イーグレットツー ミニでデモ画面を愛でる

  • 記事タイトル
    イーグレットツー ミニでデモ画面を愛でる
  • 公開日
    2023年05月12日
  • 記事番号
    9536
  • ライター
    ゆきじぞう

みなさん、イーグレットツー ミニで楽しんでいますか?
去年は本体のアップデートが行なわれて、収録されているゲームがより遊びやすくなりました。さらに『アーケードメモリーズVOL.1』も発売されて、収録タイトルが10本追加されました! 今年も何か新しい動きが出てくるのか……アーケードゲームファンとして目が離せませんね。
そんなイーグレットツー ミニですが、タイトル選択画面のまましばらく放置すると、収録タイトルのデモ画面が次々と表示される「デモ画面モード」になるんです。
今回は、そんなデモ画面に注目し、「遊ぶ」ではなく「眺める」楽しみかたを提唱してみたいと思います。

デモ画面の見どころ4選! オマケ付き

「デモ画面」とは何でしょうか?
これはプレイヤーがお金を入れてスタートする前の、待機中の画面のことを指します。
デモ画面は、おおまかに分けると以下の4つの部分で構成されています。

①オープニングタイトル
デモ画面といえば、まずオープニング画面やタイトルロゴを一番最初に思い浮かべるのではないでしょうか?
プレイヤーにしてみれば、そのゲームの第一印象を左右する、デモ画面の最重要部分ですね。
ここではそのゲームの雰囲気や世界観、そしてストーリーなどが表現されます。カッコよかったり、かわいかったり、あるいはシリアスに、あるいはコミカルに、そのゲームの雰囲気に合ったオープニング画面が流れます。
たとえば『ダライアス外伝』。
『ダライアス』といえば、その背景となるストーリー設定や世界観も魅力のひとつです。このデモ画面に流れるオープニングで『外伝』のストーリーが語られています。
そもそも、なぜ本作は「外伝」というタイトルなのでしょうか?
この『外伝』は『ダライアス』でおなじみの「プロコ」と「ティアット」の物語ではないからです。

初代『ダライアス』において、惑星「ダライアス」が異星人「ベルサー」の手によって侵略されてしまい、人類が滅亡の危機にさらされます。
人類は種の存続を託し、男性の「プロコ」と女性の「ティアット」をシルバーホークに乗せ、新たな居住地に向けて飛ばしたのです。
『ダライアス』をクリアしたことのある人であれば、新天地に到着して夜明けを迎えるゾーンWのエンディングシーンを思い出すでしょう。
このエンディングが『ダライアス』の正史に連なり、続編『ダライアスⅡ』に繋がるエンディングになっています。

では『ダライアス外伝』はどんなストーリーなのでしょうか?
プロコとティアットが飛び立った頃、じつはそれとは別の移民船がダライアス星から飛び立ち、脱出に成功していたのです。その移民船は惑星「ヴァディス」にたどり着き、人類はそこに身を隠しながら生き延びていました。
しかし人類にとって、ダライアス星は自分たちの故郷。
時は流れ、人類が故郷のダライアス星へと帰還しようと船団がゆっくりと近づいていく……そのシーンがオープニングで流れ始めます。

やがて画面に映し出されるのは、ダライアス星の海上ステーション。そして、人類の存在を察知したオニキンメの影……。
その直後に起きた大爆発とともに、異星人ベルサーの殺戮が始まります。
人類を乗せた船団が異常を察知してすぐに引き返そうとしましたが、オニキンメのゴールデンオーガに捕まってしまい、そのままベルサーはヴァディスへと侵攻を開始、迎撃に飛び立ったシルバーホークが次々と撃墜されていくシーンが展開されます。

このような背景を知ったうえでプレイすると『ダライアス外伝』のさまざまな音楽や演出の見方が大きく変わって、より印象深いものとなります。
『ダライアス外伝』のストーリーには「失われた故郷への帰還」というテーマがあり、ステージ6の冒頭で大気圏に突入する演出が、とても大きな意味を持っていることがわかると思います。
また「故郷に戻る」→「己のルーツに向き合う」ということから『ダライアス外伝』の音楽は「自己」や「脳」や「幻影」といった内省的なイメージの曲やタイトルが多いですね。

『ダライアス外伝』のオープニングのワンシーン。ゲームの印象を左右するのはもちろん、世界観やストーリーも表現される。
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②デモプレイ画面
オープニングタイトルと並んで重要なのが、このデモプレイ画面ですね。このゲームはどんなゲーム画面なのか? お金を入れる前に見て確認することができます。

このデモプレイ画面で印象に残る作品といえば、東亜プラン製のシューティングゲーム『TATSUJIN』。
東亜プランのゲームは、タイトルや演出が個性的で今でも多くのファンがいます。
そして、それほどの強烈な個性を打ち出しつつも、定番かつ王道の縦スクロールシューティングゲームの楽しさを追求し続けてきたメーカーでもあります。
プレイヤーの印象に残る強烈な個性と、誰でも安心してプレイできる完成度の高さが共存するところが、東亜プランの一番の魅力だと思います。

『TATSUJIN』のデモ画面は、一目見ただけで頭から離れないほどの強烈なインパクトがありますね! ドカーンと爆発! 巨大なドクロ! そして何よりもすごいのが、敵を次々と破壊するド派手なショット!
特に青の武器アイテムのサンダーレーザーをバリバリと発射できるのが気持ちいい。この武器は敵をロックオンしてくれるのも特徴です。
デモ画面でも、一面ボスの弱点をロックオンして撃破するので、見ていて気持ちが良いですね!(本当は、一面ボスは緑で進むのがオススメだったりするんですけど……)

※このボスが登場する直前に緑のショットでないと破壊できない箇所があり、それを破壊すると1UPが出ます。緑は直線ビームなので、弱点部分や発射砲台に火力を集中させやすいというメリットもあります。

東亜プランのゲームに限らず、自分がプレイしていないからこそ画面を見ていて気づく部分もあると思います。好きなだけデモ画面を見ていられる……それもイーグレットツー ミニの魅力のひとつだと言えると思います。

『TATSUJIN』のデモプレイ。中央に表示されているGAME OVERの表示にちょっとクセがあるのも注目ポイントです。
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③チュートリアル画面
一部のタイトルでは、デモ画面でゲームのルールや操作方法を説明するチュートリアルが流れるものがあります。
お金を入れてからチュートリアルが表示されるタイトルもありますが、初めてプレイするのであれば、お金を入れる前にどんなゲームか確認できたほうが安心ですよね。

筆者はアーケードゲームの他にも、steamなどで配信されるインディゲームもプレイしています。そのインディゲームの開発者のかたがたが口を揃えて言うのが、チュートリアル画面をうまく作ることの難しさについてです。

チュートリアル画面は、ゲームのルールについての情報を的確な順番で伝えるのみならず、見ただけでわかりやすいように画面構成や表現を工夫したり、実際にプレイしてもらうことでプレイヤーに理解を促したりする、このようなデザイン感覚がとても重要です。

インディゲームでは、プレイを開始する前に必ずといってもいいほどチュートリアル画面が登場します。そのチュートリアル画面の出来栄えで、そのゲームの完成度がどれほどのものなのかが想像できることもあるほどです。

名作とされるアーケードゲームのチュートリアル画面を見てみると、ルールや操作説明の表現の無駄のなさを感じることができます。
イーグレットツー ミニで遊べるタイトルでもチュートリアル画面を採用している作品は多くありますので、たとえ慣れ親しんだゲームでも、いま一度、違う目線でチュートリアル画面を見れば、その完成度の高さに感動できるポイントがあるかもしれません。

ちなみに、筆者の印象に残っているチュートリアルは『バブルボブル』ですね。
『バブルボブル』のチュートリアルは、当時としては珍しく操作方法が日本語で大きく表示されていてわかりやすく作られています。
デモ画面が一周する構成の中で、このチュートリアル画面が長い時間を占めているので、印象に残っているプレイヤーも多いのではないでしょうか。このチュートリアルはそのまま続編の『バブルシンフォニー』にも活かされています。

『バブルボブル』のチュートリアル画面。やはりプレイ前にルール説明を見ておくと安心して遊べますね。
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④ランキング画面
アーケードゲームのデモ画面で忘れてはいけないのが、このランキング画面。やや大げさかもしれませんが、この部分はまさに、ゲームセンターにおける人と人との繋がりやドラマを生み出す重要な部分なんです。
ハイスコアを残したときに流れるネームエントリーには名曲が多く、自分のプレイヤーネームのアルファベット3文字を入力する瞬間は嬉しいものです(筆者は「ゆきじぞう」の「じぞう」をもじった「ZZO」を入れます)。

また、ランキング画面を見ると、さまざまなことが見えてきます。起動ごとにランキングがリセットされるタイトルであれば、今日どれぐらいの人がプレイしていたのかがわかり、常連なら「〇〇さんが来てたんだな」というのを知れたりします。

また、スコアが保存されるタイプのランキングであれば、そのランキングに名前を残すことはプレイヤーにとって大きな意味と価値を持ちます。
不断の努力で高いスコアを獲得して自分の名前を入れたその瞬間、その基板は世界でたったひとつの大切なものとなるのです。
とはいえ、高いスコアが翌日にはきれいさっぱりリセットされてしまうというのも潔くて良いものです。昨日は昨日、今日は今日と、現状に満足せずさらなる高みを目指すというスコアラーの美学がそこにあります。

これは『奇々怪界』ランキングのデフォルト画面。縦読みするとKUMAGAYABUNSITU(くまがやぶんしつ)これは当時のタイトーの開発拠点である熊谷研究所が元ネタ。
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⑤起動画面
4つと言いながら5つ目になりますが、ここからはオマケ。
厳密にいえばデモ画面ではないし、ここまで来ると完全にマニアの世界になりますが……じつはゲームの起動画面も魅力があります。
普段のゲームセンターでは見ることができないのですが、店員さんがゲームの入れ替え作業やメンテナンスをしていたらチャンスです。

電源を入れてからデモ画面が始まるまでの間に、ゲームを動かすためのマザーボードの起動画面や、著作権に関する警告文などが表示されます。
モニタの歪みなどの異常を確認できる「クロスハッチ」という白格子状の画面が表示されることもあります。
アーケードゲームにくわしい人なら、マザーボードの起動画面の特徴やフォント、テストモード画面、一瞬表示されるグラフィックなどから、それだけで何のゲームなのか、ある程度の目星を付けることも可能だったりします。

昨今は多くのレトロアーケードゲームの数々が移植されていますが、中にはゲームの起動画面が削除されているものも少なくありません。
イーグレットツーミニは、割愛されている部分もありますが、それでも雰囲気は十分に味わうことのできる範囲で起動画面が再現されています。普通にゲームセンターで遊んでいるだけではあまり目にする機会のないものですので、ぜひこの部分にも注目してみてください。

これは『レイフォース』を起動させたときの画面。起動までのカウントダウンが表示されます。
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『スペースインベーダー』のデモ画面を見てみよう!

ではここで、イーグレットツー ミニに収録された最古の作品である1978年の『スペースインベーダー』に注目してみましょう。
『スペースインベーダー』がどんなゲームなのかは、ご存じのかたも多いはず。そんな本作の、ゲームを始める前のデモ画面はどういったものなのでしょうか?

『スペースインベーダー』のデモ画面は、簡単な英語の文章と、それぞれのインベーダー、およびUFOの得点表が表示されます。
さすがに今のゲームに比べるとさびしい……当時の表現力ではこれが精いっぱいなのかと思いきや、ちゃんと見どころが用意されています。

画面に表示される「PLAY SPACE INVADER」の文字。
しかしよく見ると「PLAY」の「Y」が逆さまになっています。
すると、画面の右からイカのインベーダーか登場。あわてて逆さまのYを回収すると……ちゃんと正しい向きに戻してもう一度付け直します。
他にも「INSERT CCOIN」と「C」が一個多く表示されてしまっているところを……上からインベーダーがミサイルを落として余分な「C」を破壊したりもします。

今の目から見れば、それがどうした?というレベルの、ほんの些細なことかもしれません。
しかし、こういった微笑ましさを愛でることも、またイーグレットツー ミニの楽しさだと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、イーグレットツーミニ未収録ではありますが、続編の『スペースインベーダーPart2』では、初代にはなかったタイトル画面が登場します。ここでもタイトルの「SPACE」の「A」がタコのインベーダーのような形になっていて、ふらっとゲームセンターに立ち寄ったお客さんに、インベーダーのイメージをしっかりアピールしているんですね。インベーダーブームを知ってゲームを遊びに来た当時のお客さんに「これがうわさのインベーダーか!」と一発で伝わるタイトル画面になっています。

ほんのささいな演出で印象がガラリと変わる。そんな奥深さも、デモ画面を見て気づくことができるのです。
© TAITO CORPORATION 1978 ALL RIGHTS RESERVED.

最後に

イーグレットツー ミニに収録されているゲームは「アーケードメモリーズVOL.1」や「パドル&トラックボール」対応タイトルも含めると、現在全部で60本!
どのゲームも個性的で、シリアスなものからコミカルなものまでバラエティに富んでいます。その日の気分に合わせて、自由に選んで楽しめるのがグッドですね!

好きなゲームのデモ画面を流して作業用BGM代わりに使うのも良いものですが、オススメは好きなお酒を飲んでリラックスしながら観る「デモ呑み」です!
やりかたはとても簡単。自分の好きなお酒を用意して、部屋を薄暗くするだけ!
部屋を薄暗くすることで画面がより鮮明なものになり、かつてのゲームセンターの雰囲気を味わうことができますね。
そんな雰囲気に浸りつつ、お気に入りのドリンクを呑みながらデモ画面を眺めて、自分だけの時間を楽しんでみるのも良いでしょう。もちろん、呑んでいるうちにゲームをプレイしたくなったら、その場でクレジットを入れて思う存分楽しんでみてはいかがでしょうか?

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