「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第12回 *「オホーツクに消ゆ」の音楽を紹介するんダーッ! 捜査5日目*

  • 記事タイトル
    「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第12回 *「オホーツクに消ゆ」の音楽を紹介するんダーッ! 捜査5日目*
  • 公開日
    2020年12月11日
  • 記事番号
    4295
  • ライター
    市原雄亮

元気ですか! 元気があればなんでもできる。元気があればレビューも終えることができる!

突然ですが……もう思いつきません。
ではラスト、張り切って行ってみよう!

エンディングテーマ~新たなる旅立ち

「エンディングテーマ~新たなる旅立ち」

捜査終了! 大団円! お疲れ様でした!
2曲に分かれているのではなく、このタイトルで1曲となっています。

タイトルどおり、若き二人の新たなる旅立ちを祝す、ボスもまた日常に戻っていく、プレイヤーもこのゲームを終える、そして上野さん(原曲の作曲者)もライター生活に戻っていく(サントラライナーノーツ参照)という内容にふさわしい、明るく爽やかな曲です。

私としては、ゲンさんのことを考えると完全にハッピーエンドと言えるのか若干の心残りのようなものがないわけではありませんが……。
ああ終わってしまったんだと寂しくもなりますが、終わってみれば楽しい北海道行脚だったなぁと、東京湾から始まった事件を走馬灯のように振り返ることができます。

わかる人にはわかる。

この曲、出だしからディレイ(*01)を使っているわけでして、音から判断するに冒頭はディレイで2チャンネル分使っていると思われます。ディレイが2チャンネル、ベースが1チャンネル、ドラムがノイズチャンネルとなっており、この時点で限界なんです。
ところが、9小節目からディレイを残しながら別の旋律が出てくるではないですか!(仮にチャンネル2とします)

どうやっているのかはわからないのですが、チャンネル1でディレイ効果を出すようにノートを分散して配置している、もしくはチャンネル2の音の隙間にディレイ音を滑り込ませているのではないかと思われます。
しかし、チャンネル2の新たな要素は音が途切れていないので、恐らく前者なのだろうと推測します。

今回原稿を書くにあたって改めて聴いてみて驚きました。
注意深く耳を澄ませてみますと、9小節目以降のディレイは表現が変わっていることがおわかりになるかと思います。

また、もう一つ気づいた奇妙な点があって、冒頭8小節のディレイが徐々に遅れていくんです。
そして9小節目で元に戻る。
なぜなら前述したような仕組みになっているからです。
これは意図したものなのか、果たして何らかのミスなのか、とても気になります。

アレンジは直球ですが、
最後にもう一度言わせていただくと、なぜ調を変えてしまったのかという点に尽きます。

あと、イントロにある学校のチャイム風の進行(先程述べたチャンネル2に割り込んでくる旋律です)を削る意味もわかりません。
原曲にあるはずの要素を削ってしまうのは罪深いと私は思っています。
だって、たった3音しかないんですよ。
厳選に厳選して残った3音なんです。1音たりとも疎かにしてはいけないと思います。

まとめ

まずアレンジから参りましょう。
正直なことを言いますと、これを書くことを決めたときは、もっともっと褒めるつもりだったんです。
これはいいぞと。さすが人気のサントラだと。
ところが、既に皆様おわかりのとおり、不満の方が大きく先行してしまう結果となりました。

全体的に、原曲の良さを失ってしまっているアレンジが多く、別物として聴くべき一枚でしょう。
まったくの別物という前提で聴く限りはいいと思います。

ですが、やはりこのサントラを聴く人の99%は原作を知っている人でしょう。
そういった環境下で、このアレンジを行い、世に出すというのはかなりチャレンジングだなと、そういう意味では素晴らしい試みであったと感じています。
世相なんでしょうか。今なら「これじゃない感」の一言で切り捨てられてしまっていたかもしれません。

ですから、悪い悪いとばかりは思っていません。
今回はあくまで原曲ありきでレビューしていますから。こういったサントラを発売したということは評価されていいことだと思います。

レビューと言いつつ、無理やりにでも褒めたりすることが多い(ことゲーム音楽に関しては真正面からぶつかる正直な批評をあまり見たことがない気がします)のですが、私はどうしてもそれができないのです。

特に音楽については不満は不満として表明してしまう質なのですが、もう仕方がないと思っています。
そこで嘘をつくということは読者を騙すということですから。それは罪だと思うのです。

今回は、遥か昔のサウンドトラックであり、編曲した藤原いくろうさんも当時30歳に満たない若かりし頃でありました。
藤原さんは今や押しも押されもせぬ大音楽家になられているわけで、今更私なんぞが何を言ったところで何の影響もないのは間違いないと、そこも踏まえて正直に書かせていただきました。
言い訳がましいですね。
もし藤原いくろうさんがこのレビューを読むことがあって、怒られたら、話し合って仲良くなろうと思います。

さて、今回ゲームを離れたところで全曲を何度も繰り返し聴いてみて、『オホーツクに消ゆ』の音楽は大変高品質であり、後世に残るべき名曲揃いであると確信しました。
恐怖に怯え、プレイを断念した幼き自分に言って聞かせたいです。
いいから頑張ってクリアしろと。

それでも、大人になって新たな感動に出会えたのはとても素晴らしい体験でした。
そして、どういうわけか音楽家になった自分がこうして公の場を借り、オホーツク音楽の魅力について語らせていただけたという幸運。

音楽だけではありません。ストーリー、グラフィック、音楽、操作性、すべてが高い基準にある名作であると推薦いたします。
今からでも遅くはありませんので、未体験の方は遊んでみてください。
この素晴らしい作品をもっともっと多くの方に知っていただければ幸いです。

これにて「オホーツクに消ゆ」全曲レビューは終了となります。
半年近くお付き合いくださりありがとうございました。
しかし、せっかくここまで書いたのだから、これで終わるのもなんだかもったいない気がしますね。
うーん……(思わせぶり)。

それではまた次回!
読めばわかるさ、ありがとーっ!

脚注   [ + ]

01. 同じ音をタイミングをずらして鳴らすことで、追いかけるような(響くような)効果が生まれ、音に厚みが得られる。

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