの色を変えなければならず、パワーアップすらままならない状態で立て続けに残機を失ってしまうこともしばしば。この特徴的なパワーアップシステムが仇となり、復活の極めて難しいゲームになってしまったといえよう。

ちなみに、黄色のベルは取るとボーナス点が得られるが、さらには、画面外に落とさずに取っていくことで「500点→1,000点→2,500点→5,000点→10,000点」と獲得できる点数が上がっていく。落とさず取り続ける限り、ベル1個につき10,000点が入るという、実に美味しい点数稼ぎが可能となるのだ。本作で高得点を狙うなら、必須のテクニックといえるだろう。

ポップなキャラクターで女性客を呼び込む

▲ステージ1のボス、オニオンヘッド将軍(画面写真は『アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション』の公式サイトより引用)

『ツインビー』独特のポップなグラフィックにも着目したい。本作の発売当時、ゲームセンターに女性の姿はほとんどなく、そもそも女性ウケを狙ったキャラクターゲームは極めて少なかった。ここでKONAMIが新たに、女性向け市場への参入をもくろんで投入したタイトルが『ツインビー』であり、小動物のようなかわいらしさをイメージして、手足のある戦闘機「ツインビー」「ウインビー」が考案されたものと思われる。

なお、開発にあたって「突如、軍勢を率いて侵略してきたスパイス大王からドンブリ島を取り戻す」というストーリーが設定された。5つのステージを統治するのは、スパイス大王とオニオンヘッド将軍(野菜と果物)、パラレルディッシュ将軍(キッチン用品)、タイガーシャーク将軍(生きもの)、クローデバイス将軍(文房具)という4将軍で、例えば、スパイス大王のステージは植物と電子部品がモチーフといったように、それぞれ、各将軍のモチーフデザインに合わせた敵キャラが登場するステージで、賑やかしくファンシーな世界を見せてくれた。

2人同時プレイを生かした数々のシステム

『ツインビー』というタイトルからも分かるように、本作でもっとも注力されるべきは、カップルも一緒に楽しめるようにと同社で初めて採用した2人同時プレイだろう。それまでも、ミスしたら交代となる「2人交互プレイ」ができるゲームはあったが、『ツインビー』は間違いなく、2人同時プレイを実現した初期タイトルの一つだといえる。

『ツインビー』は、単に2人で同時に遊べるだけではなく、2人で遊んでこそ、より楽しめるような数々のシステムが盛り込まれていた。なかでも着目すべきは、2人同時プレイのときに限った合体攻撃であり、ツインビーとウインビーが横に並んで接触した(手をつないだ)状態では強力な火力を持つファイヤー攻撃が、縦方向に合体すると扇状に拡散弾を射てるスター攻撃ができるようになる。もっとも、合体をするためには双方のスピードが同じでなければならず、合体後は自機の当たり判定が大きくなってしまうため、あまり積極的に活用はされなかったようである。

また、本作にはコンティニュー機能はないものの、片方がゲームオーバーになっても、もう片方のプレイヤーに残機があれば、その残機をもらってゲームに復帰できるというユニークな救済システムが用意されている。これは、特に実力差のあるカップルがプレイする際にはうれしい配慮であった。

▲当時のパンフレット。裏にはシステム基板「バブルシステム」の説明がある

ゲームを超えて広がる『ツインビー』ワールド

『ツインビー』には先進的なアイデアが多数盛り込まれており、ポップでかわいらしいキャラクターや世界観は広く受け入れられた。それを表すように、アーケード、家庭用ゲーム機を問わずさまざまなプラットフォームでシリーズ作品が発売されている。

特に、アーケード直系の続編である『出たな!! ツインビー』(1991年)では、ライト、パステル、メローラ姫といったキャラクターが設定されたことから一気に世界が広がり、ラジオ番組「ツインビーPARADISE」(1993~1997年/文化放送)の放送、声優ブームに乗ったアイドル活動など、単なるゲームにとどまらないメディアミックスを展開するまでに成長した。

現在でも『ツインビー』のリメイクや移植作品は、2019年4月に発売された『アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション』や『アーケードアーカイブス』などにより、PlayStation4、Xbox One、Nintendo Switch、PC(Steam)といった現行機種で容易に遊ぶことができる。

また、他のKONAMIタイトルに『ツインビー』のキャラクターたちがカメオ出演をするなど、本作は今も変わらず愛され続けている。まだ未プレイの方は、ぜひこれを機にKONAMI初期の名作に触れてみてほしい。

©Konami Digital Entertainment

前田尋之

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