ゲームセンター聖地巡礼「1980~1990年代 新宿」後編
昭和38年創業のロールキャベツシチュー店「新宿アカシア」
リーズナブルな定食屋「つるかめ食堂」
―― 食べ盛りの学生時代、ずっとゲームで遊んでいればお腹も減ってくると思うのですが、当時の新宿でお2人が食事をしていたお店について教えてください。
見城 まずは「新宿アカシア」ですよね。1963(昭和38)年創業の、ロールキャベツシチューで有名な洋食店です。当時ゲーム仲間とよく食べに行っていましたよ。
―― 「アカシア」は現在も営業が続いているお店ですね。
大堀 僕は「アカシア」は、「プレイシティキャロット 新宿店」の店員さんに教えてもらって一緒に行ったのがきっかけです。今考えると、店員さんとメシ食いに行くのも「どないなもんか」って感じですけど(笑)。でも、当時のゲーム小僧は、新宿のおいしい店なんて知りませんからね。
―― 食べ歩きなんかしている時間があったら、ゲームやりますよね。
大堀 見城さんは「アカシア」の真後ろの「桂花ラーメン」は行かなかった?
見城 いやあ、行ってなかったと思うな。
大堀 僕は昔、新宿でゲームやったあと、ある方に「桂花ラーメン」でターローメンをおごってもらったんですが、当時で650円もしました。「ゲーム6回もできるじゃん」って思ったのを覚えています(笑)。
―― 当時のゲームキッズだったら、そういう計算をしますよね(笑)。
大堀 しかも、僕が高校生だから30年前で、ラーメン650円は破格だったと思います。
見城 確かに、僕も吉野家で300円ぐらいで(食事を)済ますってパターンも多かったかな。
大堀 最初に「アカシア」のロールキャベツを食べたときに、家で食べていたロールキャベツと全然ジャンルが違ってびっくりした記憶があります。ちなみに、僕はロールキャベツをスプーンだけで崩して食べるんです。
見城 何使ったっていいじゃない(笑)。
大堀 いや、僕も何でもいいと思っているんだけど、そう教わったの(笑)。当時から僕ら、この店のロールキャベツ2個のメニューを食べていたよね。
見城 食べていたね。ご飯大盛りにもしてたし。当時は「足りないかなあ」なんて思いながら食べていたけど、今はもう十分だね(笑)。
―― 当時は、お店のいろんなメニューを食べていたんでしょうか。
大堀 いや、ロールキャベツ2個とご飯のセットが定番でした。
見城 それが多かったですね。そして混んでいて、たいてい相席だった。実は2階があるのなんて、今回来て初めて知りましたね(笑)。
大堀 そしてもう1店が「つるかめ食堂」。ここも「プレイシティキャロット」の店員さんと行っていました。この辺りは学生には高い店が多かったんだけど、「おばあちゃんがやっている普通の定食屋があるよ」と連れて来られて。当時、500円以内で食べられたと思います。ビルを建て直してカッコ良くなっちゃっているけど、まだ現存していますね。
見城 しょっちゅう来ていたんだ?
大堀 うん。学生にはリーズナブルだし、おかずが単品で安く買えるのもありがたかったんだよね。「つるかめ食堂」もいまだに好きで、たまに行くよ。
次回予告
次回は「高田馬場編」をお送りします。大堀所長のホームグラウンド「ゲームブティック 高田馬場店」の話も興味深いですが、当時「BET,50」というゲームセンターに出現していた謎の中学生の正体には仰天必至。
⇒「高田馬場編」はコチラから
【懐かしのゲームセンター住所一覧】
KIGAWA(現在:清江苑 新宿店) | 新宿区歌舞伎町1-18-3 |
ゲームプラザ シルビア(現在:すしまみれ 新宿セントラルロード店、バリバリ鶏 新宿靖国通り店) | 新宿区歌舞伎町1-15-5 ビッグレモンビル1F・B1F |
ルナパーク(現在:ファミリーマート 歌舞伎町広場前店) | 新宿区歌舞伎町1-21-7 |
ゲームファンタジア ミラノ(現在:VR ZONE SHINJUKU) | 新宿区歌舞伎町1-29-1 |
カーニバル24(現在:新宿プレイランドカーニバル) | 新宿区歌舞伎町1-20-1 ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町2F |
新宿オスローバッティングセンター | 新宿区歌舞伎町2-34-5 |
新宿ゲームオスロー 本店(現在:焼肉 肉縁 新宿東口歌舞伎町店あるいは天龍) | 新宿区歌舞伎町1-22-7 1F・2F |
オールディーズ(現在:鶏バル 鶏じろう 新宿店) | 新宿区歌舞伎町1-17-5 Jビル2F |
※こちらのデータは本記事に登場する各ゲームセンターのあった現在の所在地です。
【飲食店データ】
新宿アカシア(アカシア 新宿本店) | 新宿区新宿3-22-10 |
つるかめ食堂 歌舞伎町店 | 新宿区歌舞伎町1-15-8 白木ビル1F |
大堀 康祐
1966年、東京都生まれ。高校生の時に“うる星あんず”のペンネームでミニコミ誌『ゼビウス1000万点の解法』を制作。その後『マイコンBASICマガジン』の別冊『スーパーソフトマガジン』の創刊に携わり、『マル勝ファミコン』などのゲーム雑誌にてライターとして活躍。ゲームプランナーなどを経て、仲間3人とともに1994年にゲーム開発会社マトリックスを設立。2016年にゲーム文化保存研究所を設立。当研究所所長。
見城こうじ
1965年、東京都生まれ。株式会社ナムコでディレクターとしてさまざまなアーケードゲームの開発に携わった後、ノイズ社を立ち上げ、任天堂と共同でカスタムロボシリーズ5作を手掛ける。その他の代表作『コズモギャング・ザ・ビデオ』、『コズモギャング・ザ・パズル』、『ゼビウスアレンジメント』、か『TWIN GATES』、『PENDULUM FEVER』など。元『マイコンBASICマガジン』のゲームライターという顔も持つ。現在はフリーランスのゲームディレクターとして活動。ゲーム文化保存研究所の電子書籍制作にも協力中。
石黒 憲一
娯楽産業研究家。ゲームにまつわる内容はキバンゲリオンの名で活動することが多い。ビンテージマシンをオペレーションするゲームセンター「ゲーム博物館」「オールディーズ」のスタッフを経て、オールドゲーム復刻企画のプランナーや資料提供、トークイベントなどを行う。ゲームマシンのほか、動植物といった博物学にも造詣が深い。