発見! インディーゲーTreasures

  • 記事タイトル
    発見! インディーゲーTreasures
  • 公開日
    2023年07月21日
  • 記事番号
    9950
  • ライター
    山村智美

今、最も高評価されている多人数ワチャワチャ系FPSはこれ!
ローポリゴンなビジュアルとは裏腹にプレイ感は超本格派な『BattleBit Remastered』

いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ

「発見! インディーゲーTreasures」は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。

今回ピックアップした1本は、こちら。

『BattleBit Remastered』!

  

タイトル:『BattleBit Remastered』
開発元:SgtOkiDoki, Vilaskis, TheLiquidHorse
パブリッシャー:SgtOkiDoki
早期アクセスリリース日: 2023年6月15日
価格:¥2,100
配信プラットフォーム:Steam
https://store.steampowered.com/app/671860/BattleBit_Remastered/

   

FPSというと、ここ数年は少人数チーム同士でのバトルロイヤルものや、競技性が高いe-Sports系なチーム戦ものが人気の中心。

ですが、『バトルフィールド』シリーズに代表される“大人数参加型”のほうがワイワイと気軽に楽しめるから好きという人もいますよね。ボクもその一人。

でも、最近このタイプのFPSの出来や評判があんまり芳しくなかったりで人気が陰っていたのが正直なところ。

「あー、何かワチャワチャしていてお祭り感が楽しいけど、プレイの手触りは本格派な、おもしろい大人数FPS出ないかなー……」

こんなふうに思いながら過ごす日々を暮らしている人もいるのではないでしょうか。

新しい何かが、

きっかけが、

必要なのかもしれない。

そんなときにアーリーアクセスが開始されたのがこの『BattleBit Remastered』なのだ!
  

グラフィックスがものすごく特徴的なこの『BattleBit Remastered』。

『マインクラフト』的な四角くてテクスチャもほとんどないぐらいの、いわゆるローポリゴン。

こんなポップでカジュアルな見た目ながらも、プレイの感触は遊びやすくて本格派という、本気度の高いゲームなんですよ。

ちなみに、名前に“Remastered”とありますが、これは開発中に一度ゲーム性に大きな転換を入れた際につけられたようで、本作そのものは新作であり、現在もまだアーリーアクセス配信中です。

『BattleBit Remastered』は現代戦をテーマにした、最大254人対戦が可能なマルチプレイヤーFPS。
ゲーム要素は主に『バトルフィールド』シリーズに準拠。

プレイヤーは「突撃兵」、「衛生兵」、「工兵」、「援護兵」、「狙撃手」といった5つの兵科を選択してプレイ。分隊の要素もあり、分隊長はリスポーンポイントの設置なども可能です。

1サーバーあたり最大254人のプレイヤーが参加可能で、ゲームルールも定番のコンクエストからラッシュやフロントライン、ドミネーションなど充実。32対32や64対64といったゲームモードもあって、それぞれに広さのマップもしっかり用意されています。
  

マップは市街、荒野、海に囲まれた島など様々なものが19以上。さらに各マップに昼夜のパターンが存在。そして「戦車」、「ヘリコプター」、「輸送機」などのビークルもあり、本格的な戦闘が楽しめます。
  

建物などマップ中のいろんなオブジェクトを破壊可能で、壁を爆発物で破壊してなだれこんだり、巨大な建物が破壊されるとその瓦礫が散乱して隠れる場所が増えたりして、戦況が変わる要素になっています。
  

最大の特徴は、冒頭にも触れたグラフィックス。いい味を出しているローポリゴンですが、このビジュアルなので動作が軽いのも大きなポイント。高フレームレートのゲームプレイがそれほどスペックが高くないPCでも楽しめます。ノートPCの内蔵グラフィックスチップや10年近く前のグラフィックボードでもプレイ可能なほどの軽さ。
  

プレイするサーバーを自分で選べるサーバーブラウザをしっかり実装しているのも嬉しいところ。

最大同時接続プレイヤー数が約9万人近いというとてつもない大盛況ながら、それをしっかり受け入れられるサーバー数がありますし、見る限りトラブルもなく安定プレイを提供できています。

もちろん日本のサーバーも用意されていますし、アジア系サーバーだといろいろアレかなー……というボクと同じような考えかたをしている人は、ちょっとPing的には悪くなりますけど北米サーバーでプレイすることも可能です。

アンチチート対策にも力を入れていて、ボクがプレイ中には、BANされたチーターのログが盛大に表示されるのを何度か見かけています(なお、そのときにゲーム中のチャットに歓声があがるのも一興だったりします)。
  

なお、Steam ストアページにある公式による紹介は以下のようになっています。

【システムの主な特徴】
・破壊可能な環境とレボリューション
・高フレーム/秒のゲームプレイを実現するため、徹底的に最適化。
・e-Sportsレベルの強固なアンチチート対策と積極的なモデレーション。
・敵味方とリアルタイムでコミュニケーションできる近接型ボイスチャット。
・FPSゲーム用に強化されたネットコードで、1サーバーあたり254人のプレイヤーをサポートし、高いティックレートパフォーマンスを実現。

【プレイの特徴】
・戦車、ヘリコプター、輸送機、海上車両を使ったビークル戦闘。
・45種類以上の武器と豊富なカスタマイズオプションで、自分好みの戦闘を実現。
・アサルト、メディック、エンジニア、サポート、リコンの各ロールを持つクラシックなクラスシステム。
・戦略的に設計された19以上のマップで、昼夜を問わずダイナミックなゲームプレイを体験できる。

プレイの手触りのほうはというと、

最初こそこういう独特なグラフィックスですので、敵味方の視認などに慣れが必要ではあるのですが、慣れてくると余計な視覚情報がなくていいです。

たとえばスナイパーのスコープは大きく光るようになっていたりと工夫もしっかりされています。

FPSにとって重要な“射撃感”が非常によく、音こそグラフィックスに合わせたデフォルメ寄りなものになっていますが、リコイル(射撃の反動)やブレが武器ごとにバランスよく設定されていて、グリップなどのカスタマイズパーツでそれらを抑える要素もバランスよく実装されています。

武器のカスタマイズでメイン照準に近距離サイト、サブ照準に中距離スコープをつけたりも可能で、シチュエーションで使い分けが可能。

物陰から銃と顔だけ出す覗き込み(リーン)もあって、テクニカルな戦いかたができるようになっています。

リロードも本作は独特。弾数がマガジン単位で扱われるようになっていて、リロードをすると別のマガジンに交換するという動作になって、取り替えたマガジンの残弾はそのままになります。半端な数のマガジンから弾を移すのはリロードとは別の操作になっています。

また、より速いリロードをすると外したマガジンを懐にしまう時間を短縮してその場に捨てるということもできますし、落ちてるマガジンを拾うということもできます。芸が細かい。

見た目とは裏腹に、射撃動作や銃器に対する考え方はリアル寄りなんですよ。
  

ダメージにも独自な要素が。ダメージを一定量くらうと出血という状態になって、止血をしないと時間経過で倒れてしまいます。そのため強力なプレイヤーが特攻して暴れまくるということがちょっと抑止されているんですよね。

また、倒れた仲間を“引きずる”ということも可能で、安全な位置まで引きずってから蘇生するという救援側でもテクニカルなプレイが可能。さらに、実は倒した敵も引きずれるので、蘇生を防ぐということもできちゃいます。
  

……ここまでお読みいただいて、

「このゲームってインディーなの? どこかの大手のゲームじゃないの?」

と思った人もいるかもしれませんが、

本作はなんと開発者は3人です。3人が約6年半をかけてやっと今年6月にアーリーアクセスを開始したというものになっています。ちなみに、3人中の2人は元々は別のゲームのMOD開発者だったとのこと。

3人で約6年半をかけてリリースしたゲームが、2週間で180万本を販売し、Steam全世界売上のトップ5に入り続け、同時接続プレイヤーは最高で9万人近いという、大快挙を成し遂げているというわけで、今年最大級のインディーズドリームではないでしょうか。

ちなみに、ゲーム系マーケティング情報Webサイト「How To Market A Game」では、3人のなかのSgtOkiDoki氏にインタビューが行われていて、開発に費やした6年半ほどが詳細に語られています。

このインタビューは必読です。日本語に翻訳してぜひどうぞ。

・ゲーム系マーケティング情報Webサイト「How To Market A Game」
https://howtomarketagame.com/2023/07/03/how-to-market-a-multiplayer-the-battlebit-remastered-story/

  
上記のインタビューで語られている振り返りをおおまかにまとめると、

・2016年に開発がスタート。

・20~30人ほどの有志とテストを繰り返し、

・2018年から2019年頃に一度ゲームデザインをハードコア寄りからカジュアル寄りへ調整(名称もRemasteredに)。

・この頃からテスト参加者は100人を超えるようになったが、パトロンからの支援を募りつつ最大100人の同時プレイヤーをサポートするサーバーを構築。

・サーバーを安定させるのに開発とマーケティングに4年ほどかかった。

・Discordサーバーでメッセージを送る方式で週末に限られたプレイテストを行い、

・2023年についにアーリーアクセス版をリリースして、現在に至る。

となります。特別なプロモーションやキャンペーンはなく、地道にひたすらにプレイテストと改善を繰り返していき、そのうちにプレイヤーに注目されるようになっていったというわけですね。

ただ、ここにはかなりの紆余曲折と苦労があったようで、インタビューに応えたSgtOkiDoki氏は、インディーでオンラインマルチゲームを作るのはやめておけ、と一貫して語っていますが。

ボクが注目したいのは、「2018年から2019年頃に一度ゲームデザインをハードコア寄りからカジュアル寄りへ調整(名称もRemasteredに)」というところですね。

システムが今よりもリアルな軍事シミュレーション寄りで複雑だった時期があったそうで、ローポリビジュアルと実際のゲームプレイのハードさにギャップがあると感じ、ゲームプレイをカジュアルに寄せたそうです。

これは別の言いかたをすると“取捨選択”を行ったということです。

こだわりを全部入れて詰め込んでいたところから、ゲームとしておもしろいと感じてもらえる要素に絞って引き算をした。

「せっかく作ったんだし残したい……」という気持ちにどうしてもなりがちなポイントですが、冷静に判断したというわけで。

これはゲームに限らずとても重要なことですよね。

本作の随所にはアーリーアクセス版の今でも独特なこだわりポイントがありますし、射撃などプレイの手触りにはむしろ本格派な一面すらありますが、それらがおもしろさの邪魔しているわけではないという手触りになっています。それは、この取捨選択の判断によってできているというわけですね。
  

6年半に渡って3人の開発者がテストを重ねに重ねてついにアーリーアクセスへと進めた『BattleBit Remastered』。

カジュアルな見た目とは裏腹に本格的なプレイ感が大きな魅力で、プレイしていて「このゲームはプレイヤー目線で作り込んでいるなー」と随所に感じられます。

動作も軽いので古めのPCでも意外と動作するという評判も良ポイント。アーリーアクセス時点からこれだけ作り込まれて充実している多人数FPSが、2,100円で配信されているというのは、もう脅威ですよ。

大人数でワラワラお祭り感のあるFPSが好きだったり、射撃感のいいFPSを求めている人には迷いなくオススメ。ぜひチェックしてください。

© 2023 BattleBit Remastered

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