見城こうじのアケアカ千夜一夜

  • 記事タイトル
    見城こうじのアケアカ千夜一夜
  • 公開日
    2023年12月08日
  • 記事番号
    10516
  • ライター
    見城 こうじ

第14夜『タイムトンネル』(1982年・タイトー)

ステージごとに目的が異なる列車ゲーム

『タイムトンネル』は線路上を進む列車を操作するアクションゲームです。3ステージで一つのストーリーになっており、ステージごとにクリア条件が異なります。1面(田園)で客車を連結し、2面(都市)で客を乗せ、3面(宇宙)でその乗客を降ろします。その後はループゲームとなります。

アーケードとしては大変珍しいシステムで、なかなか似たゲームがないと思います。強いていえば、同じタイトーによる後年のヒット作『電車でGO!』の源流といえるかもしれません。

操作は上下2方向レバーと1ボタン。レバー上で列車が前進、下で後退。ボタンを押している間、列車の進行方向上の直近のポイントが切り替わります(列車のルートを変えられる)。

また、FUEL(燃料)の概念があり、あちこちに補給スタンドが配置されています。全箇所を使い切ってしまうと、もう補給はできません。

線路のポイント切り替えがカギだ!

今回、原稿を書くにあたって久しぶりにプレイしたのですが、コツを忘れていてステージ1からとても苦戦してしまいました。当時はそこまで苦労することなく1周クリアできた覚えがあったのですが、本当に独特なゲームなので、思い出すまでずいぶん戸惑いました。

ただ、慣れてくると、ちゃんと先へ進めるようになる。改めて感じましたが、仕組みの一つひとつが理にかなった、とても楽しいゲームです。

敵の列車は1本しか走っておらず、あとは空から定期的に降りてきて線路上を徘徊する謎のエイリアン1体です。たったこれだけのキャラクターで見事にゲームが成り立っています(正確にいえば、他にもモサモサと動く牛もいますが)。

進行方向の直近のポイントを切り替えられるというのが曲者で、当然のことながら列車は常に移動しており、直近の(操作対象の)ポイントはすぐに変わるため、ステージ1の牧歌的な世界観から受ける印象とは裏腹に、反射神経が求められる遊びになっています。

その上、あくまで進行方向が基準なので、前進時と後退時でも操作対象が変わります。かつ、ポイント切り替えの影響は、当然ながら自分だけでなく敵の列車も受けるため、その軌道も予測する必要があります。パズルとアクションがじつにうまく融合したゲームです。

車両を連結する際は後退する必要があり、そしてお客を乗せる/降ろす際には正確に駅に座標を合わせて停車させる必要があります。

このゲームをおもしろくしているのが、こうしたデリケートさのように思います。プレイヤーサイドのミス判定の類いは、ある程度甘く取るのがゲーム作りのセオリーなのですが、このゲームの細かさはビジュアル的にとても納得度が高い。「たしかにこうじゃないとおかしいよなあ」と納得させてくれるものがあります。

牧場の牛から始まって宇宙へと進む飛躍感

“タイムトンネル”というネーミングに関しては、このゲーム以前に同名の有名なアメリカのSFドラマがありましたし、列車が宇宙を走る設定も『銀河鉄道の夜』『銀河鉄道999』が既にありました(ボンドソフトのパソコン用アドベンチャーゲーム『タイムトンネル』はこのゲームよりも後です)。

このゲームはそうしたアイデアの複合で生まれたものかもしれませんが、改めて俯瞰してみると、こんなSF設定でなくとも一応成り立つゲームなのに、このような舞台設定にしたセンスはおもしろいですね。

リアルな鉄道設定にすると、当時の表現のレベルだとどうしてもいろいろなツッコミどころが出てくるので、この設定に行き着いたのかもしれません。巨大エイリアンも牧場の牛も同格の障害として立ちはだかっていたり、宇宙空間を新幹線が走ってる絵面には、何とも名状しがたい魅力があります。

余談ですが、同じく時間を移動しながら戦うゲーム『タイムパイロット』には、パラシュートで落下する要救助者が出てきて、救出するとボーナス点が入るフィーチャーがあるのですが、未来の宇宙空間のステージにだけはこの要救助者が登場しません。

宇宙空間でパラシュートで降下していくっておかしいだろうという理由で外されたわけですが、そのため、そのステージだけはボーナスターゲットが存在しません。代替要素もありません。ある意味、思い切った考えかたです。

リアリティラインをどう考えるかって、当然のことながらゲームごとに違っていて、そうした思想の違いを見るのも楽しいですね。

では、また次回。

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