キミだけの最高のヘンテコ博物館を作ろう! 遊びやすさも満足度も120点で、時間が消し飛ぶ系シミュレーション『ツーポイントミュージアム』

いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ
『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。
今回ピックアップした1本は、こちら。
『ツーポイントミュージアム』!

タイトル:『ツーポイントミュージアム』
開発: Two Point Studios
パブリッシャー: SEGA
リリース日: 2024年3月5日
価格:3,888円
配信プラットフォーム:PC(Steam) / PlayStation 5 / Xbox Series X|S
最近、ちょっとゲーム疲れしてませんか?
ガチガチの大作アクションゲームや対戦ゲーム続きで疲れちゃったなぁ……。
そんな人はいませんか?
そんなあなたにピッタリなのがこのゲーム。
駆け出しの学芸員となって、寂れた博物館を人気スポットに変えていく。
壁の色から飾りの配置まで自分のセンス次第。
自分好みの博物館には、いつしか展示物もスタッフも来場者もヘンテコだらけ!
癒やしと創造の楽しさ、そこに共存する予想外のユニークさ。
それがたっぷり味わえるのが、今回紹介する『ツーポイントミュージアム』です。
ゲームの舞台は、ツーポイント州。
プレイヤーはこの地域にある、ちょっとヘンテコな博物館をテコ入れしていくことになります。
博物館にはテーマがあります。
先史時代がテーマの「メメント・マイル」
海洋生物がテーマの「パスウォーター・コーブ」
超常現象がテーマの「ウェイロン・ロッジ」
科学がテーマの「バングル・ウェイストランド」
宇宙がテーマの「ペバリー・ハイツ」
という5つ。プレイ開始当初は1つのテーマで経営していきますが、プレイが進んでいくと複数のテーマを好きに配置していったり、テーマを複合的に扱っていくことも可能になっていきます。
「メメント・マイル」は主に化石がメイン。恐竜っぽい大迫力な化石もあれば、巨大なフロッピーディスクの化石という、インターネット老人会の会員がちょっとニヤッとしてしまうものも。
「パスウォーター・コーブ」は海洋生物がテーマなので、メインになるのは水槽の珍しい魚。大きな水槽を作って、中にはサンゴや水草を配置。水の汚れを取るフィルターに自動給餌の機械も設置して研究員がそれをメンテナンスして維持していきます。水槽ごとにヒーターなどで水温を変えることで、熱帯魚や冷たい水に住む魚など種類をわけることができるところも細かいですね。
「……これって、博物館というより水族館なのでは?」って思うところもありますが、そこは気にしない。むしろ水族館も作りたいっていう人もたくさんいるでしょう。ちなみに、プレイが進むとより魚のバリエーションもヘンテコ度合いもアップしていきます。


「ウェイロン・ロッジ」は超常現象がテーマ。いわゆるオカルト好きにはたまらないホラーハウス風です。
呪われた人形や、いわくつくのアイテムなどを展示していくわけですが、
メインになるのは、研究員が見つけてきた幽霊。博物館に幽霊専用の部屋を作って住まわせ、来場者はその幽霊の生活ぶりを鏡越しに覗くというわけです。昔の日本のテレビ番組にもそんな感じのものがありましたが、『ツーポイントミュージアム』は何でもあり。どんとこい超常現象。

こんな感じにいろいろなテーマがあるのですが、5つの大きなテーマ以外にも、危険な食虫植物などを展示する植物園や、氷漬けの古代の生き物を展示するといったものなど、さまざまな種類があるんです。1つの建物にどのようにレイアウトするのか、好きなものを重視するのか、バラエティ感を重視するのか。
キャンペーンモードだけではなくサンドボックスモードもあるので、個性的な博物館を自由に拡張して夢の空間が作れます。


博物館の中心になるのは何といってもヘンテコな展示物。
展示物は、ヘリコプターで探検チームを遠征に派遣することで手に入ります。派遣先は最初は少ないですが、様々な条件を満たすことで新しいエリアをアンロック可能。危険な探検になるほど、珍しくて価値が高くて、来場者が押し寄せるような展示物が見つかるというわけ。
当然、危険な探検は命がけ。探検チームのメンバーが怪我をしたり病気をしたり、ときには行方不明となって帰ってこないこともあります。
探検チームが見つけてきた展示品を館内に配置するわけですが、展示物のそばにはその展示物についての解説が書かれた情報パネルを置くことが大事。
そして、展示に驚き、それについての知識も得て満足した来場者の人が、博物館のための募金をする募金ボックスをそばに置いておくのも、とっても大事。
ちなみに募金を回収する警備員をちゃんと雇うことも大事です。
さらに、館内にはいろいろな装飾のオブジェクトをレイアウトできて、雰囲気をより高められます。壁紙や床も自由に変更可能で、効果的な組み合わせの装飾をすれば展示物の注目度がより高まるというわけなんですね。
ちなみに、本作には展示品は200種類以上、装飾品は350種類以上もあるということで、自分好みの博物館作り、クリエイティブな楽しみがたっぷり味わえます。



博物館の運営には、よく働いてくれるスタッフの存在がもちろん欠かせません。
本作では展示物の手入れや新たな展示物を見つけてくる「研究員」、チケットやグッズの販売、補充などを行う「アシスタント」、館内の掃除や修理を行う「管理員」、警備や募金の回収などを行う「警備員」がいて、それぞれに雇って給料も支払っていきます。
どのセクションのスタッフが足りないかを見つつ、新たに雇ったり、レベルが上がってきたスタッフに研修を行って能力をアップさせたりと、バランスと仕事の能力を整えていくことがポイント。
ただし、あまりに無茶なバランスで仕事をさせていると、疲弊して退職してしまうこともあります。
例えば、研究員をに館内ツアーを任せると結構な収入になるんです。プレイヤーが館内を巡るツアーのルートを決めて参加費をガッポリもらう。でも、研究員はかなり疲れちゃうですよね。
ボクの場合、ベテラン研究員が交代する人もいなかったためかツアーをひたすら行っていて、休憩も取れないまま疲弊し、気がついたらもう辞める寸前。そのまま退職してしまったことがありました。
スタッフルームの充実、給与、できればスタッフ専用のトイレもしっかり作ってあげることが大事になっていきます。
ちなみに、休憩中のスタッフを観察するのも地味におもしろいんですよ。
ウォーターサーバーに頭を突っ込んでコップなしで直に水を飲むやつがいたり、食事のフランスパンみたいなものを縦に丸呑みするやつがいたりとシュール。本作の“よく見るとヘンテコ”要素はスタッフにもしっかり散りばめられています。

展示もスタッフもヘンテコなら、もちろん来場者もヘンテコな人ばかり。
インパクトのある展示物を見つけて「うわーっ!」っとテンションが上がっている様子や、カメラを出してバシャバシャ撮りまくってたり、スマホで自撮りをしたり。いろんな角度で展示物を眺めて、解説パネルを熟読。満足したら募金箱にお金を入れて、次の展示物へ……って感じです。
来場者をクリックするとそのときの欲求や満足度が確認できますが、見たいお目当ての展示があったりもしますし、「トイレに行きたい」、「喉が渇いた」、「もっと展示についてくわしく知りたい」など様々。一人ひとりのニーズがしっかりと作られていて、博物館作りのヒントが得られるようになっています。
展示物が好きすぎるあまり、触っちゃダメなのに触るどころか展示に抱きつく人までいて、「お客様!!困ります!!あーっ!!」となったり、食虫植物にダイブして食べられる人もいたりとエキサイティング。こういうジャンルの“見てるだけでもおもしろい”力もなかなかに高いです。
そもそも変な来場者もたくさん来ます。例えば、室温を下げた氷漬けの展示物に惹かれて全身白い毛に覆われているイエティの家族がやってくることも。そんなイエティ家族は、熱帯の植物園エリアに行くと見るもの全部が新鮮なのか、地面の土にすら「これなに?」って不思議そうな仕草を見せます。芸が細かいんですよ本当に。


リアルでシビアな経営!
楽しいヘンテコ博物館の運営も、
黒字経営じゃなければ続けられません。
楽しませるだけじゃなく、ちゃんと利益を出すのが大事。
でも、楽しく自由にレイアウトや設備を作っていると、どんどん資金は減っていきますし、スタッフの給与、遠征費、展示物のメンテナンスなどなど、出費はどんどん増えていきます。
シビアさも必要で、チケット代や販売品をギリギリまで値上げしたり、高給を払っているベテランスタッフを解雇して、安く済む新人を雇い直す……なんていう、世知辛い決断を迫られることも。
このゲームの重要なポイントは“導線づくり”にあります。導線というのは、来場者が入館してから帰っていくまでどういうルートを辿っていくのかというものですが、そこに本作の醍醐味、博物館づくりのおもしろさと美味しさがあるんですね。
博物館を維持していく収入の柱はなんといってもお土産コーナー。
現実の展覧会等でも見られる作りですが、お土産屋を通らないと帰れない構造にすることで、来場者はなかば強制的にお土産をみていくことに。
また、来場者はとにかくコーヒーが大好きなので、コーヒーの販売ブースを設置すると安定収入に。入場直後にまずコーヒーを買ってもらって、コーヒーを飲みつつ展示を眺め、出口付近に休憩用のベンチを置いてそこでもコーヒーを販売。コーヒーを飲みまくったら当然のようにトイレが必要になるので、導線の先にトイレを配置。そして、そのトイレの近くにお土産売り場も設置していく……という感じです。
人が歩いていく流れを作って、そこで確実な収益を得ることがポイントなんですよね。
ただ、ヘンテコなだけじゃなくて、シミュレーションの醍醐味の部分はちゃんとしています。
現実に即した考え方で作っていくとちゃんと結果が伴っていくのも本作の良いところ。
例えば、キャンペーンモードで最初にプレイする博物館にはデフォルトでトイレが1つあるのですが、男女も別れていない上にスタッフまでも兼用のトイレ。ある程度以上の規模の施設なのに、嫌ですよね。
そこで、まず最初からあるトイレのレイアウトを調整してから、“テンプレートに登録”して同じ作りのトイレをもうひとつ設置して、それぞれを男性用、女性用に設定。
スタッフの休憩ルームの隣に小さなトイレを作って、そこはスタッフ専用に設定もしました。
こうすることで来場者の満足度が上がり、スタッフの仕事への満足度も上がり、さらに混雑も緩和されました。
ちなみこういう頻繁に作る部屋はテンプレート登録したり、コピー・ペースト機能で丸ごと一発で作ることも可能。欲しくなる便利な機能もしっかり搭載されています。


できることがたくさんあって機能も多いのに、説明的なことは最低限になっているところが本作の優れているポイント。
説明は少なくとも、UIを見て触ってみればすぐに理解できるんようになっていて、今作で3作目となる“ツーポイント”シリーズを作っている「Two Point Studios」のノウハウと実力を感じさせます。
ノーストレスに快適に作っていける上に、機能が拡張されるタイミングも絶妙。“やるべきこと”が多すぎず、少なすぎず、面倒と感じることもない絶妙な配分で増えていき、モチベーションの波を維持し続けてくれるんです。
それだけに、本作はプレイし始めるとかなり時間があっという間に経っていくんですよ。いわゆる“時間が溶ける”系のゲームです。
そんな夢中な時間を何度か過ごして、ひととおりの機能を理解したところで、まっさらで広い空間が現れます。それまでのプレイで覚えた知識やレイアウトの工夫、もっとこうしたいなというプレイヤーの創造力を、これまた絶妙なタイミングで刺激してきます。

なお、4月12日の無料アップデートでは日本語ボイスが追加される予定。藤田咲さんの館内放送、白井悠介さんや内田真礼さんのラジオDJトーク、吉原光さんの現場レポーターのモンティのナレーションが追加されます。
ナレーションやラジオやモンティのヘンテコトークも結構ユニークなんですけど、字幕だとちょっと追いきれないときもあります。ここが日本語ボイスになればより楽しくなることは間違いないなーというところ。ちなみにアップデートでは寿司を模した「ニギリウオ」や、たい焼きっぽい「コロモウオ」みたいな日本っぽい展示物も追加されるそうです。
このあたりのアップデートはインディーゲームの枠を超えてるなーと感じますが、パブリッシャーがセガだからこそというところでしょう。このアップデートを待って本作をプレイするというのも、ありだなと思います。
ヘンテコな博物館を作って運営していく『ツーポイントミュージアム』。
ビジュアルはカジュアルでポップですし、操作も直感的。
ボリュームもしっかりありますが、それをプレイヤーに広げて見せていく配分やテンポがとにかく上手くて、プレイのモチベーションを下げることなく、夢中にプレイできる時間を作っていきます。
経営のシビアさとユーモアが絶妙に混ざり合ってて、まったり楽しむのもよし。ガッツリ戦略を練るのもよし。
プレイヤー次第で館内の雰囲気も経営状況もガラッと変わるので、SNSや配信で他の人の博物館を見るのも楽しいと思います。
想像力を柔らかく刺激して、ヘンテコなユーモアが心を満たす。これはアクティブな癒やしの体験。代償に時間は消し飛びますが。そんなヘンテコミュージアム作りにあなたも癒やされてみませんか?
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