10年作り続けたノウハウの集大成! アクションやマップ探索、ドット絵にサウンドと、 いずれもハイレベルなマップ探索型2Dアクション『Momodora: 月影のエンドロール』

  • 記事タイトル
    10年作り続けたノウハウの集大成! アクションやマップ探索、ドット絵にサウンドと、 いずれもハイレベルなマップ探索型2Dアクション『Momodora: 月影のエンドロール』
  • 公開日
    2024年01月19日
  • 記事番号
    10727
  • ライター
    山村智美

いい感じの遊び心地
いい感じのポップさ
いい感じのカジュアルなビジュアル
いい感じの2Dドットなゲームも豊富
いい感じの重すぎない&軽すぎないゲームらしさ

『発見! インディーゲーTreasures』は、
そんな“ちょうどいい感じ”なインディーズゲームを紹介していく月イチ連載です。

今回ピックアップした1本は、こちら。

『Momodora: 月影のエンドロール』!

  

タイトル:『Momodora: 月影のエンドロール』
開発:Bombservice
パブリッシャー:PLAYISM
リリース日: 2024年1月11日
価格:¥1,680
配信プラットフォーム:PC(Steam)


【Steam】
https://store.steampowered.com/app/1747760/Momodora/

  

メトロイドヴァニア、いわゆるマップ探索型2Dアクションのインディーゲームはたくさんありますが、中でも10年にわたってシリーズをリリースし続け、作品リリースごとに着実に評価を高めてきたのが、Momodoraシリーズです。
   

Momodoraシリーズを開発するのは、クリエイターrdein氏を中心としたブラジルのインディーゲーム開発スタジオ Bombservice。

Momodoraシリーズは過去に、『Momodora』のI~IIIと『Momodora: 月下のレクイエム』の4作品をリリースしていて、今作の『Momodora: 月影のエンドロール』は2014年にリリースされた『Momodora III』から5年後の世界が舞台。シリーズの集大成であり完結編です。

長く続いているシリーズ作というと、どうしても“過去作を未プレイでも楽しめますか?”というところが気になると思いますが、実際にプレイした印象としては、おおむね大丈夫。

会話の流れで「あぁ、こういうキャラクターなんだな」とほんのり理解できるし、開発者自らも「このシリーズはアクション重視でストーリーを最小限に抑えています。だから、“取り残される”ことを心配しないでください!」とアピールしています。

また、ゲーム中のメモ“村に伝わる歴史の記録”でシリーズ作の物語を知ることもできるので、今作をプレイしてさらに深く知りたくなったなら、過去作をプレイしてみるという感じでも大丈夫だと思います。

本作の物語は『Momodora III』から5年後が舞台。悪魔を呼びよせる“黒き鐘”が何者かによって鳴らされ、この地に根付く神聖な“ルンの大樹”を守るコホ村にも悪魔が集おうとしていた。村の司祭長モモは、鐘を鳴らした者を突き止め、呼び出されてしまった悪魔を討伐するという使命を負って旅に出る……というもの

横スクロールアクションとしての操作感の良さは屈指の出来。レスポンスがよくキビキビとしいるし、モーションのスピード感もほどよく気持ちいい。

攻撃は近距離攻撃だけでなく上入力と攻撃ボタンで出す弓矢もあって、その2種類を常に使い分けられます。近い敵を近距離攻撃で倒し、そのまますぐに遠くの敵を弓矢で射つというようなノンストップでリズミカルな戦い方が可能。また、体力が乏しいときには慎重に遠距離重視で戦うこともできます。

ジャンプで敵の攻撃を回避しつつ弓矢で遠距離攻撃をしていると、どこか『ロックマン』シリーズのような硬派なジャンプアクションの良さを感じさせるところも。

距離別の2種類の攻撃をいつでも使えるようにしていることで、本作は動きの幅が広がっていますし、プレイの手触り、おもしろさも良くなっているんですよ。

また、プレイの気持ちよさは攻撃やヒット時などもろもろの効果音の存在も大きいわけですが、そこも本作は抜かりなく。攻撃の効果音はバシバシと弾けるような気持ちいいもの揃い。また、BGMも種類が多く、シーンに合わせたクオリティの高いBGM揃いです。

2Dドットの描き込み、アニメーションパターンの豊富さによる滑らかさはかなりのもので、キャラクターデザインも日本のユーザーにも親しみやすいかわいらさしさがあり、魅力的。

若干、キャラクターの表示サイズが小さめだなと感じる画面バランスではありますが、その分、巨大なボスの大きさが出しやすいくなっていますし、探索中にはマップをより多く見せられるようになっているので、そうした良さを重視しているのだなと感じさせます。

「紋章」という追加攻撃の効果など様々な特殊効果を付与できるアイテムを、2つ装備できる要素もあり、プレイヤーのスタイルや好みでカスタマイズ可能。また、「使い魔」という探索中に定期的にサポートをしてくれるお供もいて、こちらもいろいろな種類が存在します。どちらも探索で発見できるもので、プレイのアクセントになっています。

メトロイドヴァニアというジャンルは、『メトロイド』や『悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲(キャッスルヴァニア)』のように、横スクロールのジャンプアクションながら、上下左右に広くマップがあり、そこを探索して新しい能力を獲得することで、より探索できる範囲が広がっていくというおもしろさが魅力ですが、

本作も、その醍醐味を非常にしっかり味わえます。

マップは適度に迷うような広さでありつつ、探索の末に新しい移動アクションを入手したときには、「あ、これであの場所が進めるのか!?」と、直感的に次の目的が見えてくるような、ほどよいバランス。

探索からのイベントやボス戦というフェーズが、ある程度の区切りで訪れてくれるので、中だるみが起きづらく、時間を忘れてどんどん先へと遊んでしまう良さがありますね。

一部、このシーンはちょっと次に向かう場所がわかりづらくなっていそうというところもあるのですが、そうした場面ではストーリー的に理由をつけて移動できる範囲を制限し、過度に迷いすぎてプレイヤーのモチベーションが落ちないよう配慮している場面も見られました。

2D横スクロールアクションを10年にわたって作り続け、メトロヴァニアジャンルとしても高評価なシリーズとなったMomodoraシリーズの集大成な本作。

ビジュアルもサウンドもプレイフィールもいずれの要素も非常にクオリティが高く、探索の醍醐味もレベル高く作り込んでいるという、まさに10年のノウハウを活かした集大成と言える隙のないゲームに仕上がっています。
価格も手頃で、満足度の非常に高い本作。難易度バランスもほどよくて万人にオススメできるゲームです。気になった方はぜひ実際にプレイしてみてください。

© Guilherme Melo Martins. All rights reserved. Licensed to and published by Active Gaming Media Inc.

こんな記事がよく読まれています

2018年04月10日

ゲームセンター聖地巡礼「1980~1990年代 新宿」前編

今回から、新企画「ゲームセンター聖地巡礼」の連載がスタートします。当研究所・所長の大堀康祐氏と、ゲームディレクターであり当研究所のライターとしても協力いただいている見城こうじ氏のお2人が、1980~1[…]