見城こうじのアケアカ千夜一夜
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第13夜『クルクルランド』(1984年・任天堂)
ターンポストを使って隠された金塊を見つけ出せ!
『クルクルランド』はグルッピーを操作して、マップに隠されたすべての金塊を見つけ出す固定画面のアクションゲームです。
4方向レバーで手を伸ばし、ターンポスト(柱のようなもの)をつかんでクルリと回ることで移動する操作が大きな特徴です。また、電撃波を発射することで敵を気絶させ、そのまま体当たりで壁との間に挟んでやっつけることもできます。
タイトルの『クルクルランド』のアルファベット表記は『CLU CLU LAND』です。回ることを意味する擬音のクルクルにCLU CLUというスペルを充てるセンスがなんだか楽しいですね。
なお、『クルクルランド』には、ファミコンのROMカセット版とディスクシステム版、そしてアーケード版が存在していて、それぞれで少しずつ内容が異なります。今回は、アーケード版(アーケードアーカイブス版)を改めてプレイした上での記事になります。
唯一無二の操作システム「つかんで回転」
グルッピーは常に画面上を移動していて、止まることはできません。ターンポストをつかんだら、そのままレバーを入れておけば、ターンポストを中心にその場で回り続けます。レバーをニュートラルにもどした時点で、そのとき向いていた方向に射出されます。
非常に変わった操作方法で、初めてプレイするとかなり戸惑うと思います。落ちたら一発でアウトのブラックホール・トラップがあるのですが、慣れないとここに落ちること落ちること。
左右に曲がりたいと思ったときは、その方向に入力すればいいのでまだわかりやすいのですが、その後すぐにまた曲がりたいときは大変です。同じ方向に曲がりたい(180度ターンしたい)ときは、そのままレバーを入れ続ける。逆側に曲がりたい場合は、素早くその側に入力を切り替えないといけない。本当に頭の体操ですね。
『クルクルランド』はまず何よりこの独特な操作性を楽しむゲームといっても過言ではありません。
操作していて改めて感じたのが、KONAMIの『ロックンロープ』やカプコンの『トップシークレット』『ロストプラネット』のようなワイヤーアクション系にもロジックが近いのかな、ということです。ちょっと飛躍した見方かもしれませんが、移動に1ステップ必要で、つかまりたい方向にキー入力してフックをかける、という点で考えかたが似ています。射程は全然違うのですけどね。
推理せよ! 宝探し感覚を楽しめ!
隠された金塊は、グルッピーがその位置を通過することで見つかります。金塊をすべて見つけ出すとステージクリアです。
配置された金塊は、全体でたとえばハートマークやメガネの絵になっているなど、何らか法則性のある文様になっています。そのため、初見でもある程度ですが「ここに金塊が隠れていそう」という予測ができます。ステージをクリアするとフィールドに何らかの絵や文様が完成するゲームといえば、『マリオのピクロス』やタイトーの『ジョリージョガー』などもそうですね。
『クルクルランド』でもっともユニークな点は、ターンポストを使って移動する仕組みだと思いますが、この隠された金塊を見つけ出すというルールも、じつにおもしろい発想です。
プランナーが普通に考えたら、この移動の仕組みがまずあったとして、それをドットイートものにしようとした際に、4つのターンポストの中心点にドットを配置してしまうのではないでしょうか?
そうせずに2つのターンポストを結んだ直線上に線状の金塊を配置し、さらにそれを隠して見つけ出すルールにしている点で、このゲームは何重にもひねりが入っています。大抵は見えているドットを拾って消していくように作りますが、このゲームでは見つけ出した金塊がそのまま画面に残るので、まったく逆です。
なお、2周目は一度出現させた金塊の上を再度通ると、金塊がひっくり返ってしまいます。全部を表向きにしないとクリアにならないのです。敵が速くなるとか数が増える等ではない、秀逸な難易度の上げかたです。
創成期のゲームで大活躍した“ワープトンネル”
一部のマップには、いわゆるワープトンネルがあります。固定画面型のゲームで画面の両端がつながった仕組みのことです。明確に「トンネル」というギミックとして最初にこのアイデアを使ったゲームはおそらく『パックマン』だと思うのですが、それ以前から画面の端がつながって空間が閉じているゲームはいくつも存在していました。
ワープトンネル系ギミックに関しては、当時の任天堂もよく採用していました。このゲームの他にも、『アイスクライマー』『マリオブラザーズ』、そして少し違うかもしれませんが、左右上下がつながっているという意味では『デビルワールド』もそうですね。ワープトンネルは行き止まりという概念をなくし、ある意味でフィールドを広く使える優れたギミックなのです。
では、また次回。
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