高難度ガンシューティングゲーム『スペースガン』(1990年/タイトー)の魅力とは?

  • 記事タイトル
    高難度ガンシューティングゲーム『スペースガン』(1990年/タイトー)の魅力とは?
  • 公開日
    2020年05月01日
  • 記事番号
    2976
  • ライター
    ゆきじぞう

『スペースガン』は1990年にタイトーがリリースしたガンシューティングゲームだ。
SOSを発信している宇宙貨物船に乗り込み、人質たちを救出しつつ、不気味でグロテスクなモンスターを多弾式高性能銃で殲滅していくという内容である。
SFのパニック映画的な設定を踏襲しており、プレイヤーは容易にこのゲームの世界に入り込んでいくことができるだろう。
※タイトル写真提供:株式会社タイトー

ゲームセンターの花形の一つ、ガンシューティングゲームの系譜

このゲームで使用する銃火器型のコントローラは専用筐体に据え付けられているのだが、このような形態のガンシューティングゲームは80年代後半から90年代前半にかけて数多くリリースされていた。
例えばナムコの『スティールガンナー』(1991年)、SNKの『ビーストバスターズ』(1989年)、セガの『エイリアン3 ザ・ガン』(1993年)などがある。

その中でもタイトーは1987年に『オペレーションウルフ』をリリースしており、ビデオゲームにおけるガンシューティングの先駆者であった。
『オペレーションウルフ』は子ども用の専用筐体が開発されるほどに人気を呼び、その後シリーズ化されていくことになるのだが、このタイトーの『スペースガン』も『オペレーションウルフ』の流れを汲んだ作品であると言えるだろう。

どうでもいい事だが、私はこの『スペースガン』と同い年である。
そのため、私はこのゲームをリアルタイムで遊んでいた訳ではない。
しかし! あるレトロゲームセンターが三十年の時を経てこのゲームを稼働させたことにより、幸運にも『スペースガン』を実機で遊ぶことができたのである!
コナミの『ザ・警察官2』とナムコ『タイムクライシス』の間に挟まるようにして設置された、おどろおどろしいデザインの専用筐体の前に立ち、私は早速100円を投入して銃口を画面に向けた。

『スペースガン』の筐体外観。撮影協力:レトロゲーセン ザリガニさま

自分と同い年のビデオゲームを今、プレイして……

さて、そんな私が『スペースガン』を実際に遊んで感じた魅力を、ここに二点ほど書き記していきたい。

一点目は、何といっても敵キャラクターであるモンスターのグラフィックだ。
今やガンシューティングゲームといえば、敵はもちろん、あらゆるオブジェクトが3Dモデリングされているのが当たり前になってしまった。
1990年リリースの『スペースガン』は2Dのドット絵で表現されており、現代の技術革新が進んだ映像に慣れた人の目からは、チープなハリボテの的のように味気ないものに見えてしまうかもしれない。

しかし、実際にプレイしてみればわかる。
『スペースガン』のモンスターは、これでもかと激しく動き、なおかつその動きも単純にパターン化されていない。
また、様々な種類のモンスターが登場するのだが、例えば緑色モンスターは四本腕と頭部などといったように、部位ごとに体力値が設定されている。
そのため、ただ適当に弾を撃ち込んでいるだけではなかなか死なず、腕や頭を破壊されてもしつこく襲いかかってくる。部位破壊されたことで、敵の攻撃パターンが変化する点も見どころだ。
こういった要素が、モンスターの異様な生命力をうまく表現し、ゲーム画面に迫力を生んでいるのではないだろうか。

写真提供:株式会社タイトー

二点目は、このゲームの最大の特徴であるフットペダルの存在だ。

筐体の足元に備え付けられたペダルを踏むことで、プレイヤーは進んできた道を任意のタイミングで後退することができるようになっている。
これにより、正面から向かってくるモンスターに対して距離を取りながら攻撃することができたり、モンスターの出現地点を把握したうえで、複数いるモンスターを画面外に逃がしつつ、一体ずつ処理していくという攻略法も可能となる。
画面中央下部にモンスターの出現を示すレーダーがあるため、あらかじめモンスターの動きを予測したうえでペダルを踏み、ダメージを受けるリスクを極力減らしつつ戦うことができるというわけだ。

ペダルを踏んでから後退をはじめるのに若干のタイムラグがあるというのもポイントだ(なお二人プレイ時は、両者のプレイヤーがペダルを踏むとすぐに後ろに下がる仕様のようだ)。

『スペースガン』のフットペダル。撮影協力:レトロゲーセン ザリガニさま

正解が一つではないことのおもしろさ

この『スペースガン』が素晴らしいのは、上述した二点の魅力が、従来のガンシューティングにはない戦略性を生んだことにある。

よくありがちなガンシューティングゲームといえば、決められた画面のスクロールに合わせて決められた位置に敵が出現するので、プレイヤーは敵の位置を把握したうえで、高い精度で素早く敵を撃ち抜くという、どちらかといえば職人芸的なスキルを求められることが多い。

対して『スペースガン』は、フットペダルで後退することにより、最も安全にモンスターと戦闘できる方法を考えることが重要となってくる。ガンシューティングゲームでプレイヤーが画面スクロールを操作できるという発想は、現在の目から見ても珍しいタイプの作品ではないだろうか。
さらにモンスターは容易にパターン化されない動きをするため、ペダルを踏んで誘導した後でも決して気が抜けない。
そしてモンスターを撃破する際も、敵の攻撃を先に部位破壊することで回避するという、素早い判断も求められることになる。

決められた筋書き通りにはゲームが進行しない『スペースガン』は、現在では難易度の高いゲームとして認知されている。
とはいえ、理不尽なまでに硬い敵や、反応するのが困難な速度で襲いかかるような初見殺しの敵がいるわけではない。

プレイヤーに判断させる要素があるというのは、そのプレイヤー独自の攻略法を生み出す余地を生み、正解がただ一つにならないというおもしろさがある。
モンスターの出現位置は決まっていても、プレイするたびに異なる展開になるため、あらかじめ戦略を立てた上で何度もチャレンジしてみたくなるのだ。

『スペースガン』のインスト。撮影協力:レトロゲーセン ザリガニさま

もちろん、難しいことは考えずひたすら乱射してモンスターを殲滅するという、ガンシューティングゲームならではの爽快感も十分だ。
高難易度とはいえど、ステージ1までであれば十分クリアできるレベルである。

その他にも、ポンプアクションで特殊弾を装填すると、モンスターを一撃で粉砕でき、その破壊グラフィックも見事だ。
マシンガンの連射音やレーダーの効果音など音の演出も優れており、タイトーのサウンドチーム「ZUNTATA」のBGMも、このダークな世界観を上手く演出している。

『スペースガン』はアーケードのみならず、PS2版『タイトーメモリーズⅡ 上巻』にも収録されているので、興味のある方は是非プレイしてほしい。

(今回掲載した写真の筐体は、大阪の『レトロゲーセンザリガニ』様のご協力を得て撮影いたしました。近くにお越しの際はぜひ足をお運びください!)

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