見城こうじのアケアカ千夜一夜

  • 記事タイトル
    見城こうじのアケアカ千夜一夜
  • 公開日
    2024年02月23日
  • 記事番号
    10780
  • ライター
    見城 こうじ

第18夜『ディグダグII』(1985年・ナムコ)

前作の土中から今度は孤島へ! “戦略的島崩しゲーム”

『ディグダグII』は前作『ディグダグ』のゲームシステムを一部引き継ぎつつ、「島を崩して敵を海へ落とす」という新しいアイデアが軸となった愉快なアクションゲームです。

操作は4方向レバーでディグダグの移動、2つのボタンは敵にモリを刺すときと、島にヒビを入れるときに使います。ヒビで土地を完全に分断すると、狭い方のエリアが海に沈み、そこにいた敵をまとめてやっつけることができます。

『ディグダグ』にも岩を使って敵をまとめてやっつける攻撃方法がありましたが、今作の島崩しのスピード感はそれ以上です。ラウンドによっては、ほとんど一瞬でクリアできるようなところもあります。

ディグダグ・シリーズには、モリというかなり使い勝手のよい武器があって、これだけでもけっこう先へ進むことができます。ただ、その方法だけでクリアしても、このゲームを十分楽しんでいるとはいえません。あえて危険を冒してでも島崩しで敵を倒すことがメッチャ楽しいのです。

なお、アーケードアーカイブス版には、ゲームバランスやマップの配置などが異なるOLDとNEWの2つのバージョンが収録されていますが、今回は主にNEWバージョンでプレイしました。

島を崩す段取りに留まらないヒビの概念のおもしろさ

『ディグダグII』は島を割って崩すアイデアも奇抜で楽しいのですが、そこで使われるヒビの仕組みに感心させられます。

敵にとってヒビは「通り道」でもあり「間仕切り(壁、障害物)」でもあるといえます。移動できるけれど速度が落ちるという制約がある。そして、この間仕切りの仕組みを使って敵を誘導することになるので、まとめ落としのゲーム性の軸になっている。とてもよくできていると思います。

逆にいうと、敵はフィールドのどんな場所も乗り越えて迫ってくるわけですが、敵があらゆる場所を移動できるというのは、ディグダグ・シリーズの特徴でもあります。

『ディグダグ』では、敵は土の中を“目変化(めへんげ)”で移動することができます。それに対し『~II』の敵は、ヒビの上を通過する際に目変化を使います。どちらも経路をショートカットできる代わりに、移動速度が落ちるという特徴があります。

ここで両者を比較すると、あることに気付きます。『ディグダグ』ではプレイヤーが土を掘り進めるほどに道ができて、敵は目変化が不要になっていくのですが、『~II』ではプレイヤーがヒビを作るほどに目変化の必要な箇所が増えていく。逆なんです。

とはいえ『ディグダグ』では、後半の敵は穴があっても目変化によるショートカットを多用してきますし、その際、斜め移動も使ってくるなど、目変化自体がなかなかの脅威なので、一概には言えないのですが、少なくとも『~II』ではプレイヤーがフィールドにヒビを作るほどにプレイヤーが明確に有利になっていきます。この違いはおもしろいですね。

地面・床をぶち壊す大胆なゲームあれこれ

土地の一部を沈めて敵を倒すというルールに関して、近い時期に似たゲームがあったか考えていたのですが、自分が知ってるものだと、セガの『チェインピット』が似ています。

ただ『チェインピット』は沈めた土地を復活させる方法があるので、そこが大きく異なるように思います。『ディグダグII』はどんどん土地が狭くなっていき、一切やり直しが利かない。

それと、サイドビューのゲームですが、ユニバーサルの『Mr.Do! vs ユニコーン』にもちょっと近い要素があります。でも『ディグダグII』ほど大胆な作りのゲームは他にないかもしれませんね。

ちなみに、『チェインピット』は残念ながらロケテスト段階で没になってしまったのですが、その後、仕組みの一部を流用した、セガ・マークIII『不思議のお城ピットポット』というゲームに生まれ変わっています。

では、また次回。

DIG DUG™II & ©Bandai Namco Entertainment Inc.
Arcade Archives Series Produced by HAMSTER Co.

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