「アストロシティミニ」オールカタログ 第一回目
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ついに発売になりました「アストロシティミニ」。
37本ものタイトルが収録されているため、どこから手を付けようか、贅沢な悩みに思わずにんまりしてしまう人も少なくないでしょう。
今回「アストロシティミニ」応援企画の一環として、ゲームライターの鴫原盛之さんに全タイトルの解説、そして当時の思い出を三回に分けて語っていただきました。
「あの頃」を知っている人も、知らない人も、これを読んでおけば、きっとより楽しくプレイしていただけると思います。
『フリッキー』
主人公フリッキーを操作して、敵のニャンニャン(ネコ)の追撃をかわしつつ、ステージ内にいるすべてのピヨピヨ(ヒヨコ)を捕まえて家まで送り届けるとクリアとなるアクションゲームです。左右の移動と、ジャンプボタン1個だけという極めてシンプルな内容ながら、可愛らしいキャラクターのデザインと背景のグラフィックス、ノリノリのBGMとが絶妙にマッチした正真正銘の傑作です。
小生の本作との出会いは、親の実家に帰省中、たまたま近くにあったデパートの中にあったお子様向けのゲームコーナーでした。当時はまだ小学生でしたが、ルールがとてもわかりやすく、割と適当に遊んでも数ステージ先まで進めて、しかもキャラクターがとても可愛いので、すぐに気に入りました。
一定間隔で登場するボーナスステージも、これまたすごくおもしろかったですね。画面の下側にいる2匹のニャンニャンが、シーソーの反動を利用して次々と打ち出すピヨピヨをアミを持ったフリッキーで捕まえるのですが、これが簡単そうに見えて難しい!
さらに先のステージに進むと、初見ではどういう順番で捕まえればいいのかよくわからない、絶妙の軌道を描くのでこちらも必見です。
当時、これほどまでにキャラクターが可愛いらしく、しかも女の子が遊ぶ光景を時折見掛けたタイトルは、ほかにナムコの『マッピー』ぐらいしかなかったように思います。そういう意味でも、本作は歴史に残る1本ではないでしょうか?
『忍者プリンセス』
ヒロインのくノ一、くるみ姫を操作して、手裏剣で敵の忍者や侍を倒していくアクションゲーム。手裏剣ボタンは、正面にのみ投げるタイプと、くるみ姫の向きに合わせて8方向に投げるタイプの2種類があり、忍術ボタンを押すと姿を消し、短い時間ですが無敵になるのもおもしろいアイデアです。
敵の忍者を倒すとたまに出現する巻物を取ると、敵を貫通する強力な手裏剣が使えるようになるのが気持ち良かったですね。ステージごとに、フィールドマップや戦い方がガラッと変わり、民家や物陰に隠れて突然切り掛かってくる敵が出現したり、破壊できない岩がゴロゴロ転がってくるのを避けたりするのがおもしろかったのですが、当時は小学生だった小生は「見た目は可愛らしいけど難しいなあ……」という印象でしたね。
ステージクリア時に命中率が表示され、この数字に応じたボーナス得点が加算されるという、まるでシューティングゲームみたいなシステムを導入しているのも本作の大きな特徴でしょう。当時はまったく気付かなかった(と、言うよりできなかった)のですが、100パーセントでクリアすると5万点のボーナスが入ると後で知ってビックリしましたね……。
『青春スキャンダル』
恋人マリちゃんを助けるため、学生服を着た少年タケシを操作して、パンチやキックで敵を倒していくアクションゲームです。40代以上の方であれば、家庭用のセガ・マークIII版も発売され、テレビCMが放送されたことをご記憶の方も多いことでしょう。
実は小生、このゲームを最初に知ったのはまさにそのCMで、アーケード版が存在したことをしばらくの間知りませんでした(地元のセガ直営店にもなぜか置いていませんでした)。で、初めて遊んだときの印象は「難しい!」のひとこと。パンチを1回空振りしただけで、敵に反撃されてあっさりやられてしまうし、何の前触れもなく突然爆弾が飛んできたリ、狭い足場から落ちたら炎にあぶられて即死したり……。見た目はコミカルなのに、何て難しいゲームなのかと思いましたね。
本作のハイライトは、やはり海岸で夕陽をバックにボスの不良少年(?)とサシで勝負するシーンでしょう。苦労の末にボスを倒してマリちゃん奪還に成功し、ボスと夕陽を愛でつつ新たな友情が芽生えて青春完全燃焼!
……と、思いきや、謎の忍者が突如出現して再びマリちゃんがさらわれ、忍者屋敷を舞台に第2ラウンドが始まるとは……。「エッ、どうして!?」とポカーンとなった記憶があります。
『スペースハリアー』
主人公の超能力戦士、ハリアーを操作して敵を倒す3Dシューティングゲーム。巨大なドラゴン(スケイラやゴダーニなど)、一つ目のマンモス、正20面体型のビンズビーン、2体のコマイヌを従えたウイウイジャンボなどなど、個性的な敵キャラクターが次々と出現し、眼前に迫ってくる迫力とスピード感は、今なお色あせることはありません。
本作の存在を小生が初めて知ったのは、後の『ゲーマガ』となる雑誌『Beep』の紹介記事でした。画面写真をひと目見ただけで、あまりのカッコよさに衝撃を受けましたね。その後、当時2、3か月に1回小遣いをためて、田舎から遠征して遊びに行っていたセガの直営店で初めて現物を見たときには、「こんなリアルな画面は見たことがない!」と本当に感動しました。
で、初めのうちは高速で敵や柱が迫るスピード感と、アナログスティックを使用したリバース操作(※下、つまり手前に引くとハリアーが上昇し、逆に奥側に倒すと下降する)に慣れるまでがすごく難しかったですね。特に2面の終盤、障害物の柱だけがしばらく出現する場所で、敵が出てこないにもかかわらず、遠近感がうまくつかめずに何度激突死して涙をのんだことか……。
それにしても、まるで本物の岩が動いているかのようなアイダのリアルさ、そして高速のバズーカ砲を次々とブッ放すド……もといバレルのカッコよさときたら!
小生が初めてプレイときは確か小学生だったと思いますが、まるでロボット、あるいはヒーローアニメの主人公になったかのような気分で遊べた思い出は、きっと一生忘れることはないでしょう。
『ファンタジーゾーン』
自機のオパオパを操作して敵を倒していく横スクロールするシューティングゲームで、スクロールは強制ではなく、オパオパの移動に合わせて左右両方に動く任意スクロール方式を導入。ステージ内にいる10機の基地を破壊すると巨大なボスキャラが出現し、ボスを倒すとステージクリアとなります。
敵を倒すとドロップするコインを集め、ショップで装備品を購入することでオパオパがパワーアップするアイデアは、当時としては実に斬新。ボタンを押しっ放しで画面の端まで届く極太のレーザー、文字どおり7方向に同時に弾が撃てるセブンウェイショット、あらゆる敵を一撃で消し去る「16t」と書かれたヘビーボムなど、爽快感も威力も抜群の武器がたくさん登場するのも大きな魅力でした。
このゲームを初めて見たのは、確か小生が中学生の頃、前述の田舎からたまに遠征して遊びに行っていたセガの直営店でした。羽が生えていて、機体というよりは生き物のように見えて可愛らしいオパオパ、パステル調の色で統一された、美しい敵キャラクターと背景のグラフィックス、ポップなデザインなのに異様な威圧感のある巨大なボスキャラたち、そしてまるで本物の楽器で演奏しているかのような、リアルな音色とノリノリのBGM……。当時からシューティングゲームばかり遊んでいた小生は、今までに見たことがない遊び方と演出を兼ね備えた本作に、光の速さで虜になりました。
「思い出補正」が混ざっているかもしれませんが、本作は今の目で見ても、シューティングゲームとしてのおもしろさも、ビジュアルやサウンドも古臭さをまったく感じないですね。この機会に、本作をご存知でない若いプレイヤーの皆さんにも、ぜひ一度遊んでいただきたい、自信を持っておすすめできるタイトルです。
小生が本作を初めてプレイしてからは、以後ゲーセンへ行くたびに必ずプレイする「お気に入りリスト」に追加されたのですが、あまりのおもしろさに1周クリアに成功してからも、本作がリストから外れることはしばらくの間ありませんでした。その理由は、本作がおもしろかっただけでなく、小生のゲーム仲間も挙ってプレイしていたので、2人用でスコアを競ったり、BGMの替え歌を即興で歌ったりしてワイワイ遊ぶのが楽しかったからですね。
ちなみに、本作のストーリーとラスボスの正体は、後に『Beep』だったか『マイコンBASICマガジン』だったか、何かの雑誌の記事を読んで初めて知ったのですが、本当にビックリさせられました。なぜなら、画面内に表示されるメッセージは全部英語なので、中学生だった私の頭ではその意味が全然わかなかったからです(苦笑)。
『ワンダーボーイ』
原始人のような風貌をした主人公の少年を操作して、石斧などの武器で敵を攻撃して倒したり、ジャンプで敵や障害物を避けながら先へ進み、ゴール地点まで到達するとステージクリアとなる横スクロールアクションゲーム。全32ステージで、4ステージごとにボスキャラが出現します。後にハドソンが発売したファミコン用ソフト『高橋名人の冒険島』は、本作の移植版にあたることは多くの方がご存知のことでしょう。
小生が本作を最初に遊んだのは中学生の頃だったでしょうか。操作もルールもわかりやすいし、デモ画面を見た限りでは、どの敵キャラもあまり動かないように見えたので楽勝かと思いきや、いざ遊んでみたらこれがムズい!
石斧の射程が短いので、正確に狙って投げないとすぐに敵に捕まるし、高い所に出現したフード(得点アイテム)をうまく取ったと思ったら、着地する間際にちょうど岩が転がってきてあっさりミスする始末。
「こんなハズでは……」とチャレンジを繰り返すも、スピードが出て楽しいからとスケボーに乗ったら勢い余って水中に落ちるわ、乗ると突然動き出すリフトに画面外に押し出されるわ、着地に失敗して炎に焼かれたと思えば、洞窟内ではツララに当たって凍えるわで、もうありとあらゆるミスをしまくり、早々に白旗を揚げてしまいました(苦笑)。
アストロシティミニ版で超久々に本作を遊びましたが、敵や障害物の出現位置を覚えつつ、石斧を投げるタイミングやジャンプの軌道をパターン化すれば、最初は難しいと思った場所でも、ちゃんとクリアできるように調整してあるんだなあと改めて驚きました。今さらですが、開発者のデザインセンスと技術の高さには、ただ舌を巻くばかりですね(それでもムズいことに変わりはないのですが)……。
『カルテット2』
その名のとおり、当初は最大4人同時に遊べる専用筐体を使用したアクションゲームとして登場した『カルテット』を、汎用のビデオゲーム筐体でも稼働できるよう、1人または2人プレイのみ遊べるように仕様を変更した作品です。
小生は『2』のプレイ経験はないのですが、元祖『カルテット』は中学生の頃にセガの直営店でたまにですが遊んでいました。最初はガンで敵を倒したり、ジャンプで敵を倒したり飛び移るという、ごくありふれたアクションゲームなのかなあと思っていました。
ところが、ジェットエンジンを取ると自由に空中を飛び回れることに気付いた瞬間、本作が劇的におもしろくなりましたね。また本作の主人公は、敵の攻撃を1回受けだけではミスにならないライフ制だったこともあり、子供の財布に優しいシステムだったのも私的にはうれしかったですね。
BGMもノリノリで素晴らしく、ゲーム雑誌『Beep』の付録だったソノシート(今や死語ですね……)に本作のサウンドが収録されたときは、雑誌を買った友人に借りて何度も聴いたものでした。特にステージクリア時のジングルは、小生の大のお気に入りです。
『アレックスキッド with ステラ ザ・ロストスターズ』
主人公のアレク(2Pの主人公はステラ)を操作して、敵や障害物をジャンプでかわしたり、ショットで敵を倒しながらマップ上を進み、ゴール地点にあるアイテム(ミラクルボール)取るとステージクリアとなるアクションゲームです。
コミカルなビジュアルと、ほのぼのとしたBGMは素晴らしいのですが、それとは裏腹にトンデモなく難しいのが、本作の味と言えば味でしょう。アレクは初期状態ではショットが撃てず、ショットを撃つためにはときどき出現するアイテムを取ることが必要で、しかも一定時間が経過すると効果が消滅するのがこれまたつらい!
落ちたら即ミスになる狭い足場に飛び移る場所が頻出し、行動パターンが読みにくい敵キャラも目白押しで、当時中学生だった小生はもうお手上げでした。当時は田舎の駄菓子屋に置いてありましたが、難しさのあまりやがて誰も遊ばなくなってしまいした……。
今回、セーブ機能を搭載したアストロシティミニに収録されたことに感謝をしつつ、小生もこの機会に未知のステージを体験しながら、全2周をクリアしてエンディングに到達するまでチャレンジしたいところですね。(ホントにできるかなあ……)
『エイリアンシンドローム』
レーザーやファイヤーボールなどの武器を駆使して敵のエイリアンを倒しつつ、制限時間内に捕らわれた16人の仲間を全員救出し、最後の部屋で待ち受けるボスを倒せばステージクリアとなるアクションゲームです。
本作を初めてプレイしたのは、小生が中学生の頃、遠征先のセガ直営店でのことでした。手足がないのに、グニャグニャと動きながら主人公を追い掛ける謎の生物や、映画の『エイリアン』をほうふつとさせる、いかにも不気味かつ凶暴そうな敵キャラたちが次々と襲い掛かる、その気持ち悪さは衝撃でした。
初プレイ時に最も驚いたのは1面のボスでした。タダでさえ見た目が気持ち悪いのに、頭部から生物(?)を一度に9匹ずつ、しかもひっきりなしに吐き出し、逃げ場をあっという間につぶされてやられてしまったときのショックは、今なお鮮明に記憶しています。
また、その店はビルの地下にあり、照明もそれほど明るくなかったこともあって、その薄気味悪さと恐怖感がさらに際立っていたように思います。もしや、プレイヤーの恐怖感を煽ることでミスを誘い、インカムを稼ごうという店側の計算された演出だったのでしょうか(笑)?
『ワンダーボーイ モンスターランド』
主人公の勇者ブックを操作し、剣や魔法で敵を倒してゴールド(お金)を集め、ショップで盾や鎧、ブーツなどを購入するとブックの防御力や移動スピードがアップ。特定のボスキャラなどを倒すと、攻撃力がアップする剣が入手できたり、一定の得点に達するごとにライフ(体力)の最大値が増えるなど、RPGの要素を取り入れたアクションゲームです。
元祖『ワンダーボーイ』と同様、敵も味方もコミカルなデザインでとても可愛らしいのが特長。当サイトのインタビュー記事にもご登場された、坂本慎一氏作曲のBGMもこれまた素晴らしく、なかでも最終面のテーマは最高にカッコよく、小生は今でもたまに聴くほどのお気に入り。難易度も前作に比べぐっと抑えられ、1コインクリアも十分に可能となったゲームバランスも絶妙で、掛け値なしの傑作でしょう。
そうそう、各ステージの至る所に隠されたゴールドを、レバガチャしながらなどの方法で出現させると、通常よりもはるかに多い金額が得られる裏技は、当時のプレイヤー間ではとりわけ有名になりましたよね。幸運にも本作は、田舎の駄菓子屋にも置かれていたので、当時のゲーム仲間たちと力を合わせて、敵の攻略パターンや隠しゴールドを探したり、数々の謎を解明していくのが実に楽しかったですね。残念ながら小生は1コインクリア第1号とはなれませんでしたが(いまだに悔しい!)……。
『SHINOBI 忍』
主人公の忍者、ジョー・ムサシを操作して敵を倒していくアクションゲーム。当時は本作以外にも、家庭用も含めて忍者アクションゲームがたくさん登場していた感がありますが、キャラクターやメカのリアルさは本作が特に優れていたように思います。
攻撃ボタンは1個だけですが、敵が遠くにいるときは手裏剣を、近くにいるときは忍者刀を自動で使い分けて敵を攻撃できる斬新なアイデアが光る1本ですね。また、敵に接触してもミスにはならずにノックバックするシステムや、各ステージで1回だけ使用できる、忍術を使って敵をまとめて倒したときの爽快感も素晴らしいですね。
ジョーの手元がアップになった状態で、手裏剣を連射しながら敵を倒すボーナスステージも、これまた抜群のインパクト。特に、倒し損ねた敵の忍者が超ドアップで眼前に現れ、「ダン!」という効果音とともにやられてしまう演出は(デモ画面でも見ることができますね)、最初に見たときはその迫力とリアルなグラフィックに圧倒されました。
それにしても、本作のボーナスステージでパーフェクトを取るのはすごく難しいですよね。小生が最初に遊んだのは中学生の頃、テーブル筐体(多分、セガ製の「T-13」)でプレイしたのですが、何回遊んでも「ダン!」とやられてばっかりでしたね(苦笑)……。
『ソニックブーム』
1周全6ステージの縦スクロールシューティングゲーム。赤い敵編隊を全滅させると出現するアイテム(パラシュート)を取ると、前後に1発ずつショットが撃てるオプションファイターが装着されて攻撃力がアップし、オプションファイターは最大4機まで同時に装着できるのが特徴です。
本作は小生が中学時代、たまに遊びに行っていた小さなセガの直営店(フランチャイズ店だったかも?)で初めて遊びました。いかにも戦闘機というデザインの自機と、敵機の編隊のカッコよさに引かれて、即100円玉を投入。ゲームスタート時に、いかにも無線機でしゃべったような、ノイズ混じりの英語のボイスで司令を受ける演出にはワクワクしましたね。しかし、喜んだのも束の間。1面から至近距離でも容赦なく敵機が弾を撃ち、地上からは戦車が自機の背後から突然現れていきなり狙い弾を撃つなど、想像以上の難しさにビックリしましたね……。
ちなみに本作は、オプションファイターの装着数によって、スーパーショット(ボンバー)の性能が3種類に変化するという、ユニークなアイデアを導入しています。特に、オプションファイターが3または4機装着時に放つ「ソニックブームウェイブ」は、とても強力で一見の価値ありです!
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