市立小樽文学館にて3月5日から「雑誌・攻略本・同人誌 ゲームの本」展を開催
北海道小樽市の市立小樽文学館にて、2022年3月5日(土)から4月24日(日)までの期間、「雑誌・攻略本・同人誌 ゲームの本」展が開催されます。
小樽文学館では昨年、1980~90年代のゲームセンターとアーケードゲームをテーマにした「小樽・札幌ゲーセン物語展」を2回開催しました。地元のみならず道外からも来場者があり、大きな反響を呼びました。
今回の「ゲームの本」展は、ビデオゲーム関連書籍にテーマを絞った文学館らしい展示会となります。雑誌や攻略本、同人誌を中心に、ゲーム関連書籍を数多く展示します。
「ゲーセン物語展」と同じく、今回もすべての展示資料は個人コレクションから提供されました。展示する書籍の約8割を提供し、企画・構成にも携わっているゲーム本コレクター・研究家である山本耕平さんをはじめ、道内の多くのゲームファンから協力を得られています。
展示資料の詳細な解説のほか、ゲーム書籍やゲームのアーカイブ活動にゆかりのある方々のエッセーを収録した図録も販売します。こちらの図録は、小樽文学館の通信販売でも購入できます。
年代順や出版社別など様々な視点で、多様な「ゲームの本」を展示
ビデオゲームの流行は『スペースインベーダー』(1978年/タイトー)の登場を契機に始まりました。ゲームの雑誌や攻略本が書店に並ぶ以前、まだ一部のプレイヤーがゲームセンターで楽しんでいたころは、ゲームを攻略するために、日本各地のゲームファンがサークルを立ち上げ、プレイヤーどうしの情報共有を目的とした同人誌が作成されました。やがて家庭でもビデオゲームに熱中する人たちが増えると、その需要に応えるために、出版社から多様なゲーム雑誌・攻略本が刊行されました。
ゲーム雑誌は、ゲーム会社が競うように発売したビデオゲームの事前情報への需要の高まりとともに、多くの出版社から刊行され、特集や付録など出版社ごとの個性がファンを楽しませました。
攻略本は、家庭用ビデオゲーム機からビデオゲームに触れたプレイヤーをサポートする重要な役割を果たすところから始まり、90年代以降はゲームをプレイしていなくても単体の読み物としても楽しめる魅力が加わっていきました。
ビデオゲーム黎明期の同人誌作成に携わった人の中には、目覚ましい活躍をする人々もいました。ゲーム雑誌や攻略本が広く読まれるようになった後も、熱心なゲームファンにより現在でも同人誌が作成されています。
「ゲームの本」展では、ビデオゲームそのものではなく、ゲーム文化を陰で支えた雑誌・攻略本・同人誌に焦点を当てそれらの変遷や、つながりを紹介します。また、日本の一般的な読者が触れる機会が少なかったもののビデオゲームの歴史を語るうえで外せない書籍やビデオゲーム業界を中心に読まれていた専門雑誌、海外で発行された雑誌も取り上げます。
インターネットが普及していなかった時代、最大のビデオゲームメディアであった「ゲームの本」の誕生から現在のネットメディアに至るまでの変遷をたどります。
全4章+αの展示内容を紹介
第1章 誕生!ゲームの本
ビデオゲームの本のうち、黎明期となる80年代前半のものを展示します。
ゼビウス1000万点への解法/インベーダー攻略法/TECHNICAL VG2 など
第2章 最新情報はまかせろ! ゲーム雑誌
各社から発行されたゲーム雑誌の通史をたどります。
LOGiN/Beep/ゲームボーイ/ハイスコア/GAMEST/ファミコン通信/コンプティーク など
第3章 プレイヤーをサポートした攻略本の数々!
チャレンジ!! パソコン アドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム/ウィザードリィ ハンドブック/頭脳戦艦ガル テクニックブック/マザー百科/ダライアス外伝 完全攻略ムック など
第4章 キーワード展示
展示ケースごとにキーワードを設定し、それに該当する本を展示します。
【常設展示】
◎今こそ明かそう! サークル「札幌南無児村青年団」
1980年代中期、札幌のナムコ直営店を拠点にして大学生・予備校生メンバーで結成されたサークル「札幌南無児村青年団」の同人誌を展示します。
おーるらうんど/リブル・ラブル FANTASYへのアプローチ/THE TOWER OF DRUAGA THE WAY TO SAVE KI など
◎ゲームの垣根を越えて大活躍! 札幌出身の高橋名人
自身を主人公にしたゲームの発売や、主役映画が公開されるなど一世を風靡した80年代以降も活躍されている高橋名人に関連する書籍をピックアップして展示します。
ファミコンランナー 高橋名人物語/高橋名人のゲーム35年史/任天堂のファミリーコンピュータ ファミリーベーシックがわかる本① など
◎この本を知らずしてビデオゲームの歴史は語れない!
ゲーム書籍史上、重要な位置付けとなる書籍を雑誌・攻略本・同人誌以外のものを含めて紹介します。
GAME FREAK/パックランドでつかまえて/テレビゲーム 電視遊戯大全/電視遊戯時代 テレビゲームの現在 など
【第1期:3月5日(土)~3月25日(金)】
◎外国にもゲームファンはいる! 海外のゲーム雑誌
海外で出版された雑誌を展示します。日本とは異なる特徴や意外な共通点などを紹介します。
TILT/NINTENDO POWER/電子遊戯軟件 など
◎まだまだあるぞ! 自由な発想で作られたゲーム同人誌
ビデオゲーム黎明期に作成されたもの以外の様々な同人誌を展示します。近年のものや海外のゲームファンが作ったものなど多様な本が集まっています。
究極!Video Game List 1995/ビデオゲームクロニクル① 奇々怪界/セガアーケードクラシックス Vol.1 など
【第2期:3月26日(土)~4月8日(金)】
◎ゲーマーたちも語りたい! 見せたい! 読者投稿
インターネットがない時代、読者側から多くの人に向けて発信できる唯一の手段だった雑誌内の読者投稿コーナーについて展示します。
月刊ゲーメスト増刊 ゲーメストアイランド黙示録 など
◎みんな試した? 禁断でウルトラな裏ワザ
主に80~90年代に注目され、雑誌上や別冊本が出版されるほどのキーワードであった「裏ワザ」について、雑誌内のコーナーや単行本を通して紹介します。
ウル技 大技林’90/ファミリーコンピュータ 人気ゲーム 裏ワザ大全集1 など
【第3期:4月9日(土)~4月24日(日)】
◎君は知っているか! 学年誌にもゲーム記事が載っていたことを
ゲーム専門誌以外の雑誌にもゲーム記事が掲載されていました。その中から「学年誌」をピックアップして展示します。
小学一年生/小学三年生/ 小学五年生など
◎時代とともに変わっていった! ゲーム雑誌の付録
小冊子のほか、ソノシート、CD-ROM、DVD-VIDEO、セーブデータなど、時代の進歩に伴い変遷していったゲーム雑誌の付録を展示します。
ディスクライター書き換えゲーム全カタログ/Beepソノシート/DAMEST/ゲームメーカー就職最前線’96 など
そのほかにも、1996年当時のゲームファンの部屋を再現したスペースや、『Beep』、『ファミコン通信』などの著名な雑誌・攻略本のバックナンバーを常設展示します。
展示主催者による展示解説を開催
展示解説では、展示主催者が展示している資料についてくわしく解説するとともに、展示会の見どころやこぼれ話も紹介します。
日時:3月20日、4月3日、4月24日(いずれも日曜日)
各日とも 14:00 ~ 15:00
解説:山本 耕平(ゲーム本コレクター・研究家)
申込:小樽文学館へ電話申込(0134-32-2388)
参加費:入館料のみ
会場:市立小樽文学館
充実した内容の図録を販売
本展では、図録を販売します。会場のほか、通信販売も行ないます。通信販売の詳細と価格については後日、小樽文学館ホームページにて公開します。
※通信販売ページ:http://otarubungakusha.com/shopping
図録には、会場に展示するゲーム関連書籍の一部についての解説のほか、主要な出版社ごとの年代による雑誌の系譜を図解したもの、過去に小樽文学館で開催された「ゲーム展」の紹介などが掲載されます。
ゲーム書籍やゲームのアーカイブ活動にゆかりのある10名の方々から寄稿されたエッセーも収録します。この図録でしか読めない貴重な内容となっています。
収録されている執筆者は、以下の皆さんです。
荒木 聡さん
(元・札幌南無児村青年団 代表)
大堀 康祐さん
(株式会社マトリックス 代表取締役/ゲーム文化保存研究所(IGCC) 所長)/『ゼビウス1000万点への解法』制作者)
小野 憲史さん
(ゲーム教育ジャーナリスト/東京国際工科専門職大学講師/元ゲーム批評 編集長)
見城 こうじさん
(フリーのゲームディレクター/元マイコンBASICマガジン ライター)
鴫原 盛之さん
(フリーライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表/元ゲーメスト ライター)
高橋 利幸さん
(高橋名人)
TAKE ON!(たけおん)さん
(元Beep ライター)
仁井谷 正充さん
(コンパイル〇株式会社 代表取締役)
山田 鍵さん
(すずめ出版古書部 代表)
ルドン・ジョゼフさん
(NPO法人ゲーム保存協会 理事長)
【展示会情報】
会場:市立小樽文学館(入場無料)
〒047-0031 小樽市色内1-9-5
電話 0134-32-2388
公式ホームページ:http://otarubungakusha.com/yakata
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休館日:毎週月曜日(3月21日を除く)
3月22・23日(火・水)祝日振替休館
企画構成:藤井 昌樹(フリーランス)
山本 耕平(ゲーム本コレクター・研究家)
寺農 織苑(北海道大学大学院文学院博物館学研究室博士後期課程)
主催:市立小樽文学館
後援:小樽文學舎
入館料:一般 300円
高校生・市内在住の70歳以上 150円
障がい者・中学生以下 無料
※新型コロナウイルス感染症対策として、来館の際は「マスクの着用」、「手指消毒」、「検温」をお願いします。また発熱・体調不良時は来館をお控えください。新型コロナウイルスの感染状況に伴い、小樽市から緊急事態宣言が発令された場合、展示を中止します。それ以外の状況によっても会期途中で展示を中止する可能性がございます。あらかじめご了承ください。