餅月あんこのゲーセンに行きたい!

  • 記事タイトル
    餅月あんこのゲーセンに行きたい!
  • 公開日
    2021年11月12日
  • 記事番号
    6488
  • ライター
    餅月あんこ

第36回 鴫原盛之さんのお話を聞きたい!(前編)

今回は、このゲーム文化保存研究所のライターとしてもおなじみ、鴫原盛之(しぎはらもりひろ)さんにお話を聞かせていただけることになりました。
「月刊ゲーメスト」でライターとして活動されたのち、メーカーの営業職やゲームセンター店長の経験もあり、現在はGAME Watchや、Yahoo!ニュースの記事なども担当する傍ら、専門学校・東京クールジャパンの非常勤講師、さらには日本デジタルゲーム学会・ゲームメディアSIG代表など、様々な顔を持つ鴫原さん。
ツイートを拝見するとほぼ毎日取材に行って毎晩原稿を書かれているイメージなのですが、一体どういうかたなのでしょうか……?

シューティング人生とハドソン全国キャラバン

――― よろしくお願いします、初めまして。
  

こちらこそ初めまして。よろしくお願いします。
この前、『Gダライアス』の全捕獲をやってましたね。

――― はい、ぬるい難易度のチャレンジですみません(笑)。
  

あーいやいや全然。
シューティング大好き女性はなかなかレアキャラなんで、おもしろいと思います。

――― ああ、ずっとお休みしていて、ゲーム業界久しぶりに戻ってきて、シューティングをものすごく好きな女性も……というか男性もすごくたくさんいて、シューティングがすごい盛り上がってるんだー、っていうのはびっくりしました。
  

まあ、僕たちの世代にとっては、それが日常でしたけどね(笑)。

――― 皆さん的にはマイペースという! 当然というか自然体という感じなんでしょうか。
  

いや~、やっぱり80年代の熱かった時代を知ってるおっさんだと感覚が全然違うので(笑)。
今の若い人が、たぶんRPGやソシャゲとか、『パズドラ』や『モンスト』を遊ぶような感覚。

――― なるほどー。
  

ハドソンとコロコロコミックがファミコンの全国大会をやっていたときに、
使用していたゲームは全部シューティングゲームでしたから。
『スターフォース』とか『スターソルジャー』とか。

Nintendo Switch Onlineのタイトル選択画面より、『スターソルジャー』パッケージ。
「86年全国キャラバン公式認定ソフト」のバッジと、STG大座談会編(その3)でカシオ松下さんがお話してくださった田村英樹さんイラストによる「謎の男」も確認できます。ⒸNintendo
『スターソルジャー』(Nintendo Switch Online版より)。ⒸKonami Digital Entertainment

――― そうか、ゲームといえばシューティングゲームだったんですね。
  

ファミコンを買ったりするよりも先に
駄菓子屋とかでアーケードゲームを始めてたので。

――― それ、かなり早くないですか?
  

そうですね、5歳で出会ってますから。

――― でも5歳とかその頃に、お父様とかお母様とかがやらせてくれたっていうのも大きくないですか?
  

やらせてくれたわけじゃないんです(笑)。
友だちと駄菓子屋に行ったらアーケードゲームがあって、
1回10円とかで安かったのでたまにやってたという感じで。

――― 現金を持たせてくれてて自由に遊べたという。
  

たまに親戚の人やおじいちゃんおばあちゃんがうちに来ると
100円ぐらいお小遣いをくれたりしたので。
毎日遊べてたわけじゃないですよ(笑)。

――― でもそこでやっぱりゲームが「おもしろい!」とビビッと来たわけですね。
  

もう衝撃ですよ。ずっとテレビって観るだけだと思ってたものが、
自分が思ったとおりに操作したキャラクターが画面の中で動かせて、
インタラクティブな遊びができて、すごく嬉しかったんですよね。

――― ああ、ゲームとの出会いでけっこうみなさんそうおっしゃいますよね。私はその感動が薄いかも……。
  

まだ白黒モニターでしたけど、それでもおもしろかったですよ。
でもその頃はお菓子を買い食いするほうが楽しかったので、
お金を払ってゲームをするのは高級な遊びだな、と思ってました(笑)。

――― でも1回10円ってかなりコスパ良いですよね。じゃあ、けっこう小さい頃から時々ゲームをプレイされていたと。
  

そんなにいつもというわけではないです。
当時は野球少年でしたから。

――― 野球なんですか! サッカーがすごくお好きなようなのでサッカーをやってらっしゃったのかと。
  

サッカーは観戦するのが好きなんです。
小学校で野球をやって、中学・高校は軟式テニス部だったんですよ(笑)。
大学でサッカー同好会に入って、社会人になってから
サッカー部やフットサル部に入ってましたけども。

――― すごいですね、そんなに違うスポーツに色々転向できるものなんですね。
  

高校まではコテコテの体育会系だったので、
受験勉強と部活以外は何をやってたんだろう……って感じですね。

――― へえ~! 今、普通の人の2~3倍ぐらいゲームのお仕事をされてるようなイメージですけど、まさか学生時代は体育会系だったとは。
  

本格的にゲーム漬けになったのは大学に入ってからですね。
特に高校の頃はめちゃくちゃ忙しくて、ゲーセンにはあまり行けませんでした。
漫画の「魁!!男塾」みたいなスパルタ部活だったので(笑)。

『ギャプラス』の魅力と基板

――― 以前『ギャプラス』の点数チャレンジをされてるのを拝見しましたが、やっぱりシューティングゲームが一番お好きなんですね。
  

ああ、もう、ずっとそうですね。
一番衝撃を受けたのは『ギャプラス』なんです。

『ギャプラス』(Nintendo Switch『ナムコットコレクション』より)。「パッケージ版+DLC10本」もしくは「DLCを合計20本」入手すると解放されるタイトルです。ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.

――― そうなんですか! 『ギャプラス』のそれほどの魅力というのは……?
  

一番わかりやすいのはスピードです。
敵のスピードがめちゃくちゃ速くて、24面ぐらいから「こんなの人間が見切れるかよ!」ってくらい速くなるんです。
最初見たとき、ひっくり返るかと思うくらい衝撃を受けましたよ(笑)。

――― へぇ~!
  

でも、だんだん目が慣れてきて、
「オレ、けっこう上手いのでは」っていう気持ちになって、どんどん道を誤るほうに(笑)。

――― どういう環境でプレイされてたんですか?
  

近所のスーパーにあったのかな。
コスモスの赤いアップライト筐体で、1プレイ50円とかです。

――― 『ギャプラス』、すごく好きな人けっこういらっしゃるから、よっぽどなんだなと。
  

よっぽどです(笑)。
好きすぎて基板買っちゃったくらいですから。

――― あ、基板とかもお持ちなんですね。
  

30枚ぐらいあります。
全部、ゲーメスト時代の原稿料で買いました(笑)。

――― えええ、筐体もご自宅に置いてるんですか?
  

筐体はないです。
コントロールボックスって言って、今でいうアケコンみたいなコントローラーを本体に繋いで、
本体をパソコンのディスプレイとかに繋いで遊ぶような感じです
(※シグマ製のAV-3000というコントロールボックスを愛用だそうです)。

――― なるほどー。たまにプレイされたりするんですか?
  

今はあんまりやらないですね……移植版がけっこう出てるので。

――― 移植度も申し分ないということですね。
  

そうなんですよ。
だから基板を持ってる必要もないかもしれないですが(笑)。

――― いやー、貴重な財産ですよね。
  

あんこ先生がチャレンジされてる『バトルガレッガ』も持ってますよ(笑)。

『バトルガレッガ Rev.2016』(PS4版より)。Ⓒ 1996 EIGHTING Ⓒ 2016, 2017 M2 Co., Ltd.

――― ああ……! ということは、『バトルガレッガ』もかなりお好きなんですね。
  

そうですね、
ゲーメスト編集部でも、リリース当時かなり盛り上がってたんです。
私は攻略担当ではなかったですけど、みんなで遊んでた思い出もあるので。

LSIゲームとゲーム&ウオッチ

――― 小学校の頃に、学研のLSIゲームを遊ばれてたんですね。LSIゲームっていうのは私知らなかったんですけど……。
  

単三電池4本で動く……昔は「電子ゲーム」って言ってました。
小学館の「小学○年生」っていう雑誌がありましたよね。
当時はその学年雑誌に、必ず電子ゲームコーナーがあって。

――― えー! 私、記憶にないから、見落としてたか、まだわかんなくて読んでなかったのかな……学年雑誌は読んでたんですが。
  

花形記事というか、必ず定番で載ってたんです。
「新作電子ゲームはコレだ!」みたいな感じで、そこに紹介されてて。
あとはTVCMもやってました。

――― へぇ~、あ、学研のLSIゲーム『インベーダー』が出たのは1979年とあるので、私がまだ2~3歳で「幼稚園」も読んでない頃ですね……。
  

まだ「ベビーブック」か「めばえ」ですね!

――― 「めばえ」! そういえばゲーム&ウオッチの『タートルブリッジ』というのも知らなかったのですが……。
  

タイトルそのままの内容で、亀の背中をジャンプしながら、
荷物を向こう岸で待っている人に運ぶ、っていうゲームなんです。

――― なるほど(笑)。その後にやっとファミコンを買ってもらったんですね。
  

そうですね。たしか1985年のこどもの日に買ったから、
『スーパーマリオブラザーズ』が出る4か月前になるのかな。

――― 記憶がすごくて計算が早い! それで『スーパーマリオ』も買ったんですか?
  

いや、買ってないです。友だちから借りて遊んでました(笑)

――― えー! 当時「コロコロコミック」のキャラバンに参加されてたりしたということは、けっこうゲーム情報をチェックされてたってことですよね。
  

もちろんそうです。
チェックはしていましたけど、お小遣いが限られていましたから
ソフトは年に2、3本しか買えなかったんですよ。
あと「コミックボンボン」っていう漫画雑誌もありまして、
それにもファミコン漫画が載ってて高橋名人も出てたりして。
ファミコン雑誌が出る前はそういう漫画雑誌と、小学館の学年雑誌で情報を得ていました。
1985年に「ファミリーコンピューターマガジン」が創刊して、
1986年に「ファミコン通信」が「ログイン」から独立する形で創刊したんですよね。

――― よく覚えてらっしゃいますねー! 小学生の頃から雑誌でゲーム情報をチェックして、ゲーム大会に参加してたってことですよね。
  

そうですね。
小学生のときに、初めて参加したのが第1回のキャラバンで、
ゲームは『スターフォース』でした。
それに出たくてソフトを発売日に買って、練習したんです。

『スターフォース』(Nintendo Switchアーケードアーカイブス版より)。Ⓒ1984 コーエーテクモゲームス All rights reserved.

――― すごいですねー。中学生の参加者もいる中、優勝したということですが、それってすごいですよね。
  

あ、優勝したのは公式大会ではなくて、
会場になったデパートがキャラバンが終わってから
独自に開催した大会でしたけど(笑)。

――― それでも、町のつわものたちが集まる中、ゲーム大会で優勝するっていうのは、やっぱり他の友だちより抜きんでて上手いわけじゃないですか。
  

……根っからの負けず嫌いなので(笑)。

――― すごく練習したということですか? コツみたいなものがあったり……。
  

もちろん、練習はたくさんしましたよ。
繰り返し何回もプレイして、パターンを覚えるのが、コツと言えばコツになるでしょうか。
アクションゲームでも何でも、たくさん遊んでパターンを覚えるのが王道というか。

次回は「月刊ゲーメスト」編集部のエピソードや、文化庁関連のゲームのアーカイブの活動、ゲームライターを目指す学生さんへのメッセージなどお聞きしました。

どうぞお楽しみに!

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