見城こうじが訊く ハイスコアラー、お気に入りの一作を大いに語る 第三回「グロブダー」中編

  • 記事タイトル
    見城こうじが訊く ハイスコアラー、お気に入りの一作を大いに語る 第三回「グロブダー」中編
  • 公開日
    2020年10月23日
  • 記事番号
    3932
  • ライター
    見城 こうじ

りゅう氏 REI氏 ダブルインタビュー

前回は『グロブダー』(1984年/ナムコ)の基本システム、1クレジット全面クリアに至る経緯、そして、お二方の友人であり、同じく全面クリアを達成された故・めぞん一刻氏のお話をお聞きしました。
今回の中編では、ここまでやり込まれたお二方にしか聞けない徹底攻略について語っていただきました。『グロブダー』ってそういうゲームだったのかとビックリします!
※インタビューの前編は、こちら

【聞き手】
見城こうじ

最終面攻略中に気づいた大発見「ハイパータンク安地」とは?

―― お二人がどのようにして1クレジット全面クリアされたのか、その詳細をこれから語っていただきたいのですが、当時、最終面である99面の攻略を通じて、大変重要な発見をされたと聞いています。変則的な順序になりますが、まずそこからお話しいただけますでしょうか?
『グロブダー』といえば99面が難関として知られています。障害物のブロックが一切なく、目の前にフォートレスが陣取っているという凶悪な構成で、まさに最終面の風格を持ったステージでした。

REI まず1クレジットでついに99面目前ぐらいまで行けるようになったときのりゅう君とめぞんの話がおもしろいんですよ。二人して「最終面の攻略をまだ何も考えてなかった」って顔を見合わせたという(笑)。

りゅう 重要なことを忘れていたんです(笑)。
99面で開幕してすぐにレバーをパパッと振ると一瞬でクリアできるきれいなパターンがあることは知られていて、「瞬殺パターン」と呼ばれていました。
それで、ぼくが「ところでめぞん、瞬殺パターンできるの?」って聞いたら「できない(マスターしてない)。たまにならできる」って言われて。ぼくに至っては全然できないんで、これヤバいでしょって話になって。

―― 『グロブダー』は面セレクトができるので、いろいろな面を練習できるわけですけど、その時点で99面はまだほとんど練習してなかったんですね。

最終面(99面)は障害物が一切なく、中央にフォートレスが配置されている。何も対処しないと始まった瞬間に撃破されてしまう壮絶なステージだ(この項の画面写真は、すべてゲーム基板より撮影)

りゅう そこまでの面はかなりの確度でクリアできるようになっていて、運がよければ1クレジットで99面まで行けそうってところまで来ていたんですが、99面は確度0でした。それでパターン考えなきゃダメでしょって、99面だけの“スペシャルノック”が始まったんです(笑)。
99面を選んでプレイしていると、すごい勢いでお金がなくなるんで大変でした。当時は二人ともお金がなかったので。
……そこであるとき大発見をしたんです。

―― 何があったのでしょうか?

りゅう 自分が死んだ後でも、少しの間、ハイパータンクがドカドカ弾を撃ちながら突っ込んできますよね。あるとき、めぞんと「クリアできねー」って頭を抱えてその動きを眺めていたら、そこで右から来るハイパータンクの弾はグロブダーを狙ってくるけど、左からくるやつは狙ってこないということに気づいたんです。これですべてが変わりました。

REI 早い話をすると、「ハイパータンク安地(安全地帯)」を彼らが見つけたということなんです。ハイパータンクは、グロブダーに対して左側にいるか右側にいるかで、砲塔の動き方が違うんです。

―― ホワイトボードに書いて説明していただけますか?(ここでREI氏がホワイトボードを使って解説)

ホワイトボードを使って「ハイパータンク安地(安全地帯)」の解説をするREI氏
グロブダーから見て左上にいるハイパータンクの弾は、少し遅れてこちらを狙ってくるという法則(?)があるのだ

REI 図の真ん中がグロブダーで、両サイドからハイパータンクが来るとします。右のハイパータンクは最初からグロブダーを狙って弾を撃ってきます。それに対して、左のハイパータンクは、まずグロブダーのいない外(左)側を狙って撃ち始めて、徐々にグロブダー側に照準を移してくることが多いんです。

―― ほう、何というか……アルゴリズムが少しおかしい感じですね。

REI はい。これを活かして、焦点がすぐに合わない分、こちらからノーシールドで攻撃を差し込めるタイミングができるんです。これが「ハイパータンク安地」です。まあ、最初からこちらを向いて迫ってきたときは仕方がないんですけど。

―― つまり、ハイパータンクの右下に潜り込むことで、一時的な死角が生まれるということですね。これはオレンジハイパーもイエローハイパーも一緒なんですか?

REI 一緒です。

―― これはたとえばこのまま180度向きが変わっても通用しますか?

REI 通用します。90度向きが変われば、この図を90度回した状態の動きになります。

りゅう これが本当にエポックメイキングで、それまでは障害物がないと勝てない敵だったのが、位置取りによって一方的に攻撃できることがわかり、障害物がなくても勝てるようになったんです。

―― このテクニックの発見によって、99面クリアも現実的になってきたわけですね。

りゅう はい。先ほどお話した99面の瞬殺パターンは、最初に左右のブラウンフロッサー2機に当てないといけないんです。でも、それって難しくて、できる人が限られていたんですよ。

REI 東久留米のVERTEXのメンバーの誰かがうまかったんだよね。

りゅう そう、必ず瞬殺パターンが成功するというすごい人がいたんです。でも、めぞんはできなかったし、ぼくもずいぶん練習したんですけど、たぶん成功したのは1回か2回で……。二人して「最終面をクリアできないんだから、全面クリアは無理だ!」って絶望していて。
それが「ハイパータンク安地」が見つかってから、左にいるブラウンフロッサーだけ倒せれば行けるってなったんです。そこに誘爆の起点を作って左のタンクを3つやっつけられれば、あとは右のハイパータンクの右下に入って、そこから22.5度の角度で狙えば絶対に勝てると。

―― 敵の猛攻の中、けっこうな距離を動くわけですね。

りゅう 99面でこのハイパータンクの右下へ行くことを、ぼくらは「川を渡る」って呼んでいました。タンクが下へ向かって激しく弾を撃ってくるんですけど、その弾の「川」を渡って右へ進むんです。あとはブラウンフロッサーが1機残ってるんですけど、それをうまいこと倒せればクリアできると!

―― 大変おもしろいです。バグっぽい動きかなと思いますが。

REI 『グロブダー』って角度によって計算違いをしているのか、フォートレスの赤玉も変な方向に撃ってくる位置があるんですよ。フォートレスに対して自分が上側に行くと赤玉が変な角度で飛んでくるんです。
実際にROMの解析をした人がいて、どうやら角度の計算がおかしいところがあるって話を聞いたことがあります。

りゅう 99面のこの攻略法については、最初のフロッサーさえ当たれば、普通の人でもできます。100%ではないですが。

―― 発売当初、難しいということで、あれだけインパクトのあった99面の攻略が、そこまで確実性の高いものになっていたとは驚きです。

りゅう これがなかったら、全面クリアは相当キツかったと思います。この発見がほかの面でも応用が利いて、立ち回りの基礎になるんです。各面、初手でできることをやった後、残ったタンクはこの理屈を使えば勝てるわけです。
ただ、ぼくが初めて全面クリアをした1988年の段階だと、この発見がすべてで、初手の研究、つまり各面のスタートでどう立ち回るかがまだ甘いんです。この発見だけで突っ走った感じです。

“火ダネ”を作れ! ――各ステージの基本戦略――

―― 一般的なステージにおける基本的な戦いかたを教えてください。

りゅう 大きく分けると「待ち面」か、そうじゃないか、がありますね。

―― どう違うのでしょうか?

REI 最初に射線が通って敵を撃てる面か、撃てないから近寄って来るのを待つ面か、という違いです。

―― 最初から敵を撃てる面は、どうやって対処していきますか?

REI まず高い火力を持っているハイパータンク系をいかに早く処理するかが第一段階です。さらにその準備段階として“火ダネ”にできる敵がいれば、それを真っ先に倒します。

―― “火ダネ”とは、誘爆を狙うということですね。

REI はい。火ダネはハイパータンクの場合もありますが、多くの場合はエネミータンクやフロッサーです。それらを倒した爆風にハイパータンクが突っ込んでくれることで、ハイパータンクにエネルギーを割かずに倒せるわけです。火ダネになる敵がいない面は、基本的にハイパータンクを撃ちます。まず画面の左半分か右半分どちらかの敵を一掃するというのが初手です。

りゅう 初手が決まっている面の場合、まずブラウンフロッサーに当てることで、うまくすれば3機やっつけられます。

―― ブラウンフロッサーの爆風だけで、もっともシールドの厚いイエローハイパータンクも倒せるんでしたっけ?

REI いえ、単体ではできません。
ブラウンフロッサーの爆風にイエローがぶつかってあぶられた後に、オレンジが突っ込んでくることがあるんですよ。そうすると、ブラウンとオレンジのあぶりでイエローが死ぬ場合があるということです。これが最初のブラウンへのヒットだけで3機倒せるパターンです。
ちょっとだけビームを撃ち込んでイエローをあぶる場合もあります。ブラウンが爆発している。イエローが突っ込んできている。そこでビームをちょっとだけ撃って耐久力を奪って爆風で倒す、という流れですね。

りゅう マニアックだね(笑)。

―― でも、誘爆を利用することで自分が撃ち込む量を減らせるから、エネルギーの消費も抑えられて安全ですし、点数も高くなるし、結果的にいいこと尽くめですよね。

REI そこからさらに“スコアマニアックス”的な話をすると、その誘爆にフロッサーを巻き込むとかやり始めるんですよ。

―― それは狙ってできるのですか?

REI がんばるんです(笑)。

りゅう ビームをブルン! と扇状に振って、逃げるのを利用して爆風に飛び込ませるわけです。でも、よく返り討ちに合うんですけどね。

―― 返り討ちとはどういうことですか?

REI シールドを張りながら、かつビームを振り回すことになるので、エネルギーをたくさん消費するんですよ。そうすると相手の反撃を食らったときに、もうエネルギーがなくて……みたいな感じです。とくにフォートレス面だとよくあります。

―― 『グロブダー』は、この「誘爆」という概念がまた特徴的ですね。先ほどもお話したとおり、ディレクターはこのゲームの発想の元が『ロボトロン2048』(1982年/ウィリアムズ)だと公言されているのですが、洋ゲーの好きなかたでしたから、誘爆に関しては『ミサイルコマンド』(1980年/アタリ)が念頭にあったかもしれませんね。

りゅう 誘爆で倒すと点数がどんどん上がっていきます。ちなみに、これはニューバージョンだけの仕様なのですが、画面の左下にその点数が出て、表示色も変わるんです。9段階で最後は……33倍だったかな。

REI 基本的に倍率はどの敵も同じ法則で上がっていくのですが、なぜかイエローハイパータンクだけはその法則に準じてない部分があるんですよ。これは電波新聞社の『オールアバウトナムコ』や、めぞんが当時まとめた攻略冊子にも書かれていることなのですが。

―― (冊子を見ながら)これは丁寧にまとめられていて素晴らしいですね。……2000年に書かれたものですか。

りゅう それ読んだことないんですよね。REI氏、あとで読ませてね。

めぞん一刻氏が制作した『グロブダー』攻略本。その端正な作りから彼の几帳面な性格がうかがい知れる
同攻略本より。めぞん氏による『グロブダー』の思い出。ロケテスト版では1面からハイパータンクやフロッサーが配置されていたなど貴重な情報が書かれている

―― 1ステージ内で時間をかけていると、敵の攻撃が激しくなりますね。あれはどのようなルールになっているのですか?

REI あれには2段階あって、時間経過でまず1段階攻撃が激しくなるんですけど、そこに至るまでの時間が、序盤の面と後半の面では違うんです。ただし、最終段階の激しさに到達するのは全面共通できっかり30秒後です。

りゅう 余談ですけど、このゲームって時間による強制進行がないから、休憩もできちゃうんですよね。フロッサーを1機だけ残してジュース飲むとか。

オレンジハイパーとイエローハイパーにどちらが格上という概念はない?

―― エネミータンク、オレンジハイパータンク、イエローハイパータンクの3種類のタンクについてくわしく教えてください。弾はどうやって撃ってくるのでしょうか?

REI エネミータンクは進行方向にしか弾を撃てないので8方向ですが、ハイパー系はグロブダーと同じく16方向に撃ちます。ハイパー系の場合、進行方向と関係なくグロブダーに砲塔を向けることができます。

りゅう ただ、この砲塔の回転は遅いので、それを利用して近距離戦で死角に回り込んで撃ち込むという攻略ができます。

REI うまくすれば、こちらがシールドを使わなくても済んだりするんです。
それから、オレンジハイパーとイエローハイパーって、撃ってくる弾の「密度」が違うんですよ。オレンジの方がシールドの性能が低いんですけど、じつは攻撃面ではイエローよりも強くて、マシンガンでいう三点バーストのような高密度な弾を撃ってくるんです。

―― 弾と弾の発射間隔が狭いわけですね。

REI だから、イエローの弾を連続で食らっても大丈夫なのに、オレンジの弾を一気に食らうとシールドが破られて死ぬ局面が出てきます。

りゅう あれはホントにおもしろい仕様で、柔らかい(シールドが少ない)からといって、必ずしもオレンジが弱いわけじゃないんです。

REI そのことに気づくとオレンジが怖くなるんです(笑)。

フロッサーは「置きビーム」を使って倒せ!

―― フロッサーについても教えていただけますでしょうか。

りゅう フロッサーの動きって芸術の領域ですよね。あんなに避ける敵は今まで見たことがなかった。こちらのビームに反応して、最初は当てられないんですよ。それで、あるとき壁に沿うという法則性に気づいて……。

REI プレイヤー側から見て右側に移動するんです。『ドルアーガの塔』(1984年/ナムコ)のウィル・オー・ウィスプのようというか。

りゅう フロッサー側から見ると、左へ左へと移動しようとして、それ以上進む先がないと、壁に沿ってプレイヤー側に迫ってくるので、自分も壁に張り付いてそこを撃つようにするんです。

REI フロッサーのアルゴリズムで重要なのは、グロブダーから発射された瞬間のビームの方向を見て、その都度かわしているということです。
だから、グロブダーがビームを「ヒュッヒュッ」と振るように撃つと、フロッサーは振ったところにいないように動こうとして、結果としてビームに当たりに行っちゃうわけです。先ほどお話した99面の攻略もこの技を活かすんです。

―― 先ほども少しお話に出ましたが、フロッサーに向けて、ある程度の幅で角度をつけて、素早く小刻みにビームを撃つ感じですね。

REI そうすると、最初に撃ったビームだけで当たることはないんですけど、別角度のビームを避けようとフロッサーが反応して、最初のビームに当たりに行ってくれるんです。

りゅう 「置きビーム」と呼んでいましたが、ビームを置いておいて、そこに(誘導して)飛び込ませるわけです。

REI 最速で砲塔を振り回してしまうと、最初のビームが短すぎて、フロッサーがもどってきても、もうビームが通り過ぎたあとになってしまいます。長めのビームを撃っておけば、ちょうどその終端の辺りにフロッサーが「スパーン!」って当たってくれるんです。

―― 基本的な質問になりますが、グリーンフロッサーとブラウンフロッサーってどう違うんですか?

REI まず避ける際の移動速度が違います。それから、ブラウンフロッサーは逃げるときに弾を撃ちます。

りゅう だから、ブラウンフロッサーが右壁に張り付いた状態で、こちらが下から真上に向かってビームを撃つと、相手は「避けるモード」で、5、6発連射しながらこっちに迫ってきてくることがあるんですよ。それでやられたりすることも。

―― こちらが攻撃を仕掛ければ仕掛けるほど、激しく反撃してくる。とてもユニークですね。

REI 余談ですが、99面で「置きビーム」の後の敵を動かすためのビームを撃ってないのに、その置きビームに敵が吸い込まれてやられることがあるんです。その原理がよくわからないんですよ(笑)。

―― 2つのビームで挟み込むようにして倒すはずのフロッサーが、一発のビームで死んでくれるということですね。

りゅう それがすごくうまくて、必ずできる人がいるんですけど、なぜできるのか聞いても、「こうだ」という納得できる説明がないんですよ。

REI あれは不思議です。

りゅう それと、面スタートしたときの話ですが、「Get Ready」で敵が動き始めますよね。このとき、タンク系はすぐ動き始めるけど、フロッサーは最初の一瞬は動かないんです。これがあるから開幕で最初にフロッサーにビームを当てることができるんです。

―― それはこちらがビームを撃っても動かないということですか?

REI いえ、ビームを撃てば反応して動きます。でも最初の瞬間はその位置に止まっているからこそ、初手のこちらのビームの振りで敵の動きを固定化できるんです。

りゅう 開幕時にこちらが同じ動作をすれば、必ず当たってくれるようになってるということです。これがなければ、やはり99面のクリアも難しかったと思います。
50面がフロッサーしかいない面なので確認しやすいです。

―― 50面のマップって、グロブダーの初期位置からフロッサーに対してあまり射線が通ってないように見えるのですが、これで開幕で当てられるのですか?

りゅう 左の3機は当てられます。
ちなみに、フロッサーが動き出すタイミングは全機一緒ではないんですよ。

―― 最初に動きを同期させないようにしているのですね。

50面はフロッサーしかいないという特徴的なステージだ

REI あと、先ほどお話した、時間経過で敵の攻撃が激しくなる仕様なんですが、タンク系は素早く動くようになって、弾もバラバラと激しく撃つようになってきます。それに対してフロッサーの場合は「移動距離が減る」んです。フロッサーって移動中は弾を撃たないから、頻繁に止まっては撃って、止まっては撃ってを繰り返すようになるんです。

りゅう 結果的にフロッサーも攻撃頻度が上がるわけです。

―― それは強くなりますね。難易度の上げかたとしてもおもしろい。

REI めぞんがよく激しく動くフロッサーにまとわりつかれてやられてましたね(笑)。

―― フロッサーは毎回次の移動座標をどうやって決めているのでしょう?

REI ランダムだと思います。

―― 一回の移動距離が小さくなると、たまたま一度近くに来られたときに、延々と近くをウロウロされる確率が上がるということですね。

REI そうなったときはビームを撃って振りほどくようにするといいです。

りゅう フロッサーにもフォートレスのように砲塔があって、ゲーム中に回転するのですが、その向きの法則性が謎なんですよ。砲塔が常に自分のほうを向いていれば一直線に飛んでくるので、ある意味わかりやすいんですけど、別方向を向いていることも多いんです。ランダムということだとは思うんですけど。

98面は砲塔の向き次第で地獄! ――フォートレス攻略法――

―― フォートレスといえば、このゲームにおけるボス的なキャラクターです。

REI 全面中、20回登場しますね。

―― 全面クリアにあたって、フォートレスは倒して進んでいたのですか?

りゅう ぼくは基本的には倒していないです。

REI ぼくは基本倒す派でした。めぞんも倒していましたね。

りゅう フォートレスは「倒さなくてもクリアになる」という条件にしてあるのがおもしろいところですね。これは(制作者の)センスですよね。

―― フォートレスの砲塔の位置は、毎回4か所のどこかに変わりますね。

りゅう あの位置の謎については(攻略上重要なので)法則がないかずっと研究してたんですけど、結局わからなくて。

―― おそらくランダムで決まるということでしょうね。
砲塔が4か所のどこにあるかで、難易度や攻略はどう変わってきますか? 砲塔が上についていると、下から直接ビームを当てられないわけですが。

REI それに関しては、とくにひどいのが98面ですね。まず始まった瞬間「雪隠詰め」なんですよ。

―― あー、98面で砲塔が上についていると途方に暮れますよね。破壊もできないし、逃げることもできない。

りゅう これはひどいです。

98面は障害物に囲まれた状態で目の前にフォートレスが鎮座している。砲塔が上を向いていると破壊できないためまさに地獄!

REI 当時、めぞんがプレイしていて、この面で砲塔が上についていると、彼から怒気が湧き上がってキレてるのがわかるんですよ。見ていたギャラリーも「うわっ、上だ!」って逃げていく(笑)。

―― 気持ちはわかります、とても。

りゅう めぞんもぼくも、お互い自己ベストが97面だった時期があって、「もう行けるんじゃないか」ってときに、めぞんが先に97面をクリアして、しかも残機もいっぱいあって「これは行っただろう!」って言ってたら、98面で砲塔が毎回全部上を向いていてドカドカやられて……逃げましたね。

一同 (大笑)。

―― 砲塔が上でも、がんばれば行けるときもあるのですか?

REI 後になってから、高確率で行けるパターンを作りました。
フォートレスの“機嫌”によっては、グロブダーの逃げ道がふさがれてしまう場合があるんです。そういうときは下でがんばり続けるしかないですけど、そうじゃないときは、最初の動きのパターンを決めた上で、画面右上の隙間から逃げ出すんです。逃げられればほぼクリアできる。

りゅう 「脱出パターン」と呼ばれているやつね。

REI このやり方は、めぞんが最初にやっていたときも、なかったわけじゃないんです。ただ、逃げ出すところまでうまくパターンを作られてなくて、しょっちゅうやられてたんです。

―― どうやって逃げるのですか?

REI 開幕したらすぐに左の壁に張りついて、そこから右斜め22.5度の方向に撃つと、ブロックの隙間にビームを通せるんです。そうすると、その先のタンク2機を誘爆で倒せます。その後、右上から脱出します。

―― 左の壁に張りついても、依然その位置はフォートレスの目の前ですけど、大丈夫なのですか?

REI この位置はフォートレスの射線から外れるんです。

りゅう 最初の一発はシールドでガードする必要がありますけど、後は左へ行けば真下に飛んでくる弾には当たらないんですよ。

REI その後は、右上から逃げ出せば行けます。これが「98面の平成パターン」です。

りゅう フォートレスが下へ降りてくると、その場合はどうにもならないですけどね。1988年当時はまだ運頼みのプレイが多かったです。

REI めぞんは「99面の直前にこんな面を用意するなんて!」ってぼやいていましたね(笑)。
98面の左のハイパータンクって、すぐに一番下まで降りてきてくれれば隙間から撃ち込めるんですけど、たまに途中の壁にぶつかってモジモジすることがあるんですよ。それでヤキモキしていると、急に下まで降りてきて連射されてやられることがあるんです。
だから、ぼくなんかはエネルギーを気にして常に一番下で待つようにしていたんですけど、めぞんは何でもよく動いて対処する人だったんで、ここでも常に敏感に反応していて、敵が途中で止まったらすぐそっちへ移動して対応しようとするんです。そのせいでなかなかエネルギーが溜まらなくて、よくミスしていました(笑)。そういうところが彼らしかったですね。

りゅう 待てなかったんじゃないかな。我慢できない(笑)。

―― 98面以外の面で砲塔が上にあった場合は、どう対処するのですか?

REI 私は倒せるときは倒しますね。

―― やはり上にあるときのほうが自分が移動する距離が増えますから、難易度は上がるんですよね?

REI そういう要素もありますが、研究しているうちに、上から撃ち込むほうがある意味で楽だということも気づきました。
先ほども触れましたが、自分が上にいるとフォートレスの赤玉が直接飛んでこないんですよ。とくに壁際にいれば赤玉が壁に当たるので無効化できるんです。だから、99面でもフォートレスとフロッサーだけ残った状態にすると、上にいるほうが全然安心できます。

―― 少し遊んだぐらいだと、それはなかなか気づかないですね。

REI あと、フォートレスといえば、誘爆を食らうと砲塔の回転が止まるんですよ。つまり、誘爆でもダメージを受けているんです。
それで、もしかしたら誘爆で破壊することもできるんじゃないか、それで破壊したら倍率がついてメチャクチャ点数が入るんじゃないかと思って……。

りゅう それは熱いね。

REI それでフォートレスの近くで誘爆を起こして、砲塔にも撃ち込んでダメージを与えて試していたことがあったんですけど……誘爆しませんでしたね(笑)。
どうやら誘爆でダメージを与えることはできるんだけど、ストッパーがあって誘爆そのもので倒すことはできないようになってるようです。

―― 誘爆でヒットポイント自体は減っている(削っている)のですね?

REI 減っています。

りゅう それは知らなかった。

REI ほかにも気づいたことがあって、フォートレスってダメージを受け続けると砲塔が回転しなくなるんですけど、そこで撃ち込むのをやめて隠れて待っていると、また砲塔が動き出すんです。だから、たぶん、体力が多少回復しているんじゃないかと思うんです。
ただ、ノーダメージの状態から砲塔が回転を止めるまでは、しばらく撃ち込まないといけないんですけど、一度止まって再度動き出した砲塔は、ちょっとダメージを与えればすぐにまた止まるんです。だから、「若干」回復をしてるんじゃないかなと。

―― これも基本的な質問ですが、砲塔の回転が止まると、何が変わるのでしょう?

REI 断末魔のような状態になって、ずっとその方向に撃ち続けるようになります。だから、そのとき軸線がグロブダーと合っていると、互いに最後まで撃ち合うか、危ないのでいったん回避するかのどちらかになるんです。ぼくはそこで撃ち続ける派なんですけど、りゅう君は回避する派なんです。

りゅう 砲塔が止まった瞬間、目と目が合う感じですよね。「ごめんなさい!」って(笑)。あれは本当によくできてる。

REI そこでもプレイスタイルの違いが出ておもしろいんです。

りゅう まあ、後の状態がよくなるんで、倒したほうが絶対にいいんですけどね。

REI 登場するフォートレスをすべて倒すプレイに挑戦して達成したことがあるのですが、もしフォートレス全滅クリアを目指している人がいたら、半分までダメージを与えて、いったんグロブダーを回復させてから再度撃ち込むというのが楽な攻略法だと思います。

敵の通り道に残骸を置け!

―― 敵を破壊するとその場に残骸が残り、その上を乗り越えるときは敵も自分も移動速度が落ちます。このフィーチャーはプレイ中にどれぐらい意識しますか?

REI 自分の動きについてはあまり意識しませんけど、敵が遅くなるのは意識することがありますね。たとえば壁の多い60面のような場所で、敵の通り道に残骸を置けるとめっちゃ楽になるんです。

りゅう 60面は右下で粘るパターンになるんですけど、敵が2方向から来るので、どっちか一方に残骸を置いておけば、万が一挟まれたときも優位に運べるんです。だから、最初に来るエネミータンクは、近寄ってきてから通り道で倒すようにしています。
ちなみに残骸のことはよく“畑”と呼んでいます(笑)。

―― とてもおもしろい話です。残骸も攻略に絡められるのですね。残骸がそのように活かせる面ってどれぐらいあるものなのですか?

REI 敵を瞬殺した場所にたまたま別の敵が近寄るようなパターンになったらおいしくいただくぐらいで、そこまで多くの箇所で活用するわけではないです。

りゅう ほかだと51面や74面の配置も共通しているところがあるので活かせますね。こういう面は市街地戦みたいな感じで好きなんですよね。

―― 壁が多くて敵のルートが限られやすい場所では活きるときがある、ということですね。

りゅう あと、残骸の上を通るときはハイパータンクの連射スピードも遅くなるんです。だから、そういうときは真っ向勝負しちゃってもいい。

REI そこで気をつけないといけないのは、その敵が壁に触れて移動しなくなったときなんです。残骸の上にいても移動できずにいると、残骸の影響を受けない弾の出方になるんです。

―― 壁とのヒットによって、状態がそちらに上書きされてしまう感じなんですね。

REI あと、ハイパータンクの動きでおもしろいと思ったのは、グロブダーがビームを撃ってると、その手前で止まるときと止まらないときがあるんです。そのまま突っ込んて来てくれれば楽なんだけど、全然来てくれなくて無駄にエネルギーを減らしているうちに別の敵が攻めてきて……みたいなことがあります。

―― それはグロブダーのビームを見て止まるということですか?

REI ビームではなく、グロブダーの座標なんじゃないかと思います。

りゅう こっちもすぐに来てほしいときと、来てほしくないときがあるんだけど、来てほしくないときに限って攻めてきたり(笑)。不思議なルーチンというか味つけですよね。

REI 敵の攻撃が激しくなったときに、同じタイミングで複数の敵が別方向から突っ込んでくることもよくあって……。どういう制御でああなるのかわからないんですけど。

りゅう 今までずっとモジモジしていたのに、突然迷いなく来たりして、都合よく来すぎるんですよ。これ人間が乗ってるんじゃないかって。あれはぼくの中では、敵の作戦行動が発令されたと思ってて。「コードA発動!」みたいな。

一同 (笑)。

たった1個の正面のブロックが難易度を激変させる

―― お二方には事前に「この面が難しい」というステージを挙げていただきました。りゅうさんが86、90、97、98、99面、REIさんが76、86、90、98、99面とのことでした。おおよそ被っている感じですね。

REI 挙げたのは、“うまいもの”(いいパターン)を引ければ一発でクリアできるけれど、いやな攻めかたをされるとクリアできない。そういう意味で安定してない面ですね。

りゅう 最初でつまづくと連敗したりしますね。メンタル的なものだと思うんですけど、「お願いします!」って挑戦して(失敗して)弾かれちゃうと、次もダメな場合がある。だから、これらの難しい面にどれだけ残機を持っていけるかがスタートラインというか。
あと、難しいのはフォートレス面が大体を占めていると思いますね。

―― りゅうさんが挙げられている中だと、97面はフォートレスがいませんが、ここはかなり難しいですよね。当時プレイしていて99面より厳しいんじゃないかとも感じていました。

りゅう そこはたぶん相当ひどいレベルです。火力が足りないんですよね。左下のイエローハイパーがホントにキツくて。

りゅう氏が火力が足りずとても難しかったと語る97面

REI 97面はまず右側のフロッサー瞬殺を狙うんですけど、そのときに敵の動きかたが悪いと、オレンジしか死ななくてイエローが残る展開になりがちなんです。うまく行けばブラウンとオレンジの誘爆でイエローも倒せるんですけど。

りゅう 80年代の攻略では、この面の初手は左下のイエローだったんですよ。でも、すぐにほかのタンクが接近してきて、どうにもならなくなる感じだったんです。
そのうち右側のブラウンフロッサーも当てられるようになったりして、誘爆のバリエーションが増えたんですよね。

―― 97面はど真ん中にぽつんと1個だけブロックがあるのが特徴的ですね。

りゅう じつは、この1個のブロックが重要なんですよ。

REI なぜかというと、ビームって端から端まで(長距離を)撃ってしまうと、ある程度撃った後に隙間が空いちゃうんです。それが途中にブロックがあると、最初のビームをそこに当てることで、ビームが出続ける状態にできるんです。

りゅう 弾切れしないってことです。

REI 中央のブロックに初手のビームを当てて、そこからビームのボタンを押し続けたまま、レバーを横に「カンカン」と動かすことで、斜めのフロッサーに当てることができるんです。
これが95面のような配置になると、(真ん中にブロックがないので)初手のビームが上まで抜けちゃって、その後レバーを入れて斜め22.5度に撃とうとしたときにビームが途切れて出ない、という瞬間が来ちゃうんです。

―― 斜めを向いてから撃ち始めることはできないのですか? そうすれば途切れないで済みますよね。

りゅう その理屈で合ってるんですけど、操作が難しいんですよ。それだと最初にちょっとレバーを叩いて斜めに向けてからタイミングよくボタンを押すという動作になります。でも、ブロックがあると、最初から押しっぱなしで行けるから簡単なんです。後はレバー操作のリズムだけで行ける。

―― 大変興味深いお話です。

りゅう だから、95面と96面って一見似ているけど、難易度が全然違うんです。正面にブロックがある面のほうが、ずっとブラウンフロッサーに当てやすい。

95面はグロブダーの目の前に障害物のブロックがないため、初手でフロッサーを撃つのが難しい
それに対し、96面と97面は目の前にブロックがあるので、操作上、フロッサーを瞬殺しやすい(画像は96面)

―― 実際の対処法としては、真ん中が開いている面の場合、最初から押しっぱなしで対処するのですか?

REI 私は最初から押しっぱなしで行きます。

りゅう ぼくは砲塔を曲げてから押します。92面以降の配置はその二択のオンパレードになります。

―― お二人で対処が違うんですね。

りゅう REIさんの場合は、開幕すぐに曲げることができているから、正面にあまりビームがこぼれてないんだと思います。ぼくがやると前にドバっと出ちゃうんです(笑)。だから自信がないので一度曲げてから撃ちます。
その当てる当てられないの研究をREIさんと一緒にやるようになってから、お互い安定度が上がりましたね。

シールドボタンを連打すればエネルギーが減らない?

りゅう あと、テクニックで一つおもしろい話があって、東久留米キャロットハウスの店長だった金子さんの話なんですが、「けいれん」がすごく速かったんですよ。

―― 「けいれん」というのは「けいれん撃ち」とも呼ばれる、指先を高速で小刻みに震わせることによるボタン連打のことですね。

りゅう 金子さんって『グロブダー』のシールドもそれでやるんですよ。高速でババババッってけいれんして「これだとエネルギーが減らないんだよ~」って。

―― すごい技ですね(笑)。それって敵の弾が抜けてこないんですかね。

REI たぶん、張っているときのシールドの当たり判定と、グロブダー本体の当たり判定との間には若干距離があって、弾がグロブダーに当たる前に張りさえすれば弾き返せるんです。

―― シールドを張った状態だと、外縁から内側まで全体が無敵になるということでしょうから、理屈としてはわかりますが、連打で間に合うというのがすごい。じゃあ、本当に使えるテクニックなんですね。

りゅう ただ、“最前線”過ぎて誰もついてこられなかったという(笑)。ぼくも真似したけど、遅すぎてできませんでした。今なら連射装置をつければ、押しっぱなしでも減らない状態が作れると思います。

―― さすがに連射装置となるとレギュレーションの問題はあるかなと思いますが、おもしろい話ですね。

次回予告

次回は最終回。貴重なロケテストバージョンのエピソード、グラフィックのお話、そして『グロブダー』攻略の現在など、最後まで興味深い話題が盛りだくさんです。お楽しみに!

りゅう氏プロフィール

スコアネーム「JMB-りゅう」。高校生のころに通った東久留米キャロットハウスでアーケードゲームとゲームセンターのコミュニティの楽しさに目覚め、今に至る。ジャンルを問わず興味を持ったタイトルは何でもやり込むタイプ。ライフワークは『グロブダー』『ゼビウスアレンジメント』『マジックソード』。最近のお気に入りは『グレート魔法大作戦』。

REI氏プロフィール

スコアネーム「SPREAM-REI」。宮城県古川市(現在は大崎市)にて高校卒業までハイスコアプレイ活動。86年上京、ナムコ系列ゲームセンターで店員業務を経験。92年セガCS5研にてアルバイトとして企画業務に従事。ゲーム開発者としての主な経歴:ゲームギア『ロイアルストーン』企画アシスタント、アーケード『バーチャファイター3』ステージデザイナー、PS2『電脳戦機バーチャロンマーズ』企画アシスタント、PS2『レーシングバトル』企画、アーケード『ダライアスバーストAC』ボス攻撃企画など。プレイスタンス:スコアリングシステムが一工夫あるゲームをとことんまでやる。以前の事故の後遺症のため、休職療養中。

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