『ベーマガ』同窓会その①  名物編集長大橋太郎氏が語る月刊『ラジオの製作』から『ベーマガ』までの半世紀

  • 記事タイトル
    『ベーマガ』同窓会その①  名物編集長大橋太郎氏が語る月刊『ラジオの製作』から『ベーマガ』までの半世紀
  • 公開日
    2018年01月22日
  • 記事番号
    170
  • ライター
    見城 こうじ

今やゲームファンだけではなくパソコンファンの間で語り草となっている『マイコンBASICマガジン』、通称『ベーマガ』。1983年創刊するや否や、一年後に10万部を突破。1996年には28万6000部を売り上げ、2003年の休刊までに多くのパソコンファン、ゲームファン、ゲームクリエイターを魅了してきました。

2015年に開催された『ベーマガ』の記念トークイベント『ALL ABOUT マイコンBASICマガジン』には、当時、小・中学生であった30~40代の読者が会場を埋め尽くしました。会場のチケットはわずか30分で売り切れ、いまだに根強い人気があることを証明しました。

去る2018年1月14日、このイベントの第2弾が行われ、高校時代よりライターとして『ベーマガ』に執筆していたゲーム文化保存研究所所長、大堀康祐もゲストとして参加しました。

このイベントを記念して、名物編集長であった大橋太郎氏にインタビューを決行。当時ライターであった小説家の手塚一郎氏も迎え、同じくライターであった大堀所長そして私、見城こうじが、『ベーマガ』の歴史そして制作の舞台裏を振り返ります。

『ベーマガ』の基礎を作った月刊『ラジオの製作』

見城 大橋さん、皆さんお久しぶりです。こうやって改まって『ベーマガ』の話をする機会はあまりなかったと思いますが、今回はよい機会ですので『ベーマガ』についてとことん語りましょう。

大橋 そうですね。こうやってこの歴代ライターさんたちに取り囲まれて話をするのは初めてかもしれないね。

大堀 80~90年代、電波新聞社がビデオゲームの文化保存にどのような貢献をされたか、また『ALL ABOUT namco(オールアバウトナムコ)』や『マイコンBASICマガジン』をからめて、以前のことを大橋さんに振り返って頂きます。ゲーム文化は何なのかを再度見直していくことで、ゲーム文化保存研究所(IGCC)が今後どのような活動を行っていけばよいか、そのヒントが見つかればよいと思っています。

▲『ベーマガ』が生まれた経緯について話す大橋編集長(右手)、大堀所長(左手)

見城 それではまず『ベーマガ』が誕生した経緯について教えていただけますか?

大橋 『ベーマガ』は実は私が以前担当していた『ラジオの製作』という月刊誌の別冊付録としてスタートしました。『ベーマガ』の誕生には『ラジオの製作』が大きく関わっているので、まずそこから話をします。

私は当時『ラジオの製作』の編集長をやっていまして、その雑誌はあらゆるものを載せていたんですよ。中学校一年生、まぁ、小学校5年生くらいから読める感じで編集していました。自分自身もラジオ少年だったので、自分が興味もつものを全部載せていました。

当時の歴史的背景でいえば、秋葉原を中心にいろいろな電気関係のホビーというものが広がっていったんですね。最初はアマチュア無線だとか、オーディオだとか…。そうこうしているうちに、デバイスも真空管からトランジスター、IC LSIが出てきて、マイコン、今でいうところのパソコンも登場してきたんです。ほとんど同じ時期だったんですね。

▲『ラジオの製作』の表紙(1979年11月号:写真は電波新聞社提供)

マイコンが出てくると、うちの雑誌(『ラジオの製作』)にもすぐに取り上げました。しかし、マイコンは当時8万円ぐらいして、読者である小中学生がとても買えるようなものではなかった。そこで、子供たちにもマイコンを味わってもらおうと、ワンボードマイコンの原寸大の写真を折込の付録にしたこともありました。そうしているうちに、御三家と呼ばれるパソコン雑誌が出てきました。『I/O』、『アスキー』、わが社では『月刊マイコン』が発刊され、同じ会社内でライバル誌がありました。それぐらい、マイコンブームになっていましたね。

そんな折、販売部から「子供向けのマイコン誌はできないだろうか」という話が上がりました。「やるんだったら大橋しかいない」ということで私に白羽の矢が立ちました。当時副社長であった平山哲雄さんも、私に「『ラジオの製作』の読者層であった小学校高学年から中学生を対象としたマイコン雑誌を作ってみろ」と指示してきたわけですよ。マイコンブームの中、新規でしかも子供相手の雑誌を出せるかどうかわからなかったんですが、私は前向きな性格なんでとにかく「やる」と返事をしました。

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