『アストロシティミニ V』オールカタログ<前編>
目次
80~90年代のゲームセンターを彩った、縦画面シューティングゲームを中心とした懐かしの22タイトルが遊べる復刻ハード、アストロシティミニ Vが7月28日にいよいよ発売となります。
そこで当IGCCでは、アストロシティミニ Vの応援企画として、全収録タイトルの遊びかたや見どころなどを、前・後編の2回に分けてお伝えします。
今回は1980~1992年までに発売された全11タイトルをご紹介します!
『ムーンクレスタ』
本機に収録されたタイトルの中では最も古い、1980年に日本物産が発売した固定画面方式のシューティングゲームです。
本作の最大の魅力は、何といってもI、II、III号機の自機をドッキングさせて合体攻撃ができることです。ゲーム開始時は、単発のショットしか撃てない小型のI号機を単独で操作しますが、2面クリア後のドッキングタイム(ボーナスステージ)でショットを2連射するII号機との合体に成功すると2機合体攻撃が可能となります。ゲーセンで遊んだ経験のあるプレイヤーであれば、ドッキングに初めて成功し、ファンファーレが鳴ったときの感動は今なお鮮明に記憶していることでしょう。
ドッキングタイム中は、画面上部から降下するI号機をレバーでの左右移動と、ボタンで後部からの逆噴射(ブレーキ)を使って操作し、最下段で待機するII号機に少しずつ接近させていくのですが、まるで昭和の時代にテレビで盛んに放送されていた合体ロボットアニメのパイロットになったかのような気分にさせてくれます。そして見事、II号機の先端にI号機をくっつければドッキング成功となるのですが、失敗すると自機を失ってしまうため、精神的なプレッシャーもハンパではありませんでした。
当時としては豊富な数の敵キャラと独特の飛行パターンも注目ポイントです。あくまで筆者こと鴫原個人の印象ですが、一部の敵が自機の背後に飛び去ったと見せ掛けて、突如反転して体当たりする飛行パターンを初めて見たときの衝撃は、今なお忘れることができません。また、終盤のステージに出現する敵のメテオ、アトミックパイルの目にも止まらぬスピードにも大いに驚かされた記憶がありますね。
『ZAXXON』
当時としては斬新だった、クオータービュー(斜め視点)による立体感のあるマップを実現させた3Dシューティング。前線基地、宇宙空間、要塞の3エリアが戦いの舞台となります。
本作が登場した1982年当時、ほとんどのシューティングは自機の移動が左右2方向だったのに対し、本作は左右に加えて上下、つまり飛行高度をプレイヤーが自由にコントロールできるのが斬新でした。高度を変えることで、壁や電磁バリアなどの障害物との激突を回避したり、地上スレスレを飛行して敵の地上物をショットで破壊したりするスリルと快感は、今なお色あせることがありません。
本作では、自機の燃料がゼロになると墜落してミスになるので、いかに燃料タンクを仕留めるかを考えながらプレイするのもおもしろいところですね。本作がゲーセンに登場した当時、筆者は初めて体験するクオータービューの迫力に感動した一方、最初の前線基地エリアで高度の調整がうまくいかず壁や敵の地上物に何度もぶつかり、あっという間にお小遣いを失ってしまった悔しい思い出があります……。
『テラクレスタ』
『ムーンクレスタ』の続編ということもあり、数ある日本物産のシューティングゲームの中でも、おそらく最も有名なタイトルが本作ではないかと思われます。
ゲームスタート時の自機は、『ムーンクレスタ』と同様に1号機の単独飛行ですが、特定の位置にある格納庫を破壊すると2号機以降の機体が出現します。2号機と合体するとワイドショットが新たに発射可能となり、3号機は後方ショット、4号機は貫通弾、5号機は敵の体当たりを防ぐバリアが自機の後方に装着されます。
本作の最大の魅力は、自機の合体攻撃加え、合体した機体の数によって4種類の強力なフォーメーションアタック(分離攻撃)が繰り出せるところにあります。フォーメーションアタック中は、1号機が攻撃を受けるとすべての機体を失って即ミスになるリスクがありますが、より広範囲にショットを発射できるようになるのでとにかく快感です。また5機合体に成功すると、自機が一定時間「火の鳥」に変身して無敵状態になり、敵に触れるだけで倒せるアイデアも秀逸でした。
当時としてはとびきり派手だった、ビジュアルやサウンドの演出も大きな見どころです。中ボスのチューボとダイコン、ラスボスのマンドラーの迫力あるデザインだけでなく、ザコ敵を倒しただけでもとびきり派手凄まじい爆発音が鳴るなど、一度遊んだら容易に忘れない強烈なインパクトがあります。
ちなみに本作のBGMは、PSG音源バージョンとFM音源バージョンの2種類があります。特に後者の基板は、主に海外版として出回ったこともあり、当初は知る人ぞ知る存在でしたが、後にゲーム雑誌『beep』の付録であったソノシートにFM音源バージョンのBGMが収録されたことで広く知られるようになりました。筆者も、ソノシートで初めてFM音源バージョンの曲を聴いたときは、PSGとはまったく異なる、まるでロックバンドの演奏かと思うほどの迫力があったので大いに驚かされましたね。
『コスモポリスギャリバン』
主人公ギャリバンを操作して、首領ゴース率いる宇宙犯罪組織、その名もアクーの敵キャラたちと戦う、任意スクロール方式のアクションゲームです。
「ニチブツ」こと、日本物産の『ムーンクレスタ』や『テラクレスタ』などのシューティングゲームは自機の合体攻撃が魅力ですが、本作は主人公がパワークリスタル(アイテム)を取ると変身できるのがだいご味。ゲームスタート時は生身の人間でパンチとキック攻撃しか使えませんが、変身後はビームが撃てる銃が装備され、さらにパワー(体力)が最大値まで回復するとともに耐久力もアップします。
また、変身中に赤のパワークリスタルを取ると、一定時間だけ強力な必殺技「コズミッククラッシュ」を、青のパワークリスタルを取ると「レーザーブレード」を繰り出すことも可能となります。敵の攻撃を受けてパワーが半分以下になると変身が解け、パワーがゼロになるとミスになります。
変身したギャリバンの姿といい強力な必殺技といい、上下に移動するリフトにぶら下がりながら移動するアクションも実にカッコよく、プレイヤーは特撮ヒーローの主人公になり切ってゲームを楽しめるところに、本作ならではの大きな魅力があります。
『アクションファイター』
バイク、スポーツカー、ジェットスキー、バギー、ヘリコプターの5種類の乗り物を操作して、敵を倒したり障害物を避けたりしながら、マップ上に隠された関門をすべて突破してマップを完成させ、最後に待ち受ける敵の本拠地の撃破を目指す、ドライブとシューティングの要素をミックスさせた珍しい作品。同年にセガ・マークIII版が発売されましたが、アーケード版の仕様を忠実に再現した移植は本機が初めてとなります。
各種乗り物は、レバーで左右に移動、上下でスピードを調整し、ミサイル発射ボタンと、後方の敵を攻撃できる煙幕などを放つ、パワー(特殊攻撃)の2ボタンを使用して操作します。
乗り物は、特定の場所に到達すると自動で乗り換えますが、どの乗り物でも加速したときはかなりのスピードを体感できます。コースの途中には左右の分岐点が多数あり、どちらを選択すれば関門が出現するのか、コースを周回しながら覚えたり、関門を突破するたびに明らかになるマップを見て次のルートを考えたりしながらプレイすることが必要です。
時折出現する、味方のヘリコプターが落とすパワーアップアイテムを取ると、4種類の武器が新たに使えるようになります。赤色のアイテムはブラスター(連射)ガン、青色は対地ミサイル、黄色は乗り物ごとに異なる特殊兵器、緑色を取ると対空ミサイルを装備します。また、燃料がゼロになるとミスになってしまうので、ゼロになる前に補給ポイントに到達するか、特定の車などが落とす回復アイテムを逃さず取ることも攻略上の重要なポイントとなります。
筆者こと鴫原も、本作はゲーセンで遊んだ記憶がまったくないレアタイトル、今から遊べるのが楽しみです!
『TATSUJIN』
ド派手なショットやボンバーを撃ちまくり、不気味さと威圧感に加え美しさも兼ね備えた、独特のデザインの敵キャラたちが登場するのが魅力の縦スクロールシューティング。1周全5ステージで、各ステージには多彩な攻撃パターンを繰り出す、数種類の中ボスと巨大なボスキャラが登場するのも大きな見どころです。
自機のショットは、パワーショット(赤)、サンダーレーザー(青)、達人ビーム(緑)の3種類。パワーショットは左右広範囲に広がり連射効率にも優れ、サンダーレーザーはザコ敵を貫通したり、ボスなどの耐久力の高い敵をロックオンしたりする性能を持ち、達人ビームは超高速のショットが撃てる特長があります。特に、サンダーレーザーをフルパワーアップさせると、ボタンを押しっ放しでレーザーを同時に5本発射できるようになり、広範囲の敵をまとめて攻撃できるので実に快感です。デモ画面でも見ることができますので、本作をご存知ない方は、まずはデモ画面でその迫力をチェックしてみましょう!
対ボス戦やピンチの場面で重宝する、広範囲に爆風が広がるボンバーの性能も注目に値します。『タイガーヘリ』や『飛翔鮫』など、従来のタイトルではボンバーを投下してから爆発するまでの間に若干のタイムラグが発生していたのに対し、本作のボンバーはボタンを押すと即発動するため、より緊急回避がしやすくなる素晴らしいアイデアを搭載していましたす。
一見手強そうな敵でも、実は安全地帯が存在したり、自機の装備を変えるだけで驚くほど楽に倒せたりすることもありますので、敵の行動パターンをじっくり観察、研究しながら攻略パターンを作るのがとにかく楽しい逸品です。プレイヤーのテンションを上げまくる、軽快なBGMも素晴らしいので、プレイする際はヘッドフォンの使用をオススメします。
『レッスルウォー』
本機に収録されたタイトルの中では唯一となるプロレスゲーム。8方向レバーと2ボタンでレスラーを操作し、8人の相手レスラーを倒して「SWF」と「SWA」の2冠統一チャンピオンになることがゲームの目標となります。
相手レスラーと組み合ったらボタンを連打してパワーゲージをため、ゲージを振り切ると技が掛けられる、独特のルールが第一の注目ポイント。ゲージを急いでためるべく、プレイヤーは筋肉痛とも戦いながらボタンを連打するところに楽しさがあります。ボディスラムやブレーンバスター、ドロップキックのほか、相手との体力差が大きく開いているときはパイルドライバーやジャーマンスープレックスなどの大技を掛けることもできます。
第二の注目ポイントは、当時としては破格の巨大サイズで描かれたレスラーたちが登場し、迫力の肉弾戦が楽しめるビジュアルの素晴らしさです。さらに、技の種類や掛けるタイミングによってカメラの視点が変わり、技が決まったときの快感がさらに増す演出も必見です。
技の掛かり具合によってはリング外にレスラーが転落し、場外乱闘に移行することも。場外では通常技のほかにも、ゴングなどを使った凶器攻撃が楽しめるのもうれしいですね。
『鮫!鮫!鮫!』
1989年に東亜プランが開発、タイトーが発売した、『飛翔鮫』の続編にあたる縦スクロールシューティングゲームで、難易度が非常に高いことでも有名になった作品です。
自機のショットは、拡散型のワイドショット、前方集中型のシャークビーム、ザコ敵を貫通するスーパーファイアーの3種類があります。いずれもフルパワーアップさせると凄まじい威力を発揮しますが、特にワイドショットは前方のほぼ全域をカバーし、なおかつ耐久力の高い敵も接近して撃ち込めば瞬殺できるので、至極の快感を得ることができます。
パワーアップアイテムを3個取るごとに1段階パワーアップし、最高3段階まで強化されます。ミスをしてもパワーアップのストックはそのまま残り、フルパワーアップのときにもストックゲージ3個分、1段階のパワーアップが維持されるので、復活が少し楽になります。ただし、パワーアップに伴い敵弾が速くなったり、発射間隔が短くなったり、自機と地上物(※雑魚ザコクラスのみ)との距離がやや近くても弾を撃ってきたりするなど難易度が上がります。そのため、フルパワーアップを堪能するのは初心者には至難の業となります。
敵弾が非常に速いので、自機の移動速度が上がるスピードアップのアイテムも必須となります。初めのうちは操作が難しいかもしれませんが、必ず最高の4段階までアップさせて戦いたいところです。
1周10ステージで、10面をクリアすると2周目に突入し、以後自機のストックがゼロになるまでエンドレスでゲームが続きます。また本作の自機は敵弾、または敵の体当たり攻撃を受けてミスした直後も、墜落するまでの間はショットを撃つことができる、非常に珍しいアイデアが導入されています。特に、あと少しでエクステンドになるときは、諦めずに最後の最後までショットを撃ち続けて得点を稼ぎましょう!
『雷電』
8方向レバーで自機を操作し、ショットとボンバーを駆使して敵を攻撃する、オーソドックスな縦スクロールシューティングの中でも、特に人気が高かったタイトルのひとつが本作と言えるでしょう。
自機のメインショットは、バルカンとレーザーの2種類があり、アイテムを取ると1段階ずつパワーアップします。バルカンはパワーアップするごとに攻撃範囲が広がり、レーザーはより太くなって攻撃力が増します。
サブウェポンも、敵に大ダメージを与えるミサイルと、自動で追尾するホーミングの2種類があり、これらの装備を状況に応じて使い分けながら戦う戦略性の高さも本作ならではの楽しいところです。また、あまり知られていない感がありますが、2人同時プレイで味方の機体にショットを撃ち込むと、さらに強力な拡散ショットが撃てるおもしろいアイデアも導入されています。
さらに特筆すべきは演出の素晴らしさです。ショットのヒット音が実に気持ち良く、特に耐久力の高い敵が出現すると、ついつい夢中になってボタンを連打したくなってしまいます。破壊した敵の破片が周囲に散乱したり、派手な爆発が起きたりするなど、ビジュアルやサウンドの素晴らしさも見逃せないポイント。ザコ敵を倒したときに飛び散る、わずか数ドットの破片まできめ細かく描かれるなど、その演出の数々はまさに職人芸で、プレイヤーの爽快感をさらに高めてくれます。
本作が好評を博したことで、後に『雷電II』や『ライデンファイターズ』など数々のシリーズ作品が発売されたことは、90年代にゲームセンターに通っていた皆さんであればよくご存じのことでしょう。
『アウトゾーン』
1990年に東亜プランが開発、テクモが発売した任意縦スクロール方式のアクションゲームです。主人公のサイボーグ戦士はレバーとショット、ボンバーの2ボタンで操作し、2人同時プレイにも対応しています。
本作の特徴は、レバーを入れた方向に撃てる16方向ショット(ボタンを押したまままでショットをオートで連射する)、拡散型の3WAY、前方集中型のショットなどを状況に応じて使い分けつつ、敵キャラをなぎ倒していく爽快感の高さにあります。主人公は、敵や敵弾に当たるだけでなく、時間の経過とともに減少するエネルギーの残量がゼロになった場合もミスとなります。なので、敵の攻撃のすきを突いてエネルギー回復アイテムを逃さずに取ることも、攻略上の重要なポイントとなります。
たまに出現する、エネルギーの最大値が増えたり、主人公の移動速度がアップしたりする効果を持つスペシャルアイテムも、発見したら必ず取っておきたいところ。また特定の条件を満たすと、隠れキャラとしてクリクリ目玉の「ピピル星人」や、『大旋風』に登場したヘルパー(友軍機)、『ゼロウィング』の自機が出現するなど、東亜プランファンにはうれしい仕掛けもいろいろ用意されています(※ちなみに「ピピル星人」は『達人王』にも登場します)。
1周7ステージで、7面をクリアするとエンディングを経て2周目に突入します。『TATSUJIN』や『ドギューン!!』などと同様に、独特の美しさがある敵キャラや背景のメカニックデザインにもぜひ注目してください!
『ソニックウイングス』
1992年にビデオシステムが発売した縦スクロールシューティングゲーム。1~4面は毎回ランダムで出現順が変わる、当時としては斬新なシステムを導入しているのが特徴です。自機の操作は8方向レバーとショット、スペシャルウェポン(ボンバー)の2ボタンを使用し、2人同時プレイにも対応しています。
自機は全8種類で、ゲーム開始時に任意の機体を選択します。自機は日本、アメリカ、スウェーデン、イギリスの合計4チームから参戦するという設定で、同じチームでも1Pと2Pとでは自機の性能とパイロット(キャラクター)が異なるのも、実にユニークなアイデアですね。
本作を攻略するうえで最も頭を悩ませるのが、スペシャルウェポンの使いどころ。スペシャルウェポンは、その名のとおり非常に強力ですが、出現数がとても少ない貴重な存在です。よって、終盤ステージの難所へ突入するまでの間に、いかにスペシャルウェポンを節約できる攻略パターンを作れるのかが、1周クリアを達成するうえでの大きなポイントになります。
1周7ステージで、2周クリアするとゲーム終了です。エンディングは機体ごとに異なりますので、まずは1周クリアを目指してチャレンジしましょう!
今回は、ここまで。
次回は残りの11タイトルをご紹介いたします。
『アストロシティミニ V』7月28日(木)発売予定!
あの『アストロシティミニ』に続く、アーケードクラシックシリーズ第二弾『アストロシティミニ V』が発売になります。
今回収録されているのは、80年代から90年代に一世を風靡したシューティングゲームを中心に全22タイトル。
セガ以外にも5社の協力で、バラエティーに富んだ作品を楽しめます。
中でもアーケード版の忠実移植となるタイトル『達人王』『アームドポリス バトライダー』『バトルバクレイド アンリミテッドバージョン』『ドギューン‼』『アウトゾーン』『デザートブレイカー』は要注目です!
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