タイトー『フェアリーランドストーリー』発掘報告書 中編

  • 記事タイトル
    タイトー『フェアリーランドストーリー』発掘報告書 中編
  • 公開日
    2022年09月30日
  • 記事番号
    8488
  • ライター
    ぱぱら快刀

はぁい! あたしは脳細胞が灰色の魔法使い、発掘隊長のパパラダルフ! こっちは不思議な腕輪のギギ! よろしくね!!

さって、『フェアリーランドストーリー』の発掘調査報告の中編だよ。

この『フェアリーランドストーリー』は1985年稼働開始のタイトー製アーケードゲーム。ファンシーなグラフィックが特徴の「一画面固定モノ」ゲームね。

真っ赤な装束のかわいい魔法使いが主人公。
魔物に襲われた王国と秘宝を取り戻すべく奮闘するストーリー。
恐ろしカワイイ魔物たちを魔法でケーキに変えて、食っちゃうのかと思ったらそうじゃなくて、何が気に入らないのかそのケーキを床に叩きつけて割っていく、何だか頑固職人パティシエっぽいゲームね!

<ゲーム画面> © TAITO CORPORATION 1985 ALL RIGHTS RESERVED.

くわしいゲームの概要と特徴は前回の前編にあるので、未見の人はぜひそっちから見てもらえると嬉しいかなっ。

ええと。この連載シリーズは、古典名作ゲームに秘められた、優れたゲームデザイン技法を発掘。
現代のゲームデザインにも活かせるような知見を得ようって、そんな趣旨なのです。

前編ではかわいいビジュアルのツボの調査報告をしたわよね。
今回の中編はゲームメカニクスのツボ。つまりゲームデザインの核になってる基本ルールのことね。

今度はどんなツボが隠れているのかしら。ドキドキするね。
では早速、めくるめく魔法の国へいってみよ~!

<発掘品目録>

さてと、今回発掘したツボ一覧がこれ。中編のところだよん。
ぜんぶで4つね。よしよし。順番に説明していこー。
  

-前編-
■かわいいビジュアルのツボ
 ツボNo.1 「ちびキャラは太くフチ取る」
 ツボNo.2 「おすましモーションでかわいさアップ」
 ツボNo.3 「背景BGも抜け目なく飾る、特に画面端の囲み」 
 ツボNo.4 「死に様で魅せる」
-中編-
■ゲームメカニクスのツボ
 ツボNo.5 「させたい状況になりやすく作る」
 ツボNo.6 「敵の個性にでっかい一芸をもたせる」
 ツボNo.7 「スコア評価で挑戦意欲を掻き立てる」     
 ツボNo.8 「単調なゲーム展開に彩りを」
-後編-
■レベルデザインのツボ
 ツボNo.9 「攻略パターンを作らせるレベルデザイン」
 ツボNo.10 「バリエーション=プレイヤーに何をさせたいか」
 ツボNo.11 「順に覚えさせる学習配慮」

<『フェアリーランドストーリー』のツボ>

■ゲームメカニクスのツボ

いよいよ核心。ゲームデザインのツボ調査だよ。
『フェアリーランドストーリー』は基本ルール、そのゲームメカニクスがほんっとに良くできてるのね。
そのポイントをしっかり調査してみたので報告するよ~。

ツボNo.5 「させたい状況になりやすく作る」

ケーキで押せる

『フェアリーランドストーリー』の最大の特徴は、もちろんケーキね! 
にっくき敵どもは銃でパンパン撃ち殺したいけど、それじゃかわいくないもんね。
パンッて撃てなきゃケーキにすればいいじゃない! 
ま、これが他のゲームにないこのゲームだけの特徴ってわけ。
とはいっても、これパンケーキってことじゃないわよ! か、勘違いしないでよっ!

魔法で敵キャラをケーキに変える。これでまず敵キャラを無力化する。
そしてケーキは押して運べる。
そのときケーキの向こう側に敵キャラがいる場合も、何匹いようが全員まとめてケーキごと押していける。意外と力持ちね……。魔法よりその膂力でくびき殺したほうがいいんじゃない? ダメか。
しょうがない。素直にケーキを押しましょう。

押せっ…押せっ……。
そして床の端からケーキを落とせば敵ともども割ってやっつけることができるし、ケーキの真下にいる敵も巻き込んで圧殺できちゃうのね。
このとき一度にたくさんの敵を巻き込むと高得点よ。
その際、ボーナスコインまで残していくから、そいつも奪ってやるわ。これがあたしの復讐。

<ケーキ押し> © TAITO CORPORATION 1985 ALL RIGHTS RESERVED.

このケーキを押すって行為、これがこのゲーム最大の特徴で中心要素になってる。
この復讐はとにかくケーキが前提よ。
ケーキに変えてさらに押していくって2段階破壊の発想はほんとすごい。
でも、だからこそケーキを押す状況をできるだけ多く作らないと、せっかくのケーキがもったいないわよね。

そこで! ケーキ押し状況になりやすくするための秘密が、主人公が放つ魔法のケーキ化ウェーブの射程距離にあるってわけ。
ケーキ魔法の射程はけっこう短いから、ちょっと不便に思える。
でもね、この近い間合いのおかげで、ケーキ変化させたときはケーキが目の前にある状況になる
だからすぐにケーキを押しにいくことができるって寸法。

魔法発射 → ケーキ化 → 押せっ…押せっ…… → ゴッ、ぐちゃっ 

この一連の流れがスムーズに運ぶよう計算されてるわ。この一工夫がツボね。

まあ魔法射程が長いと凶悪すぎてヤバいし、完全にシューティングゲーム化しちゃうってこともあるけど。
そこで主人公をあえて弱体化させることで、逆にケーキ使いを促すようにできてる。
この復讐、鮮血のパーティのメインディッシュは何てったってケーキなんだからね!

これをまとめると、
主人公の能力をあえて制限し、プレイヤーにやってほしいことが、より起こりやすく、やりやすくなるような調整
ということ。重要ね!

あと、このケーキは敵キャラに対して壁にもなる。
ケーキの向こうに敵が何匹いても、魔法使いのパワープレイでずいずい押していけるわ。
やっぱり筋肉は裏切らないわね!

<まとめて押す> © TAITO CORPORATION 1985 ALL RIGHTS RESERVED.

ツボNo.6 「敵の個性にでっかい一芸をもたせる」

敵キャラクターの個性設計

ここはフェアリーランド。ファンタジー世界だから、必然的に敵キャラもそれっぽい魔物とかになるわよね。
でもここはゲームの世界でもあるの。だから敵キャラちゃんはゲーム的に意味のある能力をちゃーんと持ってないとね。

で、『フェアリーランドストーリー』では、敵キャラ種類は少ないものの、ちゃんと個性豊かな敵キャラが登場して、しっかりゲームプレイそれぞれの影響をもたらしてる。
ここは大事なとこだから、ちょっと紙幅を取ってくわしく説明するわね。

・オーク
まあぶっちゃけザコね。かわいいブタさん。
鎧とか剣とかで武装はしてるけど、何の特技もなくてただ歩いてるだけ
オークのくせに、くっ殺すらないのねえ。やる気ない奴! まあ最初の相手だから、こんなもんね!

・ウィザード
杖をついた白ヒゲね。なまいきにもソニックブーム的な魔法を撃ってくるの。
飛び道具なんて卑怯じゃない? この魔法を当てられると、トレミーちゃんはちびキャラに変化して、能力ダウンさせられちゃう。その状態で2度目を食らうとおだぶつよ。
ただし射程は短いから迂闊に近づかなければ何とかなる。奴の目前に飛び込んで、先に魔法をブチ込むのよ!

・サラマンダー
口から火を噴くトカゲ野郎。炎は水平に端から端まで飛んでいく。当たると丸焦げになっちゃう。こっちの射程外からアウトレンジ攻撃をかけてくる卑怯千万なやつね! 

・ゴーレム
石くれの魔物よ。ケーキにしても、あっという間に元の姿にもどっちゃう。かてぇ。食べられたもんじゃないわ。押していくのも大変だし。
あとゴーレムらしくあんまり知能がないみたい。ぼーっと立ち止まったりが多いわ。
ちゃきちゃき動きなさいよ、この石ころ!

・レイス
足のない死霊。カンテラっぽいのも持ってるし、巡回警備員かしら。
魔法をかけようとしても身体を消して回避する。ケーキにできねえ、ちょっとやっかいね。
だが、どんな奴にも弱点はある!
ギリで懐に飛び込み、超近接で魔法を叩き込むことでケーキにできるわ。

・クレリック
偏屈そうな聖職者。何だかわからないけど、何かほっといたら勝手に分身していくの。どっちかというと生殖者って感じ! あらやだエッチね☆
そんでそれが質量を持った分身で、ぶつかったらミスになる。本体以外は魔法を当てても消えていくだけ。ただ分身を巻き込んで潰したりするとスコア源にもなるので、そこは美味しいわ。
要は付き合いかた次第ね!

とまあ、こんな感じ。
特殊能力がキャラクターイメージと辻褄合ってるのがいいわね。世界観ばつぐん。
キャライメージと能力がぴったりだから種類ごとの能力を覚えやすい。
そしてその特殊能力はゲームを通して一定で変化なし。

まとめると次のようになるわね。
・特殊能力は各キャラに1つ
・見た目も効果もまったく異なるユニークな能力
・能力はゲームを通して一定で、強さの段階はなし

このことがもたらす意味は、プレイヤーの学習効果が大きくなるってこと。
一度特徴と対処を覚えたら、覚えた基本は一生変わらないからね。

前のよりちょっと強いだけの奴とか、複合能力者とかが出てきて「おいさっきと違うぞ! 話が違う! だまされた!!」なんてこともないわけ。
敵能力がシンプルで一度覚えたら変わらない。そんなに頻繁にはプレイできないアーケードゲームにはピッタリね!

ゲーム的な意味を把握する

さて、各キャラの能力は一般的なゲーム効果としては次のように言い換えることができるよ。
  

オークやられキャラ
ウィザード主人公のライバル的キャラ(技の威力は主人公未満)
サラマンダー横一列への長距離攻撃
ゴーレム硬いけど鈍重
レイス通常攻撃が当たりにくい
クレリック場に混乱をもたらす

わかりやすく言うとこうなるわね。
どうかしら。各キャラの特徴が実質どういうゲーム的な意味を持つか、よくわかる気がする!

ところで6種類って少なくみえる? でも実際には出現数や組み合わせのシャッフルで、けっこうなバリエーションを生み出せるから大丈夫なのよね。
そもそも種類が沢山ありすぎると、プレイヤーが覚えきれないし、ゲームデザイナーも全種類使い切れないってこともある。
だから、むやみやたらに増やさない慎ましさが重要ってことね。

その他の敵キャラ解説

せっかくだから、ここであと2種類の特殊な敵キャラクターを紹介しておくわ。

・ホーンド
いわゆる永パ防止キャラ。フォークをもった赤い悪魔よ。この顔色は絶対に酔っ払いね、ふらふら飛んでるし。
ステージが始まってから一定時間が経過すると、主人公を殺しに現われる
一度出現したら地形を無視して主人公を追尾する。魔法もケーキも効かない無敵キャラで、接触したらおしまい、って死神ね。最終的には避けることができなくなって必ずやられちゃう。
ステージクリアにモタモタしてて、もしこいつが出てきちゃっても焦らないで。
最初はゆっくり飛んでるから、その隙にできるだけ急いで敵を倒してラウンドクリアするのよ!

<画像上部の赤い悪魔がホーンド> © TAITO CORPORATION 1985 ALL RIGHTS RESERVED.

・ウォーム
トンネルに住み着いてるデカくてキモいイモ虫! こいつが棲んでるトンネル前に立つとトンネル内から顔を出す。
口から伸びてきた触手が身体中に巻き付いて、身動きできなくなって、くっ殺! ミスになり穴の中に引きずりこまれちゃう。
穴の中でいったい何をされるのかしらドキドキ……。きっと食べられるのね。そのあとリトライになるもんね。

<ウォームに捕まえられる> © TAITO CORPORATION 1985 ALL RIGHTS RESERVED.

しかもこいつ、敵も味方もおかまいなし。とにかく目に付いたやつを片っ端から捕らえて食べようとしてくる
だから自分を囮に敵だけ食わせちゃうって戦法もできるの。しかもこれけっこう高得点なのよね。どんどん食べな。
このイモ虫は倒すことができない。極力関わりたくないわね。

これね、ゲーム的にはステージ内にいわゆる「死地」「殺し間」つまり特に危険なエリアを設けるって意味になってる。
そして危険なだけじゃなく、うまく利用すれば有利にもなる、ってひねりがまたいいわね。
単に落ちたら刺さって即死なトゲ床とかよりもよっぽど気が利いてる。
あら……? こんなキモカワなイモ虫のほうがマシにみえるなんて……あたしおかしくなってきちゃった?

まとめ。
敵キャラは一芸主義で! 1つの敵には1つの機能!
能力の特徴は他とはまったく異なる種類にする!
各能力のゲーム内での実質的な意味と効果を意識!

これがやたらと無駄にキャラ種類を増やすことなく、ゲームプレイに充分な変化を与える秘訣ね。

ツボNo.7 「スコア評価で挑戦意欲を掻き立てる」

『フェアリーランドストーリー』には非常に練られた優れたスコアリングシステムが備わってる。
この得点システムが挑戦意欲を掻き立てて、ゲームプレイを一層おもしろく演出してるんだね。

ハイスコア至上主義の時代

この時代のゲーム、特にアーケードゲームは、誰の目にも見える報酬系・評価系が「スコア」しかなかったの。
普通のことをしたら最低限の得点。すごいことをしたら高得点ってわけね。
あと追加の得点としてボーナス点ってのもある。

で、プレイヤーたちは合計スコアがすんごく高いこと、つまり「ハイスコア」ってのを目指し、他者と比較し競い合っていたわけ。
スコアがゲームの上手さの指標。すごいハイスコアを叩き出すのが栄えある名誉で、店内仲間うちでのヒーローね。「全一」つまり全国一位になんてなったら、もはや神として女子にもモテモテだったわよ。
いい時代だったわね~。
だから気に入ったゲームのハイスコアを目指すことがゲーム再挑戦のモチベーションとして機能してたわけ。

現代ではモチベーションを駆動する要素が沢山あるよね。
もっと多くの評価軸、繰り返しプレイで得る実績の蓄積、ゲーム進行度%、キャラやアイテムのコレクション、ステージなど追加要素の開放、サブクエストの達成、などなどいろんな形があるわね。

ほかにも、魅せプレイとか変態プレイの動画公開でウケを狙ったり。
プレイ実況で再生数という名のスコアを競うとかもできる。
いい時代になったわね~。

スコアリングシステムがゲームのかなめ

というわけで、当時ではプレイヤーの腕前をより細かく評価できるような、多数多彩な高得点フィーチャーを備えたゲームほど遊びがいがあるとみなされてた。
それがプレイヤーの離脱率を下げ、売上げを稼ぎ、ゲーム寿命が延び、ユーザー評価も高まったのでした。

これは対戦ゲーなどの「勝負」がおもしろさや再挑戦意欲を高める時代に移行していく、そのちょっと前の時代の話ね。
あと実は、キャラが脱いだりとかのゲームもあったけどね、キャッ☆
「魔界村」を思い出したあなたは正常です。

「上手いプレイ」とは何かをデザインする

ということで『フェアリーランドストーリー』は得点システムがすごく良く出来てるとあたしは評価してる。もちろんこれは入念にデザインされた仕様よ。

敵を1匹ずつケーキに変えて排除するだけでは王国の恨みは晴れないわ。やつらにはもっとも残酷な死を与えてやる。
てわけで(?)ゲームデザイナーはそういう高度でテクニカルなぶっ殺しかたを設計し、それに高得点を与えてるのね。

高得点のためのテクニック
1)ケーキを落として砕く
2)落としたケーキで敵を潰す
3)ケーキ落としで複数の敵を潰す
4)さらに大量の敵を同時潰し(ボーナスコイン出現)
5)ボーナスコインを漏らさずゲットしつづける
6)敵をウォームに食べさせる
7)強力アイテムの特殊効果で皆殺し

ざっとこんなところかな。この種類の多さがツボよ。
よりスタイリッシュ、よりゴージャスなプレイテクニックが生まれるよう設計しているってわけね。

そして、その各テクニックに見合った得点傾斜を設定してる。
魔法を連続で当てて消滅させる単純な倒しかたがいちばん低得点。次にケーキにした敵を押して床から落として割るとすこし点が高い。

落としたケーキで他の敵を潰すとさらに高得点。このとき複数の敵を同時にまとめ潰しすると、1匹増えるたびに得点は倍々になっていくよ。2000、4000、8000、……、最大で64000点ね!

<まとめ消しで高得点> © TAITO CORPORATION 1985 ALL RIGHTS RESERVED.

2匹以上の敵を同時潰ししたときは、ボーナスのコインがその場に出現して追加得点が得られる。巻き込んだ敵数によって銅コイン銀コイン金コインの3段階があって、いいメダルほど得点も倍加してく。
そのコインを出現のたび漏らさずに取り続けると、コインの点数倍率が上がって2倍3倍と獲得点数が増えていく。がんばればがんばるほどどんどん点数が増えるわね! がんばりがいがあるわ!

<ボーナスコイン> © TAITO CORPORATION 1985 ALL RIGHTS RESERVED.

ほかにも、危険と引き換えにウォームに敵を食べさせても結構なスコアになるし。ほんとかわいいイモ虫だこと。何だかエモいわね。
あと、ときどき出現するアイテム。アイテムの効果で敵を大量にやっつけても高得点! 敵を倒さず躱しまくり、アイテム出現まで粘るハイテクプレイで大量得点ゲットよ! かっこいいわね!

そしてもっとも重要な点。
そういった高得点ゲット時にはその場に点数が表示されること! これがないと高得点すご~い☆かっこい~い☆ってならないからね!
点数ってのは評価だからね。だから褒めるときはこっそりではなく、誰にもわかるように大きな声で! ってわけね。その場で褒める、大きな声で褒める。これが秘訣よ!

あとね、『フェアリーランドストーリー』の優れたところは、この得点配分がおおむね2のn乗を基本としてるところ。倍々ゲームすご。
テクニックの難しさに見合った得点どころか、それを大きく凌駕しておつりが来るレベルまで膨れ上がる。ちょっと余計にがんばってまとめて倒せば、数万点の差とか平気で出る。
それに興奮してついつい無理してでもハイテクプレイを狙っちゃうのよね~。アドレナるわ。

どうかな。ちまちまと魔法連打で1匹ずつやっつけるとか、ちょっとダサくみえるよね。素人魔法少女まるだしってかんじ。
やっぱりあたしのようなプロ魔道士なら、ま・と・め・て☆ギルティ! って感じで一度に一気に消し去るのが kawaii ってものよ。
そんなステキな魔法使いになれるよう、ついつい連コインしてまうわ。
これこそがハイスコアの魔力……、もっと恐ろしいもののスコアリングを味わったぜ……。

ツボNo.8「単調なゲーム展開に彩りを」

さーて、そうやって地道にケーキでザクザク倒してくわけだけど、なーんかおんなじことの繰り返しっぽくなるのよね。毎日床を飛び回ってケーキで虐殺しまくるだけの平穏な日常……、もっとワクワクする大事件がおこらないかしら?

「プロ野球の存在意義は、その街に住む人達の暮らしが少しだけ彩られたり、単調な生活を少しだけ豊かにすることに他ならない。

これはプロ野球界のエンターティナー“ビッグボス”新庄剛志監督の現役時代の有名なお言葉だけど、いいこと言うわね!!
退屈な面クリアと復讐の日々を、ちょっとだけ彩ってくれるゲーム展開。こういうのがほしいの。

強力アイテムで大逆転!

ゲームプレイに変化をもたらす何か……、それはアイテム効果よ!
各ラウンドがスタートしてしばらくすると、各面の定められた位置に強力アイテムが出現するの。
アイテムを取るとさまざまな効果が発動して、ちょっとしたことからスゴイことまで、いろいろ起こるのね。

例えば、主人公の魔法が強化されて敵を気持よく倒せるようになったりとか。勝手に敵が全滅&敵の数だけ倍々の高得点! って大逆転アイテムもある。これは楽ちんちんよ! 

ここで注目~。
じつはこのアイテム出現条件がちょっと凝ってるの。
タイマー出現とかじゃなくて、主人公が一定距離歩くとアイテムが出現する仕組み。ただ待ってるだけじゃアイテムは出てこないのね。
なので、アイテムを出すためには敵と戦いつつ、あるいは逃げつつ、どんどん移動していかなきゃ。待つな、汗をかけ。人生が学べるわね! 

多彩なアイテム効果演出で楽しい!

そしてね、それぞれのアイテム効果演出がまた凝っててステキなの!
この演出がゲームプレイの彩りね。

ちょっと紹介するわね。

・お月様が顔を出し、月光を照らすと敵がみーんなケーキになる。ロマンチック!
・大量の星が降ってきて、当たった敵はどんどん即死。しかも得点は倍々。かわいいメテオストライクだわ。
・画面がドドンと揺れて敵全滅。おそろしいデス魔法だわね。これも敵の数だけ得点倍々よ。
・真っ赤なネズミトレミーに変身することもあるわ。これ無敵状態。体当たりぶちかましで敵をぶっ殺せる。
・魔法を放つと炎が発射されるようになる。貫通弾ね! 敵をまとめて焼き殺せる。気持ちいいわね!

<降ってくる星に当たって敵がやられる全滅アイテム> © TAITO CORPORATION 1985 ALL RIGHTS RESERVED.

ほかにも主人公が透明になったり、敵が氷漬けになったり、ステージワープなんかもあるわよ。
これよ! この多彩でファンタジックな魔法演出! 魔法使いの醍醐味はこれなのよ! ケーキだけじゃ物足りない!
世界観に沿った演出で、いろんなことが起こるドラマチック展開。何だかストーリーちっくな感じで良きです。

ストーリーちっくといえば、アイテム以外のドラマチック展開もあったわね。
前に紹介した触手のウォームとかもそのひとつ。

あと敵の魔法使いの魔法攻撃もね。一発くらうと主人公がチビ化してピンチ状態になる。もう一発くらったらおだぶつだけど、元の魔法使いを倒せば元に戻る流れとかね。
攻撃くらってパンツ一丁になるゲームでなくてよかった。だっておんなのこだもん!

世界観とストーリーを感じさせつつの、多様なゲーム変化、ドラマチック展開を盛り込む
まさに“ビッグボス”新庄剛志監督のサプライズ演出みたいね。これがエンターテインメントな重要ツボだよ!

<次回予告!>

今回の報告はここまで! ゲームメカニクスのツボ報告がちょうどぴったり終わったね。

前回と今回で紹介したのは、かわいいビジュアルと優れたゲームメカニクス。
しかしそれはこのゲームのすべてではなかった。
このゲームのおもしろさは各ステージの出来具合にかかっている。だが搭載されるのは101面(ボス面含む)にものぼる大量のステージ。
これほどの数のステージがそれぞれ何を狙って作られ、どう構成されているのか。そして各ステージのあるべき姿とは……?

すべての謎を解き明かすため、隠れた技法を追い求める発掘隊長パパラダルフ。
旅の終着点で邂逅するステージ作りの秘訣。そこで明かされたのはレベルデザインの本質だった。
次回、後編「レベルデザインのツボ」、さぁてこの次もマジックマジックぅ♪

【関連サイト】

『イーグレットツー ミニ』公式HP:https://www.taito.co.jp/egret2mini
『タイトーマイルストーン』公式HP :https://www.taito.co.jp/taitomilestones
『タイトーゲーム』 公式Twitter :https://twitter.com/TAITO_Apps
タイトーWEBサイト :https://www.taito.co.jp/

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