今こそプレイすべきゲーム『バブルシンフォニー』
目次
キャッチ・ザ・ハート!
この言葉を聞いて思わず胸をときめかせてしまったあなたは、きっとタイトーのファンであることでしょう。
アーケードゲームの歴史において、タイトーは大きな功績を築き上げてきた企業です。
タイトーの代表作といえば、やはり1978年の『スペースインベーダー』ですね。
このゲームがきっかけで全国各地に「インベーダーハウス」が作られ、それが後に「ゲームセンター」に繋がり、現在のアーケードゲームシーンの基礎を作ったと言われています。
やがて、アーケードゲームの全盛期とも言われる1980年代に突入。
全国各地にロケーションを展開したタイトーは、次々に新作のアーケードゲームを投入し、その中で数多くの名作を生み出しました。
そんなタイトーの代表作のひとつに『バブルボブル』があります。
『バブルボブル』は1986年に稼働開始した、面クリア式の固定画面アクションゲーム。
画面スクロールを用いない固定画面のアクションゲームはビデオゲーム初期に数多く作られました。
タイトーも『Chack’n Pop』『フェアリーランドストーリー』など、このジャンルのゲームを数多く開発しています。
固定画面であることからキャラクターのサイズは小さくなることが多く、かわいらしい二頭身キャラクターが数多く登場してきました。
『バブルボブル』はこのジャンルの決定版とでも呼ぶべき高い完成度を誇る名作です。
かわいくて華やかなグラフィックはもちろんのこと、ミステリアスな謎解き、大量のフードをかき集めて得点を稼ぐ爽快感、そしてアーケードゲームらしい全100面の硬派な難易度でも知られています。
今回はこの『バブルボブル』の魅力について取り上げていきたい……と言いたいところですが!
あえて1994年の作品である『バブルシンフォニー』について取り上げていきたいと思います。
えっ! 何で『バブルシンフォニー』なの? と思ったそこのあなたにお伝えしたい。
この『バブルシンフォニー』こそ、今こそプレイすべき、新世代の『バブルボブル』なのです!(はい、ここでコインいっこいれる)
タイトーの魅力は「リメイク」にある!
本題に入る前に……。
80年代はさまざまなゲーム企業がアーケードゲームを発売してきました。
その中で、タイトーならではの魅力は何でしょうか?
その答えは人それぞれだと思いますが、私が思うタイトーの魅力は「過去のゲームをリメイクする力」だと考えています。
例えば、私の好きなゲームのひとつに『アルカノイド』があります。
『アルカノイド』は、ビデオゲームの祖とも呼べるアタリの『ポン』および『ブレイクアウト』などに代表される「ブロック崩し」ゲームです。
この「ブロック崩し」ゲームというジャンルは、1970年代に数多く作られた、ビデオゲーム初期の古典的なものとして知られています。
ところが『アルカノイド』が発売されたのは1986年のこと。この頃はビデオゲームの表現能力がどんどん進化していた成長期です。前年の1985年には、すでにセガの『スペースハリアー』もコナミの『グラディウス』も世に出ていました。
そんな時代に、非常にシンプルなゲームである「ブロック崩し」ゲームが発売されました。「今さらブロック崩し?」という印象を抱いてもおかしくない時代に生まれた作品なのです。
ところがこのゲームは大ヒットを飛ばし、後に続編が出てシリーズ化されるほどの、タイトーの代表作のひとつとなりました!
すでに過去のものとなったゲームを見直し、時代に合うように変化させたことで、ゲームセンターで広く遊ばれる人気ゲームが生まれたのです。
これはとてもすごいことではないでしょうか?
最近、過去のゲームを「リメイク」した作品が増えてきています。
「リメイク」ゲームは、元となったゲームの魅力やおもしろさを継承する必要があると思います。
とはいえ、元のゲームとまったく同じままでは「リメイク」されたとは言えません。
「リメイク」作品であるならば、既存のゲームのおもしろさを持たせたうえで、新しい時代にあった異なる魅力や価値を付加する必要があるのです。
つまり、元のゲームから「変えていく部分」と「変えてはいけない部分」をしっかり見極めていく必要があります。
そのためにも、昔あった元のゲームを「再発見」することが欠かせません。
昔のゲームを改めて遊んでみることで、時代の流れに風化しない要素を見つける。
遊びにくい部分を改善して、ハードの処理能力が向上した現代ならではの表現を盛り込んで、今の時代に合った遊びやすいゲームにする。
その二つの側面があって初めて、優れたリメイクゲームとしての価値が生まれるのではないでしょうか?
『バブルシンフォニー』は、タイトーの自社タイトルである名作『バブルボブル』をリメイクした作品です。
『バブルシンフォニー』は『バブルボブル』から何の要素を再発見し、どのようにリメイクしたのでしょうか?
タイトーアーケードゲームのキャラやステージが多数登場する『バブルシンフォニー』
まずは『バブルシンフォニー』は一体どんなストーリーなのか見てみましょう。
このゲームの主人公は四人。男の子の「バビー」「ボビー」そして女の子の「クルン」「コロン」です。
実は、この子たちは初代『バブルボブル』に登場した「バビー」「ボビー」の孫たちなのです。
バビーとボビーが同じ名前なんですね~。何でなのかなと思ったのですが、実は名字なのかもしれません。「佐藤」とか「田中」とかそういう感じの……
そして、前作『バブルボブル』で「バビー」「ボビー」に敗れてしまった最終ボスの「すーぱーどらんく」ですが……負けたことをめちゃくちゃ根に持ってます(笑)。
「おまえたちのおじいさんにうけたうらみ、いまこそはらしてくれる!」
初代バビー、ボビーには勝てないけど、子ども相手ならワンチャン有るとでも思ったのでしょうか、大人げないぞ、すーぱーどらんく……。
そんなわけで子どもたち四人は「バブルン」「ボブルン」「クルルン」「コロロン」の姿へと変えられてしまい、さらには不思議な世界に閉じ込められてしまうのでした。
なお、この四匹をゲーム開始時に選ぶことができるのですが、それぞれ足の早さや泡の速度、泡の飛距離などに違いがあります。一通りプレイしてみて、自分に合っていると思ったキャラを選ぶと良いでしょう。
アトラクトデモ画面を見続けていると、すーぱーどらんくの顔がアップで映し出されます。
「ふくしゅうのときはきた……やつらのこどもたちにいまこそ、ひとあわふかせてやるのだ!」
握りこぶしをぷるぷるさせながら復讐に燃えております。そんな姿もどこか可愛らしく見えるのが、このゲームの素敵なところですね。
まあこの後、バブルンたちはひとあわどころか、画面を埋め尽くすほどの泡を吐くことになるんですけど……(笑)。
さて、バブルンたち四匹は不思議な世界に飛ばされてしまったので、まずここでひとつ原作と大きな違いがあります。
『バブルボブル』は地下100階に向かってひたすら下へと潜っていくので、一本道のステージ展開になっています。
しかし『バブルシンフォニー』は、扉を使ってさまざまなワールドを旅するというステージ構成になっています。タイトーのゲームではおなじみの、枝分かれのステージ分岐になっているんですね。
違うルートを通れば異なるステージになるので、自分がクリアしやすいワールドを選択して先に進むことができるようになっています。だから、例えばどうしてもクリアするのが難しいステージがあれば、別のルートを選択して先に進むことができるようになっています。
そして、あちこちのワールドを旅するバブルンたちですが……その中にはタイトーの過去の名作をモチーフにしたワールドがいくつも登場します。
例えば……
・「奇々怪界」
これは『奇々怪界』をモチーフにしたワールドです。敵キャラクターも同作に登場した「ぷかぷか」や「かさべー」も登場しています。そしてボスキャラクターは小夜ちゃん?(ではなく、小夜ちゃんに変身したタヌキの「魔奴化(まぬけ)」)
・「ラディッシュランド」
これは『プリルラ』をモチーフにしたワールドです。この『プリルラ』はベルトスクロールアクションゲームで、同ジャンルとしては珍しいメルヘンチックな世界観が特徴のゲームなのですが……。分かる人には分かると思いますが「例のアレ」はありません。うーん残念(?)
・「SUN “A” ZONE」
ツナサシミー。 これはタイトーの名作シューティングゲーム『ダライアスⅡ』をモチーフにしたワールドです。シリーズおなじみの敵キャラクターもバブルボブルの世界観に組み込まれてかわいい姿に変わっています(笑) そしてボス「YAMATO」登場前には、おなじみのあの演出も……!?
・「テレビマシン」
これはワールド丸ごとひとつの作品ではなく、ステージ毎にタイトーのゲームをモチーフにしています。『スペースインベーダー』『バブルボブル』などの有名どころばかりかと思いきや、タイトー初のビデオゲームである『エレポン』をモチーフにしたステージや、タイトーの野球盤ゲーム『チャレンジヒッター』をモチーフにしたステージが……!
ステージだけではありません。
シークレットルームに置かれているアイテムを取ることで、その後のステージでお助けキャラが登場するようになります。
・小夜ちゃん
『奇々怪界』のワールドで隠しアイテムのBIGお祓い棒を取り、その後のステージに登場するお祓い棒を取ると出現します。何と原作の『奇々怪界』のグラフィックのままの小夜ちゃんです。しかも小夜ちゃんは無敵状態で操作をすることも可能です。バブルンに合わせてジャンプしたりお札を投げたりしてくれます。
・Mr.MIKATA(ミカタ氏)
「ラディッシュランド」のワールドで隠しアイテムのBIG杖を取り、その後のステージで杖を取ると出現します。原作で魔法を唱えたときにランダムで出現するピンク色のアイツです。何を考えているのか分からない笑顔で怪しさ満点ですが、敵ではないらしいです。だって名前が「ミカタ」だもんね!
・シルバーホーク
タイトーといえば忘れてはならないのがこのシルバーホーク。『ダライアスⅡ』面で隠しアイテムのBIG紋章を取り、その後のステージで紋章を取ると出現。ショットやボムを打てるし、飛行しているから地形の影響を受けないという素晴らしいメリットがあります。まさに最強のお助けキャラ!
その他にも「ブックオブヘルパー」という地図のようなアイテムを取ることで、こんなキャラも登場します。
・トレミー(原作は『フェアリーランドストーリー』)
・ヒポポ(原作は『ミズバク大冒険』)
・砲台(原作は『スペースインベーダー』)
・Mr.チャックン(原作は『Chack’n Pop』)
・ティキ(原作は『ニュージーランドストーリー』)
などなど……。
このように『バブルシンフォニー』は、タイトーゲームのオールスターが集結した、まさに私のようなタイトーファンにはたまらないゲームとなっているのです!
もちろん初代『バブルボブル』から登場するキャラクターたちも新たにグラフィックが描き起こされています。そこにタイトーの他のゲームをモチーフにしたキャラクターも一緒に登場するので……まさにタイトーアーケードゲームの夢の共演。
アトラクトデモのタイトル画面が劇場になっていることもあって、タイトーキャラクターたちが「交響曲(シンフォニー)」を奏でているような、そんなゲームになっています!
1986年の『バブルボブル』以降、タイトーはさまざまな可愛らしいキャラクターを生み出してきました。そのキャラクターの魅力を前面に出して、80年代のアーケードゲームに親しんできたプレーヤーへのファンサービスに満ちたゲームになっています。
『バブルボブル』から変えなかったもの ~自分だけのパターンを組みあげていくおもしろさ~
『バブルシンフォニー』には、元となったゲーム『バブルボブル』から変えなかった部分もあります。
バブルンたちのアクションを大きく変更せず、初代が持つおもしろさや難しさを忠実に残しているのです。
見た目は可愛らしいゲームですが、オールクリアするのは難しいゲームです。
なぜなら、バブルンたちは基本的に左右方向にしか泡を吐けないため、上下方向からの敵の接近に対しては無防備。
また、地形の影響を受けやすいゲームでもあり、バブルンが安全に戦える場所がとても狭いステージもあります。
さらに一撃でやられてしまうというシビアな点もあるので、慣れないうちは序盤のステージでゲームオーバーになってしまうと思います。
『バブルボブル』シリーズに登場するザコ敵は、比較的わかりやすいルールで動いています。
敵の動きについてはランダムな要素が少ないので、バブルンが毎回同じ動きをすれば敵もほぼ同じように動いてくれます。
このため『バブルボブル』および『バブルシンフォニー』の攻略で重要になってくるのが、いわゆるクリアパターンの構築です。
安定してクリアできる方法を各ステージごとに見つけていくことで、どんどん先に進んでいくことができるようになります。
では、どのようにパターンを構築すれば良いのでしょうか?
これから攻略していく人であれば、まず始めにステージごとに方針を決めることが重要です。
私の場合、泡で包んでいく敵の順番を決めて、どこで割るかをある程度決めるようにしています。
出現した敵に、頭の中で番号を割り振り、その順番で泡に包んでいきます。また、EXTENDバブルは敵をまとめ割りすることで出現するので、どの敵をまとめるかも同時に考えます。泡は気流に乗って同じところに流れたり留まったりするので、そこがまとめ割りのチャンスになります。
特にステージ開始直後は、バブルンは動けるが敵は動かないタイミングがあります。まずはそこから考えてみるのも良いかもしれません。
敵が多いステージ、地形が複雑なステージなどは、初動をどうするかでその後の展開が大きく変わってきます。
パターンを考えるのはパズルゲームに近いおもしろさで、繰り返し遊ぶことでどんどん上手くなっていくことができます。
最初はあれほど苦戦したはずのステージがとても簡単にクリアできるようになり……自分の腕前が上がったことを実感できて、もっと先に進みたくなってきます。
『バブルシンフォニー』は初代が持つそんなパズル的なおもしろさを十分に味わうことができます。初代のゲームとしての魅力を尊重しているように感じられるのが、この『バブルシンフォニー』の良さだと思います。
『バブルボブル』をプレイした人であれば『バブルシンフォニー』もぜひ遊んでみてほしいです。
目指せ!真のエンディング!~音符パネル、RODバブル~
『バブルシンフォニー』の真のエンディングを見るためには、押さえておかなければならないポイントが二つあります。
それは「音符パネル」と「RODバブル」です。
・音符パネル
『バブルシンフォニー』は、ただ単に面をクリアしていくだけでは、最終ワールドにたどり着くことができないようになっています。
最終ワールドに入るには、ワールド5をクリアしたときに出現する大きな扉の中へ入る必要があるのですが、その扉を開けるためには4個の「カギ」が必要なのです。
その「カギ」を手にいれるために必要なアイテムが「音符パネル」です。
音符パネルは、ボス戦を除いた各ステージのどこかに、透明状態で隠されています。音符パネルがある場所をバブルンが通過すると出現して取ることができます。
音符パネルを、ひとつのワールド中に3個取ることでカギが出現します。このカギを、ワールド1からワールド4までの間に4個手にいれることで、最終ワールドに入ることができるようになります。
音符パネルの場所は毎回固定なのですが、どこに隠されているかは基本的にノーヒントなので、初見ステージの場合は探し回る必要があります(ただし隠し部屋のアイテムを取ると、その後しばらくの間は見えるようになります)。
ステージのクリアパターンを作るときは、音符パネルを回収することも念頭に入れてプレイすると良いでしょう。
・RODバブル
カギを集めて最終ワールドに入り、最終ボスを倒した! これでめでたくエンディング……と思いきや、これも真のエンディングにはなりません。
バブルンたちがドラゴンの姿から人間に戻ることができていないからです。
人間の姿に戻るには「RODバブル」を割る必要があります。文字通り「R」「O」「D」の三個で、これらは特定のステージで「Hurry Up!」状態になると出現します。
どのステージでRODバブルが出現するのか、またどの文字の泡が出現するのかについてもノーヒントなので、調べていく必要があります。RODバブルが出現するステージは、敵をわざと残して「Hurry Up!」状態まで待ちましょう。
『イーグレットツー ミニ』でオリジナルとリメイクの両方を遊んでみよう!
『バブルシンフォニー』は初代『バブルボブル』と比べて移植が少ないんですよね。
プレイするにはセガサターン版を手にいれるか、実機でプレイするしか方法がありませんでした……そう、今までは。
何と!
タイトーさんから「イーグレットツー ミニ」が発売され、『バブルボブル』『バブルシンフォニー』そしてさらなる続編である『バブルメモリーズ』のシリーズ三部作がすべて収録されることになりました!
つまり、これ一台でオリジナルの『バブルボブル』とリメイクの『バブルシンフォニー』の両方を遊ぶことができちゃいます!
イーグレットツー ミニには、他にもこんなゲームが、過去のゲームのリメイク作品としてセットで収録されています。
・『クイックス』⇒『ヴォルフィード』
・『エレベーターアクション』⇒『エレベーターアクションリターンズ』
・『アルカノイド』⇒『アルカノイド リベンジオブDOH』『アルカノイドリターンズ』
・ドットイートゲーム⇒『レイメイズ』
「何が変わったのか?」「何を変えずに残したのか?」
そういった視点を持ってプレイしてみると、タイトーがこれまで培ってきた「リメイクする力」を堪能することができるのではないでしょうか?
そういった視点を持ってゲームをプレイすれば、より深くビデオゲームの魅力に気づき、楽しむことができるのではないのでしょうか。
今となってはなかなか遊ぶことができない昔のアーケードゲーム。
私もイーグレットツー ミニで、さまざまなタイトーの魅力に触れてみたいと思います。
いろいろ書いてきましたが、やっぱり最後はこれで締めましょう!
キャッチ・ザ・ハート!
た~いとっ♪(サウンドロゴっぽく)
~おまけ~
バブルンや敵キャラたちが劇場の舞台にいるタイトル画面で
【泡・ジャンプ・泡・ジャンプ・泡・ジャンプ・右・スタート】と入力すると……?
イーグレットツー ミニのくわしい情報はこちら
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